結論: 基本情報技術者試験は「IT を作る人」向けの国家試験 (スキルレベル2)
基本情報技術者試験 (英名 Fundamental Information Technology Engineer Examination、略称 FE) は、独立行政法人 情報処理推進機構 (IPA) が実施する国家試験 です。情報処理技術者試験のスキルレベル2に位置づき、IT を活用する利用者向けの ITパスポート (レベル1) の次のステップにあたる、IT エンジニアの登竜門として知られています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主催 | 独立行政法人 情報処理推進機構 (IPA) |
| 位置づけ | 情報処理技術者試験 スキルレベル2 |
| 試験形式 | CBT 方式・通年実施 (2023年度〜) |
| 出題 | 科目A (60問・90分) + 科目B (20問・100分) |
| 合格基準 | 科目A・科目B ともに 1000点満点中 600点以上 |
| 受験資格 | なし (年齢・学歴・実務経験すべて不要) |
| 受験手数料 | 7,500円 (税込) |
ここで押さえたいのは、ITパスポートとの決定的な違いが 科目B (擬似言語のアルゴリズム・プログラミング) にある点です。暗記中心で乗り切れた範囲に、コードの動きを追う「トレース」の力が加わります。
IT を使う側の入門である ITパスポートの全体像は、別記事を参照してください
ITパスポートとの違いを一段ずつ整理する
両者は同じ IPA の情報処理技術者試験ですが、想定する対象者とレベルが異なります。ITパスポートが「IT を使う人」、基本情報が「IT を作る人」と覚えると整理しやすいです。
| 比較軸 | ITパスポート | 基本情報技術者 |
|---|---|---|
| スキルレベル | レベル1 (基礎) | レベル2 (応用基礎) |
| 想定対象 | IT を活用する社会人全般 | IT エンジニア・開発志望 |
| 出題の核 | 4肢択一の知識問題 | 知識問題 + 擬似言語の実技 |
| アルゴリズム | ほぼ問われない | 科目Bの中心テーマ |
| 学習量の目安 | 入門レベル | ITパスの2〜3倍規模 |
ITパスポートはストラテジ・マネジメント・テクノロジの3分野を浅く広く問う構成でした。基本情報はその知識を土台にしつつ、手を動かしてアルゴリズムを読む科目B が合否を分けます。
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科目A: 旧午前にあたる知識問題 (60問・90分)
科目Aは、かつての午前試験にあたる 四肢択一の知識問題 です。出題分野はテクノロジ系・マネジメント系・ストラテジ系の3領域にわたります。
| 区分 | 主な内容 |
|---|---|
| テクノロジ系 | アルゴリズム基礎・ハードウェア・ネットワーク・データベース・セキュリティ |
| マネジメント系 | プロジェクトマネジメント・サービスマネジメント・システム開発 |
| ストラテジ系 | 経営戦略・法務・会計・システム戦略 |
出題は60問・試験時間90分です。なお IPA の公表では、60問のうち採点対象は54問で、残りは今後出題する問題の評価に用いられると案内されています。受験者からは全60問が同じ画面で出題されるため、どれが採点対象かは区別できません。全問に取り組む前提で準備します。
科目B: 旧午後にあたる擬似言語の実技 (20問・100分)
科目Bは、かつての午後試験を再編した区分で、基本情報の山場です。出題は20問・試験時間100分で、内容は2つの分野に絞られています。
| 分野 | 出題数の目安 | 中心テーマ |
|---|---|---|
| アルゴリズムとプログラミング | 20問中 16問 | 擬似言語・配列・探索・整列・データ構造 |
| 情報セキュリティ | 20問中 4問 | 脅威と対策・暗号・認証・アクセス制御 |
最大の特徴は、特定のプログラミング言語ではなく IPA 独自の「擬似言語」 で出題される点です。Java や Python のような言語知識を前提とせず、論理の組み立てそのものを問う狙いがあります。変数の値が処理ごとにどう変化するかを紙やメモで追う トレース練習 が対策の中心になります。
科目Bは20問中16問がアルゴリズム・プログラミングに割かれており、ここを苦手なまま放置すると600点の壁を越えにくくなります。配列の要素を1つずつたどる、ループの回数を数える、といった地道な読み取りを反復するのが近道です。
