テキストが更新されるたびに「どこが変わったのか」「どこを重点的にやればいいのか」と不安になる受験者は多いです。ITパスポートのシラバスは Ver.6.2 で生成AI、Ver.6.3 でDX推進の知識が加わり、その後 Ver.6.4・Ver.6.5 と改訂されて、現行はIPAが2026年1月8日に掲載した Ver.6.5 です。加わった新領域は用語定義の問題として出るため、計算問題より習得が速く、得点源にしやすいです。
この記事で分かること
- シラバス6.2〜6.5で加わったテーマと、その具体的な頻出用語
- 各新トピックがどの版で入ったか(IPAのシラバス改訂履歴)
- ストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系それぞれの高得点ポイント
- 古いテキストで学んでいる場合にどこを補えばよいか
- 用語問題を効率よく覚えるための具体的な学習手順
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シラバス6.2〜6.5で加わった新トピックと、その根拠
新トピック:生成AI(テクノロジ系)
生成AIは近年のシラバス改訂で加わった出題領域です。IPA(情報処理推進機構)が生成AI(仕組み・活用例・留意事項)の項目と用語例を追加したのは シラバス Ver.6.2(2023年8月7日掲載・2024年4月の試験から適用)で、Ver.6.3 ではありません。現行の Ver.6.5 にもハルシネーション・プロンプトエンジニアリングなどが用語例として載っています。
出題量について: IPAが公表しているのは3分野の出題数(ストラテジ系35問程度・マネジメント系20問程度・テクノロジ系45問程度)までで、テーマごとの内訳は公表されていません。「生成AIが何問」と断定できる公式の根拠は無いので、問数ではなく「用語例に載っている=出題対象」として押さえます。
頻出用語と1行定義
| 用語 | 1行定義 |
|---|---|
| LLM(大規模言語モデル) | 大量のテキストで訓練された、文章を生成・理解するAIモデル |
| プロンプト | LLMに与える入力文。指示の書き方で出力が変わる |
| RAG(検索拡張生成) | 外部データベースを参照しながら回答する手法。ハルシネーションを減らす |
| ハルシネーション | AIがもっともらしく見える誤った情報を生成する現象 |
| ファインチューニング | 訓練済みモデルを特定用途向けに追加学習させること |
| マルチモーダルAI | テキスト・画像・音声など複数の形式を扱えるAI |
覚え方のコツ: 試験では「ハルシネーションとは何か」を4択で問う問題が出ます。他の3択肢はもっともらしい誤りが並ぶため、「AIが誤情報を生成する現象」という核心を1行で言えるようにしておきましょう。
生成AIの用語をまとめて演習したい場合は、生成AIパスポートの練習問題180問で、AIの基礎から生成AIの動向、情報リテラシー、プロンプト実践まで横断して確認できます。
新トピック:DX推進(ストラテジ系)
DX(デジタルトランスフォーメーション)はストラテジ系で問われます。DX推進に必要な知識(ビジネス変革・デザイン・データ利活用・AI利活用)が取り込まれたのが シラバス Ver.6.3(2023年12月25日掲載・CBTは2024年10月の試験から適用)で、現行の Ver.6.5 にも引き継がれています。DXの定義と「2025年の崖」という頻出キーワードを押さえておきましょう。
頻出用語と1行定義
| 用語 | 1行定義 |
|---|---|
| DX(デジタルトランスフォーメーション) | デジタル技術を活用してビジネスや社会の仕組みを変革すること |
| 2025年の崖 | 老朽化したレガシーシステムが企業競争力を阻害するリスク(経産省レポートより) |
| DX推進ガイドライン | 企業がDXを実践するための行動指針。IPA等が整備 |
| レガシーシステム | 古い技術で構築された既存システム。改修・維持が困難なもの |
試験での出題パターン: 「DXの説明として適切なものはどれか」という問題で、「IT化」「システム導入」「業務効率化」と混同させる選択肢が並びます。DXは「技術の導入」ではなく「ビジネスモデルや組織・文化の変革」まで含むという点が問われます。
