宅建試験で最もコスパよく点数を積める科目が、50問中20問を占める宅建業法です。権利関係の民法が「理解しても点が取れない」難しさを持つのに対し、業法は「条文と数値を正確に覚えれば解ける」問題が多く、努力が素直に得点に直結します。目標は20問中17〜19問。ここで取りこぼすと他の科目で挽回するのが難しくなります。
結論:業法17〜19問を取る設計
| 論点 | 出題数の目安 | 攻略の鍵 |
|---|---|---|
| 35条・37条書面 | 5〜6問 | 目的の違いから記載事項を逆算 |
| 8種制限(クーリングオフ・手付等) | 3〜4問 | 数値を正確に覚える |
| 免許(区分・欠格事由・更新) | 2〜3問 | 「5年」と「90日前〜30日前」 |
| 媒介契約・報酬計算 | 2〜3問 | 業務日の数え方と速算式 |
| その他(保証・営業・宅建士等) | 残り | 頻出項目を押さえる |
頻出論点だけで10〜13問分あります。報酬計算と媒介契約を加えれば18点設計が立てられます。
この記事で分かること
- 業法20問で17〜19問を取るための頻出論点マップ
- 35条書面と37条書面の違いと記載事項の覚え方
- 8種制限の全体像とクーリングオフ・手付金・報酬計算の数値
- 免許区分・欠格事由・有効期間の落とし穴
- 業法特有のひっかけパターンと回避策
広告
業法で17〜19問を取るための全体設計
業法20問の出題内容はおおむね以下の比率で構成されます:
| カテゴリ | 出題数の目安 | 優先度 |
|---|---|---|
| 35条・37条書面 | 5〜6問 | 最優先 |
| 8種制限(クーリングオフ・手付・保全等) | 3〜4問 | 最優先 |
| 免許(区分・欠格事由・更新) | 2〜3問 | 高 |
| 媒介契約・報酬計算 | 2〜3問 | 高 |
| 宅建士・営業保証金・弁済業務保証金など | 残り | 中 |
3大頻出だけで10〜13問分あり、報酬計算・媒介契約を加えれば18点に届く設計が立てられます。
35条書面(重要事項説明書)vs 37条書面(契約書面)
業法の得点を左右する最大のテーマです。毎年5〜6問出題されます。
目的から逆算する
| 項目 | 35条書面 | 37条書面 |
|---|---|---|
| 交付タイミング | 契約締結前 | 契約締結後遅滞なく |
| 目的 | 購入者が判断するための情報提供 | 契約内容の証拠として双方保持 |
| 宅建士の記名 | 必要(電磁的方法の場合も対応) | 必要 |
| 説明義務 | あり(宅建士が口頭で説明) | なし(書面交付のみでよい) |
記載事項の覚え方: 丸暗記より「なぜその情報が必要か」から考えます。35条は「買うかどうかを決める判断材料」なので、物件の詳細情報(登記・用途制限・ライフライン・手付金の保全措置等)が並びます。37条は「契約したという証拠」なので、代金・引渡し日・危険負担・契約解除の条件など合意内容が並びます。
試験での落とし穴: 「区分所有建物(マンション)は35条のみに記載」「代金の額は37条のみに記載」という分類問題が頻出です。どちらに属するかを混同したまま進むと複数問を落とします。
8種制限:数値を正確に覚えると3〜4問確保できる
8種制限とは、宅建業者が自ら売主となり一般消費者(非業者)に不動産を売る場合に適用される、消費者保護のための8つのルールです。業者間の取引には適用されません(これが最大の落とし穴)。
クーリングオフ
- 行使期間: 書面で告知を受けた日から8日以内
- 行使できない場合: 買主が自ら希望して事務所以外(現地等)で締結→告知なしで8日経過後・物件の引渡しと代金全額支払いが完了した後
- 効果: 損害賠償・違約金の請求不可
手付金の制限
- 手付金額の上限: 売買代金の20%以内
- 損害賠償額の予定: 売買代金の20%以内に制限(超過した特約は20%に減額)
手付金等の保全措置
- 工事完了前(未完成)物件: 手付金等が売買代金の5%超または1,000万円超の場合に保全措置が必要
- 工事完了後(完成)物件: 手付金等が売買代金の10%超または1,000万円超の場合に保全措置が必要
免許:区分と数値の正確な把握が問われる
大臣免許と知事免許の区別
- 国土交通大臣免許: 複数の都道府県に事務所を設置する場合
- 都道府県知事免許: 1つの都道府県内のみに事務所を設置する場合
主たる事務所の所在ではなく、営業所の所在地が何都道府県にまたがるかで決まります。本社所在地だけで判断してはいけません。
免許の有効期間と更新
- 有効期間: 5年
- 更新申請: 満了日の90日前から30日前までの間に申請
