証券外務員二種の直前対策で最初に確認してほしいのは、勉強時間ではなく配点です。この試験は問題数と配点が一致していません。○×が70問中50問と数のうえでは主役に見えるのに、点数では全体の3分の1しかありません。
ここを取り違えたまま1日を使うと、「たくさん解いたのに点が伸びない」という結果になります。この記事では、直前の1日を10時間と見たときの配分を、配点から逆算して組み立てます。
この試験の点数の作られ方を先に押さえる
二種外務員資格試験は、日本証券業協会が実施するCBT方式の試験です。出題と配点は公表されています。
| 出題形式 | 問題数 | 配点 | 小計 |
|---|---|---|---|
| ○×方式 | 50問 | 1問2点 | 100点 |
| 五肢選択方式 | 20問 | 1問10点 | 200点 |
| 合計 | 70問 | — | 300点 |
合格ラインは300点満点の7割、210点です。科目別の足切りはなく、総得点だけで合否が決まります。
この表から読み取れることが3つあります。
1つ目。○×を全問正解しても100点にしかなりません。 合格に必要な210点には110点足りず、五肢を最低でも11問正解する必要があります。「まず○×を固める」という発想は、この試験では途中で行き詰まります。
2つ目。五肢は1問10点で、○×5問分に相当します。 五肢を1問落とすことと、○×を5問落とすことが同じ重さです。直前に何を見るかを決めるとき、この換算がそのまま優先順位になります。
3つ目。科目別の足切りが無いので、苦手科目を残したまま受験できます。 例えば計算が苦手でも、法令と関連科目で取り切れば合格に届きます。逆に言えば「全範囲を均等に」という組み立ては、直前ではもっとも効率が悪くなります。
直前1日を10時間と見たときの配分
以下は、ひととおり学習を終えた人が最後の1日を使う前提の配分です。範囲を一度も見ていない状態からの1日は現実的ではないので、その場合は後述の考え方を参考にしてください。
| 時間 | やること | 狙い |
|---|---|---|
| 0〜2時間 | 五肢で出る計算問題の型を確認 | 1問10点を取りにいく |
| 2〜4時間 | 商品業務(株式・債券・投資信託)の中心論点 | 五肢の出題が集中する範囲 |
| 4〜6時間 | 法令・諸規則の禁止行為と外務員制度 | ○×で数を稼ぐ |
| 6〜8時間 | 関連科目のうち財務指標と証券税制 | 五肢と○×の両方で出る |
| 8〜9時間 | 模試を1回通す | 時間配分と現在地の確認 |
| 9〜10時間 | 間違えた問題だけを見直す | 直前の詰め |
前半に五肢が出やすい範囲を置いているのは、単純に1問あたりの点が5倍だからです。疲れていない時間帯を配点の大きい範囲に充てる、という考え方で組んでいます。
模試を1回通す時間を必ず確保する
配分表で8時間目に模試を置いているのには理由があります。この試験は問題数と配点がずれているため、体感の手応えと実際の点数が食い違いやすいからです。
○×を気持ちよく解き進めて「7割は取れた」と感じても、五肢を半分落としていれば得点は210点に届きません。この食い違いは、実際に配点どおりに採点してみないと気づけません。
ぴよパスの証券外務員二種の模擬試験は、本試験と同じ70問(○×50問・五肢20問)を出題し、○×2点・五肢10点の配点で300点満点として採点します。合格ラインの210点に対して今どこにいるかがそのまま出るので、残り時間をどこに使うかの判断材料になります。
「捨ててよい範囲」は科目ではなく出題形式で決める
直前対策の記事では「この科目を捨てる」という切り方をよく見かけますが、この試験ではおすすめしません。同じ科目の中に○×で出る論点と五肢で出る論点が混ざっているためです。
判断の基準はこうなります。
- 五肢で問われやすい論点は捨てない。 1問10点で、2問で20点。合格ラインの1割近くが動きます
- 細かい数値の暗記は優先度を下げてよい。 ○×1問2点で終わることが多く、覚える量に対して回収が小さい範囲です
- 完全に未学習の分野が1つ残っている場合は、そこを捨てて他を固めるほうが点は伸びます。 科目別の足切りが無いので、この判断が成立します
五肢で出やすい範囲の目安
五肢選択には語句選択方式と計算問題が含まれます。直前に確認しておくと効きやすいのは次のあたりです。
- 株式業務の投資指標(PER・PBR・配当利回り・ROE)
- 債券業務の利回り計算(直接利回り・最終利回り)
- 投資信託の基準価額と費用の関係
- 財務諸表の基本的な指標(自己資本比率・流動比率)
いずれも計算の型が決まっているため、直前でも取り返しが利きます。詳しい解き方は証券外務員の計算問題の対策にまとめています。
○×で数を稼ぎやすい範囲
○×は1問2点と小さいものの、50問あるので合計100点です。落とし過ぎれば当然届きません。次の範囲は判断のルールが明確で、○×との相性がよい部分です。
- 外務員の登録と権限(誰が申請するか、どこまでの代理権があるか)
- 禁止行為(損失補塡・断定的判断の提供・無断売買・仮名取引)
- 協会員の従業員に関するルール(顧客との金銭貸借、名義貸し)
- 呼値の優先順位と受渡日
「原則はこうで、例外はここだけ」という形で整理されている論点が多く、○×の正誤判断に直結します。
未学習からの1日は何を目指すか
範囲を一度も見ていない状態で試験日が明日、という場合は、正直に言えば合格は厳しくなります。ただしこの試験には有利な性質が2つあります。
1つ目は、CBTで通年実施されていることです。 試験日が年に数回しかない試験と違い、自分の準備が整った日に受けられます。準備不足のまま受けるより、日程を取り直すほうが結果的に早いことが多いです。
2つ目は、科目別の足切りが無いことです。 全範囲を薄く仕上げる必要がなく、狙いを絞れます。1日しか無いなら、五肢で出る計算と商品業務に集中し、○×は法令の禁止行為だけに絞る、という思い切った配分もあり得ます。
学習期間の全体像から組み立てたい場合は証券外務員の勉強時間の目安を、独学の進め方は証券外務員の独学の進め方を参考にしてください。
直前にやらないほうがよいこと
限られた時間を減らすだけになりやすい行動もあります。
新しい教材に手を出す。 直前に別の本を開くと、見たことのない表現に当たって不安が増えます。使ってきた教材の間違えた箇所だけを見るほうが確実です。
全範囲を最初から読み直す。 10時間で212問分の範囲をなぞり直すことはできません。読み直すのではなく、解いて間違えたところだけを潰します。
○×だけを大量に解いて安心する。 冒頭で見たとおり、○×は全問正解でも100点です。数をこなした感覚と得点が一致しない典型なので、五肢に触れない日にしないことが大切です。
まとめ
この試験の直前対策は、配点の理解がそのまま戦略になります。
- 合格は300点満点の210点。○×50問を全問正解しても100点で、五肢を最低11問取る必要がある
- 五肢1問は○×5問分。直前に見る順番は配点で決める
- 科目別の足切りが無いので、未学習の分野を1つ捨てる判断が成立する
- 体感と得点がずれやすいので、配点どおりに採点する模試を1回は通す
現在地を点数で確認するところから始めるなら、証券外務員二種の練習問題で分野ごとに解いてから模試に進むのが分かりやすい順序です。