補強テーマ:ゼロトラストとサプライチェーンセキュリティ(テクノロジ系)
情報セキュリティは従来から頻出です。ゼロトラストやサプライチェーン攻撃は現行シラバス(Ver.6.5)に用語例としては載っていませんが、EDR は用語例にあり、実務・報道でも定着した考え方なので、既存のセキュリティ知識(ファイアウォール・VPN・マルウェア)の上に以下を追加しておくと理解が途切れません。
頻出用語と1行定義
| 用語 | 1行定義 |
|---|---|
| ゼロトラスト | 社内外を問わず全アクセスを信頼せず常に検証するセキュリティモデル |
| サプライチェーン攻撃 | 信頼できるソフトウェアやベンダーを経由して標的を攻撃する手法 |
| EDR(Endpoint Detection and Response) | 端末での不審な動きを検知・対応するセキュリティツール |
| SBOM(ソフトウェア部品表) | ソフトウェアに含まれるコンポーネントの一覧。脆弱性管理に使う |
ゼロトラストの理解ポイント: 従来の「社内ネットワークは安全」という前提を捨て、社内からのアクセスも毎回認証・検証するモデルです。テレワーク普及やクラウド移行に伴い注目されています。
分野別の高得点ポイント(全体像)
ITパスポートの3分野は配点バランスが重要です。総合600点以上に加え、各分野300点以上が合格条件のため、どれかひとつに偏った学習では合格できません。
ストラテジ系の高得点ポイント 経営戦略・マーケティング・法務・DX推進が主な出題です。PDCAサイクル・RFP・SLA・著作権・不正競争防止法は毎回のように問われます。DX推進の用語を加えると点数が安定します。
マネジメント系の高得点ポイント プロジェクトマネジメント・ITIL・サービスマネジメントが中心です。WBS・ガントチャート・リスクマネジメントの用語と、システム開発のライフサイクル(要件定義→設計→製造→テスト→運用)の流れを覚えておくと、複数問に対応できます。
テクノロジ系の高得点ポイント 2進数・稼働率などの計算問題に加え、ネットワーク(IPアドレス・DNS・HTTP)、セキュリティ(暗号化・電子署名・認証)が頻出です。生成AI・ゼロトラストを上乗せすることで、このカテゴリでの得点が安定します。
分野別に「区別を問われる」定番 8 か所
シラバス改訂の新トピックとは別に、毎回のように似た用語の区別が問われる箇所があります。ここは改訂に関係なく出続けるので、先に潰しておくと安定します。
ストラテジ系
① 経営理念・方針・計画・戦略は「抽象度の階段」
| 用語 | 中身 |
|---|---|
| 経営理念 | 企業の存在意義・価値観・行動規範(「顧客第一主義」「社会への貢献」など普遍的なもの) |
| 経営方針 | 年度ごとの方向性 |
| 経営計画 | 具体的な数値目標 |
| 経営戦略 | 目標達成のための手段 |
普遍的で時間軸を持たないものが理念、年度で変わるのが方針、数字が入るのが計画——抽象度が下がる順に並べれば取り違えません。
② 産業財産権は「何を守るか」で 4 つに分かれる
| 権利 | 守る対象 |
|---|---|
| 特許権 | 発明(自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なもの) |
| 実用新案権 | 考案(物品の形状・構造・組合せ) |
| 意匠権 | 工業デザイン(形状・模様・色彩で視覚を通じて美感を起こさせるもの) |
| 商標権 | 商品・サービスを識別するマーク(文字・図形など) |
意匠権の存続期間は出願日から 25 年です(2020 年 4 月施行の改正意匠法)。
③ BCP は「止めない・早く戻す」
BCP(事業継続計画)は、自然災害・火災・システム障害などの緊急事態で重要業務を継続または早期に復旧するための計画です。目的は事業中断による損失の最小化で、セキュリティ対策そのものや利益拡大の計画ではありません。
④ バリューチェーン分析は 2 つの活動に分ける
マイケル・ポーターが提唱した枠組みで、事業活動を分けてどこが付加価値を生んでいるかを見ます。
- 主活動 … 購買物流 → 製造 → 出荷物流 → 販売・マーケティング → サービス