- 期限内に申請できなかった場合は免許が失効します(更新後に再申請が必要)
欠格事由の「5年」ルール
免許を受けられない欠格事由の多くに「5年」という期間制限があります。
- 宅建業法違反で罰金刑に処せられた日から5年は免許取得不可
- 禁錮以上の刑の執行が終わった日から5年は免許取得不可
- 免許取消しから5年は免許取得不可(不正取消しの場合)
「禁錮以上か罰金か」「刑の確定日か執行終了日か」の細かい区別が問われます。
媒介契約の種類と「業務日」の落とし穴
| 種類 | 他社への依頼 | 自己発見取引 | レインズ登録義務 | 報告義務 |
|---|---|---|---|---|
| 一般媒介 | できる | できる | 任意(義務なし) | なし |
| 専任媒介 | できない | できる | 契約締結の翌日から7業務日以内 | 2週間に1回以上 |
| 専属専任媒介 | できない | できない | 契約締結の翌日から5業務日以内 | 1週間に1回以上 |
試験での落とし穴が「7日以内・5日以内」が「業務日」であること。土日祝は算入しないため、暦日より日数が延びます。選択肢に「7日以内」と書いてあっても「暦日か業務日か」を確認するのが正解へのカギです。
「レインズ登録の期限」「依頼者への報告頻度」「業務日か暦日か」が選択肢に頻繁に登場します。数値の違いを確認します。
報酬計算:速算式を具体的な計算例で確認
売買の場合の報酬上限(一方から受領できる金額):
- 売買代金200万円以下の部分:5%
- 200万円超〜400万円以下の部分:4%
- 400万円超の部分:3%
速算式(400万円超の場合):売買代金×3%+6万円(税抜)で一方から受領できる上限が出ます。
計算例: 3,000万円の売買で売主から受領できる上限は?
- 3,000万円×3%+6万円 = 90万円+6万円 = 96万円(税抜)
両者(売主・買主)から受領できる合計上限は96万円×2 = 192万円(税抜)。ただし「一方から受領できる上限は96万円」が問われることが多いため、速算式の使い方を問題で一度確認しておきます。
業法特有のひっかけパターン
ひっかけ1: 8種制限の「業者間取引には適用なし」 売主が宅建業者でも、買主が宅建業者なら8種制限は適用されません。「売主が宅建業者」という条件だけを見て「適用あり」と判断すると失点します。
ひっかけ2: 35条の「説明」と37条の「交付のみ」 35条書面は口頭説明が義務(宅建士が読み上げ説明する)ですが、37条書面は交付するだけでよく説明義務はありません。「宅建士が説明した」という選択肢が37条なら誤りです。
ひっかけ3: クーリングオフの「8日」の起算日 告知を受けた日から起算します(=告知受領日を1日目)。「申込日から8日」ではありません。また、告知が書面でなければクーリングオフの期間は開始しません。
残り時間別の優先アクション
| 残り時間 | やること |
|---|---|
| 2ヶ月以上 | 35条・37条の記載事項をリスト化して整理する |
| 1ヶ月 | 8種制限の数値を覚え、報酬計算の速算式を使いこなす |
| 2週間 | ひっかけパターンを問題で確認し、媒介契約の3種類を比較する |
| 直前3日 | 数値リスト(クーリングオフ8日・手付2割・保全5%/10%・速算式)を再確認 |
まとめ:今日やる一手
宅建業法20問は、試験全体の得点設計の柱です。押さえるべき数値を整理します。
| 数値 | 内容 |
|---|---|
| クーリングオフ:8日 | 書面告知を受けた日から8日以内(告知日が1日目) |
| 手付金の上限:20% | 売買代金の20%以内(業者間は適用なし) |
| 保全措置の基準:5%/10% | 未完成5%超・完成10%超(または1,000万円超) |
| 速算式:3%+6万円 | 400万円超の売買で一方から受領できる上限 |
| レインズ登録:7/5業務日 | 専任7業務日以内・専属専任5業務日以内 |
| 免許の更新申請:90日前〜30日前 | この期間外の申請は不受理 |
| 欠格事由の多くに:5年 | 罰金刑・禁錮以上・不正取消後5年は免許不可 |
業法は「条文と数値を正確に覚えれば解ける」問題が多く、時間をかけた分だけ得点に直結します。
今日やる一手: 35条書面と37条書面の記載事項をそれぞれA4半ページにまとめ、「どちらにしか載らない項目」を確認してみてください。
出典:
- 一般財団法人 不動産適正取引推進機構 — 宅地建物取引士資格試験 案内
- 宅地建物取引業法 — 免許・書面交付・8種制限の規定






























































