基本情報技術者試験でつまずく人の多くが、科目B(旧午後)の疑似言語に苦戦します。科目A(旧午前)が四肢択一の知識問題で対策しやすいのに対し、科目Bはアルゴリズムを読み解く読解力が問われ、暗記だけでは押し切れないからです。ここがITパスポートとの大きな違いで、基本情報がレベル1からレベル2へ一段上がる理由でもあります。
この記事では、科目Bを「アルゴリズム16問」と「情報セキュリティ4問」に分け、それぞれで点を取るための型を整理します。なお基本情報は受験資格のない国家試験(情報処理技術者試験のスキルレベル2)で、2023年からCBT方式で通年実施されています。具体的な日程や申込手順は変わることがあるため、最新情報はIPAの公式ページでご確認ください。
科目Bの全体像をまず押さえる
科目Bは1000点満点で、科目Aとあわせて両方600点以上が合格の条件です。どちらか一方が基準に届かないと、合計が高くても不合格になります。まずは試験そのものの形を表で確認します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 出題数・時間 | 20問・100分 |
| 出題内容 | アルゴリズムとプログラミング(疑似言語) + 情報セキュリティ |
| 解答形式 | 多肢選択(CBT画面上で選択) |
| 配点・合格基準 | 1000点満点・600点以上(科目Aも別に600点以上が必要) |
| 採点方式 | IRT(項目応答理論)による評価 |
採点はIRTという方式で、設問ごとの難易度に応じて評価点が決まります。素点をそのまま足すわけではないため、「何問正解で合格」と単純には言い切れません。だからこそ、解ける問題を取りこぼさないことが大切になります。
アルゴリズムとセキュリティの比率を知る
科目Bで最初に意識したいのが、20問の中身の比率です。IPAは出題割合の想定として、アルゴリズムとプログラミングを8割、情報セキュリティを2割と公表しています。
| 分野 | 想定出題数 | 配点比率 | 性格 |
|---|---|---|---|
| アルゴリズムとプログラミング(疑似言語) | 16問 | 約8割 | 読解・トレース中心、対策に時間が要る |
| 情報セキュリティ | 4問 | 約2割 | 科目Aの知識と地続き、固めやすい |
この比率から戦略は自然と決まります。配点の大半を占めるアルゴリズムにこそ学習時間を厚く配り、セキュリティ4問は科目Aの延長として効率よく押さえる、という配分です。セキュリティを軽視はできませんが、ここに過剰な時間をかけるより、アルゴリズムのトレース練習に回す方が総得点は伸びやすくなります。
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疑似言語は「覚える」より「読む」もの
疑似言語と聞くと身構えがちですが、これはIPAが試験用に定めた記述方法であって、特定のプログラミング言語の文法を暗記するものではありません。仕様(書き方のルール)は試験中に参照できるので、ゼロから覚え込む必要はありません。
問われているのは、与えられた処理を正しく追って結果を導く力です。最低限おさえておきたい構成要素を整理します。
| 構成要素 | 役割 | 読むときの着眼点 |
|---|---|---|
| 変数・代入 | 値を入れ物にしまう | いまどの変数に何が入っているか |
| 条件分岐(if) | 条件で処理を分ける | どちらの枝に進むか |
| 繰り返し(for / while) | 同じ処理を回す | 何回回り、いつ止まるか |
| 配列 | 複数の値を番号で管理 | 添字と中身の対応 |
| 関数・手続き | 処理に名前を付けて呼ぶ | 渡した値と返る値 |
これらは特別な知識ではなく、考え方さえつかめば共通して使い回せます。文法の暗記に走るのではなく、サンプル問題を読んで「この行で何が起きるか」を自分の言葉で説明できる状態を目指すのが、疑似言語と仲良くなる入口です。
トレース練習がアルゴリズム攻略の核心
アルゴリズム16問で安定して点を取る鍵は、トレースを習慣にすることです。トレースとは、プログラムの処理を1行ずつ机上で追い、変数や配列の中身がどう変化するかを書き出す作業を指します。
たとえば配列の中から目的の値を探す線形探索なら、先頭から順に1つずつ比較していく過程を、添字と比較結果の表にして書き出します。頭の中だけで追うとすぐ見失いますが、紙に状態を書き出せば、どこで答えが決まるかが目に見えます。
| ステップ | 着目する添字 | 配列の値 | 探索値と一致? |
|---|---|---|---|
| 1 | 1番目 | 8 | いいえ |
| 2 | 2番目 | 3 | いいえ |
| 3 | 3番目 | 11 | はい(ここで終了) |
