結論: 「直前 1 週間 = 取扱 → 構造 → 法令 → 燃焼の順で 4 科目を 8 時間ずつ」
一級ボイラー技士は『各科目 4 問正解 (40%) + 全体 24 問正解 (60%)』の二重基準で、1 科目でも足切りに引っかかれば即不合格です。直前 1 週間で 40 問全部を網羅するのは難しく、二級ボイラーで通用した感覚を引きずると詰みます。直前は取扱い → 構造 → 法令 → 燃焼の順に時間を配分し、燃焼の難計算は捨てて他で稼ぐ判断が現実解です。
| 科目 | 出題 | 直前時間 | 配分の理由 |
|---|---|---|---|
| 取扱いに関する知識 | 10 問 | 10 時間 | 二級と共通範囲が多く即得点になる |
| 構造に関する知識 | 10 問 | 8 時間 | 水管/貫流/特殊型の新規論点を整理 |
| 関係法令 | 10 問 | 6 時間 | 数値暗記が中心、検査 1 年/性能検査の固定 |
| 燃料及び燃焼 | 10 問 | 6 時間 | 公式 + 頻出のみ、難計算は捨てる |
| 模試 + 弱点総点検 | — | 4 時間 | 模試 1 回 + 間違えノート反復 |
| 合計 | 40 問 | 34 時間 (約 1 週間) | — |
取扱いを最初に置く理由は、二級ボイラー既習者が受験資格を持つ一級では、取扱い科目の問われ方が二級と最も重複するためです。安全弁・水位計・吹出しは一級でも出題頻度が高く、既習知識を活かして即得点につなげられます。構造は一級固有の水管/貫流/特殊型の追加論点があるため、取扱い固め後に差分補強が効率的。法令は数値暗記中心で仕上げが速い。燃焼の計算は時間コストが最も高いため最後に配置し、公式だけ覚えて難計算は割り切る判断が鍵です。
→ 詳細スケジュールは 一級ボイラー技士 直前総まとめ を参照。
試験制度の前提を再確認
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受験資格 | 二級ボイラー技士免許所持者、または所定の学歴・実務経験 |
| 試験形式 | 学科 5 肢択一マークシート 40 問 |
| 試験時間 | 4 時間 (途中退出可、最初の 1 時間は退出不可) |
| 合格基準 | 各科目 40% 以上 + 全体 60% 以上 |
| 受験料 | 8,800 円 (2024年度) |
| 実施機関 | 公益財団法人 安全衛生技術試験協会 |
| 試験会場 | 全国 7 か所の安全衛生技術センター |
| 試験頻度 | 各センターで月 1-2 回 (北海道・東北は少なめ) |
| 合格率 (2023年度) | 約 49-58% |
| 免許申請 | 試験合格後、都道府県労働局に申請(主要ルートは「二級取得後2年以上の実務経験」。実技講習ルートは補助的な例外) |
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取扱いに関する知識 10 問 (10 時間) — 最大の得点源
二級ボイラーで一度学んだ範囲が大半なため、直前期に時間対効果が最も高い科目。
頻出論点
| 論点 | 重点 |
|---|---|
| 安全弁 | 揚程式 / 全量式、吹出し圧力、設定圧力 |
| 水位計 | ガラス水位計、丸形ガラス、平形透視式、2 個設置の規則 |
| 圧力計 | ブルドン管式、最高使用圧力の 1.5-3 倍の目盛り |
| 吹出し装置 | 連続吹出し、間欠吹出し、吹出し弁/吹出しコック |
| 給水装置 | 給水ポンプ、給水弁、給水内管 |
| 自動制御 | 燃焼制御、水位制御、シーケンス制御、フィードバック制御 |
| 補機運転 | 通風装置 (押込式 / 誘引式 / 平衡通風) |
| 保全 | 酸洗浄 (塩酸 5-10%)、スケール除去、薬品処理 |
| 燃焼の維持 | バーナ調整、空気比、燃焼室の温度管理 |
| 災害防止 | 蒸気爆発、低水位事故、逆火 (バックファイア) |
取扱い対策の時間割
