消防設備士乙種第4類 (乙4) は、自動火災報知設備・ガス漏れ火災警報設備・消防機関へ通報する火災報知設備の整備と点検を行うための国家資格です。ビルや工場、マンションの共用部に必ずある自動火災報知設備を扱うため、消火器の乙6と並んで消防設備士の中で需要が高く、ビルメンテナンス業界では「乙4と乙6を両方持つ」のが定番の組み合わせになっています。
一方で「乙4と乙6はどっちが難しいのか」「電気工事士を持っていると何が免除されるのか」は、公式の一覧表を読まないと答えが出ません。このページは、消防試験研究センターが公表している一覧表・試験の方法・直近統計を乙4向けに読み替えて、受験を決める前に押さえるべき数字を1か所に集めたものです。
乙4は電気系の区分 — 乙6との違いは「電気か機械か」
消防設備士は甲種が工事・整備・点検、乙種が整備・点検を担う資格で、乙4は自動火災報知設備などの警報設備を対象にします。同じ乙種でも乙6 (消火器) とは科目の枠組みが違い、乙4は「電気」、乙6は「機械」の区分です。
| 比較軸 | 乙4 (自動火災報知設備) | 乙6 (消火器) |
|---|---|---|
| 基礎的知識 | 電気5問 (オームの法則・回路) | 機械5問 (力学・材料) |
| 構造・機能及び整備 | 電気9問 + 規格6問 | 機械9問 + 規格6問 |
| 電気工事士免状 | 筆記14問 + 鑑別1問が免除 | 免除なし |
| 令和8年4〜6月の合格率 | 38.2% | 36.9% |
| 同期間の受験者数 | 834人 | 5,212人 |
| 上位区分 | 甲種4類 (工事ができる) | なし (乙種のみ) |
「どっちが難しいか」は合格率だけ見るとほぼ同じです。差は中身で、乙4は電気計算と感知器・受信機の理解、乙6は消火器6種の構造と規格値の暗記が中心になります。電気工事士免状を持っているなら、免除の効く乙4のほうが明らかに軽く、持っていなければ計算のない乙6から入る人が多い、という分かれ方です。両者の詳しい比較は 乙4と乙6の違い、乙4と甲4の違いは 甲4と乙4はどっちを取るか で扱っています。
試験の全体像 (公式の数値のみ)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実施団体 | 一般財団法人 消防試験研究センター |
| 受験資格 | 乙種は「誰でも受験できます」 |
| 受験手数料 | 乙種 4,400円 |
| 出題数 (免除なし) | 筆記30問 + 実技 (鑑別等) 5問 |
| 試験時間 (免除なし) | 1時間45分 |
| 試験の方法 | 筆記はマークカードの四肢択一、実技は写真・イラスト・図面等による記述式 |
| 合格基準 | 筆記は各科目40%以上かつ全体60%以上、実技は60%以上 |
| 合格率 (令和8年4〜6月公表) | 38.2% (受験者834人・合格者319人) |
| 免状交付手数料 | 2,900円 (1種類につき) |
| 受験地 | 居住地にかかわらず希望する都道府県で受験できる |
消防設備士乙4 オリジナル予想問題345問で科目ごとの現在地を測る →
試験内容: 筆記30問と鑑別5問、配点の半分は構造・機能
科目と問題数
消防試験研究センターの「試験の一部免除・試験時間・試験問題数一覧表 (乙種)」に載っている乙4の問題数です。
| 科目 | 区分 | 問題数 | 問われること |
|---|---|---|---|
| 消防関係法令 | 共通 | 6問 | 消防法の全区分共通のルール (設置維持義務・点検報告・消防設備士制度) |
| 消防関係法令 | 類別 | 4問 | 自動火災報知設備などの設置基準 (施行令第21条〜第23条) |
| 基礎的知識 | 電気 | 5問 | オームの法則・直並列回路・電力・電気材料 |
| 構造・機能及び整備 | 電気 | 9問 | 感知器・受信機・発信機・中継器の構造と機能、配線、点検・整備 |
| 構造・機能及び整備 | 規格 | 6問 | 規格省令の数値 (感知器の作動温度・受信機の機能・表示) |
| 実技 | 鑑別等 | 5問 | 写真や図から感知器・機器の名称・用途・設置条件を記述で答える |
乙4には「機械」の枠がなく、法令以外の筆記20問と鑑別5問はすべて電気または規格の話です。試験の顔になるのは感知器で、差動式・定温式・煙感知器の種類と取付け条件、警戒区域の考え方を写真と数値の両方で覚えることが得点の中心になります。感知器の見分け方は 感知器の識別、頻出の数値は 法令の覚え方 で扱っています。
合格基準は三段 — 各科目40%・全体60%・実技60%
公式の合格基準は「筆記試験において、各科目毎に40%以上で全体の出題数の60%以上、かつ、実技試験において60%以上の成績を修めた者を合格」です。免除なしなら法令4問・基礎的知識2問・構造機能6問を最低ラインとして確保したうえで筆記合計18問、鑑別3問が必要です。筆記が25問取れていても基礎的知識が1問なら不合格になるので、電気計算は「満点を狙う」のではなく「2問を落とさない」水準を先に作ります。
