この記事で分かること
- 危険物乙種第3類の「物理・化学」科目の出題傾向と頻出テーマ
- 燃焼の3要素と4要素
- 引火点・発火点・燃焼範囲の定義と違い
- 静電気の発生・防止策
- 消火の4要素と消火剤の適用
- 酸化・還元の基礎
ぴよパスで 160 問 × 17 試験を運用していて気づいたのは、乙3の「物理・化学」は「燃焼の理論」「消火の理論」「静電気」の3ブロックを押さえれば、10問中7〜8問が安定して取れるということです。
乙3「物理・化学」の出題傾向
危険物乙種第3類の試験(合計35問)のうち、「基礎的な物理学及び化学」は10問出題されます。合格は各科目60%以上(足切り)なので、6問以上取る必要があります。
主な出題テーマは以下の通りです。
| テーマ | 頻度 |
|---|---|
| 燃焼の3要素・4要素 | 非常に高い |
| 引火点・発火点・燃焼範囲 | 非常に高い |
| 静電気 | 非常に高い |
| 消火の4要素 | 非常に高い |
| 酸化・還元 | 高い |
| 反応熱・熱量 | 高い |
| 物質の三態・比重・融点・沸点 | 中程度 |
| 溶液と濃度 | 中程度 |
ぴよパスの乙3「物理・化学」練習問題で分野別に集中演習できます。
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燃焼の基礎
燃焼の3要素
燃焼は以下の 3 要素がすべて揃ったときに成立します。
- 可燃物(燃えるもの)
- 酸素供給源(空気・酸化剤)
- 点火源(熱・火花・静電気)
どれか 1 つでも欠けると燃焼は起こりません。消火は逆に、この 3 要素のうちどれかを除去することで行います。
燃焼の4要素
3 要素に「連鎖反応」を加えた 4 要素モデルもあります。
- 可燃物
- 酸素供給源
- 点火源
- 連鎖反応(ラジカル反応)
抑制(負触媒)消火剤は連鎖反応を断ち切ることで消火します。
燃焼の形態
| 形態 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 表面燃焼 | 固体表面で酸化、炎なし | 木炭・コークス |
| 分解燃焼 | 熱分解で可燃性ガスが生じ燃焼 | 木材・石炭 |
| 蒸発燃焼 | 液体が蒸発した蒸気が燃焼 | ガソリン・灯油 |
| 自己燃焼(内部燃焼) | 分子内に酸素を含み自己燃焼 | ニトロセルロース |
| 拡散燃焼 | 可燃性ガスが空気と拡散燃焼 | LP ガス |
| 予混合燃焼 | 可燃性ガスと空気を予混合して燃焼 | ガスコンロ |
引火点・発火点・燃焼範囲
引火点
引火点は、液体の液面上に燃焼範囲の下限に達する蒸気濃度を生じる最低温度です。
- 引火点未満:蒸気が少なすぎて燃えない
- 引火点以上:火種があれば燃える
例:ガソリンは引火点 -40 ℃以下、灯油は 40 ℃以上。
発火点(自然発火温度)
発火点は、火種がなくても自然に燃え出す最低温度です。
関係:引火点 < 発火点
乙3 の黄りんは発火点が約 50 ℃で、常温でも自然発火します。
燃焼範囲(爆発範囲)
可燃性蒸気が空気中でどの濃度で燃えるかを示す範囲。
| 物質 | 燃焼範囲(vol%) |
|---|---|
| 水素 | 4.0〜75 |
| アセチレン | 2.5〜100 |
| ガソリン | 1.4〜7.6 |
| メタン | 5.0〜15 |
燃焼範囲が広いほど危険性が高く、アセチレンは極めて広い範囲で燃焼するため、乙3 の炭化カルシウム(アセチレン発生)の取扱に注意が必要です。
静電気
静電気の発生
静電気は以下の現象で発生します。
- 摩擦:衣服・物体どうしのこすれ
- 流動:液体がパイプを流れる
- 噴出:ガスやミストが噴出
- 剥離:付着した物が離れる
静電気の防止策
| 対策 | 内容 |
|---|---|
| 接地(アース) | 金属容器・配管を接地して電荷を逃がす |
| 湿度保持 | 室内湿度を 65〜75%に保つ |
| 導電性材料 | 導電性の容器・床を使用 |
| 流動速度低減 | 液体をゆっくり流す |
| 帯電防止剤 | 液体に帯電防止剤を添加 |
| 人体の帯電防止 | 導電性靴・帯電防止服 |
静電気の放電エネルギーが引火点以上の蒸気に着火すると火災・爆発につながります。
消火の理論
消火の4要素
燃焼の 4 要素に対応して消火も 4 つの効果があります。
| 効果 | 除去対象 | 代表的な消火剤 |
|---|---|---|
| 除去効果 | 可燃物 | ガス栓を閉める等 |
| 窒息効果 | 酸素 | 泡・二酸化炭素・砂 |
