「マンション管理士と管理業務主任者、両方取ると5問免除でラクになる」という話を見て、同じ年にまとめて受けようと考える人は多いはずです。ところがここには見落とされがちな落とし穴があります。5問免除は前年までに片方へ受かっている人だけのもので、同年にまとめて受けても、その年は免除が効きません。
この記事では、混同されやすいこの2資格について、5問免除が「いつ」効くのかを正確に整理したうえで、同年W受験の組み立てと、どちらを先に取るかの設計を具体的に解説します。マン管(管理組合側の名称独占)と管業(管理会社側の設置資格)という役割の違いも、公益財団法人 マンション管理センターなどが公表する事実をもとに押さえていきます。
結論:マン管は「管理組合側」、管業は「管理会社側」の資格
まず両資格の関係を一言で。立つ側が逆だと押さえると、役割の違いが一気に見通せます。
| 観点 | マンション管理士(マン管) | 管理業務主任者(管業) |
|---|---|---|
| 立つ側 | 管理組合(住民側) | 管理会社(マンション管理業者) |
| 資格の性質 | 名称独占・コンサルタント | 独占業務あり・設置義務あり |
| 代表業務 | 管理組合への助言・指導・コンサルティング | 管理委託契約の重要事項説明・管理事務報告 |
| 設置義務 | なし | 事務所ごと管理組合30組合に1名以上 |
| 難易度の目安 | 難関(合格率おおむね7〜11%) | 中位(合格率おおむね19〜23%) |
マン管は管理組合の相談相手として独立して助言できる「名称独占のコンサル資格」で、独占業務も設置義務もありません。一方の管業は、管理を受託する会社の側で契約や報告という独占業務を担う「設置が義務づけられた資格」です。だから「どっちか」で迷うより、両方を視野に入れて順番をどう組むかで考えるほうが実りがあります。
この記事で分かること
- 5問免除が「いつ」効き、同年W受験ではなぜ使えないのか
- 同じ年に両方狙えるかどうかと、その日程の配置
- 出題範囲のどこが重なり、差分学習がどう効くか
- マン管の試験概要(2026年の日程・受験料・合格率)
- 宅建も含めた不動産三冠としての狙い方
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5問免除はいつ効くか:同年W受験では使えない
ダブル取得を語るうえで最重要なのに誤解の多い論点が、5問免除のタイミングです。先に結論から。
| 受験パターン | 5問免除 | 理由 |
|---|---|---|
| 前年までに管業合格→今年マン管 | 効く | 申込時点で管業の合格番号を持っている |
| 前年までにマン管合格→今年管業 | 効く | 申込時点でマン管の合格番号を持っている |
| 同じ年に両方を初受験 | 効かない | 申込時点でどちらの合格番号もまだ無い |
5問免除は「すでに相手資格へ合格している人」だけが申請できる制度です。合格の事実は前年度までに確定している必要があり、同じ年に両方を初めて受ける場合、申込の段階ではまだどちらの合格番号も手元にありません。つまり同年W受験では、その年は両試験とも50問のまま受けることになります。「ダブル受験=自動的に免除」と思い込むと計画を誤るので、ここは正確に押さえてください。
5問免除の中身:片方の合格者はもう片方が45問になる
タイミングを押さえたうえで、免除の中身も見ておきます。効くのは前年までに片方を取っている場合です。
| 持っている資格 | 受ける試験 | 免除される範囲 | 問題数 |
|---|---|---|---|
| 管理業務主任者 合格者 | マンション管理士 | マンション管理適正化法・指針(問46〜50) | 50問→45問 |
| マンション管理士 合格者 | 管理業務主任者 | マンション管理適正化法・指針(問46〜50) | 50問→45問 |
| どちらも未取得 | 各試験 | 免除なし | 50問 |
片方の試験に合格していると、もう一方の試験で「マンション管理適正化法・指針」に関する例年5問(問46〜50)が申請により免除されます。手続きは、申込書の試験免除欄にチェックを入れ、相手資格の合格番号を所定欄へ記入するだけです。5問ぶんは満点に対して1割を占めるうえ、その範囲の対策を省けるため、得点と学習負担の両面で効く実利の大きい制度です。だからこそ、免除を活かすなら「先に片方→翌年もう片方」の二段構えが計画として噛み合います。
同年W受験は狙えるか:日程は1週間しか離れていない
免除が効かないなら同年受験に意味がないかというと、そうではありません。試験日が極めて近いため、共通範囲をまとめて学べる利点があります。
| 試験 | 例年の試験日 | 2026年(令和8年)の予定 |
|---|---|---|
| マンション管理士 | 11月最終日曜 | 2026年11月29日(日)予定 |
| 管理業務主任者 | 12月第1日曜 | 2026年12月6日(日)予定 |
両試験はおよそ1週間しか空いていません。出題範囲が重なっているため、2試験ぶんを別々に勉強する感覚にはならず、共通範囲をまとめて固めてから各資格の固有論点を足す形になります。マン管→管業の順で1週間連続して受け、共通範囲の知識が最も新しい状態で2試験に臨むのが、この日程を活かす定番の組み立てです。免除こそ使えませんが、1年で2資格に手が届く可能性がある点が同年W受験の魅力です。
ただし、難関の試験が2週連続で来る負荷は正直に書いておきます。仕事や家庭で十分な時間が取れない年は、無理に同年へ詰め込まず、通りやすい管業を1年で取ってから翌年マン管に挑む形でも構いません。その場合は2年目に5問免除も効きます。日程は年により変わるため、出願前に公益財団法人 マンション管理センター(マン管)とマンション管理業協会(管業)の公式情報で確認してください。
科目重複:出題範囲は大半が共通している
