潜水士試験には、他の安全衛生系の免許試験と決定的に違う点がひとつあります。科目ごとに配点が違うことです。潜水業務 30 点・送気/潜降/浮上 25 点・高気圧障害 25 点・関係法令 20 点 —— この配り方のせいで、同じ 23 問正解でも、どの科目で取ったかによって合格と不合格に割れます。予想問題 160 問は「たくさん解いて安心する」ためではなく、この配点構造の中で自分がどこで落ちるかを先に見つけるために使うのが正解です。
結論: 「4 科目 × 10 問」を 4 セット分、得点ベースで回す教材
| 用途 | 何を見るか | タイミング |
|---|---|---|
| 範囲体感 | 条文の数値もの / 機序ものの比率 | 学習序盤 |
| 足切り危険科目の特定 | 科目別正答率が 40% に近いところ | 中盤 |
| 得点シミュレーション | 100 点満点換算で 60 点に届くか | 直前期 |
潜水士の練習問題は 4 科目 × 40 問 = 160 問を無料公開しています。本番(各科目 10 問)のちょうど 4 セット分です。
試験の前提 — 40 問・4 時間・配点は 30/25/25/20
公益財団法人 安全衛生技術試験協会の案内から、試験の骨格を先に固定します。
| 科目 | 出題数 | 配点 |
|---|---|---|
| 潜水業務 | 10 問 | 30 点 |
| 送気、潜降及び浮上 | 10 問 | 25 点 |
| 高気圧障害 | 10 問 | 25 点 |
| 関係法令 | 10 問 | 20 点 |
- 試験時間は 4 時間。40 問に対してかなり余裕があります
- 合格基準は「科目ごとの得点が 40% 以上で、かつ、その合計が 60% 以上」
- 実技試験はありません。高気圧作業安全衛生規則第 54 条が学科試験のみと定めており、免除科目も「なし」です
- 出題は五肢択一のマークシート方式です
「同じ正解数で合否が割れる」を数字で確認する
配点が科目で違うことの意味を、具体的な組み合わせで見てみます。
| 潜水業務 | 送気/潜降/浮上 | 高気圧障害 | 関係法令 | 正解数 | 得点 | 判定 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| A さん | 8 問 | 6 問 | 5 問 | 4 問 | 23 問 | 24+15+12.5+8 = 59.5 点 | ❌ 不合格 |
| B さん | 9 問 | 5 問 | 5 問 | 4 問 | 23 問 | 27+12.5+12.5+8 = 60 点 | ✅ 合格 |
どちらも 23 問正解・全科目 40% 以上で足切りはクリアしています。差は配点 30 点の潜水業務で 1 問多く取ったかどうかだけ。問題数の正答率で「57.5% だから微妙」と考えるのではなく、得点で計算する癖を予想問題の段階からつけてください。
過去問は公式 2 本だけ — 繰り返しは別に確保する
協会は実際の試験問題を「公表試験問題」として無料公開していますが、掲載は年 2 回で、潜水士についていま入手できるのは令和 8 年 4 月掲載と令和 7 年 10 月掲載の 2 本です。正答は付きますが解説はありません。
▶️ 使い分けはシンプルです。公式 2 本は「本番形式の確認」と「直前の力試し」に温存し、日々の反復は解説つきの予想問題でこなす。潜水士の練習問題は 1 問ごとに「なぜその選択肢が正しいか」まで書いてあるので、間違えた問題をその場で潰せます。
A. 1 周目: 覚え方が 2 種類あることをつかむ
潜水士の 4 科目は、覚え方の性質で 2 つに割れます。
「数値もの」— 条文の数字をそのまま問う
- 送気量 毎分 60 リットル以上、圧力調整器使用時は 毎分 40 リットル以上 + 送気圧は水深の圧力に 0.7 MPa を加えた値以上
