結論を先に:危険物乙3 物理・化学は「燃焼理論・引火点/発火点・消火理論」が得点の核心
危険物取扱者乙種第3類は 3 科目 (法令 15 + 物化 10 + 性質消化 10) = 35 問構成、合格率約 65-70%。物理・化学は 10 問の重要科目で、燃焼の要素・引火点 vs 発火点・消火 4 効果が頻出論点。ぴよパスは本試験形式に合わせた 160 問のオリジナル予想問題と解説で、物理化学を得点源化する練習を提供します。
| 重点テーマ | 該当する論点 | 重要度 |
|---|---|---|
| 燃焼理論 | 3/4 要素・引火点 vs 発火点・燃焼範囲 | ★★★ 配点最大 |
| 静電気・酸化還元 | 防止策・電子授受・反応熱 | ★★ 頻出 |
| 消火理論 | 除去・窒息・冷却・抑制の 4 効果 | ★★★ 乙3 必須 |
この記事で分かること
- 危険物乙種第3類の「物理・化学」科目の出題傾向と頻出テーマ
- 燃焼の3要素と4要素
- 引火点・発火点・燃焼範囲の定義と違い
- 静電気の発生・防止策
- 消火の4要素と消火剤の適用
- 酸化・還元の基礎
ぴよパスで 160 問 × 17 試験を運用していて気づいたのは、乙3の「物理・化学」は「燃焼の理論」「消火の理論」「静電気」の核心テーマを押さえれば、10問中7〜8問が安定して取れるということです。
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乙3「物理・化学」の出題傾向
危険物乙種第3類の試験(合計35問)のうち、「基礎的な物理学及び化学」は10問出題されます。合格は各科目60%以上(足切り)なので、6問以上取る必要があります。
主な出題テーマは以下の通りです。
| テーマ | 頻度 |
|---|---|
| 燃焼の3要素・4要素 | 非常に高い |
| 引火点・発火点・燃焼範囲 | 非常に高い |
| 静電気 | 非常に高い |
| 消火の4要素 | 非常に高い |
| 酸化・還元 | 高い |
| 反応熱・熱量 | 高い |
| 物質の三態・比重・融点・沸点 | 中程度 |
| 溶液と濃度 | 中程度 |
ぴよパスの乙3「物理・化学」練習問題で分野別に集中演習できます。
燃焼の基礎
燃焼の3要素
燃焼は以下の 3 要素がすべて揃ったときに成立します。
- 可燃物(燃えるもの)
- 酸素供給源(空気・酸化剤)
- 点火源(熱・火花・静電気)
どれか 1 つでも欠けると燃焼は起こりません。消火は逆に、この 3 要素のうちどれかを除去することで行います。
燃焼の4要素
3 要素に「連鎖反応」を加えた 4 要素モデルもあります。
- 可燃物
- 酸素供給源
- 点火源
- 連鎖反応(ラジカル反応)
抑制(負触媒)消火剤は連鎖反応を断ち切ることで消火します。
燃焼の形態
| 形態 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 表面燃焼 | 固体表面で酸化、炎なし | 木炭・コークス |
| 分解燃焼 | 熱分解で可燃性ガスが生じ燃焼 | 木材・石炭 |
| 蒸発燃焼 | 液体が蒸発した蒸気が燃焼 | ガソリン・灯油 |
| 自己燃焼(内部燃焼) | 分子内に酸素を含み自己燃焼 | ニトロセルロース |
| 拡散燃焼 | 可燃性ガスが空気と拡散燃焼 | LP ガス |
| 予混合燃焼 | 可燃性ガスと空気を予混合して燃焼 | ガスコンロ |
引火点・発火点・燃焼範囲
引火点
引火点は、液体の液面上に燃焼範囲の下限に達する蒸気濃度を生じる最低温度です。
- 引火点未満:蒸気が少なすぎて燃えない
- 引火点以上:火種があれば燃える
例:ガソリンは引火点 -40 ℃以下、灯油は 40 ℃以上。
発火点(自然発火温度)
発火点は、火種がなくても自然に燃え出す最低温度です。
関係:引火点 < 発火点
乙3 の黄りんは発火点が約 50 ℃で、常温でも自然発火します。
乙3 主要物質の引火点・発火点一覧(試験頻出)
| 物質 | 引火点 | 発火点 | 保存方法 |
|---|---|---|---|
| 黄りん | — (固体) | 約 50 ℃ | 水中保存 |
| ナトリウム | — | — | 灯油中保存 |
| カリウム | — | — | 灯油中保存 |
| トリエチルアルミニウム | — | — | 不活性ガス封入 |
黄りんと他の第3類物質は消火方法が真逆になる点が試験の引っかけポイント。黄りんのみ水系消火剤が有効で、他の第3類禁水性物質には乾燥砂・金属火災用粉末が必要。
燃焼範囲(爆発範囲)
可燃性蒸気が空気中でどの濃度で燃えるかを示す範囲。
| 物質 | 燃焼範囲(vol%) |
|---|---|
| 水素 | 4.0〜75 |
| アセチレン | 2.5〜100 |
| ガソリン | 1.4〜7.6 |
| メタン | 5.0〜15 |
燃焼範囲が広いほど危険性が高く、アセチレンは極めて広い範囲で燃焼するため、乙3 の炭化カルシウム(アセチレン発生)の取扱に注意が必要です。