| 冷却効果 | 熱 | 水・強化液 |
| 抑制効果(負触媒) | 連鎖反応 | 粉末・ハロゲン化物 |
消火剤の種類
| 消火剤 | 主な効果 | 適用火災 | 不適 |
|---|---|---|---|
| 水(棒状・霧状) | 冷却 | A(普通) | B(油)・C(電気)・金属 |
| 強化液 | 冷却+抑制 | A・B(霧状) | 金属 |
| 泡消火剤 | 窒息+冷却 | A・B | C(電気)・金属 |
| 二酸化炭素 | 窒息+冷却 | B・C | 金属(禁水性) |
| ハロゲン化物 | 抑制+窒息 | B・C | — |
| 粉末(ABC) | 抑制+窒息 | A・B・C | 金属 |
| 粉末(金属火災用) | 抑制+窒息 | 金属 | — |
乙3 に適用できる消火剤
乙3 の禁水性物質には水系消火剤(水・泡・強化液)が使用不可。以下が中心:
- 乾燥砂・膨張ひる石・膨張真珠岩
- 金属火災用粉末消火剤(炭酸水素ナトリウム系)
黄りんのみ水系消火剤が使用可能(禁水性でないため)。
酸化・還元
酸化と還元の定義
| 反応 | 酸素 | 水素 | 電子 |
|---|---|---|---|
| 酸化 | 結合 | 失う | 失う |
| 還元 | 失う | 結合 | 得る |
酸化と還元は必ずペアで起こる。酸化剤は相手を酸化し自身は還元される、還元剤は相手を還元し自身は酸化される。
酸化剤・還元剤の代表例
| 酸化剤 | 還元剤 |
|---|---|
| 過マンガン酸カリウム | ナトリウム(乙3) |
| 過酸化水素 | カリウム(乙3) |
| 塩素 | 水素化ナトリウム(乙3) |
| 硝酸 | 炭素 |
反応熱と熱量
反応熱の種類
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| 燃焼熱 | 1 mol の物質が完全燃焼する時の熱 |
| 生成熱 | 1 mol の化合物が成分元素から生成する時の熱 |
| 分解熱 | 1 mol の化合物が成分元素に分解する時の熱 |
| 溶解熱 | 1 mol の物質が溶媒に溶ける時の熱 |
比熱と熱量
比熱:物質 1g を 1 ℃上げるのに必要な熱量。 熱量:Q = m × c × ΔT(m: 質量、c: 比熱、ΔT: 温度変化)
水の比熱は 4.18 J/(g・℃) で、他の物質より大きい。これが水が冷却消火剤として効果的な理由です。
物質の三態と状態変化
| 状態 | 特徴 |
|---|---|
| 固体 | 体積・形が一定 |
| 液体 | 体積は一定、形は変わる |
| 気体 | 体積・形ともに変わる |
状態変化の名称
| 変化 | 名称 |
|---|---|
| 固体→液体 | 融解 |
| 液体→気体 | 気化(蒸発) |
| 気体→液体 | 凝縮 |
| 液体→固体 | 凝固 |
| 固体→気体 | 昇華 |
| 気体→固体 | 昇華(凝華) |
蒸気圧と沸点
- 蒸気圧:液体から蒸発した蒸気の圧力
- 沸点:蒸気圧=大気圧となる温度
- 大気圧が下がると沸点は下がる(高地では低温で沸騰)
溶液と濃度
濃度の表し方
| 濃度 | 定義 |
|---|---|
| 質量パーセント濃度 | 溶質の質量 ÷ 溶液の質量 × 100 |
| モル濃度 | 溶質のモル数 ÷ 溶液の体積(L) |
溶解度
一定温度で溶媒 100g に溶ける溶質の質量。温度が上がると固体の溶解度は増加(例外あり)、気体の溶解度は減少。
学科試験で取るべき目標点
「物理・化学」は 10 問出題されるので、6〜8 問正解を目指せば合格水準です。
優先して押さえるテーマ
- 燃焼の 3 要素・4 要素
- 引火点・発火点・燃焼範囲の定義
- 静電気の発生と防止(接地・湿度・導電性)
- 消火の 4 要素と消火剤適用(特に禁水性物質への不適切消火剤)
- 酸化・還元の定義と代表的な酸化剤・還元剤
まとめ
- 燃焼:可燃物・酸素・点火源の 3 要素、抑制を加えると 4 要素
- 引火点<発火点、燃焼範囲が広いほど危険
- 静電気:接地・湿度 65-75%・導電性材料で防止
- 消火:除去・窒息・冷却・抑制の 4 効果、禁水性物質には水系不可
- 酸化・還元:酸素結合/電子授受で逆方向、乙3 物質は強い還元剤
- 比熱:水の比熱が大きい=冷却消火に有利
乙3 の「物理・化学」は 6 類共通の基礎理論が中心で、他の乙種と重なる内容も多いため、一度しっかり学べば長く使える知識です。ぴよパスの乙3「物理・化学」練習問題で繰り返し演習しましょう。