この記事で分かること
- 危険物乙種第3類の「法令」科目の出題傾向と頻出テーマ
- 指定数量の基礎と倍数計算
- 製造所等の10区分(製造所・貯蔵所7種・取扱所4種)
- 免状の種類と取扱い可能な危険物
- 保安講習・定期点検・予防規程・危険物保安監督者
- 危険物取扱者の責務
ぴよパスで 160 問 × 17 試験を運用していて気づいたのは、乙3の「法令」は「指定数量の倍数」「製造所等の区分」「免状と保安講習」の3点を押さえれば、15問中12問以上が安定して取れるということです。
乙3「法令」の出題傾向
危険物乙種第3類の試験(合計35問)のうち、「危険物に関する法令」は15問出題されます。合格は各科目60%以上(足切り)なので、9問以上取る必要があります。
主な出題テーマは以下の通りです。
| テーマ | 頻度 |
|---|---|
| 指定数量と倍数計算 | 非常に高い |
| 製造所等の区分 | 非常に高い |
| 免状の種類と取扱い範囲 | 非常に高い |
| 保安講習・定期点検 | 非常に高い |
| 危険物保安監督者・保安員 | 高い |
| 予防規程 | 高い |
| 運搬・移送 | 高い |
| 販売取扱所(第一種・第二種) | 中程度 |
| 危険物取扱者の責務 | 高い |
ぴよパスの乙3「法令」練習問題で分野別に集中演習できます。
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消防法と危険物の分類
消防法別表第一の分類
危険物は消防法別表第一で 6 類に分類されます。
| 類 | 性質 | 代表例 |
|---|---|---|
| 第1類 | 酸化性固体 | 塩素酸塩類・過塩素酸塩類 |
| 第2類 | 可燃性固体 | 硫化りん・赤りん・硫黄 |
| 第3類 | 自然発火性物質及び禁水性物質 | カリウム・ナトリウム・黄りん |
| 第4類 | 引火性液体 | ガソリン・灯油・軽油 |
| 第5類 | 自己反応性物質 | 有機過酸化物・硝酸エステル |
| 第6類 | 酸化性液体 | 過酸化水素・硝酸 |
指定数量と倍数
指定数量は「危険物の危険性の程度に応じて政令で定める数量」です。貯蔵または取扱量を指定数量で割った値を「倍数」と呼び、倍数が 1 以上の場合に消防法の規制対象(製造所等)になります。
倍数 = 貯蔵または取扱量 ÷ 指定数量
複数の危険物を貯蔵する場合は、それぞれの倍数を合計します。
第3類の指定数量
第3類は危険等級で指定数量が変わります。
危険等級 I(指定数量 10kg)
- カリウム(K)
- ナトリウム(Na)
- アルキルアルミニウム
- アルキルリチウム
- 黄りん(P₄)
黄りんのみ 20kg(危険等級 II)で覚えておく教材もありますが、現行法令では黄りんは 20kg です。
危険等級 II
- 黄りん:20kg
- リチウム・カルシウム・バリウム等:50kg
危険等級 III(指定数量 300kg)
- 水素化ナトリウム・水素化リチウム
- カルシウム・バリウム
- リン化カルシウム
- 炭化カルシウム・炭化アルミニウム
試験では「カリウム・ナトリウム・アルキルアルミニウムは 10kg」「黄りんは 20kg」「その他多くは 300kg」という区分を問われます。
製造所等の区分
指定数量以上を貯蔵・取扱いする施設は「製造所等」として許可・規制されます。全 12 種類です。
製造所等一覧
| 区分 | 大分類 | 特徴 |
|---|---|---|
| 製造所 | 製造所 | 危険物を製造する施設 |
| 屋内貯蔵所 | 貯蔵所 | 屋内で貯蔵 |
| 屋外貯蔵所 | 貯蔵所 | 屋外で貯蔵(第2・第4類の一部のみ、乙3は不可) |
| 屋内タンク貯蔵所 | 貯蔵所 | 屋内のタンクで貯蔵 |
| 屋外タンク貯蔵所 | 貯蔵所 | 屋外のタンクで貯蔵 |
| 地下タンク貯蔵所 | 貯蔵所 | 地下埋設タンク |
| 簡易タンク貯蔵所 | 貯蔵所 | 容量 600L 以下、3 基まで |
| 移動タンク貯蔵所 | 貯蔵所 | タンクローリー(30,000L 以下) |
| 給油取扱所 | 取扱所 | ガソリンスタンド |
| 販売取扱所 | 取扱所 | 第一種(指定数量の 15 倍以下)・第二種(40 倍以下) |
| 移送取扱所 | 取扱所 | 配管・ポンプ |
| 一般取扱所 | 取扱所 | 上記以外(工場のボイラー等) |
乙3に特有のポイント
- 屋外貯蔵所には第3類は貯蔵できない(第3類は光・空気・水に反応するため屋内保管が基本)