- 浮上速度は毎分 0.08 MPa 以下、浮上後 14 時間は重激な業務に就かせない
- さがり綱は 3 メートルごとに水深表示、連絡員は潜水業務従事者 2 人以下ごとに 1 人
- 酸素分圧は 18〜160 kPa、窒素 400 kPa 以下、炭酸ガス 0.5 kPa 以下
この系統は潜水業務・送気、潜降及び浮上・関係法令に多く、数字を入れ替えただけの誤答肢が定番です。
「機序もの」— なぜそうなるかを問う
- 減圧症はなぜ減圧中・減圧後に起きるのか(溶け込んだ窒素が気泡になる)
- 肺の過膨脹による破裂はなぜ浅い水深でも起きるのか(圧力の変化の割合は浅いほど大きい)
- スクイーズはなぜ起きるのか(体表に不平均に圧が加わる)
この系統は高気圧障害が主戦場で、丸暗記より「圧力→気体→人体」の因果で覚えるほうが誤答肢に強くなります。
B. 2 周目: 足切り危険科目を特定する
1 周目の科目別正答率を出し、40% に近い科目を最優先にします。足切りは科目ごとに判定されるので、得意科目の貯金では補えません。
| 科目別正答率 | 判定 | 打ち手 |
|---|---|---|
| 40% 未満 | 🔴 足切り圏 | その科目だけを集中的に 2 周 |
| 40〜60% | ⚠️ 本番のブレで落ちうる | 間違えた問題の解説を読み直してから再挑戦 |
| 60% 以上 | 🟢 維持 | 直前期の通し演習まで温存 |
配点の重い科目から伸ばす
同じ「あと 1 問」でも、潜水業務は 3 点、関係法令は 2 点です。複数科目が同じくらい弱いなら、配点の大きい順(潜水業務 → 送気/高気圧障害 → 法令)に補強するのが得点効率の面で正解です。
C. 直前期: 40 問を得点ベースで通す
試験 2 週間前からは、40 問(各科目 10 問)を 4 時間の持ち時間を意識して通しで解きます。採点は必ず配点をかけた 100 点満点換算で行い、60 点に届いているかで判定してください。
ぴよパスのプレミアム模試は、この科目別配点(30/25/25/20)そのままで自動採点します。問題数の正答率と得点の判定がずれるケース —— さきほどの A さん・B さんの形 —— を自分の答案で体験できるのが、手動採点との違いです。
不向きな人 / 注意点
- 実技や泳力の対策を探している人 — この試験に実技はありません。学科 40 問がすべてです
- 公式の過去問を大量に回したい人 — 公式に存在するのは 2 本だけです。「探せばもっとあるはず」に時間を使わないでください
- 受験手数料は 8,800 円(学科試験共通手数料)。不合格 1 回の損失が明確なので、足切り科目を残したまま受験日を迎えないことが最大の節約です
チェックリスト
- [ ] 4 科目の配点(30/25/25/20)を言える
- [ ] 合格基準が「各科目 40% + 合計 60%」の二重基準だと理解した
- [ ] 公式の公表試験問題 2 本を保存した
- [ ] 160 問を 1 周し、科目別正答率を出した
- [ ] 40% 圏の科目を特定して集中補強した
- [ ] 数値もの(送気量・浮上速度・分圧)を横断で暗記した
- [ ] 直前期に 40 問を得点ベースで通した
まとめ
潜水士は「4 科目 × 10 問・配点違い・二重の合格基準」という構造の試験です。予想問題 160 問は、この構造の中で自分がどの科目の何点分を落とすのかを本番前に可視化するための道具として使ってください。同じ 23 問でも合否が割れる試験だからこそ、演習の段階から得点で判定する習慣が効きます。
出典
- 公益財団法人 安全衛生技術試験協会「免許試験の紹介(潜水士)」— 試験科目・出題数・配点・試験時間・合格基準
- 同協会「公表試験問題」— 掲載時期と本数(2026 年 8 月 20 日確認)
- 高気圧作業安全衛生規則(e-Gov 法令検索)— 第 54 条(学科試験のみ)ほか条文の数値








