「計算は苦手だから捨てる」という判断が、合格を遠ざける最大の落とし穴です。ITパスポートの計算問題は全100問のうち5〜10問ほどですが、損益分岐点・稼働率・2進数・期待値の4パターンに集約されており、手順を体に入れれば確実に取れる得点源になります。公式を「見て覚える」のではなく、実際に手を動かして解くことが大切です。
この記事で分かること
- 損益分岐点・稼働率・2進数・期待値4パターンの具体的な解き方(手順付き)
- 各パターンの典型問題を実際に数字で追う方法
- 16進数変換まで含めた2進数の使いこなし方
- 計算問題を捨てた場合に失う点数のリスク感
- 試験当日に使える「手順の確認ポイント」
パターン1: 損益分岐点
公式と手順
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 限界利益率 限界利益率 = 1 − 変動費率 = 1 − (変動費 ÷ 売上高)
固定費と変動費の区別が最初のハードルです。家賃・減価償却費・正社員給与は「売上に関係なくかかる」固定費。原材料費・販売手数料は「売るほど増える」変動費です。
実際の計算例
固定費 300万円、変動費率 40%の製品がある。損益分岐点売上高はいくらか。
ステップ1: 限界利益率を求める 限界利益率 = 1 − 0.40 = 0.60 (60%)
ステップ2: 損益分岐点売上高を求める 300万円 ÷ 0.60 = 500万円
これが損益分岐点売上高。500万円売ると損も益も出ない状態になる。
応用: 上記で変動費率が 25% になったら?
限界利益率 = 1 − 0.25 = 0.75 300万円 ÷ 0.75 = 400万円 — 変動費が下がると損益分岐点も下がる(稼ぎやすくなる)という感覚を掴みましょう。
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パターン2: 稼働率
直列と並列の違い
| 構成 | 公式 | 効果 |
|---|---|---|
| 直列 | 稼働率A × 稼働率B | 片方が止まると全体停止。積なので下がる |
| 並列 | 1 − (故障率A × 故障率B) | 両方止まらないと全体停止。冗長化で上がる |
実際の計算例(直列)
サーバAの稼働率 0.9、サーバBの稼働率 0.8 を直列接続した場合の稼働率は?
0.9 × 0.8 = 0.72 直列では必ず稼働率が下がります。
実際の計算例(並列)
同じサーバAとBを並列接続した場合の稼働率は?
故障率A = 1 − 0.9 = 0.1 故障率B = 1 − 0.8 = 0.2 両方同時に故障する確率 = 0.1 × 0.2 = 0.02 並列稼働率 = 1 − 0.02 = 0.98
並列化でシステム全体の可用性が大幅に向上することを数字で理解しましょう。
複合構成(よく出る応用)
並列で構成した2系統を、さらに直列でつなぐ場合は、「並列の結果を先に計算してから、直列の積をとる」順番で解きます。
パターン3: 2進数・16進数変換
10進数 → 2進数(2で割り続ける)
13 を2進数に変換せよ。
13 ÷ 2 = 6 あまり 1
6 ÷ 2 = 3 あまり 0
3 ÷ 2 = 1 あまり 1
1 ÷ 2 = 0 あまり 1
余りを下から読む → 1101(2進数)
2進数 → 10進数(桁の重みで合計)
1011 を10進数に変換せよ。
桁の重みは右から 2⁰=1、2¹=2、2²=4、2³=8
1×8 + 0×4 + 1×2 + 1×1 = 8 + 0 + 2 + 1 = 11
→ 11(10進数)
16進数との対応
2進数4桁が16進数1桁に対応します。試験ではAからFが10〜15に相当することを確認しておきましょう。
2進数 1010 1111 を16進数に変換せよ。
4桁ずつに分ける: 1010 | 1111 1010 = 10 → A 1111 = 15 → F → AF(16進数)
パターン4(補足): 期待値・確率・割合
計算問題の中には、損益分岐点・稼働率・2進数以外にも期待値や割合の問題が出ることがあります。
期待値の例
あるソフトウェアに不具合が発生する確率が 20%。不具合発生時の損失が 50万円の場合、期待損失はいくらか。
期待値 = 発生確率 × 損失額 0.20 × 50万円 = 10万円
期待値は「平均的に見込まれる値」です。確率(小数) × 金額 の掛け算で求めます。
割合・百分率の注意点
変動費率 0.40 を「40%」と「0.40」で混在させて計算ミスするケースが多いです。計算中は小数か百分率かを統一し、最後に単位を確認してください。
計算問題を捨てるリスク
採点対象は112問(100問中8問が評価用除外)で、3分野それぞれ300点以上かつ総合600点以上が合格条件です。計算問題はテクノロジ系に集中しているため、全問捨てるとテクノロジ系の評価点が下振れし、分野足切りにかかる危険があります。
具体的に試算してみます。テクノロジ系が全体の約35問を占めるとして、そのうち計算問題が8問だったケースで全問捨てると、テクノロジ系の回答済み問題が約27問になります。残り27問をすべて正解しても、テクノロジ系のスコアは27/35換算(約77%)になりますが、計算問題でも一定数の得点が見込めるため捨てる意味は薄くなります。逆に、他の暗記問題でのミスと組み合わさると、テクノロジ系が300点未満の足切りにかかるリスクが上がります。
4パターンを各2〜3問ずつ演習(合計8〜12問)するだけで計算問題はほぼカバーできます。投入時間に見合うリターンが大きい分野です。
よくある間違いと対策
| 間違いパターン | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 損益分岐点で「変動費率」と「限界利益率」を混同 | 公式の意味を理解していない | 限界利益率 = 1 − 変動費率 を先に書いてから計算 |
| 稼働率の直列と並列を逆に使う | 「並列は積」と誤記憶 | 「並列 = 冗長化 = 上がる」とセットで覚える |
| 2進数の余りを上から読む | 手順の逆 | 「割り算して余りを下から読む」と唱える |
| 期待値で確率を「%のまま」かける | 単位を統一しない | 20% → 0.20 に変換してから掛ける |
試験直前 3 日の確認ポイント
計算問題は「公式を思い出す」より「手順を体で動かす」ことが重要です。直前3日では新しい問題を大量にこなすより、以下の確認を優先しましょう。
- 損益分岐点: 紙に「固定費 ÷ 限界利益率」「限界利益率 = 1 − 変動費率」を書けるか確認
- 稼働率: 直列(積)と並列(1 − 全故障率の積)を混同していないか確認
- 2進数: 余りを下から読む手順を、実際に 13 → 1101 と変換して確認
- 期待値: 確率を小数に直してから掛けることを確認
試験本番では計算用のメモ用紙が渡されます(CBT方式の試験会場で配布)。手順をメモに書き出してから解くと、ケアレスミスが減ります。
まとめ
損益分岐点は「固定費÷限界利益率」の2ステップ、稼働率は「直列は積・並列は全故障確率を1から引く」、2進数は「2で割って余りを逆読み/桁の重みで合計」という手順を、鉛筆で1問ずつ解くことで定着します。見るだけでは身につきません。
次の行動: ITパスポート オリジナル予想問題160問 を開き、計算問題に絞って3問を手で解いてみてください。1問解けると、残りのパターンも怖くなくなります。
出典:
- 独立行政法人 情報処理推進機構 (IPA) — ITパスポート試験 シラバス・出題範囲
- ITパスポート試験 — ストラテジ系・テクノロジ系の出題範囲














































