銀行や保険会社に入って「特別会員二種を受けてください」と言われ、普通の証券外務員二種と何が違うのかを調べている人は多いはずです。結論から言うと、特別会員二種は、銀行・保険会社などの役職員だけが所属先を通して受ける試験 で、一般の人向けの二種とは別の試験です。ただし、出題の科目や問題数は一般には公開されていません。
この記事では、日本証券業協会の「外務員資格試験」「外務員」のページ、「外務員等資格試験に関する規則」「協会員の外務員の資格、登録等に関する規則」、令和7年度の事業報告(いずれも2026年10月20日に確認)から、確かめられることだけを整理します。
特別会員の試験は3つ。一般の人は受けられない
外務員等資格試験に関する規則 第3条は、試験を6種類に分けています。このうち3つが特別会員の試験です。
| 試験 | 受けられる人(規則 第4条) |
|---|---|
| 特別会員一種外務員資格試験 | 特別会員又は特定業務会員の一部(特別会員等)が、受けさせる必要があると認める人 |
| 特別会員二種外務員資格試験 | 特別会員が、受けさせる必要があると認める人 |
| 特別会員内部管理責任者資格試験 | 特別会員等の役員、又は特別会員等が受けさせる必要があると認める人のうち、特別会員一種外務員の資格を持つ人 |
協会の「外務員資格試験」のページは、特別会員一種外務員資格試験について「銀行等の預金取扱金融機関及び保険会社等の役職員のみを受験対象とする試験」と書き、一般の人が受けられるのは一種・二種外務員資格試験だと明記しています。プロメトリックで一般の人が申し込めるのも、一種と二種の2つだけです。
「特別会員」は資格の上下を表す言葉ではなく、日本証券業協会に入っている会社(協会員)のうち、銀行などの側の区分 です。協会の「外務員」のページは外務員資格を6つ(一種・二種・特別会員一種・特別会員二種・特別会員四種・信用取引)に分けていて、上の試験規則の6種類とは中身が違います(内部管理責任者を含まない)。外務員資格の6つは証券外務員の資格は6種類あるにまとめています。
科目・問題数・合格基準は公開されていない
一般の一種・二種については、協会のページに出題科目・問題数・配点・試験時間・合格基準の表があります(二種は○×50問・五肢選択20問、300点満点の7割で合格、2時間)。ところが 特別会員の試験については、同じ表がどこにもありません。
規則 第5条第2項は、「試験の科目、出題の範囲、問題の形式及び数、時間、合格判定基準等については、試験の種類ごとに委員会がこれを定める」としています。協会は、会社を通して受ける人に、受験の注意事項や合否を 所属する会社の人事部等で確かめる よう案内しています。協会が販売している「外務員必携」も、ページに載っているのは2026年版の全4巻の1種類だけで、特別会員向けの版の案内はありません。
進む 試験の形式・範囲・教材は、会社の人事部や研修の担当者から渡される案内で確かめてください。インターネット上の「特別会員二種の問題数」などの情報は、協会が一般に公開しているものではありません。
合格率は約41% — 事業報告の人数から計算
協会は特別会員の試験の合格率を公表していませんが、事業報告(令和7年度・2025年4月〜2026年3月)に受験者数と合格者数があります。
| 試験 | 受験者数 | 合格者数 | 合格者÷受験者(計算) |
|---|---|---|---|
| 特別会員二種外務員資格試験 | 14,281名 | 5,851名 | 約41.0% |
| 特別会員一種外務員資格試験 | 5,179名 | 1,910名 | 約36.9% |
| 特別会員内部管理責任者資格試験 | 1,465名 | 1,399名 | 約95.5% |
| (参考)二種外務員資格試験・一般受験者 | 3,753名 | 2,557名 | 68.1%(協会の公表値) |
| (参考)一種外務員資格試験・一般受験者 | 7,408名 | 5,418名 | 73.1%(協会の公表値) |
(人数は日本証券業協会 事業報告 第3編 資料の「資格試験の実施状況」。特別会員の3つの試験の割合はぴよパスの計算で、協会の公表値ではありません。参考の2行の率は、協会の「外務員資格試験」のページの公表値です)
特別会員二種の合格者は受験者の4割ほどで、一般受験者の二種より低い数字です。差の理由を協会は公表していません。受かりやすい試験だと見込まず、時間を取って準備してください。
一般の二種の合格でも、特別会員二種外務員として登録できる
外務員として働くには、試験の合格に加えて 外務員登録 が要ります。どの試験の合格で、どの外務員として登録できるかは、協会員の外務員の資格、登録等に関する規則 第4条が決めています。
| 登録する外務員の種類 | 登録の要件(規則 第4条) |
|---|---|
| 一種外務員 | 一種外務員資格試験の合格 |
| 二種外務員 | 二種外務員資格試験の合格、又は新任外務員課程研修の修了 |
| 特別会員一種外務員 | 一種外務員資格試験又は 特別会員一種外務員資格試験の合格 |
| 特別会員二種外務員 | 二種外務員資格試験若しくは 特別会員二種外務員資格試験の合格、又は新任外務員課程研修の修了 |
