危険物乙3の「性質と消火」は、空気との接触、水との反応、保管、消火を分けて比べると整理しやすくなります。たとえば黄りんの水中保管と、ナトリウムの水との反応を同じルールで覚えると、説明が逆になってしまいます。
ここではカリウム・ナトリウム・リチウム・黄りん・炭化カルシウム・リン化カルシウムを中心に、公開資料で確認できる違いを整理します。物質名だけを見て、同じ類の全物質へ消火剤を当てはめないことが確認点です。
自然発火性と禁水性は、同じ意味ではない
| 確認する性質 | 着目する接触 | 復習するときの問い |
|---|---|---|
| 自然発火性 | 空気にさらされる | 自然に発火する危険性があるか |
| 禁水性 | 水との接触 | 発火したり、可燃性ガスが発生したりするか |
消防庁の第3類の説明は、自然発火の危険性、または水との接触による発火・可燃性ガスの発生を挙げています。「自然発火性物質及び禁水性物質」という類名から、全物質が必ず両方の性質を持つと読み替えないようにします。
黄りんは水中で保管される一方、ナトリウムは水と反応して水素を発生します。この2例を区別すると、「乙3は全部水中に入れる」「乙3は全部水中保管できない」のどちらも成り立たないことが分かります。
カリウム・ナトリウム・リチウムの共通点と違い
3つとも水との反応で水素を生じる金属です。ただし、消火に関する資料の記載まで同じではありません。
| 物質 | 水との反応・保管 | ICSCの消火に関する記載 |
|---|---|---|
| カリウム K | 水素を生じる。鉱油中に保管 | 特殊粉末・乾燥砂 |
| ナトリウム Na | 水素を生じる。鉱油中に保管 | 特殊粉末・乾燥砂 |
| リチウム Li | 水素を生じる。鉱油中に保管 | 特殊粉末。砂・コンクリートなどとの反応も記載 |
根拠はカリウムICSC0716、ナトリウムICSC0717、リチウムICSC0710です。
「金属だから全部乾燥砂」「粉末消火剤なら種類は問わない」では、物質ごとの差が抜けます。 保管液の共通点と、消火手段の違いを別の欄で復習してください。実際の製品に対する選定は、SDSや指定された消火設備を確認します。
黄りんは、水中保管と再発火を組にする
黄りんのICSC0628には、空気に触れると自然発火することがあると記載されています。保管は水中、消火手段には水噴霧と湿潤砂が挙げられ、消火後の再発火にも言及があります。
| 黄りんで確認する項目 | この資料から読み取る内容 |
|---|---|
| 空気との接触 | 自然発火することがある |
| 保管 | 水中で保管する |
| 消火手段 | 水噴霧・湿潤砂が挙げられている |
| 消火後 | 再発火することがある |
「水噴霧」の記載を、すべての水系消火剤や放水方法が同じという意味に広げないでください。また、同ICSCの発火温度は30℃です。「50℃になるまでは発火しない」のように、単一の数字を安全境界として扱わないことも大切です。
炭化物・リン化物は、発生ガスを入れ替えない
| 物質 | 水と反応して発生するガス | 名前から戻る手がかり |
|---|---|---|
| 炭化カルシウム CaC₂ | アセチレン C₂H₂ | 炭化カルシウムとアセチレン |
| 炭化アルミニウム Al₄C₃ | メタン CH₄ | 炭化アルミニウムとメタン |
| リン化カルシウム Ca₃P₂ | ホスフィン PH₃ | リン化物からリンを含むガス |
ICSC0406は炭化カルシウムと水分からアセチレンが生じること、ICSC1126はリン化カルシウムと水・湿った空気からホスフィンが生じることを説明しています。炭化アルミニウムと水からメタンが生じることは消防庁の事故概要表・PDF22ページでも確認できます。
炭化カルシウム:ガス名と残る物質の両方を確認
水との反応は CaC₂ + 2H₂O → Ca(OH)₂ + C₂H₂ です。NOAAのCAMEO Chemicalsにも、生成するアセチレンと水酸化カルシウムの両方が記載されています。
Ca(OH)₂をCaOと書き換えないこと、式の左右で原子数がそろうことを確認します。ガスがアセチレンでも、係数やほかの生成物が違えば、その反応式は正解になりません。
リン化カルシウム:ホスフィンと水素を混ぜない
リン化カルシウムから生じるのはホスフィンPH₃です。水素H₂や、炭化カルシウムから生じるアセチレンと区別します。ICSC1126は、この反応に火災や中毒の危険があると説明しています。
指定数量と危険等級も、性質の表と分ける
性質と消火を復習する際に指定数量も書くなら、黄りんの「20kg」と危険等級「I」を別の欄へ置きます。数値の20につられて危険等級IIにしないようにします。
カリウム・ナトリウム・アルキルアルミニウム・アルキルリチウムは10kg、黄りんは20kgです。これらと別に、第一種・第二種・第三種自然発火性物質及び禁水性物質の性状に応じた10kg・50kg・300kgの区分があります。金属の水素化物や炭化物を、性状に関係なく300kgと固定しないでください。
根拠は危険物政令の別表第三・備考6〜8と、危険等級を定めた規則39条の2です。指定数量と語呂の対応表では、正式な品名と条件を並べて復習できます。
間違えた説明を書き換える確認練習
右欄を隠して、左の説明のどこを変えるか考えます。以下は当サイトの復習用例です。
| 確認する説明 | 書き換える点 |
|---|---|
| 第3類は全部、自然発火性と禁水性の両方を持つ | 全部が両方とはしない。類別の「または」を確認 |
| 黄りんは水と反応するため、水中保管できない | 黄りんは水中保管。ナトリウムの水反応と取り違えない |
| カリウムとリチウムは、消火の記載も全部同じ | ICSCではリチウムと砂の反応も記載。物質ごとに確認 |
| 炭化カルシウムと水からメタンが生じる | アセチレン。メタンは炭化アルミニウムとの組合せ |
| リン化カルシウムと水から水素が生じる | ホスフィンPH₃ |
| 黄りんは20kgだから危険等級II | 危険等級I。指定数量とは別の区分 |
解き直しでは、正解番号だけでなく「どの物質名を見落としたか」「保管と消火を混ぜなかったか」を残すと、次に読む箇所を絞れます。乙3の性質と消火の練習問題へ進み、説明を言葉で確認してみてください。
テキストへ戻って確認する
比較表は違いを見つけるためのものです。分からなかった物質は、テキストの個別説明へ戻り、性質・反応・保管・消火を順に読み直します。
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法令は2026年9月11日時点の施行内容を照合しました。消防試験研究センターFAQ・Q29の案内に従い、受験する試験日に適用される法令も確認してください。