静電気
静電気の発生
静電気は以下の現象で発生します。
- 摩擦:衣服・物体どうしのこすれ
- 流動:液体がパイプを流れる
- 噴出:ガスやミストが噴出
- 剥離:付着した物が離れる
静電気の防止策
| 対策 | 内容 |
|---|---|
| 接地(アース) | 金属容器・配管を接地して電荷を逃がす |
| 湿度保持 | 室内湿度を 65〜75%に保つ |
| 導電性材料 | 導電性の容器・床を使用 |
| 流動速度低減 | 液体をゆっくり流す |
| 帯電防止剤 | 液体に帯電防止剤を添加 |
| 人体の帯電防止 | 導電性靴・帯電防止服 |
静電気の放電エネルギーが引火点以上の蒸気に着火すると火災・爆発につながります。
消火の理論
消火の4要素
燃焼の 4 要素に対応して消火も 4 つの効果があります。
| 効果 | 除去対象 | 代表的な消火剤 |
|---|---|---|
| 除去効果 | 可燃物 | ガス栓を閉める等 |
| 窒息効果 | 酸素 | 泡・二酸化炭素・砂 |
| 冷却効果 | 熱 | 水・強化液 |
| 抑制効果(負触媒) | 連鎖反応 | 粉末・ハロゲン化物 |
消火剤の種類
| 消火剤 | 主な効果 | 適用火災 | 不適 |
|---|---|---|---|
| 水(棒状・霧状) | 冷却 | A(普通) | B(油)・C(電気)・金属 |
| 強化液 | 冷却+抑制 | A・B(霧状) | 金属 |
| 泡消火剤 | 窒息+冷却 | A・B | C(電気)・金属 |
| 二酸化炭素 | 窒息+冷却 | B・C | 金属(禁水性) |
| ハロゲン化物 | 抑制+窒息 | B・C | — |
| 粉末(ABC) | 抑制+窒息 | A・B・C | 金属 |
| 粉末(金属火災用) | 抑制+窒息 | 金属 | — |
乙3 に適用できる消火剤
乙3 の禁水性物質には水系消火剤(水・泡・強化液)が使用不可。以下が中心:
- 乾燥砂・膨張ひる石・膨張真珠岩
- 金属火災用粉末消火剤(炭酸水素ナトリウム系)
黄りんのみ水系消火剤が使用可能(禁水性でないため)。
酸化・還元
酸化と還元の定義
| 反応 | 酸素 | 水素 | 電子 |
|---|---|---|---|
| 酸化 | 結合 | 失う | 失う |
| 還元 | 失う | 結合 | 得る |
酸化と還元は必ずペアで起こる。酸化剤は相手を酸化し自身は還元される、還元剤は相手を還元し自身は酸化される。
酸化剤・還元剤の代表例
| 酸化剤 | 還元剤 |
|---|---|
| 過マンガン酸カリウム | ナトリウム(乙3) |
| 過酸化水素 | カリウム(乙3) |
| 塩素 | 水素化ナトリウム(乙3) |
| 硝酸 | 炭素 |
反応熱と熱量
反応熱の種類
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| 燃焼熱 | 1 mol の物質が完全燃焼する時の熱 |
| 生成熱 | 1 mol の化合物が成分元素から生成する時の熱 |
| 分解熱 | 1 mol の化合物が成分元素に分解する時の熱 |
| 溶解熱 | 1 mol の物質が溶媒に溶ける時の熱 |
比熱と熱量
比熱:物質 1g を 1 ℃上げるのに必要な熱量。 熱量:Q = m × c × ΔT(m: 質量、c: 比熱、ΔT: 温度変化)
水の比熱は 4.18 J/(g・℃) で、他の物質より大きい。これが水が冷却消火剤として効果的な理由です。
物質の三態と状態変化
| 状態 | 特徴 |
|---|---|
| 固体 | 体積・形が一定 |
| 液体 | 体積は一定、形は変わる |
| 気体 | 体積・形ともに変わる |
状態変化の名称
| 変化 | 名称 |
|---|---|
| 固体→液体 | 融解 |
| 液体→気体 | 気化(蒸発) |
| 気体→液体 | 凝縮 |
| 液体→固体 | 凝固 |
| 固体→気体 | 昇華 |
| 気体→固体 | 昇華(凝華) |
蒸気圧と沸点
- 蒸気圧:液体から蒸発した蒸気の圧力
- 沸点:蒸気圧=大気圧となる温度
- 大気圧が下がると沸点は下がる(高地では低温で沸騰)
溶液と濃度
濃度の表し方
| 濃度 | 定義 |
|---|---|
| 質量パーセント濃度 | 溶質の質量 ÷ 溶液の質量 × 100 |
| モル濃度 | 溶質のモル数 ÷ 溶液の体積(L) |
溶解度
一定温度で溶媒 100g に溶ける溶質の質量。温度が上がると固体の溶解度は増加(例外あり)、気体の溶解度は減少。
学科試験で取るべき目標点
「物理・化学」は 10 問出題されるので、6〜8 問正解を目指せば合格水準です。
優先して押さえるテーマ
- 燃焼の 3 要素・4 要素
- 引火点・発火点・燃焼範囲の定義
- 静電気の発生と防止(接地・湿度・導電性)
- 消火の 4 要素と消火剤適用(特に禁水性物質への不適切消火剤)
