証券外務員一種で二種より深く問われるのは、先物・オプションなどのデリバティブ取引と、その周りの信用取引・勧誘のルールです。この記事は、その範囲を記事の中で解ける○×と計算の例題にしました(○×は問1〜16、計算は5問)。答えには、日本取引所グループ(JPX)のページと金融商品取引法・府令の条文(2026年10月21日に施行されている版)の根拠をつけています。問題はすべてぴよパスのオリジナルで、本試験や外務員必携の問題ではありません。
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結論:一種の例題は「単位」「日付」「向き」で間違える
協会は、出題科目の「デリバティブ取引」を一種外務員資格試験のみとしています。一種の先物・オプションの問題で取り違えやすいのは、次の3つです。
- 単位 — 日経225先物は1,000倍、mini は100倍、マイクロは10倍。呼値は10円・5円・5円。
- 日付 — 取引最終日は第2金曜日の前営業日、SQ日はその翌営業日。日経225オプションは SQ日にだけ権利行使できるヨーロピアン。
- 向き — 売りヘッジ・買いヘッジ、買い裁定・売り裁定、コールとプットの損益分岐点。
五肢選択方式は1問10点(五肢択二は各5点)で、計算問題もここに入ります。計算の例題は、式を覚えているかより、倍率と枚数を掛け忘れないかを見てください。
○×の例題(問1〜8)先物・オプション
まず○か×かを決めてから、下の答えを見てください。
- 日経225先物の取引単位は、日経平均株価の100倍である。
- 日経225先物の取引最終日は、各限月の第2金曜日である。
- 日経225先物の呼値の単位は10円で、価格が1呼値動くと、1枚あたりの損益は1万円動く。
- SQ値は、SQ日の構成銘柄の始値をもとに算出する特別な数値で、その日の日経平均株価とは必ずしも一致しない。
- 日経225オプションは、取引期間中いつでも権利行使できるアメリカンタイプである。
- オプションのプレミアムは本質的価値と時間的価値からなり、時間的価値は満期日に近づくにつれて減っていく。
- コール・オプションの本質的価値は、原資産価格が権利行使価格を下回ると、マイナスになる。
- ボラティリティが高くなると、コール・オプションのプレミアムは上がり、プット・オプションのプレミアムは下がる。
答えと根拠(問1〜8)
| 問 | 答え | 根拠 |
|---|---|---|
| 1 | × | 大阪取引所「日経225先物」制度概要。取引単位は「日経平均株価×1,000円」。100倍は日経225mini です |
| 2 | × | 同。取引最終日は第2金曜日の前日に終了する取引日(前営業日)で、SQ日はその翌営業日です |
| 3 | ○ | 同。呼値の単位は10円で、JPX の例では「呼値の変動による損益」は10,000円です |
| 4 | ○ | 同と JPX 用語集「特別清算数値」。構成銘柄の始値に基づいて算出し、通常の日経平均株価とは必ずしも一致しません |
| 5 | × | 大阪取引所「日経225オプション」制度概要と用語集。権利行使日は SQ日だけのヨーロピアンタイプです |
| 6 | ○ | JPX 用語集「プレミアム」「時間的価値」。時間的価値は主に残存日数とボラティリティに左右され、満期日に近づくにつれて減ります |
| 7 | × | JPX 用語集「本質的価値」。差がマイナスの場合、本質的価値はゼロです |
| 8 | × | 大阪取引所の解説。ボラティリティが高いほど、コールもプットもオプション価格は高くなります |
○×の例題(問9〜16)ヘッジ・国債先物・法令・信用取引
- 現物の株式を持っている投資家が、値下がりに備えて株価指数先物を売ることを、売りヘッジという。
- 先物の理論価格より実際の先物価格が高いとき、先物を売って現物を買う取引を、売り裁定という。
- 長期国債先物の取引対象は、利率6%・期間10年の標準物で、最終決済では受渡適格銘柄の国債が受け渡される。
- 個人の顧客が行う通貨関連デリバティブ取引(FX)の証拠金は、想定元本の10%以上と定められている。
- 個人の顧客を相手方とする店頭デリバティブ取引の契約について、勧誘の要請をしていない顧客に訪問や電話で勧誘することは、内閣府令の例外を除き禁止されている。
- 制度信用取引で品貸料(逆日歩)がついた銘柄では、売り方が品貸料を支払い、買い方が受け取る。
- 一般信用取引の返済期限は、取引所の規則で最長6か月と決められている。
- 協会員は、顧客と有価証券関連デリバティブ取引等の契約を初めて結ぶとき、顧客から確認書を受け取る。
答えと根拠(問9〜16)
| 問 | 答え | 根拠 |
|---|---|---|
| 9 | ○ | JPX 用語集「ヘッジ取引」。現物を保有している場合に先物を売るのが売りヘッジ、将来保有する予定のときに先物を買うのが買いヘッジです |
| 10 | × | 大阪取引所の解説。理論価格より実際の先物価格が高いときの「先物売り・株の買付け」は買い裁定です(逆が売り裁定) |
| 11 | ○ | 大阪取引所「国債先物」。標準物は実在しないので、最終決済では受渡適格銘柄の国債を受け渡します。受け渡す銘柄は売方が選びます |
| 12 | × | 金融商品取引業等に関する内閣府令 第117条第1項第27号・第7項。個人の通貨関連デリバティブ取引の証拠金は想定元本の「百分の四」(4%)です |
| 13 | ○ | 金融商品取引法 第38条第4号と施行令 第16条の4第1項第2号(個人を相手方とする店頭デリバティブ取引の契約)。例外は金融商品取引業等に関する内閣府令 第116条 |