この「状態を1ステップずつ書き出す」やり方を頻出テーマで繰り返すのが上達の近道です。出やすい題材を挙げておきます。
| テーマ | 内容 | 練習のポイント |
|---|---|---|
| 配列操作 | 値の入れ替え・集計・走査 | 添字の動きを表で追う |
| 探索 | 線形探索・二分探索 | 範囲がどう狭まるかを書く |
| 整列 | 並べ替えの基本的な手順 | 1回ごとの並びの変化を記録 |
| 繰り返しの制御 | ループの開始・終了条件 | 何回回るかを数える |
コードを自分で書けるようになる必要はありません。読んで追えれば十分です。だからこそ写経のように書き写すより、他人が書いた処理を読み解く反復の方が科目Bには効きます。プログラミング未経験でも、トレースを地道に積めば得点は伸びていきます。
情報セキュリティ4問は科目Aの延長で固める
残り4問の情報セキュリティは、アルゴリズムほど身構える必要はありません。出題の土台は科目Aで学ぶセキュリティ知識と地続きで、暗号化やアクセス制御、マルウェア対策、認証といったテーマの理解がそのまま活きます。
科目Bのセキュリティは、短い場面設定を読ませ、適切な対策や判断を選ばせる形が中心です。用語を単独で覚えるより、「どんな脅威に、どの対策が対応するか」を結び付けて押さえると、場面問題に強くなります。
| 着眼点 | 押さえ方 |
|---|---|
| 脅威と対策の対応 | 脅威ごとに有効な対策をセットで覚える |
| 場面の読み取り | 誰が何をしたい状況かを先に把握する |
| 科目Aとの共通用語 | 暗記済みの用語を場面に当てはめて判断 |
配点比率は2割ですが、科目Aの学習を流用できるぶん、投じる時間に対して得点効率が高い領域です。直前期にまとめて確認しても間に合いやすいので、アルゴリズムの仕上がり具合を見ながら配分を調整してください。
100分の時間配分と本番の進め方
科目Bは20問100分なので、単純計算では1問5分です。ただし全問を等速で解くより、解きやすい問題から確実に取る進め方が安全です。
| 段階 | やること | ねらい |
|---|---|---|
| 序盤 | セキュリティ4問を手早く処理 | 取りやすい得点を先に確保 |
| 中盤 | アルゴリズムを解ける順に解く | 確実なトレースで積み上げる |
| 終盤 | 残した難問・見直しに充てる | 取りこぼしを減らす |
CBTでは画面上で解答するため、1問に固執して時間を溶かすと取り返しがつきません。難しいトレースに出会ったら、いったん飛ばして解ける問題を先に固め、戻ってくる判断が結果的に総得点を守ります。難問を1問粘るより、確実な数問を取り切る発想を持っておきましょう。
ITパスポートから基本情報へ進む人へ
ITパスポート(スキルレベル1)を終えて基本情報(スキルレベル2)に挑む人にとって、最大の新要素がこの科目Bです。ITパスポートにはなかったアルゴリズムと疑似言語が加わり、知識の暗記中心から読解中心へと、問われる力の質が変わります。
| 比較軸 | ITパスポート | 基本情報技術者 |
|---|---|---|
| スキルレベル | レベル1(基礎) | レベル2(応用の入口) |
| 出題の中心 | 知識の四肢択一 | 知識 + 疑似言語の読解 |
| アルゴリズム | ほぼ問われない | 科目Bの配点の中心 |
両者の位置付けや基本情報を次に目指す意味を整理したい人は、ITパスポートとは(試験概要)を先に読むと、レベル1からレベル2へ進む全体像がつかめます。学習の進め方そのものに不安がある人は、ITパスポートの独学 成功の条件で身につけた「読んだら解く」サイクルが、そのまま科目Bのトレース練習にも応用できます。教材選びの考え方はITパスポート テキストの選び方も参考になります。
なお現行の試験制度については、2027年度からの新制度移行に向けた見直しがIPAで進められています。受験を予定している人は、出題範囲やシラバスの最新の告知を公式ページで確認しておくと安心です。
まとめ: 次の一手
科目Bは、配点の8割を占めるアルゴリズム(疑似言語16問)にトレース練習で立ち向かい、残り2割のセキュリティ4問を科目Aの延長で固める、という型で攻略できます。疑似言語は暗記するものではなく読み解くもので、状態を1ステップずつ書き出す習慣が得点を支えます。科目AとBの両方で600点以上という基準を意識し、解ける問題から確実に積む姿勢を持ちましょう。
次の一手として、まずIPAのサンプル問題で疑似言語の書き方に触れ、線形探索のような基本テーマで、配列の中身を表に書き出すトレースを1問やってみてください。そこから探索・整列へとテーマを広げ、セキュリティは直前期に科目Aの知識を当てはめて確認すれば、科目B全体の見通しが立っていきます。





































