直前は「残り時間」で見る範囲を変える
危険物乙3の直前期に、全範囲をきれいに復習しようとすると重くなります。乙3は対象物質がはっきりしている分、「何を覚えるか」より「どの順番で見るか」で点が変わります。
残り時間で分けると、復習範囲はここまで絞れます。
| 残り時間 | やること | 目的 |
|---|---|---|
| 残り7日 | 性質と消火を中心に、第3類物質を整理する | 10問中6問割れを防ぐ |
| 残り3日 | 乙4の消火知識を乙3向けに修正する | 水・泡・二酸化炭素のひっかけを外す |
| 前日 | 1枚メモと持ち物に絞る | 不安を増やさない |
| 当日 | 一周して空欄を消し、最後にマークを確認する | 取れる点を落とさない |
直前期の主役は「性質と消火」です。乙種危険物取扱者試験は、法令15問、物化10問、性質消火10問の構成で、合格基準は各科目60%以上。つまり性質消火10問で6問を下回ると、他で取り返せません。
法令や物化も大事ですが、直前に伸びやすく、かつ足切りに直結するのは性質消火です。残り時間が少ないほど、第3類物質をどう見るかに寄せます。

乙3は「性質消火の足切り」を落とさない試験
消防試験研究センターの案内では、危険物取扱者試験の乙種は五肢択一式の筆記試験です。実技試験はありません。試験時間は原則2時間で、科目免除がある場合は問題数に応じて短くなります。
科目ごとに、直前の見る場所を変えます。
| 科目 | 問題数 | 直前の見方 |
|---|---|---|
| 危険物に関する法令 | 15問 | 数字、義務の主語、指定数量を拾う |
| 基礎的な物理学及び基礎的な化学 | 10問 | 燃焼、消火、静電気、酸化還元を確認する |
| 危険物の性質並びに火災予防及び消火の方法 | 10問 | 第3類物質の性質・貯蔵・消火を固める |
各科目60%以上なので、目安は法令9問、物化6問、性質消火6問です。直前に怖いのは「合計では足りていそうなのに、1科目だけ割れる」ことです。
特に、他の乙種免状を持っていて科目免除を使う人は、法令と物化が免除され、性質消火10問だけで受験する場合があります。その場合、直前対策はさらに単純です。第3類物質の性質・貯蔵・消火へほぼ全振りします。
乙3の正体は「空気」と「水」の事故を見分けること
消防試験研究センターの受験案内では、乙種第3類は「自然発火性物質及び禁水性物質」と説明されています。代表例は、カリウム、アルキルアルミニウム、黄りんなどです。
直前に見る軸は、この2つです。
| 見る軸 | 意味 | 代表例 |
|---|---|---|
| 空気で危ない | 空気に触れると発火しやすい | 黄りん、アルキルアルミニウム |
| 水で危ない | 水と反応して発熱・可燃性ガスを出す | カリウム、ナトリウム、炭化カルシウム |
ここを「物質名だけ」で覚えると、選択肢で崩れます。直前は、物質名を見た瞬間に「空気か、水か、両方か」「何で保管するか」「何で消すか」までつなげます。
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残り7日:第3類物質を「事故の起き方」で覚え直す
残り7日あるなら、まだ表を使って整理できます。ただし、新しい細かい知識を増やすより、代表物質を事故の起き方で並べ直した方が頭に残ります。
代表物質は、事故の起き方で並べると覚えやすくなります。
| 物質・グループ | 直前に言えるようにすること |
|---|---|
| カリウム・ナトリウム | 水と反応して水素を出す。灯油中に保存。炎色反応はカリウム紫、ナトリウム黄 |
| アルキルアルミニウム・アルキルリチウム | 空気でも水でも危ない。不活性ガス中で扱うイメージ |
| 黄りん | 空気中で自然発火しやすいが、水とは反応しない。水中保存、水系消火が例外的に使える |
| 炭化カルシウム | 水と反応してアセチレンを出す |
| 炭化アルミニウム | 水と反応してメタンを出す |
| 金属水素化物 | 水と反応して水素を出す |
| リン化カルシウム | 水と反応してリン化水素を出す |
全部を同じ濃さで追う必要はありません。カリウム・ナトリウム、アルキルアルミニウム、黄りん、炭化カルシウム。このあたりは直前でも優先度が高いです。
黄りんは最初に別枠へ置く
乙3の直前対策で点に直結しやすいのは、黄りんを別枠にすることです。
黄りんは自然発火性が強いので危険ですが、禁水性ではありません。だから水中に保存できます。水で空気を遮断できるからです。
