消防設備士乙4の感知器を見分けるときは、何を検知するか、どこで検知するか、型式・種別の表示を順に確認します。「中央が出ているから差動式」「平たいから定温式」と、外形だけで決める覚え方は避けましょう。同じ定温式でも、メーカーの仕様にはサーミスタを使う製品があります。
この記事では、代表的な感知器の違いを比較表と短い記述練習に整理します。名称・原理の確認はこの記事、設置高さや点検用試験器までの復習は乙4の鑑別対策へ進んでください。
写真や図を見たら、この順で確認する
| 確認すること | 見る手がかり | 答えに結びつける知識 |
|---|---|---|
| 検知する対象 | 熱・煙・炎に関する説明や検出部 | 温度上昇率、一定温度、煙による変化、炎の放射 |
| 検知する範囲・配置 | 一局所か、広い範囲か。送光部・受光部の表示など | スポット型・分布型・分離型の違い |
| 正式な種別 | 銘板、型式、図中の名称、与えられた仕様 | 差動式・定温式などの名称と、特種・1種・2種等の区分 |
| 設問が求める答え | 名称、原理、構造、適否のどれを尋ねているか | 名称だけでよいか、理由も必要か |
外観は手がかりの一つです。ただし、機器の高さ、カバーの凹凸、網の見え方は、すべての機種に共通する識別基準ではありません。写真の読み取りを練習するときは、型式が確認できるメーカー資料や、名称の付いた教材と対にします。
代表的な感知器を原理で比較する
感知器は「8種類だけ」と区切れるものではありません。規格省令には、複合式やアナログ式などの定義もあります。まず次の代表例の違いを押さえ、教材で出会った型式をこの分類へ結びつけてください。
| 種類 | 原理・機能の区別 | 混同しないための確認点 |
|---|---|---|
| 差動式スポット型 | 一局所の温度上昇率によって作動する | 「一定の温度になったら作動」と区別する |
| 差動式分布型 | 広い範囲の熱の影響を累積して、温度上昇率によって作動する | 空気管式だけでなく、熱電対式・熱半導体式もある |
| 定温式スポット型 | 一局所が一定の温度になると作動する | 内部構造をバイメタルだけに限定しない |
| 定温式感知線型 | 線状で、一局所が一定の温度になると作動する | 「長いものは全部、差動式分布型」と決めない |
| 補償式スポット型 | 差動式と定温式の性能を併せ持ち、一つの火災信号を発する | 熱複合式との区別では信号数にも注目する |
| 熱複合式スポット型 | 差動式と定温式の性能を併せ持ち、二つ以上の火災信号を発する | 「差動と定温を併用」という一言だけで判定しない |
| 光電式スポット型 | 一局所の煙による受光量の変化を利用する | イオン電流を利用する方式とは別 |
| 光電式分離型 | 送光部と受光部を分離し、その間の煙による受光量の変化を利用する | 煙を検知する方式。炎感知器と区別する |
| イオン化式スポット型 | 一局所の煙によるイオン電流の変化を利用する | 外形より、検出原理の説明を確認する |
| 炎感知器 | 炎からの紫外線や赤外線などを利用する | 紫外線式・赤外線式・両者の併用など、方式を確認する |
出典:感知器・発信機の規格省令 第2条(2026年9月12日時点の施行条文)。表は定義を学習用に整理したものです。
差動式と定温式は「上昇率」と「一定温度」で区別する
差動式スポット型は、温度がどれくらいの速さで上がるかに着目します。定温式スポット型は、一定の温度になることが作動の条件です。名前が似ていても、説明に必要な語は異なります。
たとえば「一局所の温度上昇率によって作動する感知器の名称」を尋ねられたら、答えは差動式スポット型感知器です。「熱を感知する」「温度が上がる」だけでは、定温式との違いを説明しきれません。
作動条件を一律の「毎分10℃」に置き換えたり、公称作動温度を「65・75・85℃だけ」と覚えたりするのも不適切です。種別と機種の仕様を確認しましょう。
定温式にも構造の異なる製品がある
能美防災のFDLJ929S-DKWシリーズの仕様では、種類は定温式スポット型感知器(試験機能付)、感熱素子はサーミスタとされています。これは「定温式はすべてバイメタル」という覚え方では説明できません。メーカー仕様図
この製品だけの仕様を他の定温式へ広げるのではなく、正式な種別と内部構造を分けて読む練習に使ってください。図面を開いたら、最初に型式・種類・感熱素子の欄を確認します。
「場所」と「外形」は最後の確認に使う
「厨房だから定温式」「高い天井だから炎感知器」と、場所だけで名称を決めないようにします。設置の適否には、取り付け面の高さ、種別、周囲の環境などの条件が関係します。
特に、煙が適さない場所なら炎感知器に置き換えればよい、という理解はできません。炎感知器にも水蒸気などに関する不適応条件があります。実際の適否を問う問題では、設問の条件と消防法施行規則第23条を照合します。
| 覚え方を見直す箇所 | 確認し直すこと |
|---|---|
| 凸型なら差動式、平たいなら定温式 | 型式・種別・感熱部の仕様まで確認する |
| 網が見えるなら光電式 | 煙感知器の正式名称と検出原理を確認する |
| 細いものは全部、空気管式 | 感知線なのか、空気管なのか。検出部の方式も読む |
| レンズがあるなら炎感知器 | 煙による光の減衰を見るのか、炎の放射を見るのか |
| 差動と定温を併用するなら熱複合式 | 補償式との違いとして、火災信号数を確認する |
名称と理由を書くオリジナル練習
以下は分類を確かめるための自作練習です。公式過去問の再現ではありません。答えを見る前に、名称か判断理由を一文で書いてみてください。
| 問い | 解答例と確認点 |
|---|---|
| スポット型のうち、一局所が一定の温度になると作動する感知器の名称は? | 定温式スポット型感知器。「一定の温度」が差動式との区別になる |
| 差動式と定温式の性能を併せ持ち、一つの火災信号を発するものは? | 補償式スポット型感知器。併用という語だけでなく、信号数まで読む |
| 送光部と受光部の間の煙による受光量変化を利用するものは? | 光電式分離型感知器。炎の放射を利用するものではない |
| 定温式スポット型の感熱素子がサーミスタと書かれている。仕様の矛盾と判断してよい? | その理由だけでは矛盾と判断できない。定温式は作動の方式であり、内部構造をバイメタルだけに限定しない |
| 感知器の写真はあるが型式・銘板が読めず、内部構造の説明もない。外形だけで方式を断定してよい? | 断定する根拠が不足している。名称の確認できる資料で型式と仕様を照合する |
分類が曖昧だったものは構造・機能の練習問題へ、名前と理由を書く練習を続けたい場合は鑑別のオリジナル練習問題へ進めます。サイトの選択式練習だけで終わらず、答えを隠して名称を自分で書く練習も組み合わせてください。
写真で復習するときの教材の使い方
図や写真を見て、名称、原理、判断に使った表示をノートに残します。次に名称を隠して答え、違ったときは外観のどの点で決めつけたかを記録します。
紙の教材を選ぶ場合は、感知器の写真・図、正式名称、解説を見比べられるかを確認してください。第4類をまとめた教材には甲種の範囲も含まれるので、乙種の受験者は対象範囲を区別して使います。
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