| 日 | やること |
|---|---|
| 直前 7 日 | 安全弁 + 水位計 + 圧力計を 3 時間 |
| 直前 6 日 | 吹出し + 給水 + 自動制御を 2 時間 |
| 直前 5 日 | 補機 + 保全 + 燃焼維持 + 災害防止を 2 時間 |
| 直前 4 日 | 過去問道場系で取扱 40 問を解いて間違えを潰す 3 時間 |
構造に関する知識 10 問 (8 時間) — 二級との差分
一級は『水管ボイラー』『貫流ボイラー』『特殊ボイラー』が中心になり、二級の丸ボイラー中心とは構造が異なる。
ボイラー種類別の特徴
| 種類 | 使用圧力 | 特徴 | 出題頻度 |
|---|---|---|---|
| 丸ボイラー (立て型/炉筒煙管) | 1.0 MPa 程度 | 二級の中心、一級でも基礎として出題 | 中 |
| 水管ボイラー (自然循環) | 2-20 MPa | 多管式、ドラム + 多数の水管 | 高 |
| 水管ボイラー (強制循環) | 大型 | ポンプで強制循環 | 中 |
| 貫流ボイラー | 高圧 | ドラムなし、長い管 1 本で蒸発 | 高 |
| 鋳鉄製ボイラー | 低圧 (0.1 MPa 以下) | セクション組合せ、暖房用 | 中 |
| 特殊ボイラー (流動層 / 廃熱) | — | 燃料/熱源で区分 | 低 |
押さえる構造論点
- 各ボイラーの主要構成 (ドラム、過熱器、節炭器、空気予熱器)
- エコノマイザ (節炭器) と空気予熱器の効果 (熱効率 1-2% 向上)
- 過熱器の種類 (放射型 / 対流型)
- 安全装置 (安全弁、低水位警報、燃焼安全装置)
関係法令 10 問 (6 時間) — 数値暗記で固める
法令は数値の暗記が中心で、覚えれば即得点になる。
頻出論点
| 論点 | 数値・規則 |
|---|---|
| ボイラー検査証 | 有効期間 1 年 |
| 性能検査 | 1 年に 1 回 (検査証の有効期間更新) |
| 落成検査 | 設置時 + 設計変更時 |
| ボイラー技士の業務独占 | 伝熱面積 25 m² 以上は一級必須 |
| 作業主任者選任 | 25 m² 以上で一級 or 特級、25 m² 未満は二級可 |
| 主任技術者 | 設置者の義務 |
| 取扱資格 | 小規模ボイラー (3 m² 未満) は取扱業務特別教育 |
| ボイラー技士免許 | 試験合格 + 二級取得後2年以上の実務経験(主要ルート)で申請 |
| 設置届 | 設置 30 日前まで |
| 廃止届 | 廃止後 |
法令暗記のコツ
- 数値 (25 m² / 1 年 / 30 日) は表で整理
- 二級でも出題された範囲は『一級でも出る』前提で復習
- 改正があった年は『2024 年改正で〜』と注釈つきで覚える
燃料及び燃焼 10 問 (6 時間) — 公式 + 頻出のみ
最も時間が溶けやすい科目。深追いせず、頻出公式 + 燃料性状の暗記に絞る。
押さえる公式
| 公式 | 内容 |
|---|---|
| 理論空気量 | 重油 1 kg ≈ 10.7 Nm³/kg、ガス 1 Nm³ ≈ 9-10 Nm³ |
| 空気比 | 実際空気量 / 理論空気量、重油バーナで 1.2-1.3 |
| 低発熱量 (LHV) | 高発熱量から水蒸気の凝縮潜熱を引いた値 |
| 燃焼効率 | 燃焼により発生した熱量 / 燃料の発熱量 |
燃料性状の暗記
| 燃料 | 性状 |
|---|---|
| 重油 (A 重油) | 動粘度 20 mm²/s 以下、点火しやすい |
| 重油 (C 重油) | 高粘度 (加熱必要)、発熱量大 |
| 都市ガス (13A) | LNG ベース、発熱量 45 MJ/Nm³ |
| LPG | プロパン、発熱量 99 MJ/Nm³ |
| 石炭 | 揮発分・固定炭素・灰分の組成 |
| 微粉炭 | 石炭を粉砕して燃焼、大型ボイラー用 |
捨ててよい論点
- 完全な燃焼計算 (空気量・排ガス量の詳細計算)
