「税・その他は範囲が広くて手がつけられない」——そう感じて後回しにする受験者が多い科目です。しかし実際には、出題されるジャンルと論点はほぼ固定されており、パターンを押さえれば5問は確実に狙えます。全体8問の中から業法・法令で取りこぼした分を補う科目として機能させるのが合格設計の鍵です。
この記事で分かること
- 税・その他8問の現実的な目標得点(5問)と各ジャンルの内訳
- 不動産取得税・固定資産税・印紙税・登録免許税の頻出数値と覚え方
- 5問免除科目(統計・地価公示・景表法等)の直前対策タイミング
- 景品表示法・住宅金融支援機構の典型パターン
- 残り時間別の優先順位
税・その他8問の目標は「5問」
宅建試験の得点設計の基本は、業法20問で17〜19問、法令8問で5〜6問、税・その他8問で5〜6問を確保し、権利関係14問の取りこぼしを補う形です。税・その他で5問取れれば合格ライン(33〜38点前後)への貢献として十分です。
8問の内訳は例年おおむね以下の通りです:
| ジャンル | 出題数の目安 | 目標得点 |
|---|---|---|
| 税法(国税・地方税) | 2問 | 2問 |
| 統計 | 1問 | 1問 |
| その他(地価公示・景表法・住宅金融支援機構・土地建物) | 約5問 | 2問 |
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税法:数値を暗記すれば2問確保できる
税法は毎年国税・地方税から各1問が出題されます。問われる税目は複数ありますが、頻出の組み合わせは固定されています。
固定資産税(地方税)
固定資産税は最頻出の税目の一つです。
- 課税基準日: 毎年1月1日現在の登記簿上の所有者(売買後でも1月1日時点の所有者が納税)
- 住宅用地の軽減: 小規模住宅用地(200㎡以下の部分)は課税標準が6分の1に軽減
- 一般住宅用地(200㎡超の部分)は課税標準が3分の1に軽減
- 新築住宅の減額: 居住用120㎡相当分の税額が2分の1(一定期間)
試験では「いつの所有者が納税するか」「軽減割合は何分の何か」を問う選択肢が多いです。
不動産取得税(地方税)
- 課税タイミング: 不動産を取得したとき(登記不要、無償取得も課税対象)
- 住宅用家屋の軽減: 床面積が50㎡以上240㎡以下の新築住宅は課税標準から一定額が控除される
- 宅地の特例: 取得した宅地の課税標準は固定資産税評価額の2分の1(令和9年3月31日まで)
印紙税(国税)
- 課税文書: 売買契約書・請負契約書・金銭消費貸借契約書などが対象(賃貸借契約書は原則非課税)
- 契約金額別の税額(主な区分):
- 1万円未満: 非課税 - 100万円超500万円以下: 2,000円 - 500万円超1,000万円以下: 1万円 - 1,000万円超5,000万円以下: 2万円 - 5,000万円超1億円以下: 6万円
- 金額の記載がない場合: 一律200円
- 同一内容の契約書を2通作成した場合、両方とも課税される
登録免許税(国税)
- 課税タイミング: 不動産の登記を行うとき
- 住宅用家屋の軽減: 所有権移転登記(売買)は税率軽減特例あり(床面積要件・取得後1年以内の登記が条件)
学習のコツ: 税法は税目ごとに「いつ・誰に・いくら」の3点を整理する表を自作すると比較しやすくなります。数値を混同する受験者が多いため、軽減割合(6分の1・3分の1・2分の1)の対応関係を正確に区別することが得点の分かれ目です。
統計:直前(9〜10月)に増減方向だけ確認する
統計は毎年1問出題されますが、問われる数値は毎年変わります。住宅着工件数・地価変動率・不動産取引件数などが対象です。
対策タイミング: 通年の学習は不要です。試験直前(9〜10月)に各種統計の最新値を確認し、前年比での増減方向だけ把握します。「増えているか・減っているか」を選ぶ選択肢形式が多く、数値の絶対値を暗記する必要はほとんどありません。
注意: 直前対策をしていないと確実に落とす1問です。直前期の数週間で最新の国土交通省・不動産適正取引推進機構の公表データを確認する時間を確保してください。
その他:典型パターンを押さえれば拾える
5問免除科目(登録講習修了者が免除される問題46〜50番)と重複するジャンルが多く、免除なし受験者にとっては差をつけるチャンスです。
