相続アドバイザー2級は、銀行業務検定の相続の種目のうち上の級です。主催者は、相続アドバイザー3級の上級試験として、相続に関する実務と相続対策のアドバイスなどを応用問題で問う試験と位置づけています。四答択一式の25問に記述式の5題が加わるのが、3級との大きな違いです。
この記事では、試験の形・日程・合格率を銀行業務検定協会と経済法令研究会の公表資料で整理し、過去問を解ける場所と、ぴよパスの練習問題の使い方をまとめます。ぴよパスの問題は過去問ではなく、民法・相続税法・租税特別措置法などの条文と国税庁の資料にもとづいて独自に作った予想問題です。
試験の形 — 択一25問と記述5題を180分で
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 出題形式 | 四答択一式25問(各2点)と記述式5題(各10点) |
| 合格基準 | 100点満点中60点以上(試験委員会で最終決定) |
| 試験時間 | 180分(開始から60分間と終了前10分間は退席できない) |
| 科目構成 | 相続知識・相続対策(生前対策)・相続アドバイス・相続手続 |
| 受験料 | 8,250円(税込) |
| 持ち込み | 受験票、筆記用具(HB程度の鉛筆またはシャープペンシル、消しゴムのみ)、電卓1台(金融計算・関数・メモの機能があるものは不可) |
| 実施 | 2026年度から7月と12月の年2回(全国一斉の紙の試験) |
択一式と記述式は50点ずつです。公式の案内にある合格の基準は「100点満点中60点以上(試験委員会にて最終決定)」だけで、択一式・記述式それぞれの基準点も、科目ごとの出題数も示されていません。
記述式の中身について、公式に示されているのは「記述式5題(各10点)」と「応用問題で構成」という説明までです。経済法令研究会のブログの記述式のQ&Aは、記述式のある種目に共通の説明として、計算問題には計算式と答の欄、記述の問題には罫線の入った欄、穴埋めには語句の欄が問題に合わせて印刷されると答えています。記述式の各題の中の配点(部分点の有無)は公表されていません。
次の試験日と申込
| 回 | 試験日 | 時間 | 申込 |
|---|---|---|---|
| 第164回 | 2026年7月5日(日)・終了 | 13:30〜16:30 | — |
| 第165回 | 2026年12月6日(日) | 13:30〜16:30 | 2026年10月5日〜10月19日(個人のWeb申込は19日23:30まで) |
団体で申し込む場合は、所属する金融機関などの団体を通します。受付期間が終わった後の申込や取消、受験料の返金はできないと案内されています。
2027年度の日程はまだ発表されていません(2026年10月13日時点)。2026年度と同じ形なら、7月と12月に行われます。以前は3月の年1回で、2026年度から年2回になりました。
合格率と平均点
| 回 | 実施日 | 受験者 | 合格者 | 合格率 | 平均点 |
|---|---|---|---|---|---|
| 第160回 | 2025年3月2日 | 845人 | 338人 | 40.00% | 53.85点 |
| 第163回 | 2026年3月1日 | 900人 | 325人 | 36.11% | 52.23点 |
出典は銀行業務検定協会の事務局報です。第164回(2026年7月5日)の結果は、10月13日の時点で事務局報の一覧にまだ載っていません。
受験者は1回900人前後で、平均点は2回とも合格の基準の60点を下回っています。第163回の応募者の業態別の内訳では「他団体・個人」が36.31%で最も多く、地方銀行、信連・農協、信用金庫が続きます。「他団体・個人」の合格率は45.08%でした。アンケートによる受験者の平均は44.0歳、勤続19.6年です。
事務局報は、正解率や平均点が低かった問題の論点名も挙げています。第160回は択一式の「遺産分割協議の対象資産」「相続税の延納・物納」「相続に関する登記手続き」と記述式の「融資取引等がある顧客への対応」、第163回は択一式の「後見制度支援信託と後見制度支援預貯金」「相続税の納付税額の計算」「相続と債権者の介入」と記述式の「オーナー経営者への相続アドバイス」でした。
3級との違い
| 相続アドバイザー3級 | 相続アドバイザー2級 | |
|---|---|---|