| 14 | ○ | JPX 用語集「品貸料」。品貸料がついた銘柄では、制度信用取引の売り顧客が支払い、買い顧客が受け取ります。逆日歩とも呼びます |
| 15 | × | 東京証券取引所「信用取引の概要」。最長6か月は制度信用取引で、一般信用取引の返済期限は顧客と証券会社の間で決めます |
| 16 | ○ | 日本証券業協会「協会員の投資勧誘、顧客管理等に関する規則」第8条(確認書の徴求) |
勧誘を受ける意思の確認(第38条第5号)と、断った人への再勧誘の禁止(第6号)の対象は、施行令 第16条の4第2項が決めています。不招請勧誘の禁止(第4号)の対象の契約(同条第1項)に加えて、取引所の取引では、通貨や預金などに係る先物・オプションと、商品関連・暗号等資産関連の市場デリバティブ取引の取次ぎなどが入ります。この記事の日経225先物・日経225オプションや国債先物は、第4号〜第6号のどれの対象にも入りません。
計算の例題(計算1〜5)
- 先物の損益 — 日経225先物を30,000円で2枚買い建て、30,400円で転売した。損益はいくらか(手数料は考えない)。
- mini の損益 — 日経225mini を28,500円で3枚売り建て、28,200円で買い戻した。損益はいくらか(手数料は考えない)。
- プレミアムの内訳 — 日経平均株価が28,600円のとき、権利行使価格28,000円のコールのプレミアムが900円だった。本質的価値と時間的価値はそれぞれいくらか。
- プットの買い — 権利行使価格27,000円のプットをプレミアム500円で2枚買った。損益分岐点はいくらか。また、SQ値が26,000円で権利行使したときの損益はいくらか(手数料は考えない)。
- 委託保証金の代用 — 信用取引の委託保証金として、現金20万円と、前日の時価40万円の株式を差し入れた。株式の代用価格は、府令の上限の「前日の時価の80%」で計算する。委託保証金の額はいくらか。
答えと根拠(計算)
| 問 | 答え | 式と根拠 |
|---|---|---|
| 1 | 80万円の利益 | (30,400 − 30,000)× 1,000 × 2 = 800,000。JPX 用語集の例「500円×1,000×1枚=50万円」と同じ型 |
| 2 | 9万円の利益 | (28,500 − 28,200)× 100 × 3 = 90,000。mini の取引単位は日経平均株価×100円。売りは値下がりで利益 |
| 3 | 本質的価値600円・時間的価値300円 | 28,600 − 28,000 = 600、900 − 600 = 300。JPX 用語集「プレミアム」の例と同じ型 |
| 4 | 損益分岐点26,500円・100万円の利益 | 27,000 − 500 = 26,500。(27,000 − 26,000 − 500)× 1,000 × 2 = 1,000,000。大阪取引所の解説の「権利行使価格からプレミアムを差し引いた額」 |
| 5 | 52万円 | 20 + 40 × 80% = 52。保証金の府令 第6条(株券は前日の時価の「百分の八十」を超えない額) |
計算4は、取引単位(プレミアムの1,000倍)を掛け忘れると、答えが1,000分の1になります。五肢選択方式では、こうした桁の違いが選択肢に並ぶことがあるので、単位を最後に必ず確かめてください。
取り違えやすい数字の一覧(2026年10月21日)
| 項目 | 数字 | 出どころ |
|---|---|---|
| 日経225先物・mini・マイクロの取引単位 | 日経平均株価×1,000円・×100円・×10円 | 大阪取引所の制度概要 |
| 呼値の単位 | 日経225先物10円、mini・マイクロ5円 | 同 |
| 取引時間(225先物・mini・マイクロ・225オプション) | 日中8:45〜15:45、夜間17:00〜翌6:00(クロージングを含む) | 同 |
| 取引最終日・SQ日 | 第2金曜日の前営業日・その翌営業日 | 同 |
| 日経225オプションの呼値 | 300円以下は1円、300円超は5円 | 同 |
| 日経225オプションの権利行使価格 | 250円刻み(直近3限月は125円刻みを追加) | 同 |
| 証拠金の計算方式 | VaR 方式(2023年11月6日に SPAN 方式から移行) | 日本証券クリアリング機構 |
| 長期国債先物 | 標準物(6%・10年)、額面1億円、呼値は額面100円につき1銭 | 大阪取引所の制度概要 |
| 信用取引の委託保証金 | 約定価額の30%以上(最低30万円)。代用の株券は前日の時価の80%まで。維持率20% | 保証金の府令・JPX 用語集 |
| 個人の通貨関連デリバティブ取引の証拠金 | 想定元本の4%以上 | 金融商品取引業等に関する内閣府令 第117条 |
数字の覚え方と、二種と共通の数字の確かめ方は「証券外務員二種の数字の覚え方」と「証券外務員の一夜漬け」にまとめています。デリバティブの暗記表は「証券外務員一種のデリバティブ対策」です。
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まとめ
- 一種で増えるのはデリバティブ取引です。先物・オプションの例題は、単位(1,000倍・100倍・10倍)、日付(取引最終日と SQ日)、向き(ヘッジ・裁定・損益分岐点)で間違えやすくなります。
