この記事で分かること
- 一級ボイラー技士の4科目それぞれで頻出するテーマの一覧
- 二級ボイラー技士と比べて一級で特に重点化されるテーマ
- 各テーマで問われやすい観点(構造・手順・数値)
- 重点学習に使える学習リソース
なぜ「よく出る分野」を知ることが重要か
一級ボイラー技士の試験範囲は広大です。テキスト1冊を最初から最後まで均等に読み込んでいては、試験日までに全科目を仕上げることが難しい場合があります。
頻出テーマを把握することには2つのメリットがあります。
- 学習効率の向上:重点テーマに学習時間を集中投下できる
- 足切り回避:各科目の頻出テーマを押さえることで最低限の得点を確保できる
ただし「よく出る分野だけを覚えれば合格できる」という考え方は危険です。出題は毎回変化するため、重点テーマを軸にしながらも全体の知識を底上げすることが安定した合格への道です。
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科目1:ボイラーの構造(10問)の頻出テーマ
最頻出:水管ボイラーの種類と構造
一級ボイラー技士の最大の特徴は、水管ボイラーに関する問題が中心を占めることです。二級では炉筒煙管ボイラーが中心でしたが、一級では以下の種類と特徴が問われます。
| 種類 | 特徴 | よく問われる点 |
|---|---|---|
| 自然循環式水管ボイラー | 密度差による自然対流 | 循環の原理・蒸気ドラムの位置 |
| 強制循環式水管ボイラー | ポンプで強制循環 | 強制循環が必要な理由・適する条件 |
| 貫流ボイラー | 水が一方向に流れ蒸気になる | 構造の特徴・ドラムがない構造 |
出題パターン:「次の記述のうち誤っているものを選べ」という形式で、水管ボイラーの特徴の正誤を問う問題が頻出です。
附属装置(エコノマイザ・空気予熱器)
熱効率を高めるための排熱利用装置も頻出テーマです。
- エコノマイザ:排ガスで給水を予熱 → 設置位置(煙道)・効果・注意点
- 空気予熱器:排ガスで燃焼空気を予熱 → エコノマイザより低温側に設置
よく問われる点:エコノマイザ・空気予熱器の設置位置の順序(エコノマイザ→空気予熱器の順)、腐食(低温腐食)の発生条件と防止策。
安全弁の種類と整定
安全弁は種類・整定圧力・吹き出し量に関する問題が繰り返し出ます。
- てこ式・バネ式・自動型安全弁の違い
- 整定圧力の意味と法令基準
- 蒸気ボイラーに安全弁を2個設ける条件と1個でよい例外
科目2:ボイラーの取扱い(10問)の頻出テーマ
水処理(給水処理・ボイラー水処理)
水処理は毎回必ずといっていいほど出題されるテーマです。
| テーマ | よく問われる点 |
|---|---|
| 軟水装置 | イオン交換樹脂の再生・硬度の意味 |
| 脱気装置 | 溶存酸素の除去・腐食との関係 |
| 缶水のpH管理 | 適正pH範囲・アルカリ腐食の条件 |
| スケール | 成分・熱効率への影響・防止策 |
出題パターン:「給水処理の目的として誤っているものは」「スケールに関する記述で正しいものは」という正誤問題が典型です。
キャリーオーバー・プライミング・フォーミング
これら3つは相互に関連する重要テーマです。
- キャリーオーバー:蒸気への水分混入(上記2つの総称的概念)
- プライミング:水位上昇・急激な負荷変動による水の飛散
- フォーミング:水質不良(油分・不純物)による泡立ちと飛散
試験対策ポイント:原因・発生メカニズム・防止策・発生時の対処の4点をセットで覚える。プライミングは「水位」フォーミングは「水質」という根本的な違いを区別できることが重要。
起動・暖機・停止の手順
大型ボイラーの起動から停止までの手順は正確な順序が問われます。特に「起動前の確認事項」と「緊急停止の手順」が頻出です。
科目3:燃料及び燃焼(10問)の頻出テーマ
理論空気量・空気比の計算
計算問題の中核です。出題パターンは限られているため、繰り返し練習で対応できます。
| 計算テーマ | 出題の典型例 |
|---|---|
| 理論空気量 | 重油1kgの完全燃焼に必要な理論空気量をNm³で求める |
| 空気比 | 実際空気量と理論空気量から空気比を計算する |
| 発熱量 | 低発熱量と高発熱量の違い・計算方法 |
試験対策ポイント:公式を丸暗記するより、「なぜその式になるか」の意味を理解してから数値を代入する練習を繰り返す方が応用が効きます。
重油の特性と管理
重油はボイラー燃料の代表格であり、特性値の問題が頻出です。
| 特性 | A重油 | B重油 | C重油 |
|---|---|---|---|
| 引火点 | 40℃以上 | 60℃以上 | 70℃以上 |
| 特徴 | 低粘度・使いやすい | 中間 | 高粘度・予熱必要 |
よく問われる点:引火点の数値・予熱温度の必要性・動粘度と温度の関係・残留炭素分の影響
バーナの種類と特徴
圧力噴霧式・回転式・気流噴霧式の3種類のバーナについて、構造と適した用途が問われます。
覚え方:「圧(圧力噴霧)は油、回(回転)は軽油・重油、気(気流)はガスとセット」という大まかな整理から入る
科目4:関係法令(10問)の頻出テーマ
作業主任者の選任条件(最重要)
一級ボイラー技士の法令で最も頻出する数値です。
| 伝熱面積 | 必要な資格 |
|---|---|
| 500m²以上 | 特級ボイラー技士 |
| 25〜500m²未満 | 一級ボイラー技士以上 |
| 25m²未満 | 二級ボイラー技士以上 |
この3区分と数値(500・25)は確実に覚えてください。
定期自主検査(周期・対象・記録)
- 実施周期:1年以内ごとに1回
- 対象:本体・燃焼装置・自動制御装置・附属装置及び附属品
- 記録保存:3年間
溶接関係の法令
溶接によるボイラーの製造・修繕に関する資格・検査の規定が頻出です。
- 普通ボイラー溶接士と特別ボイラー溶接士の区分
- 溶接部の非破壊検査の種類と適用条件
検査・免許に関する数値
- ボイラー検査証の有効期間:2年
- 構造変更後の変更検査:変更前に申請
二級ボイラーと一級ボイラーの出題テーマの違い
二級ボイラー技士から受験する方向けに、特に一級で新たに重点化されるテーマを整理します。
| テーマ | 二級での扱い | 一級での深化ポイント |
|---|---|---|
| ボイラーの種類 | 炉筒煙管中心 | 水管・貫流・廃熱ボイラーが中心 |
| 附属装置 | 基本的なもの | エコノマイザ・空気予熱器の詳細 |
| 水処理 | 基礎的な処理法 | 薬品処理・pH管理・スケール防止の詳細 |
| 燃焼計算 | 出題が少ない | 理論空気量・空気比の計算が必須 |
| 法令:選任条件 | 25m²未満の二級基準 | 500m²以上・25〜500m²の基準も必須 |
まとめ
- 構造科目:水管ボイラー(自然循環・強制循環・貫流)とエコノマイザ・安全弁が最重要
- 取扱い科目:水処理・キャリーオーバーの3種類・起動停止手順が頻出
- 燃焼科目:理論空気量・空気比の計算と重油の特性数値(引火点)が必出
- 法令科目:作業主任者の選任条件(500・25の数値)と定期自主検査(1年・3年)が最頻出
- 二級との差分として一級固有テーマを重点的に学習することで効率が上がる
頻出テーマの知識が固まったら、実際の問題形式で演習してみましょう。