クレーン・デリック運転士〔クレーン限定〕は、つり上げ荷重が5トン以上の天井クレーン、橋形クレーン、ジブクレーンなどのクレーンを運転するために必要な国家資格で、公益財団法人 安全衛生技術試験協会が免許試験を実施しています。受験資格はなく、学科試験は五肢択一の40問、合格基準は科目ごとに40%以上かつ合計60%以上です。
ぴよパスでは、公式の学科試験4科目を各10問、合計40問の五肢択一で練習できるオリジナル問題を用意しました。本試験の問1〜問40と同じ科目の並びで、関係法令はクレーン等安全規則と労働安全衛生法施行令の条文を根拠にしています。
学科試験の形式 (公式の紹介ページから)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実施団体 | 公益財団法人 安全衛生技術試験協会 |
| 受験資格 | 不要 (本人確認証明書の添付が必要) |
| 試験手数料 | 学科試験 8,800円 / 実技試験 14,000円 |
| 出題形式 | 五肢択一 40問 (マークシート) |
| 試験時間 | 2時間30分 (13:30〜16:00)。力学の免除者は2時間で問1〜問30 |
| 科目と配点 | クレーン及びデリックに関する知識 10問 30点 / 関係法令 10問 20点 / 原動機及び電気に関する知識 10問 30点 / クレーンの運転のために必要な力学に関する知識 10問 20点 |
| 合格基準 | 科目ごとの得点が40%以上、かつ合計が60%以上 |
| 実技試験 | クレーンの運転、クレーンの運転のための合図。学科合格後に受験 (実技教習修了1年以内なら全部免除) |
| 範囲の注意 | クレーン限定では、デリックに関する知識と法令は学科の範囲から除かれる |
科目名は「クレーン及びデリックに関する知識」ですが、クレーン限定の試験ではデリックの部分が除かれるので、実質はクレーンだけの試験です。ぴよパスの問題もデリックは扱っていません。
4科目と練習問題40問の対応
| 科目 (本試験の配点) | 練習問題で扱う内容 |
|---|---|
| クレーンに関する知識 (30点) | つり上げ荷重と定格荷重、クレーンの種類と構造、ワイヤロープのより方と端末処理、巻過防止装置の直働式と間接式、ブレーキ、給油、地切りや荷振れなど運転の取扱い |
| 関係法令 (20点) | 就業制限とつり上げ荷重、玉掛けの資格、設置届と落成検査、検査証の有効期間、定期自主検査と記録、使用の制限、玉掛用具の安全係数、立入禁止、変更届 |
| 原動機及び電気に関する知識 (30点) | 交流と直流、オームの法則、かご形と巻線形の誘導電動機、制御方式、給電装置、電気機器、導体と絶縁体、感電防止、故障の原因、計測 |
| クレーンの運転のために必要な力学に関する知識 (20点) | 力とモーメント、質量と比重、重心と安定、慣性と遠心力、摩擦、荷重の種類、応力、滑車、つり角度と張力係数 |
それぞれ10問で、正解の肢だけでなく誤りの肢についても「なぜ誤りか」を解説に書いています。本試験は「適切でないものはどれか」という出題が多く、5つの記述のうち4つは正しい知識として読めるので、解説の全肢を読むこと自体が学習になります。
配点が科目で違う — 40%の足切りをどう避けるか
合格基準は「科目ごと40%以上、合計60%以上」です。各科目は10問なので、足切りを避けるにはどの科目でも4問以上正解しなければなりません。一方、配点はクレーンに関する知識と原動機及び電気が各30点、関係法令と力学が各20点なので、合計60点への効き方は科目で違います。
例えば、クレーン知識8問 (24点)、法令8問 (16点)、電気4問 (12点)、力学4問 (8点) なら合計60点で合格ですが、電気を3問に落とすと足切りで不合格です。逆に、法令と力学を満点にしても、クレーン知識と電気が各3問なら不合格です。得意科目で稼ぐ前に、まず4科目すべてで4問の底を作る順番で解いてください。
計算問題は力学に集中し (歯車の回転数はクレーン知識にも出ます)、電卓は使えないので、比重7.8、重力加速度9.8m/s²、張力係数 (60°で1.16、90°で1.41、120°で2.0) といった数字を使った暗算に慣れておく必要があります。
関係法令は「つり上げ荷重の数字」で決まる
関係法令の10問は、ほとんどがクレーン等安全規則と労働安全衛生法施行令の数字の問題です。練習問題で扱っている数字を、条文の根拠とともに並べます。
| 論点 | 数字 | 根拠 |
|---|---|---|
| 免許が必要なクレーンの運転 | つり上げ荷重5t以上 (跨線テルハを除く) | 労働安全衛生法施行令第20条第6号 |
| 特別の教育で運転できる範囲 | 5t未満のクレーン、5t以上の跨線テルハ | クレーン等安全規則第21条 |
| 床上操作式クレーン | 5t以上でも技能講習の修了で運転できる | 同規則第22条 |
| 玉掛けの資格 | つり上げ荷重1t以上は技能講習、1t未満は特別の教育 | 同規則第221条・第222条 |