- 勧誘のルールは、不招請勧誘の禁止(個人との店頭デリバティブなど)と、意思確認・再勧誘の禁止(それに加えて、取引所の通貨・預金などの先物・オプションや商品先物の取次ぎなど。株価指数先物・オプションは入らない)を分けて覚えます。
- 信用取引は、30%・30万円・80%・20%の数字と、制度信用と一般信用の違い(返済期限・品貸料)を押さえます。
- 計算は、倍率と枚数を掛けたかを最後に確かめます。
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出典
- 日本証券業協会「外務員資格試験」(出題科目・出題範囲・配点): https://www.jsda.or.jp/gaimuin/shiken.html
- 大阪取引所「日経225先物」「日経225mini」「日経225マイクロ先物」「日経225オプション」の商品概要・制度概要: https://www.jpx.co.jp/derivatives/products/domestic/225futures/01.html ・ https://www.jpx.co.jp/derivatives/products/domestic/225mini/01.html ・ https://www.jpx.co.jp/derivatives/products/domestic/225micro-futures/01.html ・ https://www.jpx.co.jp/derivatives/products/domestic/225options/01.html
- 大阪取引所「国債先物」の商品概要・制度概要: https://www.jpx.co.jp/derivatives/products/jgb/jgb-futures/index.html ・ https://www.jpx.co.jp/derivatives/products/jgb/jgb-futures/01.html
- 日本証券クリアリング機構「VaR方式」: https://www.jpx.co.jp/jscc/seisan/sakimono/shokokin_seido/VaR.html
- 日本取引所グループ 用語集(特別清算数値・プレミアム・本質的価値・時間的価値・ヘッジ取引・品貸料・差金決済(先物の損益の例)・権利行使日・委託保証金・委託保証金維持率): https://www.jpx.co.jp/glossary/ta/326.html ・ https://www.jpx.co.jp/glossary/ha/405.html ・ https://www.jpx.co.jp/glossary/ha/422.html ・ https://www.jpx.co.jp/glossary/sa/181.html ・ https://www.jpx.co.jp/glossary/ha/413.html ・ https://www.jpx.co.jp/glossary/sa/192.html ・ https://www.jpx.co.jp/glossary/sa/170.html ・ https://www.jpx.co.jp/glossary/ka/137.html ・ https://www.jpx.co.jp/glossary/a/15.html ・ https://www.jpx.co.jp/glossary/a/16.html
- 大阪取引所 北浜投資塾「理論」「利用方法(先物)」(ボラティリティとオプション価格・買い裁定と売り裁定): https://www.jpx.co.jp/ose-toshijuku/column/futures_option/option/03.html ・ https://www.jpx.co.jp/ose-toshijuku/column/futures_option/futures/02.html
- 大阪取引所「オプション取引のすべて」(損益分岐点の例): https://www.jpx.co.jp/corporate/learning/resources/tvdivq0000003toh-att/pu_op.pdf
- 東京証券取引所「信用取引の概要」「信用取引制度の概要」: https://www.jpx.co.jp/equities/trading/margin/outline/index.html ・ https://www.jpx.co.jp/equities/trading/margin/outline/tvdivq0000007szb-att/Outline_of_the_Margin_Trading_System_J.pdf
- e-Gov 法令検索「金融商品取引法」(第38条)・「金融商品取引法施行令」(第16条の4)・「金融商品取引業等に関する内閣府令」(第116条・第117条)・「金融商品取引法第百六十一条の二に規定する取引及びその保証金に関する内閣府令」(第6条)(2026年10月21日に施行されている版)
- 日本証券業協会「協会員の投資勧誘、顧客管理等に関する規則」(第8条): https://www.jsda.or.jp/shijyo/seido/jishukisei/web-handbook/101_kanri/files/260616_toushikanyuu.pdf
2026年10月21日に、日本証券業協会・日本取引所グループ・日本証券クリアリング機構・e-Gov のページで確かめました。
※ ぴよパスは日本証券業協会・日本取引所グループとは関係のない学習サイトです。試験名は試験を特定するために使っています。この記事の問題はすべてぴよパスのオリジナルで、本試験の問題ではありません。