公式が公表している出題例
消防試験研究センターは「過去に出題された問題」として乙種の出題例をPDFで公表しており、法令の共通 (第1〜7類)、類別 (第4類)、基礎的知識の電気 (第1〜4類・7類) の問題例が含まれます。四肢択一の文体を確かめたら、ぴよパスの 法令95問・基礎的知識 (電気) 60問・構造・機能及び整備130問・実技 (鑑別) 60問 で科目ごとの正答率を確かめてください。
電気工事士など免除区分ごとに残る問題数と試験時間
乙4の検索で最も多い疑問が免除です。消防試験研究センターの一覧表 (令和7年5月版・乙種) の乙4の行を、残る問題数に直して並べます。
| 持っている資格 | 免除される部分 | 残る筆記 | 実技 | 試験時間 |
|---|---|---|---|---|
| なし (一般受験者) | — | 30問 | 鑑別5問 | 1時間45分 |
| 消防設備士 甲種1〜5類 / 乙種1〜3・5・6類 | 法令 (共通) 6問 | 24問 | 鑑別5問 | 1時間30分 |
| 消防設備士 乙種7類 | 法令 (共通) 6問 + 基礎的知識 (電気) 5問 + 構造・機能 (電気) 9問 | 10問 (類別4 + 規格6) | 鑑別5問 | 1時間15分 |
| 第一種・第二種電気工事士 | 基礎的知識 (電気) 5問 + 構造・機能 (電気) 9問 + 鑑別1問 | 16問 (法令10 + 規格6) | 鑑別4問 | 1時間00分 |
| 電気主任技術者 (第一種〜第三種) | 基礎的知識 (電気) 5問 + 構造・機能 (電気) 9問 | 16問 (法令10 + 規格6) | 鑑別5問 | 1時間15分 |
| 消防設備士免状 + 電気工事士 | 法令 (共通) + 基礎的知識 (電気) + 構造・機能 (電気) + 鑑別1問 | 10問 (類別4 + 規格6) | 鑑別4問 | 0時間45分 |
| 消防設備士免状 + 電気主任技術者 | 法令 (共通) + 基礎的知識 (電気) + 構造・機能 (電気) | 10問 (類別4 + 規格6) | 鑑別5問 | 0時間45分 |
| 技術士 (電気電子部門) | 基礎的知識 (電気) + 構造・機能 (電気) + 規格 | 10問 (法令10) | 鑑別5問 | 0時間45分 |
乙7との違いが1点あります。乙7では電気工事士免状で実技が全問免除されますが、乙4では鑑別5問のうち1問だけが免除され、残り4問は解きます。自動火災報知設備の鑑別は感知器・受信機の写真識別が中心で、電気工事士の知識だけでは答えられない設問が残る、という制度設計です。逆に乙7の免状を持っていれば法令共通と電気部分がまとめて外れて筆記10問になるため、乙7 → 乙4の順に取る人もいます。
免除後の最低正答数
各科目40%の判定単位について公式は「科目毎」とだけ書いているので、免除後は残った問題数に対して計算し、端数は切り上げて安全側に見ます。
| 区分 | 残る筆記 | 各科目40%の最低正答 | 全体60%の最低正答 | 実技60%の最低正答 |
|---|---|---|---|---|
| 免除なし | 30問 | 法令4 / 基礎2 / 構造6 | 18問 | 鑑別5問中3問 |
| 電気工事士 | 16問 | 法令4 / 規格3 | 10問 | 鑑別4問中3問 |
| 乙7免状 | 10問 | 類別2 / 規格3 | 6問 | 鑑別5問中3問 |
| 消防設備士免状 + 電気工事士 | 10問 | 類別2 / 規格3 | 6問 | 鑑別4問中3問 |
電気工事士免除で鑑別が4問になると、60%を満たすには3問正解が必要で、2問落とした時点で不合格です。免除は勉強量を減らす制度であって、実技の合格ラインを下げる制度ではありません。免除の判断は 受験資格と科目免除、配点の読み方は 乙4の配点 で深掘りしています。免除を受けるには受験申請時に免状のコピーを提出し、申請後の追加はできません。
合格率: 令和8年4〜6月は38.2%、乙種の中では標準的
公表統計の読み方
| 区分 | 期間 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 乙4 | 令和8年4〜6月 | 834人 | 319人 | 38.2% |
| 乙4 | 令和7年4〜6月 (前年同期) | 878人 | 275人 | 31.3% |
| 乙6 | 令和8年4〜6月 | 5,212人 | 1,924人 | 36.9% |
| 乙7 | 令和8年4〜6月 | 762人 | 535人 | 70.2% |
| 甲4 | 令和8年4〜6月 | 3,378人 | 1,319人 | 39.0% |
令和7年度の乙4合格者数は全国で2,736人 (同センター公表の年度別合格者数) です。受験者数が乙6の6分の1程度なのは、自動火災報知設備を扱う人の多くが工事までできる甲4を直接受けるためで、乙4は電気工事士免状を持たない人や、まず整備・点検から入る人の入口になっています。年度別の推移と背景は 乙4の合格率、難しさの実像は 乙4の難易度 で扱っています。
