自衛消防技術試験は、東京都火災予防条例第62条の4に基づいて東京消防庁 (消防総監) が行う試験で、合格すると自衛消防技術認定証が交付されます。一定規模以上の建物に配置が義務づけられている自衛消防活動中核要員や、防災センターで監視・操作に当たる防災センター要員には、この認定証を持つ人を充てなければなりません。東京都の条例に基づく制度なので試験は都内でしか行われませんが、受験資格に制限はなく、毎月数回、千代田区外神田の消防技術試験講習場と立川防災館で実施されています。
筆記試験は四肢択一25問を75分で解き、火災及び地震に関する基礎的な知識 (10問)、自衛消防業務に関する実務 (10問)、消防関係法令 (5問) の3科目それぞれで60%以上を取る必要があります。合計点ではなく科目ごとの判定なので、法令5問で2問しか取れなければ他が満点でも不合格です。ぴよパスでは、この3科目を消防法令・建築基準法令・東京都の条例の条文と、東京消防庁が公開している消防用設備等の取扱要領・応急手当の要領で接地したオリジナルの四択40問を用意しました。このページは、その40問の使い方と、試験の形式・合格率・申込から認定証交付までを1か所にまとめたものです。
試験の形式と合格基準 (令和8年度受験案内・出題範囲ページから)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠・実施 | 東京都火災予防条例第62条の4。東京消防庁 (消防総監) が実施 |
| 受験資格 | 制限なし (自衛消防業務に従事しようとする人ほか希望者すべて) |
| 受験手数料 | 5,400円 (非課税)。科目免除者の減額なし。認定証の交付手数料は別に1,700円 |
| 筆記試験 | 四肢択一25問・75分。火災及び地震に関する基礎的な知識10問 / 自衛消防業務に関する実務10問 / 消防関係法令5問。合格基準は科目ごとに60%以上 |
| 実技試験 | 筆記合格者のみ同日午後。集合方式 (記述3問・15分) と個別方式 (行動2問・約5分)。いずれも60%以上 |
| 科目免除 | 筆記合格者は6か月以内なら筆記免除。消防吏員 (実務経験2年以上) は消防関係法令と実技が免除 |
| 会場 | 消防技術試験講習場 (千代田区外神田4-14-4・神田消防署と合築) / 立川防災館 (立川市泉町1156-1)。駐車場・駐輪場なし |
| 申込 | 都内 (稲城市を除く) の各消防署・分署・出張所の窓口 (試験日の7日前締切・定員に達し次第締切) 又は電子申請。受験願書と申請前6か月以内の写真1枚 |
| 合格発表・交付 | 試験日から約2週間後に東京消防庁ホームページ等に受験番号を掲示し、試験結果通知書を郵送。認定証の交付は発表の約1週間後から |
3科目と練習問題40問の対応
本試験の配分 (10問・10問・5問) に合わせて、基礎知識と実務を16問ずつ、法令を8問にしています。
| 科目 (本試験の問数) | 練習問題で扱う論点 |
|---|---|
| 火災及び地震に関する基礎的な知識 (10問・練習16問) | 燃焼の三要素、消火効果 (除去・冷却・窒息・抑制)、引火点と発火点、危険物の類別、静電気、煙の性質と速さ、フラッシュオーバーとバックドラフト、火災の種類と消火器、電気火災 (トラッキング)、防火区画 (1,500m²・11階以上100m²)、非常用進入口 (31m以下・40m以内・赤色灯)、排煙設備 (500m²・手動開放装置の高さ)、非常用照明と誘導灯の違い、非常用エレベーター (31m超・乗降ロビー10m²)、震度とマグニチュード、緊急地震速報と長周期地震動 |
| 自衛消防業務に関する実務 (10問・練習16問) | 液体燃料器具の取扱い、喫煙・裸火の制限、火災の通報、119番の要領、初期消火の限界、消火器の使い方、避難誘導の優先順位、安全防護措置 (防火戸・空調・排煙・エレベーター)、屋内消火栓の操作と停止、受信機作動時の対応、受信機のスイッチ (地区音響停止・移報停止・消火栓非連動・復旧)、スプリンクラーの作動と制御弁、放送設備の操作と自動起動、緩降機、心肺蘇生とAED、止血と骨折の固定 |
| 消防関係法令 (5問・練習8問) | 防火管理者の業務、統括防火管理者、自衛消防組織 (設置規模・統括管理者・要員)、応急消火義務と通報義務、消防用設備等の点検報告 (1年・3年)、自衛消防活動中核要員の人員と装備、防災センター要員の要件、東京都震災対策条例と帰宅困難者対策条例 (事業所防災計画・一斉帰宅抑制・3日分) |
東京消防庁は過去に出題された問題 (筆記25問と集合方式) を公開しています。練習問題は同じ論点を扱いますが、設問と肢は条文と取扱要領から書き起こしたもので、過去問の写しではありません。解説には根拠の条番号と取扱要領の該当箇所を書いているので、公式の過去問を解いた後の答え合わせにも使えます。
数字で決まる論点 — 先に覚える12個
| 論点 | 数字 | 根拠 |
|---|---|---|
| 面積区画 / 高層区画 | 1,500m²以内ごと / 11階以上は100m²以内ごと | 建築基準法施行令第112条 |