- 酸化・還元の定義と代表的な酸化剤・還元剤
よくある質問
Q. 物化が苦手な場合、どこから始めればよいですか?
A. 燃焼の3要素(可燃物・酸素・点火源)と消火の4効果(除去・窒息・冷却・抑制)を先に覚えると、他のテーマとの関連が見えてきます。次に引火点<発火点の大小関係と黄りんの発火点(約50℃)を覚えれば、10問中6〜7問は取れる水準に届きます。計算問題は後回しにして、まず定義・定性問題で得点を積み上げるのが効率的です。
まとめ
- 燃焼:可燃物・酸素・点火源の 3 要素、抑制を加えると 4 要素
- 引火点<発火点、燃焼範囲が広いほど危険
- 静電気:接地・湿度 65-75%・導電性材料で防止
- 消火:除去・窒息・冷却・抑制の 4 効果、禁水性物質には水系不可
- 酸化・還元:酸素結合/電子授受で逆方向、乙3 物質は強い還元剤
- 比熱:水の比熱が大きい=冷却消火に有利
乙3 の「物理・化学」は 6 類共通の基礎理論が中心で、他の乙種と重なる内容も多いため、一度しっかり学べば長く使える知識です。ぴよパスの乙3「物理・化学」練習問題で繰り返し演習しましょう。
関連記事:危険物乙3の性質と消火攻略/危険物乙3の法令攻略/危険物乙3の勉強法/危険物乙3の語呂合わせで暗記する/危険物乙4と乙3のダブル取得
残り時間別 物理・化学攻略の優先順位
| 残り期間 | 最優先のアクション | 現実的な狙い |
|---|---|---|
| 残り 2 ヶ月以上 | 燃焼 3/4 要素 + 引火点 vs 発火点を理解 | 物化基礎固め |
| 残り 1 ヶ月 | 消火 4 効果 + 静電気対策を 160 問演習 | 物化 10 問で 7-8 問 |
| 残り 2 週間 | 酸化還元・反応熱の数値暗記 + 弱点復習 | 凡ミス排除 |
| 残り 1 週間 | 模擬試験 + 当日準備 | 心理的余裕 |
落ちる人の失敗パターンと回避策
| 失敗パターン (落ちる行動) | 回避策 (突破策) |
|---|---|
| 引火点と発火点を逆に覚える | 「引火 < 発火」で常にペア暗記 |
| 消火 4 効果を単独で暗記 | 各効果と代表的な消火剤をペア (冷却=水、窒息=泡/CO2、抑制=粉末) |
| 静電気の防止策を機械的暗記 | 接地・湿度 65-75%・導電性材料の 3 つで網羅 |
| 物化を「化学嫌い」で諦める | 乙3 物化は 6 類共通、一度学べば長く使える |
| 出題パターン丸暗記で本番に挑む | 160 問のオリジナル予想問題で出題形式に慣れる |
合格率 65% を確実に超えるためのチェックリスト
- 燃焼の 3 要素 (可燃物・酸素・点火源) + 抑制の 4 要素を即答できる
- 引火点 < 発火点 の関係と、燃焼範囲の広さ = 危険性 の原則を理解
- 消火 4 効果 (除去・窒息・冷却・抑制) と代表的な消火剤の対応を覚えている
- 静電気防止 3 策 (接地・湿度 65-75%・導電性) を即答できる
- 乙3 は禁水性が中心で水系消火不可、乾燥砂と金属火災用粉末が基本という原則を理解
編集部より — 多くの試験の出題傾向を分析して気づいた合格者の共通行動
ぴよパス編集部が危険物乙3 の 160 問演習を含む多数のオリジナル予想問題と解説を作る中で、合格者と不合格者で明確に差が出る行動が 3 つ見えてきました。
- 物化を諦めない: 不合格者は「化学嫌い」で物化 10 問を捨てがちだが、合格者は燃焼・引火点・消火の基礎を 2 週間集中で固めて 6-8 問取りに行く
- 対の概念で覚える: 引火点↔発火点、酸化↔還元のように「2 つで 1 セット」で暗記、片方だけの設問にも対応できる
- 乙4/乙6 との共通範囲を活用: 乙3 物化は乙4・乙6 と共通範囲が多く、ダブル取得を狙う場合は物化 1 度学べば 2-3 試験で使える
出典
- 消防法第 13 条 (危険物取扱者の業務範囲)
- 消防法施行令第 31 条 (危険物取扱者試験の試験科目)
- 危険物の規制に関する規則第 39 条 (危険物の品名・指定数量)
- 一般財団法人 消防試験研究センター「危険物取扱者試験案内」 https://www.shoubo-shiken.or.jp/

