同年でも二段構えでも効いてくるのが、出題範囲の重なりです。片方で覚えた知識をもう片方でほぼそのまま使えます。
| 分野 | マン管での扱い | 管業での扱い | 重なり |
|---|---|---|---|
| 区分所有法 | 出題の中核 | 出題の中核 | 大きい |
| 標準管理規約 | 頻出 | 頻出 | 大きい |
| マンション管理適正化法 | 5問免除の対象範囲 | 独占業務の根拠で頻出 | 大きい |
| 民法(契約・債権) | 管理運営の前提 | 管理委託契約の前提 | 中程度 |
| 設備・建築・会計 | 維持保全の観点で出題 | 管理実務として出題 | 中程度 |
| 管理組合の運営・合意形成 | コンサル視点で深掘り | 基礎的に出題 | マン管寄り |
両試験は区分所有法・標準管理規約・適正化法という骨格を共有しています。管業を終えた人がマン管で新しく深めるのは、表の下段にある管理組合の合意形成やコンサル視点の論点が中心です。ゼロから2試験ぶんを学ぶのではなく、共通土台を流用して差分だけ積み増す形になるため、片方を取ってからもう片方を狙うと体感の負担が軽くなります。この「差分で済む」構造こそ、2つを別々に取るより順番に取るほうが得な理由です。難易度の比較感は、不動産系の入口である宅建士の難易度も併せて見ると、自分の到達距離を測りやすくなります。
どちらを先に取るか:通りやすい管業を土台にする
順番に唯一の正解はありませんが、マンション管理系がはじめてなら管業を先にする人が多数派です。理由は、合格率で見るとマン管のほうが明確に難関で、管業で土台を作ってから挑むほうが負担を分散できるからです。
| あなたの状況 | 先に取ると効率がよい資格 | 理由 |
|---|---|---|
| マンション管理系が初学 | 管業 | 区分所有法・適正化法の土台を先に作れる |
| すでに宅建保有 | 管業 | 民法・区分所有法の共通範囲が済んでいる |
| 管理会社で働く・転職したい | 管業 | 設置義務がある資格で実務に直結 |
| 管理組合の相談役・独立を目指す | 管業→マン管 | 通りやすいほうで土台を作り難関を上乗せ |
管業は合格点が50問中35〜38点前後で、マン管より通りやすい水準です。ここを先に攻略しておくと、後から取り組むマン管が「知っている話の延長」に感じられます。しかも前年に管業を取っておけば、翌年のマン管で5問免除も効きます。逆に、管理組合のコンサルとしてマン管が先に必要なら、順番を入れ替える判断も十分に合理的です。資格の役割の全体像は管理業務主任者とはで押さえておくと、立場の違いがはっきりします。
マン管の試験概要:日程・受験料・合格率
マン管をはじめて調べる人向けに、試験の基本を表でまとめます。数値は受験年度により変わるため、申込前に公益財団法人 マンション管理センターの公式情報で最新を確認してください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 資格の種類 | 国家資格・名称独占(指定試験機関: 公益財団法人 マンション管理センター) |
| 試験形式 | 四肢択一マークシート・50問(免除者は45問) |
| 試験時間 | 2時間 |
| 試験日 | 例年11月最終日曜(2026年は11月29日予定) |
| 受験資格 | なし(年齢・学歴・実務経験・国籍 すべて不問) |
| 受験料 | 9,400円(公式で要確認) |
| 合格率 | 近年おおむね7〜11%(年度変動。令和6年度は12.7%) |
マン管は四肢択一のみで記述や面接はありません。名称独占資格のため、試験に合格して登録を受けた人だけが「マンション管理士」を名乗れます。独占業務や設置義務はないので、合格と登録の意味合いは管業とは異なります。出典は公益財団法人 マンション管理センターの公表情報です。
合格率の推移:マン管は不動産系でも屈指の難関
「ダブル取得」と聞くと軽く感じますが、マン管単体の難しさは正確に見ておく必要があります。
| 年度 | 合格率 | 合格点(50問中) |
|---|---|---|
| 2021(令和3) | 約9.9% | 38点 |
| 2022(令和4) | 約11.5% | 40点 |
| 2023(令和5) | 約10.1% | 36点 |
| 2024(令和6) | 約12.7% | 36点 |
| 2025(令和7) | 約8〜10%(目安) | 公式で要確認 |
マン管の合格率はおおむね7〜11%のレンジで推移し、合格点も36〜40点と高めです。管業の19〜23%前後と比べると、同じマンション管理系でも難易度の差は小さくありません。範囲は管業とほぼ共通でも、問われ方がコンサル視点でより踏み込むため、共通土台を固めたうえでマン管固有の上乗せをどれだけ積めるかが分かれ目になります。数字の上下に一喜一憂せず、差分を着実に積む姿勢が安定します。
次の一歩:不動産三冠として宅建から土台を作る
マン管と管業は、管理組合側と管理会社側で立場が分かれた補完関係です。出題範囲が大きく重なり、前年までに片方を取っていれば翌年もう片方の試験で5問免除を受けられます。一方で同年W受験ではその免除が効かないため、「免除を取りに行くなら二段構え」「1年で2資格に挑むなら同年」と、狙いに応じて組み立てを選ぶのが筋の通った考え方です。
さらに視野を広げるなら、宅建・管業・マン管は不動産三冠と呼ばれ、区分所有法や民法で範囲が重なります。不動産系をこれから始めるなら、まず土台となる宅建から理解するのが分かりやすい入り口です。資格の全体像は宅建士とはでつかみ、宅建の演習で力をつけたい人は宅建の練習問題ハブから実際の問題に触れてみましょう。まずは共通範囲である区分所有法と民法に手をつけるところから始めてみてください。

























