一般の一種・二種の合格は特別会員の外務員の登録にも使えますが、逆は成り立ちません。協会は「特別会員一種、特別会員二種及び特別会員四種の資格は、証券会社の外務員資格としては有効ではありません」としています。
実際に、特別会員とその委託先の役職員(事業報告の「特会等」)は、令和7年度に、特別会員向けではない 一種外務員資格試験を23,291名、二種外務員資格試験を3,510名 受けています。2025年12月末の時点で特別会員に登録されている外務員は、一種229,271名・二種22,350名・特別会員一種32,600名・特別会員二種20,997名でした。
進む どの試験を受けさせるかは所属先が決めます。将来、証券会社で働く可能性があるなら、一般の二種(または一種)を受けられないかを人事部等に相談する価値はあります。
特別会員二種外務員の職務から外れるもの
協会員の外務員の資格、登録等に関する規則(外務員規則)第2条第6号は、特別会員二種外務員を、金融商品取引法 第33条第2項に掲げる業務の一部に係る外務員の職務を行える者と定め、次の有価証券と取引に係る業務を除いています(同号のただし書きで、外務員規則 第4条の2第1項第3号又は第2項に当たる一部の人は、特定店頭デリバティブ取引等に係る職務ができるとされています)。
- 新投資口予約権証券
- 店頭デリバティブ取引に類する複雑な仕組債
- 店頭デリバティブ取引に類する複雑な投資信託
- レバレッジ投資信託
- 有価証券関連デリバティブ取引等
- 選択権付債券売買取引
複雑な商品やデリバティブを扱えない点は、一般の二種外務員と同じ方向です(一般の二種も、信用取引・デリバティブ取引などの職務はできません)。
落ちたら30日、すべての試験が受けられない
特別会員の試験も、外務員等資格試験に関する規則 第9条の対象です。不合格だと受験日から30日を経過する日まで、特別会員の試験だけでなく一般の一種・二種を含む6つの試験のどれも受けられません。くわしくは証券外務員に不合格だったらにまとめています。
ぴよパスで準備するときの注意
ぴよパスの問題は、一般の人も受けられる証券外務員二種(434問・6分野)と一種(394問・4分野)の範囲で作ったオリジナル予想問題で、特別会員の試験の問題ではありません。特別会員二種の出題範囲は公開されていないので、ぴよパスの二種の問題がどこまで重なるかは言い切れません。
使い方としては、所属先から渡された出題範囲と見比べて、重なる分野(たとえば金融商品取引法と関係法令・債券業務・投資信託・投資法人に関する業務のうち範囲に入っているもの)だけを解くのが安全です。一般の二種を受けることになった人は、本番と同じ○×50問・五肢20問・120分の模擬試験で7割を確かめられます(Premium・月980円。本試験の合否を判定するものではありません)。
まとめ
- 特別会員二種は、銀行・保険会社などの特別会員が受けさせる役職員だけが、所属先を通して受ける試験。一般の人は受けられない。
- 科目・問題数・合格基準は委員会が定め、一般には公開されていない。形式と範囲は所属先の案内で確かめる。
- 令和7年度は受験者14,281名・合格者5,851名(計算で約41%)。一般受験者の二種(68.1%)より低い。
- 一般の二種の合格でも特別会員二種外務員として登録できる。逆に、特別会員の資格は証券会社では通用しない。
- 落ちたら30日、一般の試験も含めて協会のすべての試験を受けられない。
関連記事
出典
- 日本証券業協会「外務員資格試験」(一般が受けられる試験・一種と二種の試験の概要・特別会員一種外務員資格試験の受験対象): https://www.jsda.or.jp/gaimuin/shiken.html
- 日本証券業協会「外務員」(一種と二種の職務・特別会員の資格は証券会社の外務員資格として有効でない): https://www.jsda.or.jp/gaimuin/gaiyou.html
- 日本証券業協会「外務員等資格試験に関する規則」第3条・第4条・第5条・第9条: https://www.jsda.or.jp/about/kisoku/files/201020_shikakushiken.pdf
- 日本証券業協会「協会員の外務員の資格、登録等に関する規則」第2条・第4条: https://www.jsda.or.jp/about/kisoku/20240401_gaimuin.pdf
- 日本証券業協会「外務員必携」(2026年版・全4巻): https://www.jsda.or.jp/gaimuin/hikkei.html
- 日本証券業協会 令和7年度 事業報告 第3編 資料(資格試験の実施状況・特別会員の外務員数): https://www.jsda.or.jp/about/gaiyou/files/20260615_jigyouhoukoku03.pdf
- プロメトリック「外務員資格試験」(一般に開放した試験・一種と二種): https://www.prometric-jp.com/examinee/test_list/archives/17
2026年10月20日に日本証券業協会とプロメトリックのページで確かめました。
※ ぴよパスは日本証券業協会・プロメトリックとは関係のない学習サイトです。試験名は試験を特定するために使っています。