| 特定防火設備 / 防火設備の遮炎性能 | 1時間 / 20分 | 同令第112条・第109条の2 |
| 非常用進入口 | 高さ31m以下の3階以上の階、間隔40m以下、幅75cm・高さ1.2m・下端80cm以下 | 同令第126条の6・7 |
| 排煙設備 | 500m²以内ごとに防煙壁、排煙口まで30m以下、手動開放装置は床面から80cm〜1.5m | 同令第126条の3 |
| 非常用照明 | 床面で1ルクス以上・予備電源 | 同令第126条の5 |
| 非常用エレベーター | 高さ31m超の建築物、乗降ロビー1基10m²以上 | 建築基準法第34条第2項・同令第129条の13の3 |
| 屋内消火栓 | 1号: 水平距離25m・0.17MPa・130L/分 (2人操作) / 2号: 15m・0.25MPa・60L/分 (1人操作) | 消防法施行令第11条 |
| 消防用設備等の点検報告 | 特定防火対象物1年に1回 / 非特定3年に1回 | 消防法施行規則第31条の6 |
| 自衛消防組織の設置 | 11階以上かつ1万m²以上、5〜10階かつ2万m²以上、4階以下かつ5万m²以上、地下街1,000m²以上 | 消防法施行令第4条の2の4 |
| 自衛消防活動中核要員 | 本部5人以上、担当区域ごと5人以上 | 火災予防条例施行規則第11条の5 |
| 防災センター要員の実務講習 | 修了証交付後の最初の4月1日から5年以内 | 火災予防条例第55条の2の3 |
| 帰宅困難者対策の備蓄 | 従業者の3日分の飲料水・食糧など (努力義務) | 東京都帰宅困難者対策条例第7条 |
直感と逆の論点 — 過去問でも問われている5つ
- 非常用照明は消防隊のためではなく在館者の避難のため: 建築基準法令の非常用の照明装置は停電時に避難経路を照らす設備で、消防法令の誘導灯 (緑色の灯火) とは根拠法令が違います。
- 応急消火義務者と協力義務者は別: 消防法第25条で消火・延焼防止・人命救助の義務を負うのは関係者 (所有者・管理者・占有者) と総務省令で定める者で、駆けつけた近隣の者は「協力」の義務です。
- 中核要員の個人用装備に空気呼吸器はない: 防火衣又は作業衣・消防用ヘルメット・警笛・携帯用照明器具・携帯用無線機等が個人用装備で、消火器・とび口・ロープ・拡声器・バール・担架・応急手当用具は隊用装備です。
- 受信機が鳴ったらベルを止める前に場所を確認する: 地区表示灯と警戒区域一覧図を照合して現場へ急行するのが先で、地区音響を止めると在館者に火災が伝わらなくなります。復旧は火災でないことを確認してからです。
- スプリンクラーの制御弁は常時開: 閉まっていると火災時に水が出ません。閉じるのは消火を確認した後の停止手順のときだけです。
合格率の読み方 — 直近3回は64〜82%で回によって動く
| 会場 | 実施回 (試験日) | 受験者 | 合格者 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 消防技術試験講習場 | 第4回 (2026年6月27日) | 218人 | 179人 | 82.1% |
| 消防技術試験講習場 | 第5回 (2026年7月10日) | 264人 | 194人 | 73.5% |
| 消防技術試験講習場 | 第6回 (2026年8月6日) | 250人 | 169人 | 67.6% |
| 立川防災館 | 第4回 (2026年7月3日) | 125人 | 86人 | 68.8% |
| 立川防災館 | 第5回 (2026年7月22日) | 129人 | 106人 | 82.2% |
| 立川防災館 | 第6回 (2026年8月19日) | 135人 | 87人 | 64.4% |
東京消防庁が公表する「最近の合格率の状況」(令和8年度) では、同じ年度でも回によって64%から82%まで動いています。落ちる人の多くは、科目ごとの60%という基準を合計点と思い込み、5問しかない消防関係法令で取りこぼすか、実技の集合方式 (記述) で放送設備の操作手順や安全防護班の行動を書けないかのどちらかです。筆記の練習で科目ごとに60%を安定して超えるようになったら、東京消防庁の取扱要領のPDFで実技の手順を確認してください。関連する国家資格として、消火器を扱う 消防設備士乙種6類 や自動火災報知設備を扱う 消防設備士乙種4類 の知識は、そのまま実務科目の理解につながります。
出典 (2026-09-09 確認):
- 東京消防庁 自衛消防技術試験 — 自衛消防技術試験とは、出題範囲と合格基準、令和8年度受験案内 (PDF)、過去に出題された問題、消防用設備等の取扱要領と応急救護活動要領、最近の合格率の状況 (PDF)
- 火災予防条例 (東京都例規集データベース)、火災予防条例施行規則、東京都震災対策条例、東京都帰宅困難者対策条例
- 消防法 (e-Gov 法令検索)、消防法施行令、消防法施行規則、建築基準法施行令 — 2026年9月1日時点
- 気象庁 震度階級関連解説表、緊急地震速報 (警報) 及び (予報) について、長周期地震動について
- 東京消防庁 心肺蘇生の手順 (成人)









