管理業務主任者の合格率を調べると、近年はおおむね20〜23%。令和6年度(2024年)は約21.3%、令和5年度は約21.9%と、過去10年ほど20%前後で安定しています。受験者の2割前後が通る試験で、合格率の数字だけ見れば不動産系のなかでは中位の難しさです。
ただ、この数字を額面どおりに受け取る前に押さえておきたいことが二つあります。一つは、合格点が年度で33〜38点と動く相対評価寄りの試験であること。もう一つは、よく比較される宅建士(合格率15〜18%前後)やマンション管理士(7〜10%前後)との位置関係です。この記事では、合格率を年度別に整理したうえで、難しさの構造と二つの資格との距離感を解説します。
この記事で分かること
- 管理業務主任者の合格率と合格点の年度別推移
- 受験資格がない母集団であることが数字に与える影響
- 合格点が毎年動く相対評価の構造と対策への翻訳
- 宅建士(合格率15〜18%)と比べてどのくらいの難易度か
- マンション管理士(合格率7〜10%)との違いと難易度差
- マン管合格者が受けられる5問免除の仕組み
年度別の合格率と合格点
まず数字を一覧で確認します。受験者数・合格率・合格点の三つをセットで見ると、試験の性格がつかめます。
| 年度 | 受験者数(概数) | 合格率 | 合格点(50問中) |
|---|---|---|---|
| 令和6年度(2024年) | 約1.5万人 | 約21.3% | 38点 |
| 令和5年度(2023年) | 約1.4万人 | 約21.9% | 35点 |
| 令和4年度(2022年) | 約1.6万人 | 約18.9% | 36点 |
| 令和3年度(2021年) | 約1.6万人 | 約19.4% | 35点 |
| 令和2年度(2020年) | 約1.6万人 | 約23.9% | 37点 |
※最新の確定値は一般社団法人 マンション管理業協会の公表データで確認してください。合格率はおおむね20%前後で落ち着き、合格点は33〜38点のレンジを上下しています。
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合格率は「受験資格なし」の母集団での数字
合格率を読むうえで前提になるのが、誰でも受験できるという点です。管理業務主任者試験には年齢・学歴・実務経験などの受験資格がなく、申し込めば誰でも受けられます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受験資格 | なし(年齢・学歴・実務不問) |
| 試験形式 | 四肢択一・50問(マークシート) |
| 試験時間 | 2時間(13時〜15時) |
| 実施時期 | 例年12月第1日曜 |
| 受験料 | 8,900円 |
受験資格がないということは、準備不足のまま受ける層も一定数いるということです。受験者全員が実務経験者という試験とは母集団の前提が違い、管業の20〜23%は門戸が広い中での数字。しっかり準備した人の体感は、もう少し高くなります。
難しさの正体は「合格点が動くこと」
管理業務主任者試験で見落とされがちなのが、合格点が固定ではないという点です。毎年決まった点数を取れば受かるのではなく、その年の出題難易度や受験者全体の出来に応じて合格ラインが調整されます。
| 年度の傾向 | 合格点の動き | 受験者への意味 |
|---|---|---|
| やさしい年 | 37〜38点へ上昇 | 取りこぼしが命取りになる |
| 標準的な年 | 35〜36点あたり | 7割強で安全圏に入りやすい |
| 難しい年 | 33〜34点へ低下 | 周囲も解けず差がつきにくい |
ここから導ける対策はシンプルです。狙うのは「合格点ぴったり」ではなく、どの年でも上位2割に入れる実力。本番で8割近く(40点前後)を安定して取れる状態にしておけば、ラインがどこに動いても対応できます。合格率を眺めるより、自分の演習での正答率がこの水準を超えているかで判断するのが確実です。
宅建士と比べてどのくらいか
管業を検討する人の多くが気にするのが、宅建士との難易度差です。両者は民法や区分所有法など出題範囲が重なるため、よく比較されます。
| 比較項目 | 管理業務主任者 | 宅建士 |
|---|---|---|
| 合格率 | 約20〜23% | 約15〜18% |
| 出題数 | 50問 | 50問 |
| 合格基準 | 33〜38点(相対評価寄り) | おおむね35〜38点(7割前後) |
| 受験者数 | 約1.5万人 | 約20万人前後 |
| 試験時期 | 例年12月 | 例年10月 |
数字のうえでは、合格率は管業のほうがやや高めです。受験者層も宅建のほうが格段に広く、競争の厳しさという点では宅建が上とされます。一方で管業は会計・建築・設備といった独自分野があり、宅建にはない負担も抱えます。