地価公示法
- 公示主体: 国土交通省(土地鑑定委員会が評価)
- 公示内容: 毎年1月1日時点の標準地の正常な価格
- 活用目的: 一般の土地取引の指標、公共用地取得の基準
- 都市計画区域外でも対象になることに注意
景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)
宅建業者の広告に関する規制として出題されます。
- 不当表示の禁止: 優良誤認表示・有利誤認表示が禁止される
- 公正競争規約: 不動産の表示に関する公正競争規約(徒歩分数の計算・写真の取扱いなど)が頻出
- 徒歩1分=80m換算が基準(端数は切り上げ)
住宅金融支援機構
- 主な業務: 民間金融機関が貸し付けた住宅ローンの債権を買い取って証券化する(フラット35の仕組み)
- 直接融資は原則として行わず、証券化支援業務が主体
- 団体信用生命保険: 機構が窓口となる保険で、借入者が死亡・高度障害になった場合にローン残高が弁済される
土地・建物に関する知識
宅地の造成・土地の形状・建物構造に関する問題です。専門知識というより「常識的な理解」で解ける問題が多く、深追いせず基本的な特徴だけ押さえます。
5問免除の受験者はどう考えるか
登録講習修了者(5問免除)は45問を解きます。試験問題では問46〜50番が免除対象となり、統計・地価公示・景表法・住宅金融支援機構・土地建物のジャンルが含まれます。
免除なし受験者との比較では、この5問分の学習コストが余分にかかります。免除を受けている人向けの得点設計は次の通りです。
| 得点源 | 目標得点 | 対策の優先度 |
|---|---|---|
| 税法(不動産取得税・固定資産税・印紙税・登録免許税) | 2問 | 高(数値暗記で2問確実) |
| 免除対象の「その他」から非免除問題が残る場合 | 1〜2問 | 中(景表法・地価公示の典型) |
| 合計目標 | 3〜4問 | — |
免除を受けている受験者は、税法2問を確実に取り、残りの「その他」問題から1〜2問を拾うことで、業法・法令と合わせた合格ライン確保を設計できます。
残り時間別の優先アクション
| 残り時間 | 税法 | 統計 | その他 |
|---|---|---|---|
| 2ヶ月以上 | 各税目の概要を理解する | 後回しでよい | 地価公示・景表法の典型を確認 |
| 1ヶ月 | 頻出数値を暗記し問題で確認 | 後回しでよい | 住宅金融支援機構の仕組みを整理 |
| 2週間 | 数値を再確認・紛らわしい特例を整理 | 後回しでよい | 過去の典型問題を1周 |
| 直前3日 | 固定資産税の課税基準日と軽減割合を最終確認 | 最新統計の増減方向を確認 | 景表法の徒歩換算を再確認 |
よくある失敗パターンと回避策
失敗1:税法の数値を混同する 不動産取得税の床面積要件(50〜240㎡)と固定資産税の住宅用地軽減(200㎡以下)は混乱しやすいです。「不動産取得税は取得した建物、固定資産税は土地の広さ」と対象を意識して整理します。
失敗2:統計を通年で学習しようとする 試験前に出版される速報資料などを4月から追いかけても、数値が変わり続けて無駄になります。直前1〜2週間で最新値を一気に確認するほうが効率的です。
失敗3:その他ジャンルを深追いして時間を使いすぎる 景表法や地価公示は細かい条文まで掘り下げると時間がかかります。典型問題のパターンを押さえる程度で十分で、難問は業法や法令で補います。
まとめ
税・その他8問は「範囲が広い」という印象とは異なり、ジャンルが固定されてパターンが繰り返されます。税法(不動産取得税・固定資産税・印紙税・登録免許税)の数値暗記で2問、統計は直前に1問、景表法・地価公示・住宅金融支援機構の典型パターンで2問——合計5問を設計の目標として、業法・法令と合わせて合格ラインを確保してください。
次のアクション: 固定資産税の「課税基準日」「住宅用地の軽減割合」「新築住宅の減額期間」の3点をA4一枚にまとめ、翌日に問題を解いて確認しましょう。
出典:
- 一般財団法人 不動産適正取引推進機構 — 宅地建物取引士資格試験 案内
- 地方税法・所得税法 — 税・その他の出題範囲






























































