FP2級の計算で手が止まったら、数字を電卓へ入れる前に、「何に率を掛けるか」「いつの金額か」「何年分か」を書き出してみてください。公式を知っていても、この条件が違うと答えは変わります。
投資信託の買付金額、教育資金の積立、死亡保障の不足額を、3つの独自例で解きます。すべて学習用に条件を限定した例で、実商品の利率・手数料や個人の必要保障額を示すものではありません。学科の一部を扱い、6分野全体や実技を網羅する内容ではありません。
手数料込みの予算から、買付金額を求める
例:購入時手数料を含めて61万2,000円使える。手数料は、手数料を除いた買付金額の2.0%(税込)で、買付金額に加算して支払う。予算を使い切ると、買付金額はいくらか。 ほかの費用・端数処理は考えません。
数字を拾うときは、61万2,000円と2.0%をすぐ掛けずに、役割を分けます。
| 条件 | 式での役割 |
|---|---|
| 61万2,000円 | 買付金額と手数料を合わせた総額 |
| 買付金額 | 求める額。X円と置く |
| 2.0% | X円に掛ける率 |
手数料は「X × 0.02」円です。買付金額と足して予算に合わせると、式が決まります。
X + X × 0.02 = 612,000
同じXをまとめると、X × 1.02 = 612,000。したがって、X = 612,000 ÷ 1.02 = 600,000円です。
買付金額60万円に、手数料60万円 × 2% = 1万2,000円を足すと、61万2,000円。予算と一致するので検算できます。
「予算から2%を引く」と、どこが違うのか
612,000 × 0.98 = 599,760円という式は、予算全体の2%を手数料とみなしています。与えられた条件は「買付金額の2%」なので、率を掛ける対象が違います。
この例の2%は税込という条件です。さらに消費税を加える必要はありません。実際の投資信託には購入時手数料がないものもあり、費用はファンド・販売会社によって異なります。費用の種類は資産運用業協会の解説で確認できます。
別の予算額で式を立て直すなら、買付金額を求める四択問題へ進めます。
教育資金の積立は、金額を同じ時点にそろえる
例:3年後に200万円を用意したい。今ある100万円を直ちに運用し、それとは別に毎年末、同額を3回積み立てる。毎年の積立額はいくらか。 年複利2%が3年間続く計算上の仮定とし、税・費用はありません。最終答えは万円単位で小数第3位を四捨五入します。
使用する係数は、終価係数1.061208、年金終価係数3.0604です。この例では途中で丸めず、最後にだけ指定の処理をします。
| お金 | 現在の状態 | 3年後の金額 |
|---|---|---|
| 今ある資金 | 100万円を一括で運用 | 100 × 1.061208 |
| これから積む資金 | 毎年末にX万円ずつ | X × 3.0604 |
| 目標 | 3年後に必要 | 200万円 |
今ある資金を先に3年後へ移す
終価係数は、一括で持つ資金を複利で運用した後の金額を求めるために使います。この例では、1.02 × 1.02 × 1.02 = 1.061208です。
今の100万円は、3年後には 100 × 1.061208 = 106.1208万円。残りを毎年の積立で用意します。
積立で用意する将来額 = 200 − 106.1208 = 93.8792万円
毎年末の積立は、運用される長さが違う
毎年X万円ずつ積んでも、3回すべてが3年間運用されるわけではありません。
| 積み立てる時点 | 3年後までの運用期間 | 3年後の金額 |
|---|---|---|
| 1年目の年末 | 2年間 | X × 1.02 × 1.02 |
| 2年目の年末 | 1年間 | X × 1.02 |
| 3年目の年末 | 0年間 | X |
3つを足すと、X ×(1.0404 + 1.02 + 1)= X × 3.0604。これが、この条件で使う年金終価係数の中身です。
X = 93.8792 ÷ 3.0604 = 30.675467…万円。指定どおり丸めると、毎年 約30.68万円です。
検算は、丸める前のXを使い、「106.1208 + X × 3.0604 = 200万円」となることを確かめます。年末ではなく年初に積む条件なら、各回の運用期間が変わるため、この係数をそのまま使えません。
