本記事のポイント
- 消防設備士乙種第1類は水系消火設備(屋内消火栓・スプリンクラー・水噴霧消火・屋外消火栓)の点検・整備を行うための国家資格
- 筆記3科目(30問)+実技1科目(5問)、試験時間は1時間45分
- 受験資格は不要。受験料は3,800円
- 合格基準は筆記が各科目40%以上かつ全体60%以上、実技が60%以上
- 消防設備士乙種第1類 オリジナル練習問題で出題形式に慣れよう
消防設備士乙種第1類とは
消防設備士乙種第1類は、消防法に基づく国家資格の一つだ。この資格を取得すると、水系消火設備の点検・整備業務を行うことができる。
対象設備
乙種第1類の対象となる消火設備は以下の4種類だ。
| 設備名 | 概要 |
|---|---|
| 屋内消火栓設備 | 建物内部に設置された消火栓から放水して消火する設備 |
| スプリンクラー設備 | 天井に設置されたヘッドから自動的に散水して消火する設備 |
| 水噴霧消火設備 | 水を霧状に噴霧して消火する設備。主に油火災に対応 |
| 屋外消火栓設備 | 建物の外部に設置された消火栓から放水して消火する設備 |
いずれも「水」を消火剤として使用する設備であり、総称して「水系消火設備」と呼ばれる。
甲種と乙種の違い
消防設備士第1類には甲種と乙種がある。
| 区分 | 業務範囲 | 受験資格 |
|---|---|---|
| 甲種第1類 | 水系消火設備の工事・点検・整備 | あり(学歴・資格・実務経験のいずれか) |
| 乙種第1類 | 水系消火設備の点検・整備のみ | なし(誰でも受験可能) |
乙種は「点検・整備」のみ、甲種は「工事」も含む。乙種は受験資格が不要なため、消防設備士のキャリアの入口として選ばれることが多い。
水系消火設備の基本知識を事前に整理したい方は、水系消火設備入門|4種類の設備の基礎知識が参考になる。
試験の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験実施機関 | 一般財団法人 消防試験研究センター |
| 受験資格 | なし(乙種は誰でも受験可能) |
| 試験時間 | 1時間45分 |
| 受験料 | 3,800円 |
| 出題形式 | 筆記(マークシート・四肢択一)+実技(記述式) |
| 合格率 | 約31% |
| 試験会場 | 各都道府県の指定会場 |
| 実施頻度 | 都道府県により年1〜複数回 |
試験は各都道府県で実施されるため、居住地以外の都道府県でも受験可能だ。東京都など大都市圏は実施回数が多いため、日程の選択肢が広がる。
試験科目と問題数
筆記試験(マークシート・四肢択一)
| 科目 | 問題数 | 主な出題内容 |
|---|---|---|
| 消防関係法令(共通) | 6問 | 消防法の基本、防火対象物、消防設備士制度 |
| 消防関係法令(類別) | 4問 | 第1類に関する設置基準・技術基準 |
| 基礎的知識(機械) | 5問 | 流体力学、ポンプ、材料力学、圧力と水頭 |
| 構造機能及び工事又は整備(機械) | 15問 | 水系消火設備の構造・機能・点検・整備 |
| 筆記合計 | 30問 |
実技試験(記述式)
| 科目 | 問題数 | 主な出題内容 |
|---|---|---|
| 鑑別等 | 5問 | 写真やイラストによる設備・部品の識別、点検方法の記述 |
筆記と実技は同一の試験時間(1時間45分)内に解答する。実技の「鑑別等」は、写真やイラストを見て設備の名称や機能を記述する形式であり、択一式とは異なる対策が必要だ。
合格基準
| 区分 | 合格基準 |
|---|---|
| 筆記試験 | 各科目で40%以上、かつ全体で60%以上の正答率 |
| 実技試験 | 60%以上の正答率 |
筆記と実技の両方で基準をクリアしなければ合格にはならない。
足切りの具体例
筆記試験で最も注意すべきは科目別の足切りだ。たとえば基礎的知識は5問しかないため、2問未満(1問以下 = 20%以下)で足切りになる。他の科目がどれだけ高得点でも、1科目の足切りで不合格が確定する。
