登録販売者試験の第1章では、医薬品の副作用等にかかる訴訟が毎回のように問われます。多くの人がここで、訴訟名・原因になった医薬品・被害の内容・その後にできた制度、という4列の表を丸暗記しようとして混ざります。ところがこの範囲には、覚える量を一気に減らす軸が1本あります。原因が化学物質だったのか、生物由来のものだったのか——これだけで、後につながる救済制度が決まります。本記事ではその軸を立て、そこから表の各行を導けるようにします。試験範囲は改訂されるため、最終確認は厚生労働省が公表する「試験問題の作成に関する手引き」の最新版で行ってください。
結論:覚えるのは「原因の種類」ひとつ
訴訟ごとに制度名を暗記すると、選択肢で入れ替えられたときに手掛かりが残りません。順番を変えます。
| 覚え方 | 制度を入れ替えられたとき |
|---|---|
| 訴訟名と制度名を対で暗記する | 気づけない (どちらも固有名詞なので違和感が出ない) |
| 原因の種類から制度を導く | 気づける (原因が化学物質なのに生物由来の制度が並んでいたら合わない) |
軸は「化学物質か、生物由来か」
原因になったものを2つに仕分けます。
| 原因の種類 | 該当する訴訟 | つながる制度の方向 |
|---|---|---|
| 化学物質 | サリドマイド、スモン | 医薬品の副作用による被害の救済 |
| 生物由来 | HIV、CJD、C型肝炎 | 生物由来製品の安全対策と感染被害の救済 |
制度名に「生物由来」や「感染」が入っているかどうかが、そのまま手掛かりになります。副作用と感染は別の言葉なので、ここを取り違えなければ制度側は迷いません。
5つの訴訟を「原因 → 製品 → 被害」で置く
表は縦に4列ではなく、原因から製品、被害へと横に流れる3つの段として持つと復元しやすくなります。
| 訴訟 | 原因 | 販売されていた製品 | 主な被害 |
|---|---|---|---|
| サリドマイド | サリドマイド (化学物質) | 催眠鎮静剤 (のちに胃腸薬にも配合) | 妊娠中の使用により出生児に四肢欠損等 |
| スモン | キノホルム (化学物質) | 整腸剤 | 亜急性脊髄視神経症 |
| HIV | HIV (ウイルス) | 血液凝固因子製剤 | HIV感染 |
| CJD | プリオン (タンパク質) | ヒト乾燥硬膜 | クロイツフェルト・ヤコブ病 |
| C型肝炎 | C型肝炎ウイルス | フィブリノゲン製剤等 | C型肝炎ウイルス感染 |
製品のカテゴリが5つとも違うのが救い
催眠鎮静剤・整腸剤・血液凝固因子製剤・ヒト乾燥硬膜・フィブリノゲン製剤。同じ種類の製品が2つ出てこないので、製品名さえ拾えれば訴訟は一意に決まります。ここは取り違えにくい列です。
迷うのは「原因」と「制度」の列だけ
被害の内容は原因から素直に出てきます (ウイルスが原因なら感染症、化学物質が原因なら中毒や催奇形性)。実際に迷うのは原因の種類と制度の対応だけなので、そこに絞って確認してください。
規則が効く場面:制度をその場で導く
サリドマイド訴訟とスモン訴訟は、いずれも化学物質による副作用の被害でした。これを契機に、副作用による健康被害を救済する仕組みが作られています。
一方、HIV訴訟とCJD訴訟は、生物に由来するものが製品を介して感染した被害です。こちらを踏まえて、生物由来製品の安全対策が強化され、感染等による被害を救済する仕組みが作られました。
「副作用」と「感染」を言い分ける
| 原因 | 起きたこと | 制度の言葉 |
|---|---|---|
| 化学物質 | 副作用 | 医薬品副作用被害救済制度 |
| 生物由来 | 感染 | 生物由来製品による感染等被害救済制度 |
制度名の中の1語が、原因の種類とそのまま対応しています。 丸暗記ではなく、この対応を1回声に出して確認してください。
C型肝炎は「血液製剤」の並びで捉える
C型肝炎訴訟は、止血のために用いられた製剤を介した感染です。HIV訴訟と同じく血液に由来する製剤なので、生物由来の側に並べれば位置を見失いません。
定番の引っかけを3つだけ潰す
引っかけ1:サリドマイドの光学異性体
サリドマイドには2種類の光学異性体があり、催奇形性を示すのは一方だけです。ここで作られる誤りは、「催奇形性のない側だけを用いれば安全である」という趣旨の記述です。
実際には体内で相互に変換されるため、一方だけを分離して製剤にしても被害は避けられません。「分離できない」のではなく「分離しても体内で戻る」——この言い方の違いが判定の分かれ目になります。
引っかけ2:スモンは「整腸剤」
キノホルム製剤は整腸剤として販売されていました。選択肢では「胃腸薬」と書き換えられることがあります。胃腸薬と整腸剤は別の語として扱ってください。なお、サリドマイドの側は催眠鎮静剤として販売され、のちに胃腸薬にも配合されています。胃腸薬という語が出てくるのはサリドマイド側、と紐づけておくと逆に強い手掛かりになります。
引っかけ3:プリオンは細菌でもウイルスでもない
CJDの原因であるプリオンはタンパク質の一種で、細菌でもウイルスでもありません。ここは「病原体=細菌かウイルス」という思い込みを突いてくる箇所です。生物由来ではあるが微生物ではない、という位置づけで覚えてください。
やりがちな失敗と回避策
失敗1:制度名を単独で暗記する
制度名は長く似ているため、単独で覚えると入れ替えに気づけません。必ず原因の種類とセットで持ってください。 第1章全体の組み立ては登録販売者 第1章の攻略で扱っています。
失敗2:語呂だけで済ませようとする
語呂は訴訟名を思い出すフックとしては有効ですが、組み合わせの正誤を問う設問には直接効きません。語呂で名前が出たら、原因と製品に戻る往復をセットにしてください。語呂そのものの整理は登録販売者 成分の語呂合わせにまとめています。
失敗3:表を眺めるだけで演習に入らない
表を作った直後は理解できた気になりますが、選択肢の中で判定できるかは別の能力です。登録販売者の練習問題で、実際の選択肢の形で組み合わせが崩れていないか判定する練習ができます。
失敗4:第1章を軽く見る
訴訟は第1章の中では配点の大きい論点ではありませんが、確実に取れる範囲です。難しい第3章に時間を寄せる前に、ここを固めておくと総得点が安定します。章ごとの重みは登録販売者 第4章 法規の攻略とあわせて確認してください。
まとめ:持ち帰るのは軸1本と引っかけ3つ
- 軸 — 原因が化学物質か生物由来か。これだけで制度の方向が決まる
- 製品 — 催眠鎮静剤・整腸剤・血液凝固因子製剤・ヒト乾燥硬膜・フィブリノゲン製剤。5つとも種類が違う
- 言葉の対応 — 化学物質なら「副作用」、生物由来なら「感染」
- 引っかけ3つ — 光学異性体は体内で変換される / スモンは整腸剤 / プリオンは細菌でもウイルスでもない
出典:
- 厚生労働省 登録販売者試験問題の作成に関する手引き — 第1章「医薬品に共通する特性と基本的な知識」(2026年8月7日確認)
試験範囲や表現は改訂されることがあります。最終確認は手引きの最新版で行ってください。