今の100万円をそのまま引いてはいけない理由
(200 − 100)÷ 3.0604 とすると、今ある資金の運用益を無視してしまいます。反対に、200 ÷ 3.0604 は、今の100万円を全く使わない計算です。
一括資金と毎年の積立を別々に考え、両方を「3年後の金額」にしてから足すことが、この例の要点です。条件を変えて確認するなら、5年後の教育資金を求める四択問題を解いてみてください。
死亡保障の不足額は、期間と差引済みの資金を分ける
例:次の家計条件で、追加で準備する死亡保障の目安を求める。 金額はすべて手取りの仮定額で、収入・資産・保険金に重複はありません。運用、物価変動、現在価値への割引は考えません。
まずは毎年の収支です。表の収入には、公的年金等と就労収入を含みます。
| 期間 | 年間支出 | 年間収入 |
|---|---|---|
| 第1期:8年間 | 280万円 | 220万円 |
| 第2期:12年間 | 240万円 | 170万円 |
これとは別に、一時支出480万円が必要です。充当できる金融資産400万円、死亡退職金200万円、既存の死亡保険金500万円があり、これらは上の年間収入に含めていません。
年間の不足を出してから、その期間の年数を掛ける
第1期は、(280 − 220)× 8 = 480万円。
第2期は、(240 − 170)× 12 = 840万円。
第1期の年間不足60万円を全20年へ掛けると、第2期の年間不足70万円を扱えません。支出だけでなく収入も変わるため、それぞれ引き算をしてから年数を掛けます。
一時支出を加えると、480 + 840 + 480 = 1,800万円を補う必要があります。ここから、すでに用意できる資金を差し引きます。
1,800 − 400 − 200 − 500 = 700万円
この設例の追加保障の目安は700万円です。検算すると、金融資産400万円 + 退職金200万円 + 既存保険500万円 + 追加700万円 = 1,800万円となります。
「必要保障額」と「追加で準備する額」を取り違えない
既存保険500万円を引く前の1,200万円と、引いた後の700万円は別の数字です。設問がどちらを求めているかを確認します。また、年間収入の中に既存保険金を含めた条件なら、最後に同じ保険金をもう一度引いてはいけません。
実際の保障額は、家族構成や収入・資産等によって変わります。生命保険文化センターは、見込まれる支出から収入や自己資産を引き、不足額を考える方法を説明しています。上の700万円は、このページの限定した設例での答えです。
期間別の収入項目も読み取って練習するなら、必要保障額を求める四択問題へ進めます。
次の問題では、計算前に条件をひと言で書く
3つの例に共通するのは、計算対象を決めてから式にすることです。次の問題で答えが合わなかったら、最初に書いた式へ戻って確認します。
- 手数料の問題:「率を掛けるのは買付金額」と書けたか。
- 積立の問題:「今あるお金も積立も目標時点へ(この例では3年後)」とそろえたか。
- 保障の問題:「期間別に不足を出し、既存の資金は一度だけ引く」と整理できたか。
式を立てられたら、最後は答えを元の条件へ代入して検算します。買付金額に手数料を足すと予算に戻るか、将来額が目標に届くか、必要額と用意できる資金が一致するかを見ると、計算途中の取り違えを探せます。
直前期に計算分野をどこまで復習するかは、FP2級の直前対策で整理しています。実技の設例・解答形式は団体と業務別の実技対策へ。本文で扱わなかった分野まで学ぶ教材は、FP2級のテキスト・問題集の案内から確認できます。
出典と例の作成条件
- 日本FP協会:2級FP技能検定の出題範囲・細目 — ライフプランニング、生命保険、投資信託等の範囲を確認。上の3例だけで全細目を扱うものではありません。
- 資産運用業協会:投資信託のコスト — 購入時手数料と費用の確認先。
- 生命保険文化センター:生命保険の「商品」の選び方 — 支出・収入・自己資産から死亡保障の必要額を考える方法。
確認日:2026年9月7日。設例の金額・利率・期間はぴよパス編集部が作成した学習用の仮定です。複利の係数は本文の乗算と足し算から算出しています。公式試験問題や他社の計算例の転載ではありません。

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