貸金業務取扱主任者試験は、受験者の約3人に2人が落ちる試験です。日本貸金業協会が公表している直近5回の合格率は26.6〜32.5%、合格点は50問中28〜31問でした。2026年度(令和8年度・第21回)の試験は 11月15日(日)13時〜15時。申込は9月10日で締め切られているので、この記事は「申し込んだ人が、残りの約6週間で何をするか」に絞って書きます。
数字はすべて日本貸金業協会の公表(各回の「試験の結果」と試験案内)から引いています。年度で変わる値なので、受験の前に協会の最新の案内も確かめてください。
結論: 合格点は6割前後、法令27問で稼ぎ、民法で落とさない
- 合格率は直近5回で 26.6〜32.5%。令和7年度は32.5%(受験者9,878人・合格者3,208人)。
- 合格点は 50問中28〜31問(6割前後)。試験の後に試験委員会が決めるので、事前の目標は35問前後に置く。
- 出題は 法令27問・貸付けの法令と実務15問・資金需要者等の保護5問・財務及び会計3問。法令で稼ぐのが基本。
- 受験者全体の平均正答率は約5割。いちばん低いのは「貸付けの法令と実務」(民法など)で、直近3回は43.5〜46.5%。
- 残り6週間なら、法令 → 民法の基本 → 保護と会計 → 過去の試験問題を時間を計って解く、の順で進める。
2026年度(第21回)の試験の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験日 | 2026年11月15日(日) |
| 試験時間 | 2時間(13時00分〜15時00分) |
| 出題 | 50問・四肢択一 |
| 受験手数料 | 8,500円(政令で定められた額) |
| 申込期間 | 2026年7月1日(水)〜9月10日(木)(締切済み) |
| 合格発表 | 2027年1月12日(火) |
| 試験地 | 全国17地域(札幌・仙台・千葉・東京・埼玉・神奈川・群馬・名古屋・金沢・大阪・京都・神戸・広島・高松・福岡・熊本・沖縄) |
| 受験資格 | なし(学歴・年齢・国籍などの制限はない) |
実施するのは、貸金業法にもとづいて指定試験機関になっている日本貸金業協会です。試験問題は正答とともに、試験日の翌日に協会のホームページに掲載されます。過去の回の問題もここで読めるので、直前期の演習に使えます。
合格率と合格点の推移(直近5回)
| 回(年度) | 試験日 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 合格基準点 |
|---|---|---|---|---|---|
| 第16回(令和3年度) | 2021年11月21日 | 10,491人 | 3,373人 | 32.2% | 50問中31問 |
| 第17回(令和4年度) | 2022年11月20日 | 9,950人 | 2,644人 | 26.6% | 50問中28問 |
| 第18回(令和5年度) | 2023年11月19日 | 9,448人 | 2,928人 | 31.0% | 50問中31問 |
| 第19回(令和6年度) | 2024年11月17日 | 9,250人 | 2,998人 | 32.4% | 50問中30問 |
| 第20回(令和7年度) | 2025年11月16日 | 9,878人 | 3,208人 | 32.5% | 50問中31問 |
読み取れることは2つあります。
1つ目は、合格点が回によって動くことです。令和4年度は28問、ほかの年は30〜31問でした。問題が難しかった年は基準点が下がる形で調整されていると読めますが、協会が示しているのは「試験委員会が総合的に判断して決める」ということだけです。31問を目標にすると、難しい年でなければ合格点の線上で戦うことになります。目標は35問前後に置いてください。
2つ目は、合格率が毎年3割前後で安定していることです。受験者は毎年およそ1万人で、合格するのはそのうち3,000人前後です。「なんとなく勉強した」程度では、残りの7割の側に入ってしまう試験だと考えてください。
科目別の出題数と平均正答率
| 科目 | 出題数 | 令和5年度 | 令和6年度 | 令和7年度 |
|---|---|---|---|---|
| 法及び関係法令 | 27問 | 54.2% | 54.7% | 54.1% |
| 貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務 | 15問 | 43.5% | 46.0% | 46.5% |
| 資金需要者等の保護 | 5問 | 51.2% | 46.5% | 62.1% |
| 財務及び会計 | 3問 | 57.8% | 50.5% | 54.1% |
| 全試験科目 | 50問 | 50.9% | 51.0% | 52.6% |
※平均正答率は受験者全体の値です(日本貸金業協会「試験の結果」)。
受験者全体の平均は5割強で、合格に要る6割前後との差はあと5問ほどです。この5問をどこで取るかが勉強の設計になります。
- 法令(27問): 配点の半分以上を占めます。平均正答率は54%前後。ここを7割(19問前後)まで上げると、合格点の大半がここで埋まります。
- 貸付けの法令と実務(15問): 民法・犯罪収益移転防止法・倒産や民事執行の手続などで、平均正答率がいちばん低い科目です。満点を狙う科目ではなく、基本の論点で半分強を取る科目と割り切ると時間を使いすぎません。
- 保護(5問)と財務会計(3問): 合わせて8問。年によって正答率が大きく動きます。範囲が狭いので、短い時間で基本を押さえれば取りこぼしを減らせます。
難しく感じる3つの理由
1. 範囲が法令から会計まで広い