両者は試験範囲が重なるからこそ組み合わせやすい関係です。民法、区分所有法、建物・設備の知識など、宅建で学ぶ論点と管業の出題は重なる部分が多く、宅建の学習がそのまま管業の土台になります。宅建そのものの難しさが気になる人は、宅建の難易度・合格率の記事で全体像を確認しておくと、二つの距離感がつかめます。
マンション管理士との違いと難易度差
管業を調べると必ず並んで出てくるのがマンション管理士(マン管)です。名前が似ていて試験範囲も重なりますが、立場も難易度もはっきり異なる別資格です。
| 比較軸 | 管理業務主任者(管業) | マンション管理士(マン管) |
|---|---|---|
| 立場 | 管理会社の側 | 管理組合の側 |
| 資格の性格 | 設置義務のある独占業務資格 | 名称独占のコンサル資格 |
| 主な役割 | 管理委託契約の重要事項説明・管理事務報告 | 管理組合への助言・コンサルティング |
| 合格率の目安 | 約20〜23% | 約7〜10% |
| 試験時期 | 例年12月第1日曜 | 例年11月最終日曜 |
マン管は管理組合の側に立って助言する側、管業は管理会社の側で契約や報告を担う側、と立場が逆向きです。難易度はマン管のほうが一段高く、合格率は7〜10%前後と不動産系でも難関の部類に入ります。
範囲が大きく重なるため、同じ年に両方を受ける人も少なくありません。どちらかの試験に合格していると、もう一方の試験で5問が免除される仕組みもあり、セットで狙う相性は良好です。管理業務とその関連資格の地図を広げたい人は、賃貸管理を担う賃貸不動産経営管理士とは何かの記事も合わせて見ると、不動産管理系の資格群の位置づけが整理できます。
マン管合格者が受けられる5問免除
合格点ぎりぎりが不安な人や、両資格を狙う人向けの補足として、5問免除の制度があります。管理業務主任者試験では、マンション管理士試験の合格者が申込時に合格証書の写しを添えると、5問が免除されます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 免除の条件 | マンション管理士試験の合格者であること |
| 免除される範囲 | マンション管理適正化法に関する問46〜問50 |
| 免除後の出題数 | 45問(免除分は得点として確保) |
| 実質的な効果 | その年の合格点が5点ぶん下がる |
賃管士や宅建のように講習を修了して免除を得る仕組みとは異なり、管業の5問免除はマン管合格が条件です。マン管に先に受かっていれば、管業の負担が軽くなります。逆に管業に先に受かっていれば、マン管側で5問免除を受けられます。両資格を視野に入れる人にとっては、片方の合格がもう片方を後押しする関係です。
合格後に問われる登録・主任者証の要件
最後に、合格率や難易度の話と混同しやすい点を整理します。受験のハードルは低い一方で、資格を実務で名乗る段階では実務経験などが問われます。
| 段階 | 求められる要件 |
|---|---|
| 受験 | 要件なし(誰でも受験可) |
| 主任者証の交付 | 管理事務の実務2年以上、または登録実務講習の修了 |
| 事務所への設置 | 管理業者は管理組合30組合に1人以上の設置義務 |
マンション管理適正化法に基づき、マンション管理業者は事務所ごとに、管理組合おおむね30組合につき1人以上の管理業務主任者を置く義務があります。その役割を担える中心的な資格が管理業務主任者です。つまり「受かりやすさ」と「実務での重み」は別物で、合格はスタート地点。主任者証の交付には、合格後に実務経験または講習が必要になると理解しておきましょう。
まとめ
管理業務主任者の合格率は近年20〜23%、合格点は33〜38点で年度変動します。受験資格がなく門戸が広い母集団での数字で、宅建士(合格率15〜18%)よりはやや通りやすく、マンション管理士(7〜10%)よりはかなり易しい水準です。ただし合格点が毎年動く相対評価寄りの試験なので、狙うべきは固定の点数ではなく、どの年でも上位2割に入れる8割近い実力。
まずは過去問演習で自分の正答率が40点前後の水準に届いているかを確認し、足りない分野から埋めていきましょう。宅建も併せて狙う人は、範囲の重なりを生かして宅建士とは何かの記事で全体像をつかみ、宅建の演習ハブで重複分野の実力を試すのが効率的です。
出典:
- 一般社団法人 マンション管理業協会「試験」 — 試験概要・実施要領
- 国土交通省「管理業務主任者になるには」 — 主任者証交付・登録の要件
- マンションの管理の適正化の推進に関する法律(マンション管理適正化法) — 管理業務主任者の設置義務・独占業務

























