| 科目 | 問題数 | 足切りライン(40%) | 最低必要正解数 |
|---|---|---|---|
| 消防関係法令 | 10問 | 4問以上 | 4問 |
| 基礎的知識 | 5問 | 2問以上 | 2問 |
| 構造機能及び工事又は整備 | 15問 | 6問以上 | 6問 |
各科目の足切りをクリアしたうえで、筆記全体で60%以上(30問中18問以上)が必要だ。
合格率の詳しい分析は消防設備士乙種第1類の合格率を徹底分析で解説している。
科目免除制度
消防設備士乙種第1類には、一定の資格を保有している場合に筆記試験の一部が免除される制度がある。
主な免除パターン
| 保有資格 | 免除される科目 |
|---|---|
| 消防設備士(他の類)を取得済み | 消防関係法令の共通部分(6問)+基礎的知識(5問)の一部 |
| 電気工事士 | 基礎的知識(電気部分)※第1類は機械のため該当が限定的 |
| 技術士(機械部門など) | 基礎的知識(機械) |
免除制度を利用する場合、免除科目は合格基準の計算対象から外れる。残りの科目で40%以上・全体60%以上を確保する必要がある点は変わらない。
科目免除を受けると試験時間も短縮される。免除のメリット・デメリットは以下の通りだ。
メリット:学習範囲が狭まり、専門科目に集中できる
デメリット:免除科目の得点がなくなるため、残りの科目で確実に得点しなければならない。全体の得点率を「少ない科目で60%以上にする」必要があり、1問あたりの重みが増す
免除を受けるかどうかは出願時に選択できる。自分の得意・不得意を考慮して判断したい。
受験手続きの流れ
1. 試験日程を確認する
一般財団法人 消防試験研究センターの公式サイトで、受験を希望する都道府県の試験日程を確認する。実施時期と回数は都道府県によって異なるため、早めに確認しておきたい。
2. 願書を入手する
願書の入手方法は2つある。
- 電子申請:消防試験研究センターのウェブサイトから申請する方法。24時間申請可能で手続きが簡便
- 書面申請:消防試験研究センターの各支部や消防署で願書を入手し、郵送で申請する方法
3. 受験料を支払い、願書を提出する
受験料は3,800円だ。電子申請の場合はインターネット決済、書面申請の場合は郵便局での払込みが基本となる。
4. 受験票を受け取る
出願が受理されると受験票が届く。試験当日は受験票のほか、筆記用具(HBの鉛筆・消しゴム)を持参する。
5. 試験を受ける
試験時間は1時間45分。筆記(30問)と実技(5問)を一度に解答する。
6. 合格発表
合格発表は消防試験研究センターのウェブサイトおよび各支部での掲示で行われる。合格者には合格通知書が届く。
合格後の手続き
試験に合格したら、都道府県知事に免状の交付申請を行う。申請に必要な書類は以下の通りだ。
- 免状交付申請書
- 合格通知書
- 写真
- 手数料(収入証紙等)
免状が交付されると、乙種第1類の消防設備士として水系消火設備の点検・整備業務に従事できるようになる。
なお、消防設備士は免状交付後も定期的な講習の受講義務がある。免状交付後2年以内に最初の講習を、その後は5年ごとに講習を受講する必要がある。
効率的な学習を始めるために
試験概要を把握したら、次は具体的な学習計画を立てる段階だ。
ぴよパスでは消防設備士乙種第1類の練習問題を公開している。出題形式に慣れるための演習ツールとして活用してほしい。
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出典
- 一般財団法人 消防試験研究センター 公式サイト(試験案内・実施状況)
- 消防法(昭和23年法律第186号・最新改正版)
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号・最新改正版)
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号・最新改正版)