- 支援活動 … 調達・技術開発・人事管理・全般管理
流れに沿って進むのが主活動、横から支えるのが支援活動です。
⑤ 貸借対照表は「左が資産、右が負債と純資産」
売掛金は流動資産、買掛金は流動負債、社債は固定負債、資本金は純資産です。名前が似ている売掛金と買掛金がどちらに入るかで迷ったら、「売った代金を受け取る権利=資産」「買った代金を払う義務=負債」と意味に戻ってください。
マネジメント系
⑥ ITIL と PMBOK は対象が違う
- ITIL … IT サービスマネジメントのベストプラクティス集。サービスの設計・移行・運用・継続的改善のプロセスを体系化
- PMBOK … プロジェクトマネジメントの知識体系
ITIL はサービス(続くもの)、PMBOK はプロジェクト(終わるもの)と分けると混ざりません。
⑦ スクラムの 3 役割は「何に責任を持つか」
| 役割 | 責任 |
|---|---|
| プロダクトオーナー | プロダクトバックログの内容と優先順位。プロダクトの価値の最大化 |
| スクラムマスター | スクラムの理解と実践の支援。チームの障害を取り除く |
| 開発者(開発チーム) | スプリントごとに動作する成果物(インクリメント)を作る |
注意 バックログの優先順位を決めるのはプロダクトオーナーです。スクラムマスターはプロセスを回す支援役で、優先順位の決定権は持ちません。ここが最も入れ替えられます。
テクノロジ系
⑧ SQL インジェクション対策はプレースホルダ
最も有効な対策は、プレースホルダ(バインド変数)を使ったパラメータ化クエリです。ユーザーの入力が SQL コマンドとして解釈されず、データとして扱われるためです。
入力値のエスケープ処理や入力値検証も有効ですが、補助的な対策という位置づけです。「最も有効なもの」を問われたらプレースホルダを選びます。
機械学習は、大量のデータから学習してパターンを見つける技術です。過去の販売データから需要を予測して在庫を最適化する、といった事例が典型で、Excel マクロやクラウド導入は AI の活用事例ではありません。
ここまで押さえたら、ITパスポートの予想問題で区別が問われる形に慣れておいてください。
古いテキストで学んでいる人への補足
生成AIが入ったのは Ver.6.2(2024年4月の試験から適用)、DX推進の知識が入ったのは Ver.6.3(CBTは2024年10月の試験から適用)で、現行は Ver.6.5 です。テキストの奥付または目次の「対応シラバス」記載を確認し、「Ver.6.1以前」の表記があれば生成AIが未収録、「Ver.6.2」ならDX推進の追加分が未収録の可能性があります。
未収録の場合は以下を別途補いましょう。
- 生成AIの用語(LLM・プロンプト・RAG・ハルシネーション・ファインチューニング・マルチモーダルAI)
- DX関連用語(DXの定義・2025年の崖・レガシーシステム・DX推進ガイドライン)
- セキュリティ新用語(ゼロトラスト・サプライチェーン攻撃・EDR・SBOM)
これらをA4用紙1枚にまとめて直前期に見直すだけで、新トピック由来の問題はほぼカバーできます。
古いテキストを持っている方でテキスト買い替えを検討する場合は、ITパスポート おすすめテキストで最新シラバス対応版を確認してください。
まとめ
シラバス6.2〜6.5で加わった新トピック(生成AI・DX推進)とセキュリティの新しめの用語は、計算がなく用語定義の習得だけで得点できる、効率の高い分野です。全部で20語前後を1行定義で覚えれば、複数問の得点源になります。
次の行動: ITパスポート オリジナル予想問題302問 を開き、生成AI・セキュリティ分野の問題を5問ずつ解いてみてください。知らない用語が出たら上記リストで確認する習慣をつけると、定着が速くなります。
出典:
- 独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)「試験で問われる知識・技能の細目(シラバス)」 — ITパスポート試験 シラバス Ver.6.5(2026年1月8日掲載)/Ver.6.2・Ver.6.3 の改訂内容
- ITパスポート試験 — 出題範囲・3分野の配点