貸金業法だけでなく、利息制限法・出資法、民法、個人情報保護法、消費者契約法、景品表示法、さらに企業会計の基本まで出ます。1つの法律を深く読む試験ではなく、複数の法律の要点を横に並べて覚える試験です。
2. 数字と例外が多い
たとえば利息制限法の上限は、元本が10万円未満なら年2割、10万円以上100万円未満なら年1割8分、100万円以上なら年1割5分です(利息制限法第1条)。総量規制では、個人への貸付けで、年収などの3分の1を超えることになる契約が原則として禁じられます(貸金業法第13条の2。住宅資金の貸付けなど除外や例外になる契約があります)。数字そのものに加えて「何が除かれるか」が問われるので、数字と例外を対にして覚える必要があります。
3. 合格点が事前に分からない
合格基準点は試験の後に決まります。そのため「何問取れば安全か」を自分で決めておかないと、勉強の終わりが見えません。上の表から、35問を安全圏、31問を最低線と置くのが現実的です。
一夜漬けで受かるか
正直に言うと、勧めません。平均正答率が5割前後の試験で、合格には6割前後が要ります。しかも範囲は法令から会計まで広く、一晩で全科目を通すのは現実的ではありません。
ただし、直前に伸ばしやすい部分はあります。
- 数字: 利息制限法の上限金利、総量規制の「3分の1」、書面の交付や帳簿の保存期間などの数字は、直前の数日でも覚えられます。
- 形式への慣れ: 協会のホームページに掲載された過去の試験問題を、2時間を計って1回でも通しで解くと、時間配分の感覚がつかめます。
試験まで6週間ある今なら、一夜漬けに頼る必要はありません。次の進め方で間に合います。
試験まで6週間の進め方(2026年10月5日〜11月14日)
勉強時間の公式の目安はありません。平日1時間半・休日4時間で計算すると、6週間でおよそ90時間になります。この時間を次の順に割り振ります。
1〜2週目(〜10月18日): 法令の柱を通す
貸金業法の登録と主任者の配置、広告と勧誘、契約の書面、取立ての規制、返済能力の調査と総量規制。あわせて利息制限法と出資法の上限金利と、みなし利息の考え方。テキストで1周したら、すぐに問題を解いて「数字と例外」を確かめます。
3週目(〜10月25日): 民法の基本に絞る
意思表示(錯誤・詐欺)、代理と表見代理、消滅時効、保証(とくに個人の根保証)、債権譲渡の対抗要件、相続の放棄。平均正答率が低い科目なので、細かい論点に入り込まず、基本の型を一通り押さえます。
4週目(〜11月1日): 保護と財務会計を仕上げる
個人情報保護法と金融分野のガイドライン、消費者契約法の取消し、景品表示法、協会の自主規制。財務会計は企業会計原則の一般原則と、貸借対照表・損益計算書の基本。合わせて8問なので、ここは短期で済ませます。
5週目(〜11月8日): 過去の試験問題を時間を計って解く
協会のホームページに掲載された過去の回の問題を、2時間を計って通しで解きます。2〜3回分を解き、間違えた問題は科目ごとに書き出します。正答率が6割を超えるかを、ここで初めて確かめます。
最終週(〜11月14日): 間違えた論点と数字だけを回す
新しい範囲には手を出さず、5週目に書き出した論点と、金利・期間・金額などの数字を繰り返します。前日は早めに休んでください。
ぴよパスの練習問題の使い方
ぴよパスでは、貸金業務取扱主任者のオリジナル練習問題を科目ごとに無料で解けます。本試験の問題の写しではなく、出題範囲にそって独自に作った予想問題で、すべての選択肢に理由を付けています。
- 1〜2週目: 返済能力の調査・総量規制と金利の規制(利息制限法・出資法)で、数字と例外を確かめる。
- 3週目: 民法(意思表示・代理・時効・契約)と民法(保証・債権・担保・相続)で、基本の型を一通り解く。
- 4週目: 資金需要者等の保護と財務及び会計で仕上げる。
本試験と同じ配分(法令27・実務15・保護5・財務3)の50問・2時間の模擬試験は Premium の機能です。過去の試験問題を解き終えたあとの、もう1回分の通し演習に使えます。
まとめ
- 合格率は約3割(直近5回で26.6〜32.5%)、合格点は50問中28〜31問。
- 法令27問で稼ぎ、平均正答率の低い民法は基本で半分強を取る。
- 目標は35問。合格点は試験の後に決まるので、31問を目標にしない。
- 残り6週間は、法令 → 民法 → 保護と会計 → 過去の試験問題の順。直前は数字と間違えた論点だけを回す。
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出典
- 日本貸金業協会「令和8年度 貸金業務取扱主任者資格試験の概要」(試験日・試験時間・出題形式・受験手数料・試験地): https://www.j-fsa.or.jp/chief/qualifying_exam/enforcement.php
- 日本貸金業協会「貸金業務取扱主任者資格試験」(申込期間・合格発表日): https://www.j-fsa.or.jp/chief/qualifying_exam/
- 日本貸金業協会「よくあるご質問(資格試験)」(合格基準点の決め方・受験資格・試験問題の掲載): https://www.j-fsa.or.jp/chief/faq/qualifying_exam.php
- 日本貸金業協会「試験の結果」第16回〜第20回(受験者数・合格者数・合格率・合格基準点・科目別出題数及び平均正答率): https://www.j-fsa.or.jp/chief/qualifyingexam/examresult/20th/announce1.php ほか
- 利息制限法 第1条、貸金業法 第13条の2(e-Gov 法令検索、2026年4月1日時点)

