最初に確認するのは「どの条件の数値か」
甲4の製図を練習するときは、数値と、その数値を使える条件を一緒に確かめます。この記事は感知面積・警戒区域・空気管の条件を確認するための資料です。平面図と系統図を描く順序は製図対策の手順にまとめています。
本試験の実技は記述式で、免除なしでは鑑別等5問と製図2問です。実技の合格基準は成績60%以上ですが、確認した公式資料では大問ごとの配点や部分点の具体値は確認できません。覚えた値の個数や途中までの作図から、得点・合否を換算しないでください。
この記事の法令は2026年9月10日時点で確認しました。センターのFAQでは改正法令は施行日以降に実施する試験から出題すると案内されています。受験日が後になる場合は改正と教材の正誤表も確認します。
感知器の個数を計算する例
差動式スポット型2種を、特定主要構造部を耐火構造とした部分の、取付け面の高さ3mに設けるとします。以下は面積による最低個数を比べる計算例です。実際の配置では設置場所や取付位置などの条件も確認します。
| 条件 | 計算 | 面積から求める個数 |
|---|---|---|
| 120㎡が一つの感知区域 | 120÷70=約1.71を切り上げ | 2個以上 |
| 40㎡ずつ三つの感知区域 | 各区域で40÷70=約0.57を切り上げ | 各1個、計3個以上 |
部屋全体の面積が同じでも、感知区域が違うと個数が変わります。規則第23条第4項第3号ロは、壁又は取付け面から0.4m以上突出したはり等による区画を感知区域としています。差動式分布型感知器又は煙感知器を設ける場合は0.6m以上です。図面のはりの高さを読む前に面積を割らないようにしてください。
警戒区域は面積と一辺を別々に確認する
消防法施行令第21条第2項第2号は、一つの警戒区域を600㎡以下、一辺50m以下としています。別表第三に定める光電式分離型感知器を設置する場合の一辺は100m以下です。
例えば、光電式分離型の条件に当たらない52m×11mの区画は572㎡で面積基準内ですが、一辺52mは50mを超えます。面積だけで一つの警戒区域にできるとは判断できません。
主要な出入口から内部を見通せる場合には面積を1,000㎡以下にできますが、この緩和は面積だけです。一辺の条件は残ります。また同項第1号の原則として二以上の階にわたらない条件と、省令で定める例外も確認します。
感知面積表を読むときの比較
次の表は規則第23条からの抜粋です。試験範囲のすべてを示すものではありません。「耐火」は特定主要構造部を耐火構造とした防火対象物又はその部分を表します。
| 感知器 | 耐火・4m未満 | その他・4m未満 | 耐火・4m以上8m未満 | その他・4m以上8m未満 |
|---|---|---|---|---|
| 差動式スポット型2種 | 70㎡ | 40㎡ | 35㎡ | 25㎡ |
| 定温式スポット型1種 | 60㎡ | 30㎡ | 30㎡ | 15㎡ |
構造を「その他」に変える比率は一定ではありません。差動式2種は70→40、定温式1種は60→30です。また、その他の構造で高さが4m以上になると、差動式2種は40→25で半分にはなりません。元の値を二度半分にして答えを作らず、種別・構造・高さの欄を選びます。
煙感知器の面積表(第7号ホ)は廊下・通路・階段・傾斜路を除く感知区域の表で、構造による区分がありません。1種・2種は4m未満で150㎡、4m以上20m未満で75㎡という欄があります。ただし、2種を15m以上で使えるという意味ではありません。 次の種別制限も同時に満たす必要があります。
面積の前に「そもそも使えるか」を見る (もう 1 つの表)
感知面積の表と別に、規則第 23 条第 4 項第 2 号が「取付け面の高さごとに使える種別」を定めている。面積を計算する前に、その高さでその感知器が使えるかを先に見る。
| 取付け面の高さ | 使える種別 (抜粋) |
|---|---|