- 火炎の理論 (拡散火炎 / 予混合火炎の詳細)
- 二酸化炭素排出量の精密計算
残り時間別の取捨選択
| 残り時間 | 固める (得点源) | 粘る (足切り回避) | 捨てる (深追いしない) |
|---|---|---|---|
| 1 週間 | 取扱 + 構造 = 18 時間 | 法令 6 時間 + 燃焼公式 4 時間 | 燃焼の難計算 |
| 3 日 | 取扱 + 法令 = 10 時間 | 構造の頻出 + 燃焼公式 4 時間 | 燃焼計算全般 |
| 1 日 | 取扱 + 法令の数値 = 5 時間 | 構造の系統図 2 時間 | 燃焼科目全般 (4 問取れれば足切り回避) |
| 数時間 | 安全弁 + 水位計 + 検査周期 | 構造の種類だけ | 燃焼は捨てに近い (4/10 で粘る) |
直前対策が活きる人 / 活きにくい人
活きる人
- 二級ボイラーを取得してから 1 年以内 (基礎が残っている)
- ボイラーの実務に従事しており、構造を体感している
- 数値暗記が得意で、過去問道場系アプリで反復できる
- 試験当日 4 時間の集中力を維持できる
活きにくい人
- 二級取得から 5 年以上経過し、構造を忘れている
- 燃焼計算に苦手意識が強く、公式を覚えるのに 3 時間以上かかる
- 直前 1 週間で 30 時間を確保できない (残業/育児で時間が取れない)
- 予想問題演習を一切やらずに本番に臨もうとしている
活きにくい人は、試験を 1 か月後にずらして計画学習に切り替えるのが現実解です。
落ちる人の典型 4 パターン
- 燃焼計算に時間を吸われて他科目が手薄 — 燃焼で 6/10 を取りに行こうとして 6 時間溶かし、取扱と法令の固めが不足
- 二級感覚で全範囲均等に勉強 — 一級の追加論点 (水管/貫流/特殊型/燃焼計算) を見落とし、構造で足切り
- 予想問題演習なしで本番に臨む — 出題形式の慣れがなく、4 時間試験で時間配分を誤る
- 試験会場の最寄り駅を前日に確認しない — 安全衛生技術センター 7 か所は地方の郊外にあり、車かバスでアクセスが必要。前日確認漏れで遅刻リスク
チェックリスト
- 取扱いの安全弁 / 水位計 / 圧力計 / 吹出し の 4 項目を最優先で 10 時間反復する
- 構造の水管 / 貫流 / 鋳鉄 / 特殊ボイラーを表で整理し 8 時間で覚える
- 法令の数値 (25 m² / 1 年検査 / 30 日設置届) を 6 時間で暗記する
- 燃焼の理論空気量 + 空気比 + 発熱量だけ公式として 6 時間で固める
- 模試 1 回 (40 問 4 時間) を試験 3 日前に解いて時間配分を確認する
- 試験会場 (全国 7 か所のセンター) の最寄り駅とバスを前日までに確認する
- 当日は受験票 + 写真付き本人確認書類 + HB 鉛筆 + 消しゴム + 腕時計を持参する
まとめ
一級ボイラー技士の直前対策は『各科目 40% + 全体 60%』の二重基準を満たす取捨選択が核です。1 週間で取扱 10h + 構造 8h + 法令 6h + 燃焼 6h + 模試 4h の合計 34 時間を配分し、燃焼の難計算は割り切って公式と頻出論点に絞るのが現実解。二級ボイラー保有が受験資格になっているため、取扱と構造の基礎は残っている前提で、一級の追加論点 (水管/貫流/特殊型) を直前にどれだけ補強できるかが合否を分けます。
出典
- 公益財団法人 安全衛生技術試験協会 ボイラー技士試験 — 試験要綱、出題構成、合格率
- 労働安全衛生法 第61条 / ボイラー及び圧力容器安全規則 (e-Gov 法令検索) — 技士資格、検査制度
- ボイラー実技講習要領 — 実技講習 20 時間の内容
- 日本ボイラ協会 ボイラー技士テキスト — 構造・取扱の体系書
- 安全衛生技術試験協会 過去出題傾向 (各支部公開) — 直近 5 年の頻出論点




























