- 屋内貯蔵所の標準:指定数量の倍数に応じて面積・高さが制限
免状と危険物取扱者
免状の種類
| 免状 | 取扱い可能な危険物 |
|---|---|
| 甲種 | 全 6 類 |
| 乙種(1〜6 類) | 免状に指定された類のみ |
| 丙種 | 第4類のうちガソリン・灯油・軽油・重油・動植物油・第三・第四石油類 |
免状の交付・書換え・再交付
| 事項 | 内容 |
|---|---|
| 交付 | 都道府県知事 |
| 書換え | 氏名・本籍が変わった場合、遅滞なく |
| 再交付 | 亡失・滅失・汚損・破損の場合。亡失後発見した場合は 10 日以内に返納 |
免状の返納
都道府県知事は、消防法違反があった場合に免状の返納を命ずることができます。
保安講習
危険物取扱者で「現に危険物の取扱作業に従事している者」は保安講習の受講義務があります。
受講サイクル
| 状況 | 次の受講期限 |
|---|---|
| 新規に従事開始 | 従事開始から 1 年以内 |
| 継続従事 | 前回受講から 3 年以内 |
| 免状取得から 2 年以内で従事開始 | 免状取得から 3 年以内 |
従事していない危険物取扱者には受講義務なし。
危険物保安監督者
選任義務のある製造所等
- 製造所・屋外タンク貯蔵所・給油取扱所・移送取扱所:指定数量にかかわらず選任義務
- その他の製造所等:指定数量の倍数により判断
資格要件
- 甲種または乙種危険物取扱者
- 危険物取扱いの実務経験 6 か月以上
選任・解任時は市町村長等に遅滞なく届出。
予防規程
以下の製造所等では予防規程の作成と認可が必要です。
- 製造所
- 屋外タンク貯蔵所(指定数量の倍数 200 以上等)
- 給油取扱所
- 移送取扱所
- 一般取扱所
市町村長等の認可後に実施します。
定期点検
以下の製造所等で年 1 回以上の定期点検義務があります。
- 地下タンクを有する製造所等
- 移動タンク貯蔵所
- 移送取扱所(政令で定めるもの)
点検記録は 3 年間保存。
運搬と移送
運搬(容器に入れて運ぶ)
運搬容器の基準・表示・積載方法・運搬方法が定められています。指定数量未満でも運搬基準は適用。
運搬容器の表示事項:
- 危険物の品名・数量
- 等級および化学名
- 水溶性(第4類で水溶性のもの)
- 注意事項(禁水等)
混載の禁止
| 組合せ | 混載可否 |
|---|---|
| 第1類 + 第6類 | 可 |
| 第2類 + 第4・5類 | 可 |
| 第3類 + 第4類 | 可 |
| 第4類 + 第2・3・5類 | 可 |
| 第5類 + 第2・4類 | 可 |
指定数量の 1/10 以下は混載禁止の適用外。
移送(移動タンク貯蔵所で運ぶ)
- 運転者は危険物取扱者の乗車が必要(甲種または当該危険物に対応する乙種)
- 長距離運転の場合は 2 人以上の運転要員
危険物取扱者の責務
- 立会い:甲種または乙種の危険物取扱者は、無資格者の取扱いに立ち会える
- 誠実義務:危険物の取扱作業を誠実に行う
丙種危険物取扱者は立会いができない点が頻出です。
許可・届出
| 事項 | 手続き |
|---|---|
| 製造所等の設置・変更 | 市町村長等の許可 |
| 危険物の品名・数量・倍数の変更 | 10 日前までに届出 |
| 譲渡・引渡し | 遅滞なく届出 |
| 廃止 | 遅滞なく届出 |
「設置・変更は許可」「それ以外は届出」と整理すると覚えやすい。
学科試験で取るべき目標点
「法令」は 15 問出題されるので、10〜12 問正解を目指せば合格水準です。
優先して押さえるテーマ
- 指定数量の倍数計算(特にカリウム・ナトリウム・アルキルアルミニウム 10kg、黄りん 20kg)
- 製造所等 12 区分と乙3で屋外貯蔵所不可
- 免状の種類と取扱い範囲(甲>乙>丙)
- 保安講習の受講サイクル(新規 1 年・継続 3 年)
- 許可(設置・変更)と届出(品名・譲渡・廃止)の区別
まとめ
- 指定数量:倍数 1 以上で規制対象、乙3は 10〜300kg の 5 段階
- 製造所等:12 区分、乙3 は屋外貯蔵所不可
- 免状:甲種は全類、乙種は指定類のみ、丙種は第4類の一部
- 保安講習:従事者は 3 年ごと、新規従事は 1 年以内
- 危険物保安監督者:甲種または乙種+実務 6 か月以上
- 運搬と移送:乙3 は第4類と混載可、移送は有資格者乗車必須
乙3 の法令は、6 類共通のルールの上に「乙3 特有の数値」を上乗せする構造です。ぴよパスの乙3「法令」練習問題で繰り返し演習しましょう。