| 4m 未満 | 差動式スポット型・差動式分布型・補償式スポット型・定温式・イオン化式スポット型・光電式スポット型 |
| 4m 以上 8m 未満 | 上記のうち定温式は特種と 1 種のみ、イオン化式・光電式は 1 種と 2 種のみ |
| 8m 以上 15m 未満 | 差動式分布型・イオン化式スポット型 1 種と 2 種・光電式スポット型 1 種と 2 種 |
| 15m 以上 20m 未満 | イオン化式スポット型 1 種・光電式スポット型 1 種のみ |
この表を知らないと、感知面積表の「4m 以上 20m 未満 = 75m²」を光電式 2 種に当てて 18m の天井に置いてしまう。面積表は 20m 未満まで書いてあるが、2 種が使えるのは 15m 未満までである。2 つの表は別々の条件を定めていて、両方を満たす必要がある。
同じ理由で、感知面積表の 4m 以上 8m 未満の欄で定温式 2 種が空欄になっているのも、第 2 号が 4m 以上で定温式 2 種を認めていないからである。空欄は「値を書き忘れた」のではなく「設置できない」という意味だ。
空気管 (差動式分布型) は「1 つだけ向きが逆」で整理する
空気管の設置基準では、長さ・距離・傾斜で上限と下限を区別します。露出部分の長さは下限ですが、検出部の傾斜は5度ちょうども認めない条件です。
根拠は消防法施行規則第 23 条第 4 項第 4 号で、空気管式の基準はこの 1 つの号にイ〜ホの 5 項目としてまとまっている。号ごと読めば漏れない。
| 項目 | 数値 | 向き | 条文 |
|---|---|---|---|
| 露出部分の長さ (感知区域ごと) | 20m | 以上 ← ここだけ逆 | イ |
| 取付位置 (取付け面からの下がり) | 0.3m | 以内 | ロ |
| 感知区域の取付け面の各辺からの距離 | 1.5m | 以内 | ハ |
| 相対する感知器の相互間隔 (特定主要構造部を耐火構造としたもの) | 9m | 以下 | ハ |
| 相対する感知器の相互間隔 (その他の構造) | 6m | 以下 | ハ |
| 一の検出部に接続する空気管の長さ | 100m | 以下 | ニ |
| 検出部の傾斜 | 5 度 | 以上傾斜させない | ホ |
数値は 20 / 0.3 / 1.5 / 9 / 6 / 100 / 5 の 7 つで、下限は 20m だけである。ここを「20m 以下」と読み違えると、平面図で空気管を短く描いてしまい設問の条件を満たさなくなる。空気管は温度の変化率を広い範囲の平均で捉える感知器なので、一定の長さが無いと成立しない — と理由から引くと逆転しにくい。
この節でつまずきやすい 3 点を、条文の文言で押さえておく。
注意 20m と 100m は数える単位が違う。 20m は「感知器の露出部分は、感知区域ごとに二十メートル以上とすること」(イ)、100m は「一の検出部に接続する空気管の長さは、百メートル以下とすること」(ニ)。20m を「1 検出部あたり」と覚えると、感知区域が複数ある平面図で必要な長さを過少に見積もる。 1 つの検出部が複数の感知区域を受け持つなら、各区域でそれぞれ 20m 以上が要る。一方 (ニ) が上限を掛けるのは「その検出部に接続する空気管の長さ」= 露出していない部分も含めた全長なので、受け持つ区域が増えるほど 100m の上限に早く当たる。下限は区域ごと、上限は検出部ごとと押さえる。
注意 傾斜は「5 度以下」ではない。 条文は「感知器の検出部は、五度以上傾斜させないように設けること」(ホ) なので、5 度ちょうどは不可である。他の 6 項目が全部「以下・以内」なので釣られやすく、選択肢に「5 度以下」と「5 度未満」が並べば正解は後者になる。
注意 相互間隔 9m / 6m にはただし書きがある。 同号ハは「ただし、感知区域の規模又は形状により有効に火災の発生を感知することができるときは、この限りでない」と続く。無条件の絶対値ではないので、「必ず 9m 以下でなければならない」と言い切る選択肢は誤りになりうる。
