消防設備士乙種第1類には科目免除の制度があります。電気工事士などの資格や、他の類の消防設備士免状を持っていると、一部の科目を解かずに済む——一見お得です。でも、免除は「使えば得」とは限りません。免除すると問題は減りますが、得点源も同時に減り、合格判定の母数まで変わります。だからこの記事では「免除すべきか」ではなく「自分の状況で得か」を判断軸で考えます。
なお、免除の対象範囲や条件は資格ごとに細かく決まっており、最終的には受験案内で必ず確認してください。本記事は判断の考え方を示すものです。
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この記事で分かること
- 科目免除を受けられるのはどんな資格・免状か
- 他類免状による法令共通6問免除で問題数・合格基準がどう変わるか
- 電気工事士の免除が乙種第1類でどう効くか
- 免除する/しないを決める判断の軸
- 申請のタイミングとよくある失敗
誰が科目免除を受けられるか
乙種第1類で科目免除の対象になりうるのは、主に次の2系統です。
- 電気系の資格を持つ人 — 電気工事士、電気主任技術者などの資格保有者。乙種第1類の筆記には基礎的知識の「電気」部分があり、ここに対して免除が認められる場合があります。
- 他の類の消防設備士免状を持つ人 — すでに別の類(乙種・甲種)の免状を持っていると、消防関係法令の共通部分などが免除されうる。甲種他類の免状なら、免除される範囲がさらに広がる場合があります。
どの科目がどこまで免除されるかは、持っている資格・免状によって異なります。自分のケースで何が免除対象かは受験案内で照合するのが前提です。
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免除で問題数・合格基準はどう変わるか
乙1の筆記科目の構成と、他類免状による法令共通免除時の比較を整理します。
| 科目 | 免除なし | 法令共通6問免除時 |
|---|---|---|
| 消防関係法令・共通 | 6問 | 免除(0問) |
| 消防関係法令・類別 | 9問 | 9問 |
| 基礎的知識 | 10問 | 10問 |
| 構造機能及び整備 | 5問 | 5問 |
| 筆記合計 | 30問 | 24問 |
- 免除なしの合格ライン:全体60% = 18問以上正解
- 法令共通6問免除後の合格ライン:全体60% = 15問以上正解
問題数が減ると「解く問題が少なくなる」というメリットがある一方、1問あたりの重みが増すというデメリットも生じます。法令共通6問が得点源になる人は、あえて免除しない方が合計点を稼ぎやすい場合があります。
免除のメリットとデメリット
免除の効果は、メリットとデメリットの両面で見る必要があります。
メリット — 解く科目が減るので、その分の対策時間を他の科目に回せます。残り時間が少ない人や、苦手な科目を免除できる人には大きな利点です。
デメリット — 免除した科目は「得点源」にもなりません。もしそこが得意分野なら、稼げたはずの点を自ら手放すことになります。さらに見落としがちなのが、免除すると問題数が減るぶん、各科目40%以上という足切りや全体60%以上を判定する母数が変わること。残った科目1問あたりの重みが増し、取りこぼしの影響が大きくなります。
電気工事士の免除はどう効くか
電気工事士の資格による免除は、基礎的知識のうち「電気に関する部分」が対象です。乙種第1類は水系消火設備が題材で機械(水理・配管・ポンプ)の比重が大きい試験ですが、電気の科目も含まれます。したがって電気工事士の免除は、乙種第1類でも電気部分に対して働きうるということです。
ただし、乙種第1類で得点の主戦場になるのは機械系・構造機能です。電気が得意で免除すると、その得意科目を得点源にできなくなる点は要注意。電気で稼げる自信があるなら、あえて免除しない選択もあります。免除の有無は「ラクさ」ではなく「トータルで何点取りやすいか」で決めましょう。
免除する/しないの判断軸
機械的に「免除する」と決めず、次の観点で自分の状況に当てはめて判断します。
- 判断軸1: 取得時期 — 他の類の免状を取得してから2年以内なら法令知識が新鮮で免除向き。5年以上経過していれば法令を再学習して得点源化する方が有利なケースが多い。
- 判断軸2: 得点予測 — オリジナル予想問題で法令共通の分野を解いてみて、6問中4問以上正解できるなら免除しない方が有利。1〜2問しか取れそうにないなら免除で守る戦略が現実的。
- 判断軸3: 残り時間 — 試験まで3ヶ月以上あれば、免除せず学習して得点源化する余地があります。1ヶ月を切っているなら、免除で範囲を絞り機械系・構造機能に集中する戦略が現実的です。
これらを総合し、「免除後も各科目40%以上・全体60%以上を満たせる見込みがあるか」を練習問題の正答率で見積もってから申請を決めてください。
申請のタイミングと失敗
免除は申込時にしか申請できません。試験当日や試験後に「やっぱり免除したい/やめたい」は通りません。電子申請なら該当欄に資格・免状の情報を入力し、書面申請なら免状・資格証のコピーを添付します。出願期間内の手続きが必須です。
よくある失敗は次のとおりです。
「免除=得」と機械的に申請する — 得意科目を捨てて損するケース。得点源かどうかを必ず確認します。
得点源を手放して足切りが厳しくなる — 問題数が減ると1問の重みが増します。免除後も各科目40%・全体60%を満たせるか見積もってから決めます。
申請を忘れる/期限を逃す — 免除は申込時のみ。該当資格・免状があるなら、番号やコピーを準備してから手続きに入ります。
まとめ
科目免除は便利な制度ですが、得点源と足切りの母数が変わるため「使えば得」とは限りません。判断は「免除した方がトータルで合格に近いか」。他類免状を持つなら法令共通6問を免除するかどうか、電気工事士を持つなら電気部分を免除するかどうか、それぞれ得点予測と残り時間を踏まえて決めましょう。
まずはオリジナル予想問題160問を解いて、免除候補の科目で自分が何点取れそうかを確かめてください。得点源になりそうなら残す、足を引っ張りそうなら免除を検討する。その判断材料を、出願前に手に入れておきましょう。なお免除の正確な範囲は、必ず受験案内で確認してから申請してください。
出典:
- 一般財団法人 消防試験研究センター 消防設備士試験 — 試験概要・出題範囲
- 消防法第17条の5(消防設備士の区分) — 甲種・乙種の規定
- 消防法施行規則第33条の6(科目免除の規定)



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