| 出題形式 | 四答択一式50問(一部事例付) | 四答択一式25問+記述式5題 |
| 試験時間 | 120分 | 180分 |
| 受験料(税込) | 5,500円(CBTは別に事務手数料330円) | 8,250円 |
| 受け方 | 紙の試験とCBT | 紙の試験だけ |
| 科目構成 | 相続の基礎知識・相続と金融実務・その他周辺知識 | 相続知識・相続対策(生前対策)・相続アドバイス・相続手続 |
2級は択一の問題数が半分になり、残りの50点が記述式です。公式の科目構成を比べると、3級にない「相続対策(生前対策)」と「相続アドバイス」が2級の科目として立っています。
3級を持っていないと2級を受けられない、という条件は公式の案内に見当たりません。ただ、受験資格に制限がないと明記した文も確認できていないので、申し込む前に経済法令研究会の試験詳細で確かめてください。3級の試験の形と合格率は相続アドバイザー3級とはにまとめています。
過去問はどこで解けるか
| どこで | 中身 | 費用 |
|---|---|---|
| 相続アドバイザー2級 問題解説集 2026年7月・12月受験用(銀行業務検定協会 編) | 第163・160・157・154・151回の5回分の試験問題と解説。出題範囲・出題項目一覧も収録 | 税込2,970円 |
| 経済法令研究会のサイト「検定試験正解表」 | 回ごとの択一式の正解の番号だけ。記述式は省略 | 無料 |
| ぴよパスの練習問題 | 8分野の四答択一。過去問ではなくオリジナル問題で、全問に解説つき | 無料 |
| ぴよパスの模擬試験 | 8分野を混ぜた25問を90分で解く(記述式は無し) | Premium |
回ごとの試験問題を解けるのは、協会編の問題解説集です。2026年6月20日の発行で、A5判376頁です。正解表のPDFは択一式の正解の番号を並べたもので、2級の記述式の部分は省略されています。
受験した人には、成績通知に載ったURLから記述式の「正解要旨・解答例」を見られる案内があり、公表期間は成績通知の作成日から2か月、印刷や転載は禁じられています。受験前に記述式の答え方を確かめるなら、問題解説集の過去の問題と解説が手がかりになります(経済法令研究会のブログは、問題解説集の解答例も解答の一例だとしています)。
ぴよパスの練習問題と模試
ぴよパスでは、公式の4つの科目構成を学びやすい単位に分け直した8分野で、四答択一の練習問題を用意しています。分野の分け方はぴよパスの設定です。問題の多くは、日付と家族構成を示した事例で問います。
| 分野 | 主な中身 |
|---|---|
| 相続人・相続分と承認・放棄 | 代襲相続と養子、特別受益と寄与分、限定承認・相続放棄、離婚後の親権と相続 |
| 遺産分割・遺言・遺留分 | 遺産分割の対象と一部分割、遺言と異なる遺産分割、配偶者居住権、遺言執行者、遺留分侵害額の請求、負担付遺贈 |
| 相続手続と登記・戸籍 | 相続登記と住所等の変更登記の義務、相続人申告登記、所有不動産記録証明書、所有者不明土地管理命令、熟慮期間と申告の期限 |
| 預金・融資・保証の相続実務 | 遺産分割前の預貯金の払戻し、特別縁故者、遺言執行者による払戻し、債務の引受けと限定承認、預金の評価、税理士法・弁護士法と金融サービス提供法 |
| 相続税の計算と納付 | 生命保険金・退職手当金の非課税、相続税の総額と各人の税額、配偶者の税額軽減、小規模宅地等、相次相続控除、延納・物納 |
| 贈与税と生前贈与の対策 | 暦年課税と生前贈与の加算、相続時精算課税、贈与税の配偶者控除、住宅取得等資金・教育資金・結婚子育て資金の非課税 |
| 保険・不動産・信託・成年後見による対策 | 生命保険の活用、配偶者居住権・貸家建付地・借地権の評価、定期借地権、遺言代用信託、後見制度支援信託、任意後見 |
| 事業承継と自社株 | 経営承継円滑化法の遺留分の特例、非上場株式等の納税猶予、相続人等に対する売渡請求と種類株式、自社株の評価 |
計算の問題は、速算表や評価の割合など計算に使う数字の多くを問題文に示し、解説に途中の式を載せています。配偶者の税額軽減の1億6,000万円や暦年課税の基礎控除110万円のように、覚えておく前提の金額は問題文に書いていないものもあります。