この例外性が、選択肢で狙われやすいところです。
| 物質 | 水との関係 | 直前の覚え方 |
|---|---|---|
| 黄りん | 水と反応しない | 水中保存。水系消火が使える例外 |
| カリウム・ナトリウム | 水と激しく反応 | 灯油中保存。水消火は不可 |
| 炭化カルシウム | 水でアセチレン発生 | 水をかけない |
「乙3は全部水がだめ」と丸暗記すると、黄りんで落とします。逆に「黄りんだけ水OK」とだけ覚えると、他の禁水性物質で落とします。黄りんは例外として、最初から別枠にします。

消火剤は「何を遮るか」で見る
直前期に消火剤の名前だけを追うと、混乱します。乙3では、水で冷やすという発想が使えない場面が多いので、「空気と接触させない」「水を近づけない」という見方に変えます。
| 場面 | 選びやすいもの | 避けるもの |
|---|---|---|
| 禁水性物質 | 乾燥砂、膨張ひる石、膨張真珠岩、金属火災用粉末 | 水、泡、強化液 |
| アルキルアルミニウムなど | 乾燥砂、膨張ひる石、膨張真珠岩 | 水、泡、二酸化炭素、ハロゲン化物 |
| 黄りん | 水、泡、水噴霧、土砂 | 空気にさらすこと |
細かい適用は教材や問題文の条件で判断します。ただ、直前の軸は「禁水性なら水系を反射で選ばない」「黄りんだけ例外」です。
残り3日:乙4の常識をいったん外す
乙4を先に取った人ほど、乙3で変な失点をします。知識が足りないというより、乙4の消火の感覚が強く残っているからです。
乙4では、引火性液体に対して泡、二酸化炭素、粉末などを考えます。油面を覆う、酸素を遮断する、連鎖反応を止める。そこまでは乙4の正しい考え方です。
でも乙3では、「水と反応する」「空気で発火する」が前面に出ます。だから、問題文に水、泡、二酸化炭素、ハロゲン化物が出たときは、一度止まります。
選択肢で止まる言葉を決めておく
残り3日は、知識を増やすより、選択肢で止まる言葉を決めます。
| 選択肢に出たら止まる言葉 | なぜ止まるか |
|---|---|
| 水を注水する | 禁水性物質なら反応して危険 |
| 泡消火剤 | 水分を含むため禁水性物質では危ない |
| 二酸化炭素 | 乙4では便利でも、乙3では不適な場面がある |
| 黄りん | 水中保存・水系消火の例外 |
| 灯油中保存 | カリウム・ナトリウムの保管で出やすい |
この「止まる言葉」があるだけで、乙4の反射が弱くなります。直前期は、正しい知識を増やすより、間違った反射を止める方が点につながることがあります。
迷ったら「発生するガス」へ戻る
炭化カルシウム、炭化アルミニウム、金属水素化物は、ガスで覚えると戻りやすいです。
| 物質 | 水と反応して出るもの | 覚え方 |
|---|---|---|
| カリウム・ナトリウム | 水素 | アルカリ金属は水素 |
| 炭化カルシウム | アセチレン | カーバイドとアセチレン |
| 炭化アルミニウム | メタン | アルミの炭化物はメタン |
| 金属水素化物 | 水素 | 名前に水素化 |
| リン化カルシウム | リン化水素 | リン化物はリン化水素 |
問題文で「水を加えたとき」「湿気に触れたとき」と出たら、ここへ戻ります。ガス名まで思い出せると、消火・貯蔵・危険性の選択肢も選びやすくなります。
前日:新しい表を増やさず、1枚メモに寄せる
前日にやることは、少ない方がいいです。新しい問題を大量に解くと、知らない選択肢が出て不安だけ増えることがあります。
前日に見るメモは、このくらいまで絞ります。
| 前日メモ | 書く内容 |
|---|---|
| 黄りん | 水中保存、水系消火可、空気で自然発火しやすい |
| カリウム・ナトリウム | 灯油中保存、水素発生、水不可、炎色反応 |
| アルキルアルミニウム | 空気・水で危険。不活性ガス、乾燥砂系 |
| 炭化カルシウム | 水でアセチレン |
| 炭化アルミニウム | 水でメタン |
| 消火 | 禁水性は水・泡を避け、乾燥砂・膨張ひる石・膨張真珠岩 |
| 受験 | 受験票、写真、筆記具、本人確認、会場までの経路 |
消防試験研究センターの案内では、受験票には写真の貼付が必要です。受験票や会場ごとの指示がある場合は、この記事より受験票を優先してください。
前日に解くなら「間違えた問題」だけ
前日に新しい問題を解くなら、数を絞ります。見るのは、過去に間違えた問題だけです。
使い方は3つだけです。
- なぜ間違えたかを1行で書く