合格基準: 両科目で600点が必要 (IRT 採点)
合格判定はシンプルですが、配点の仕組みに注意が必要です。
| 科目 | 満点 | 合格に必要な得点 |
|---|---|---|
| 科目A | 1,000点 | 600点以上 |
| 科目B | 1,000点 | 600点以上 |
ポイントは、どちらか一方でも600点に届かないと不合格になることです。科目Aで高得点でも、科目Bが基準未満なら合格できません。
また採点には IRT (項目応答理論) が用いられます。これは問題ごとの難易度に応じて得点への寄与が変わる方式で、単純に「正答数 × 一定の配点」では計算できません。そのため、易しい問題を確実に拾いつつ、科目Bの得点源を最低限確保する戦略が現実的です。
合格率: CBT 化後はおおむね40〜50%前後
基本情報は2023年度から CBT 方式の通年実施 に移行しました。これに伴い、旧午後制の時代より合格率が上がっています。
| 時期 | 合格率の傾向 |
|---|---|
| 旧午後制 (2022年度以前) | おおむね20〜30%台で推移 |
| CBT 移行直後 (2023年度初頭) | 一時的に50%超を記録 |
| 直近 (令和6年度通年) | 約40.8% |
CBT 化後は実施回によって幅があり、おおむね 40〜50%前後 に落ち着いています。とはいえ、これは「易しくなった」というより、受験タイミングを自分で選べるようになり、準備が整った人が受験しやすくなった側面が大きいと考えられます。数値は変動するため、出願前に IPA 公式の最新統計で確認するのが確実です。
受験のしかた: 通年 CBT・手数料7,500円
受験のハードルは制度面でも下がっています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申込方法 | CBT 運営の受験者ポータルからオンライン予約 |
| 実施日 | 通年 (空き枠から都合のよい日を選択) |
| 受験会場 | 全国のテストセンター |
| 受験手数料 | 7,500円 (税込) |
| 受験資格 | なし |
ITパスポートと同じ7,500円という手数料帯で、年齢・学歴・実務経験を問わず申し込めます。決まった試験日を待つ必要がなく、学習の仕上がりに合わせて受験日を設定できるのが CBT の利点です。なお手数料は改定されることがあるため、申込時に公式の金額を確認してください。
何ができる資格か: 取得価値と次のキャリア
基本情報には弁護士のような業務独占はありません。それでも取得価値が認められるのは、IT エンジニアとしての基礎を体系的に習得した証明になるからです。
| 場面 | 取得価値 |
|---|---|
| 就職・転職 | IT 職の応募要件・足切り突破や評価材料になりやすい |
| 社内制度 | 資格手当・一時金・昇給の対象に設定する企業がある |
| 学習の土台 | アルゴリズム・擬似言語の素養が実装の現場で活きる |
| ステップアップ | 応用情報技術者 (レベル3) への足がかりになる |
ITパスポートが「IT リテラシーの証明」だとすれば、基本情報は 「開発の入り口に立てる証明」 です。アルゴリズムを読めることは、プログラミング言語が変わっても通用する普遍的な力なので、最初の一歩として投資効率が高い領域といえます。
学習教材の選び方は、ITパスポート向けですが選書の考え方が共通する別記事も参考になります
まとめ: ITパスの次は科目Bを軸に計画する
基本情報技術者試験は、IPA が実施する スキルレベル2の国家試験 で、受験資格なし・CBT 通年実施・科目A/科目Bの2部構成・両科目600点以上で合格、というのが骨格です。ITパスポートとの違いは、なんといっても 擬似言語のアルゴリズム (科目B) が加わる点に集約されます。
これから準備する人が最初に決めるべきことを整理します。
- ITパスポートの知識 (3分野) がどこまで固まっているかを確認する
- 科目Bのトレース練習に学習時間の半分以上を割り当てる計画を立てる
- 合格基準が「両科目600点」である前提で、苦手科目を作らない配分にする
- 受験手数料7,500円と CBT の空き枠を見ながら、仕上がりに合わせて受験日を仮押さえする
- 出願前に IPA 公式で合格率・手数料・出題構成の最新情報を確認する
まずは科目Bの擬似言語サンプルを1問でも実際にトレースしてみると、ITパスポートとの距離感がつかめます。そこを起点に、無理のない学習計画へ落とし込んでいきましょう。
出典:





