| 製造許可・設置届・落成検査 | 3t以上 (スタッカー式は1t以上) | 施行令第12条、同規則第3条・第5条・第6条 |
| 設置報告書 | 0.5t以上3t未満 | 同規則第11条 |
| 検査証の有効期間 | 原則2年。性能検査の結果で2年未満または3年以内 | 同規則第10条・第43条 |
| 定期自主検査 | 1年以内ごと (荷重試験あり)、1月以内ごと。記録は3年保存 | 同規則第34条・第35条・第38条 |
| 玉掛用具の安全係数 | ワイヤロープ6以上、フック・シャックル5以上 | 同規則第213条・第214条 |
| 暴風時の措置 | 瞬間風速毎秒30mを超えるおそれで逸走防止、吹いた後は点検 | 同規則第31条・第37条 |
クレーン等安全規則は2026年4月1日施行の改正で製造許可の手続き (設計審査) や一部の用語 (「作業に従事する者」から「作業従事者」へ) が変わっていますが、上の表の数字と義務の内容は改正前後で同じです。ぴよパスの問題は2026年1月1日施行版と4月1日施行版の両方を照合し、実体が変わっていない条文だけで作っています。
玉掛用具の安全係数や立入禁止の6類型は、玉掛け作業者側からも同じ条文で出題されます。運転士と一緒に取ることの多い玉掛け技能講習の学科は 玉掛け学科試験の練習問題40問 で練習できます。
公表問題の使い方 — 形式と時間配分の確認に
安全衛生技術試験協会は、免許試験の問題と正答を年2回 (4月と10月) PDFで公表しています。令和8年4月掲載分は令和7年7月から12月に実施した問題で、協会自身が「令和8年1月1日以降に施行された法令に対応していない」と注記しています。
公表問題は本番と同じ40問・2時間30分の配分を体験するのに向いています。ただし1回分の40問だけでは科目ごとの論点の広がりが分からないので、まずぴよパスの40問で科目ごとの弱点を見つけ、その後に公表問題を時間を計って解く順番を勧めます。ぴよパスの問題は公表問題の転載ではなく、同じ科目と形式で作ったオリジナルです。
合格率の読み方 — 学科57.3%、実技48.8% (令和7年度)
安全衛生技術試験協会の統計によると、令和7年度のクレーン・デリック運転士〔クレーン限定〕は、学科試験が受験者17,550人・合格者10,052人で合格率57.3%、実技試験が受験者1,801人・合格者878人で合格率48.8%でした。
学科の受験者に対して実技の受験者が10分の1しかいないのは、クレーン運転実技教習を修了して実技が免除される人が多いためです。同じ協会の免許試験では、二級ボイラー技士の令和7年度の合格率が52.9%、潜水士が74.4%、エックス線作業主任者が45.7%で、クレーン限定はその中間です。半数近くが落ちる試験なので、4科目の足切りを意識した準備が要ります。
申込から免許取得までの流れ
- 受験申請: オンライン申請は試験日の2か月前から14日前まで。書面の場合は郵送 (2か月前から14日前の消印) か、センター窓口への持参。申請先は受験するセンターで、定員に達すると受付が終わります。
- 学科試験: 五肢択一40問・2時間30分。試験開始後1時間は退室できません。
- 実技試験または実技教習: 学科に合格したら、引き続きセンターの実技試験を受けるか、登録教習機関のクレーン運転実技教習を修了します。学科合格の効力は試験日から1年です。
- 免許申請: 実技教習を修了した人は、免許試験結果通知書と実技教習修了証を添えて、住所地を管轄する都道府県労働局に免許を申請します。
床上運転式クレーンの実技教習を修了した人がクレーン限定の免許試験を受ける場合は、実技試験が免除にならないので、学科試験のみの受験申請にする点も公式の注意事項に書かれています。
関連記事
- 二級ボイラー技士の合格率 — 同じ協会の免許試験。科目40%の足切りの考え方は共通
- 潜水士の予想問題を無料で解く — 科目ごとに配点が違う試験の対策
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出典
- 公益財団法人 安全衛生技術試験協会「クレーン・デリック運転士〔クレーン限定〕の紹介」— 試験科目・出題数・配点・試験時間・受験資格・免除 (https://www.exam.or.jp/introduction/h_shokai206)
- 同「試験手数料」— 学科8,800円・実技14,000円 (https://www.exam.or.jp/h_tesuryo)
- 同「よくあるご質問」— 合格基準 (科目ごと40%以上かつ合計60%以上) (https://www.exam.or.jp/faq)
- 同「統計」— 令和7年度の受験者数・合格者数・合格率 (https://www.exam.or.jp/h_gokakuritsu)
- 同「公表試験問題 (労働安全衛生法に基づく免許試験)」— 公表時期と法令対応の注記 (https://www.exam.or.jp/lckohyo)
- e-Gov 法令検索「クレーン等安全規則」(昭和47年労働省令第34号)・「労働安全衛生法施行令」(昭和47年政令第318号) — 2026年1月1日および4月1日施行版