- 物質名、保管、消火剤、発生ガスのどれを落としたか印を付ける
- 同じ間違いを1枚メモに足す
前日は、正解数を増やす日ではありません。本番で同じミスをしないように、失点の形を見えるようにする日です。
当日:35問を「一周してから戻る」
乙種危険物取扱者試験は五肢択一式です。わからない問題で止まり続けるより、一度最後まで進んで、取れる問題を先に拾う方が安定します。
試験中は、この流れにします。
| 順番 | やること |
|---|---|
| 1周目 | 即答できる問題を拾う。迷う問題には印を付ける |
| 2周目 | 性質消火の迷いを、物質名・水・空気・消火剤に分解する |
| 3周目 | 法令の数字、物化の計算、読み落としを確認する |
| 最後 | マークずれ、空欄、問題番号、否定表現を見る |
「正しいもの」「誤っているもの」の読み違いは、直前期の知識量と関係なく起きます。最後に必ず、問題文の聞き方を確認してください。
科目免除の人は、性質消火だけで息切れしない
他の乙種免状を持っている人は、科目免除で性質消火10問だけになる場合があります。この場合、試験時間は短くなりますが、問題数も少ないので、1問の重みが大きいです。
性質消火だけの人は、次の順で見ると落ち着きます。
- 黄りんを先に処理する
- カリウム・ナトリウムを処理する
- アルキルアルミニウムなどの空気・水の両方が危ない物質を見る
- 炭化物・水素化物・リン化物をガス名で戻す
- 消火剤の選択肢を確認する
10問だけだと、迷った1問がずっと気になります。まず全部に目を通して、最後に迷った問題へ戻ってください。
乙3で直前に崩れやすい場面
乙4を「乙3にもそのまま使える」と見てしまう
乙4の知識は役に立ちます。ただ、乙3では水・泡・二酸化炭素を反射で選ぶと危ない場面があります。
立て直し方は、選択肢に消火剤が出た瞬間に「これは禁水性か」「黄りんか」を見ることです。乙4の感覚を消すのではなく、乙3の確認を1つ挟みます。
黄りんまで水不可にしてしまう
乙3は禁水性の印象が強いので、黄りんまで水不可にしがちです。
立て直し方は、黄りんを最初に別枠へ置くことです。黄りんは空気で危ない。水とは反応しない。だから水中保存できる。この3文に戻ります。
物質名だけ見て、消火までつながらない
「カリウム」「炭化カルシウム」という名前だけ覚えても、選択肢では崩れます。
立て直し方は、物質名の横に必ず「水」「空気」「ガス」「消火」を書くことです。
| 物質 | 水 | 空気 | 消火 |
|---|---|---|---|
| 黄りん | 反応しない | 危ない | 水系可 |
| カリウム・ナトリウム | 水素発生 | 危ない | 乾燥砂系 |
| 炭化カルシウム | アセチレン発生 | 条件次第で危険 | 乾燥砂系 |
| アルキルアルミニウム | 危ない | 危ない | 乾燥砂系 |
この表を自分で書けるなら、直前の仕上がりはかなり良いです。
試験前に残すチェックリスト
- 乙種は各科目60%以上が合格基準だと確認した
- 性質消火10問で6問を割らないことを最優先にした
- 黄りんを、水中保存・水系消火可の例外として分けた
- カリウム・ナトリウムは灯油中保存、水素発生、炎色反応まで見た
- 炭化カルシウムはアセチレン、炭化アルミニウムはメタンで戻せる
- 禁水性物質に水・泡を反射で選ばない
- 乾燥砂、膨張ひる石、膨張真珠岩、金属火災用粉末を確認した
- 受験票、写真、筆記具、本人確認、会場までの経路を前日に確認した
- 当日は一周してから迷った問題へ戻る
- 最後にマークずれ、空欄、否定表現を確認する
ぴよきちメモ:直前期は、知識を増やすより「反射」を直す
危険物乙3の直前で効くのは、難しい知識を増やすことより、危ない反射を止めることです。
水を見たら、禁水性ではないか。泡を見たら、水分を含む消火剤ではないか。黄りんを見たら、例外として水中保存できることを思い出せるか。
この数秒の確認が、本番の1問を守ります。直前期は、広げすぎなくて大丈夫です。第3類物質を「空気」「水」「消火」で見直して、取れる6問を落とさない準備をしてください。
出典:
- 一般財団法人 消防試験研究センター「危険物取扱者試験 受験案内」 — 乙種第3類の分類、受験票・写真に関する案内
- 一般財団法人 消防試験研究センター「試験科目及び問題数」 — 乙種の科目、問題数、科目免除
- 一般財団法人 消防試験研究センター「試験の方法」 — 五肢択一式、試験時間、合格基準

