全問を解いた後は、8分野を混ぜた25問を90分で通して解く模擬試験(Premium・月480円)で、時間の配分を確かめられます。本試験の180分には記述式の時間が含まれるので、模試の90分はぴよパスの設定です。記述式の問題はまだありません。
法改正で気をつけること
ぴよパスの問題は、原則として2026年4月1日の時点で施行されている法令で作っています(成立していて後から施行される附則を使う問題も一部あります)。相続の分野で、最近の改正が答えに響くものを挙げます。
- 家族法の改正(2026年4月1日施行): 離婚後の親権を父母の双方または一方とする改正などが施行されました。未成年の相続人がいる事例で、古い教材と答えが変わることがあります。
- 住所等の変更登記の義務(2026年4月1日施行): 所有権の登記名義人は、住所などが変わった日から2年以内に変更の登記を申請しなければなりません。施行日より前の変更も対象で、その場合の期限は2028年3月31日です。
- 生前贈与の加算: 暦年課税の贈与を相続財産に足す期間は7年に延びましたが、2026年12月31日までの相続では3年と読み替えます。2027年1月1日から2030年12月31日までの相続では、2024年1月1日以後の贈与を加算します。いつの相続かで答えが変わるので、事例の日付を必ず確かめます。
- 遺言の押印: 2026年6月に公布された民法等の一部を改正する法律(令和8年法律第45号)で、自筆証書遺言などに押印が要らなくなります。施行は公布から1年以内の政令で定める日で、その日付は確認できていません。2級の法令の基準日を明記した公式の文も見つからないため、ぴよパスでは押印の要否で正誤が分かれる問題は作っていません。受験する回の扱いは、問題解説集の実施要領などで確かめてください。
まとめ
- 相続アドバイザー2級は、四答択一25問(50点)と記述式5題(50点)を180分で解き、100点満点中60点以上が合格の基準です(試験委員会で最終決定)。
- 合格率は第160回40.00%・第163回36.11%で、平均点は2回とも60点を下回っています。
- 次の試験は2026年12月6日の第165回で、申込は10月19日までです。
- 過去の試験問題は協会編の問題解説集(5回分)で解けます。無料の正解表は択一式の番号だけです。
- 択一式の論点はぴよパスの8分野の練習問題で、記述式の答え方は問題解説集で確かめるのが効率的です。
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出典
- 経済法令研究会「相続アドバイザー2級 試験詳細」(第165回): https://www.khk.co.jp/exam/exam_detail.php?pid=52167&oid=42 (2026年10月13日確認)
- 銀行業務検定協会「2026年度 検定試験 実施概要」: https://www.kenteishiken.gr.jp/upfiles/pdf/7361.pdf
- 銀行業務検定協会 事務局報 No.349(第160回の結果): https://www.kenteishiken.gr.jp/upfiles/pdf/7142.pdf
- 銀行業務検定協会 事務局報 No.354(第163回の結果): https://www.kenteishiken.gr.jp/upfiles/pdf/7634.pdf
- 銀行業務検定協会「検定試験正解表」(第164回・経済法令研究会のサイトに掲載): https://www.khk.co.jp/upfiles/pdf/7655.pdf
- 経済法令ブログ「銀行業務検定試験の記述式でよくある質問13選|Q&Aで解説」: https://khk-blog.jp/13476/
- 経済法令研究会「よくあるご質問」: https://www.khk.co.jp/faq/
- 経済法令研究会「相続アドバイザー2級 問題解説集 2026年7月・12月受験用」: https://www.khk.co.jp/book/book_detail.php?pid=55045
- e-Gov 法令検索: 民法・不動産登記法・相続税法、民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号・令和6年法律第33号・令和8年法律第45号)、所得税法等の一部を改正する法律(令和5年法律第3号)附則