落ちる人の3つの型
1つ目は基礎的知識 (電気) 5問で2問を取れないケースで、免除なしの不合格の多くがここです。2つ目は鑑別を後回しにして、感知器の写真を見て名称と設置条件を記述で書けないケースです。3つ目は法令共通と類別の混同で、「設置義務の対象」と「感知器の取付け基準」を同じ引き出しに入れてしまう型です。典型例は 落ちる人の特徴 にまとめています。
勉強時間とテキスト: 免除なし60〜90時間、ありは25〜40時間
| 区分 | 学習時間の目安 (編集部) | 学ぶ範囲 | 先に固めるもの |
|---|---|---|---|
| 電気工事士免除あり | 25〜40時間 | 法令10問 + 規格6問 + 鑑別4問 | 感知器の設置基準の数値、規格省令の作動温度・表示 |
| 乙7免状あり | 20〜30時間 | 類別4問 + 規格6問 + 鑑別5問 | 感知器の写真識別、警戒区域 |
| 免除なし | 60〜90時間 | 筆記30問 + 鑑別5問 | 構造・機能15問 → 法令10問 → 鑑別 → 電気計算5問 |
この数字は公式の目安ではなく、出題数と科目の性質から編集部が置いた目安です。乙7 (15〜60時間) より重いのは、自動火災報知設備が感知器・受信機・発信機・配線と部品が多く、覚える数値の量が漏電火災警報器の数倍あるためです。テキストは1冊で足り、乙4と甲4が同じ本でカバーされている「第4類」用の本を選ぶと、後で甲4に進むときにそのまま使えます。
※価格・評価は変動します。購入前に版・刷と出版社の改訂情報を確認してください。上記はAmazonアソシエイトのリンクです。
週別の組み方は 勉強時間の配分、教材の比較は テキスト選び、演習の回し方は 予想問題345問の使い方 が担当しています。
申込から免状交付までの流れと費用
- 日程を確認する: 試験は都道府県ごとに実施され、居住地にかかわらず希望する都道府県で受験できます。
- 申請する: 電子申請 (受付期間中24時間・証明書類のアップロード可) か書面申請。免除を受ける場合はこの時点で免状のコピーを提出します。
- 受験票を受け取る: 免除区分に応じた試験時間と集合時刻を確認します。
- 受験する: 免除なしは1時間45分。マークカードの筆記と記述式の鑑別を解きます。
- 合格後に免状を申請する: 免状交付申請書と試験結果通知書を切り離さずに受験した支部へ提出します。手数料は1種類につき2,900円です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 受験手数料 (乙種) | 4,400円 |
| 免状交付手数料 | 2,900円 (1種類につき) |
| テキスト (年度版の価格帯) | 2,000〜3,500円程度 |
手続きの細部は 申込のやり方、費用の総額は 乙4の費用、合格後の手順は 合格後の手続き にあります。
乙4の次: 甲4への昇格と乙6・乙7との組み合わせ
乙4の免状を受けて整備の実務経験を2年以上積むと、工事までできる甲種4類の受験資格が得られます (電気工事士免状があれば実務経験なしで甲種を受けられます)。甲4の受験資格・試験内容・製図は 消防設備士甲4とは で整理しています。乙6は機械系なので乙4の免状で免除されるのは法令共通6問だけですが、ビルメンテナンスの求人では乙4・乙6の両方を条件にする例が多く、順番はどちらからでも成立します。乙7は乙4と互いに電気部分を免除し合う関係で、一覧表には乙4と乙7を同じ試験で受ける複数受験の合計試験時間 (電気工事士免除のみで1時間45分) も掲載されています。取得順の全体像は 乙4の次の資格 を参照してください。
受験を決めたら、免除区分で残る問題を確定し、科目ごとの正答率を測るところから始めてください。
消防設備士乙4 オリジナル予想問題345問を科目別に解く →
出典 (2026-09-09 確認):
- 一般財団法人 消防試験研究センター 消防設備士試験 — 試験手数料 (乙種4,400円)、受験資格 (乙種は誰でも受験できます)
- 同センター 試験科目及び問題数 — 乙種の科目構成
- 同センター 試験の一部免除・試験時間・試験問題数一覧表 (乙種) PDF — 乙4の免除区分・試験時間・複数受験、証明書類
- 同センター 試験の方法 — 四肢択一・記述式、乙種1時間45分、合格基準
- 同センター 受験の申請 — 電子申請と書面申請
- 同センター 試験結果 — 令和8年4〜6月および令和7年4〜6月の受験者数・合格者数・合格率
- 同センター 令和7年度 消防設備士試験合格者数 PDF — 乙種第4類の年度合格者数2,736人
- 同センター 甲種の受験資格 — 乙種免状+整備経験2年以上、電気工事士免状など
- 同センター 免状の新規交付 — 免状交付手数料2,900円
- 消防法第17条の3の3 (点検及び報告)、消防法施行令第21条〜第23条 (自動火災報知設備・ガス漏れ火災警報設備・消防機関へ通報する火災報知設備)