なお条文の文言は「特定主要構造部を耐火構造とした防火対象物又はその部分」である。手元のテキストや古い問題集が「主要構造部」と書いていても、現行の規則はこの語に置き換わっている。
耐火 9m / 非耐火 6m は感知面積と同じ向き
相対する感知器の相互間隔は 耐火 9m : その他 6m = 3 : 2 で、耐火でないほうが狭い。これは前節の感知面積表で使った操作 A (耐火 → その他の構造 で面積を減らす) と同じ向きである。
つまり「耐火は余裕がある、その他は詰める」という 1 つの原則が、感知面積にも空気管の間隔にも効いている。表を 2 つ覚えるのではなく、原則 1 つ + 数値だけを覚えればよい。
P型受信機は回線数と機能の条件を確認する
P型2級は接続できる回線が5以下、P型3級は1回線です。P型という前提で6回線以上を必要とする問題では、2級・3級は使えません。1級でも実際に接続できる数は機器の定格を確認します。
受信機規格省令第8条第1項第1号のP型1級の導通試験機能には、接続できる回線が1のものでは備えなくてもよいという例外があります。同項第5号の応答・電話連絡の機能は、P型1級発信機を接続する受信機が対象で、ここでも1回線のものは除かれます。機能の記号がないだけで2級と即断しないでください。
末端に置く機器も、級だけで固定しません。 規則第24条第1号イでは、感知器の信号回路を送り配線とし、末端に発信機・押しボタン・終端器を設けるのが原則です。ただし、配線が感知器・発信機から外れた場合又は断線した場合に受信機が自動的に警報を発するものは除外されています。機器の機能、接続図、問題の指定を合わせて確認します。
共通線を設ける場合は1本につき7警戒区域以下です(第24条第1号ヘ)。これはP型1級・2級を判別する条件ではありません。ただし、R型・GR型受信機に接続される固有の信号を有する感知器又は中継器が接続される回路は除外されます。単に「R型なら全部例外」と省略しないようにしてください。
配線本数の問題では、どの区間を数えるかを最初に確認します。感知器の信号回路、表示灯、地区音響装置、電話・応答などを図の凡例に沿って分けます。L・C・T・Aなどの記号を、すべての製品に共通する法定記号として扱わないでください。
紙で解くときの見直し順
次は編集部が提案する練習手順です。所要時間や合格点の保証ではありません。
- 問題文から建物の用途・階・構造・取付け高さ・受信機の指定を紙に書き出す。
- 警戒区域と感知区域を分け、それぞれの条件を確認する。
- 感知器の適応と個数を計算し、必要な取付位置を図面で確認する。
- 系統図の区間ごとに回路を追い、信号線以外の配線も確認する。
- 解答と照合し、誤った条件を一つずつ記録して描き直す。
「各部屋にとりあえず1個」「配線を1本だけ引く」といった埋め方では、面積や回路の条件を満たしません。分からない箇所は学習中に残して調べ、解答を見たあとに自分で再現できるか確認します。
製図を練習する問題が足りない場合は、紙の問題集を用意します。弘文社の次の本は製図専門で、総合テキストの実技部分を補う位置付けです。手持ちの本に同じ問題があるか、版・刷と正誤表を確認して選んでください。
知識の解き直しには甲4の実技カテゴリの選択式演習を使えます。ここで手書きの製図や記述答案を採点することはできません。紙で間違えた条件を選択式で復習し、もう一度紙で解く流れにしてください。
→ 40問の選択式模擬試験(Premium) → 平面図・系統図を解く具体的な手順 → 筆記と実技の合格基準を確認する
出典(2026年9月10日確認)


![第4類消防設備士 過去問題集 製図編 [大改訂版]](https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/P/4770329210.09.LZZZZZZZ.jpg)






