修了試験の配点と合格基準は、厚生労働省労働基準局長の通達で全国共通に決まっていて、4科目それぞれに40%の足切りがあります。配点がいちばん小さい保護具 (10点) でも、4点に届かなければ不合格です。ぴよパスでは、特化則・四アルキル鉛中毒予防規則・労働安全衛生法令などの条文と公的資料で確かめたオリジナルの四肢択一64問を、4科目に分けて用意しました。このページでは、その64問の使い方と、修了試験の形式・合格基準・数字で決まる論点をまとめます。
技能講習と修了試験の形式 (規程と通達から)
| 科目 | 講習時間 (告示65号) | 配点 (通達) | 足切り (配点の40%) | ぴよパスの問題数 |
|---|---|---|---|---|
| 健康障害及びその予防措置に関する知識 | 4時間 | 30点 | 12点 | 18問 |
| 作業環境の改善方法に関する知識 | 4時間 | 30点 | 12点 | 18問 |
| 保護具に関する知識 | 2時間 | 10点 | 4点 | 10問 |
| 関係法令 | 2時間 | 30点 | 12点 | 18問 |
| 合計 | 12時間 | 100点 | 合計60点以上 | 64問 |
- 講習時間: 告示の講習時間 (合計12時間) を、通達 (基発第0224005号) は「必要最小限の時間数」としています。多くの機関は2日間で行います。
- 修了試験の方法と時間: 告示は修了試験を筆記試験または口述試験で行うとし、通達は筆記試験を原則に、時間を「全科目を通じ、筆記試験にあっては1時間」としています。口述試験は、文字を書くことが難しい場合などに限られます。
- 合格基準: 同じ通達が「各科目の得点が(1)に掲げる配点の40パーセント以上であって、かつ、全科目の合計得点が60点以上である場合を合格とする」としています。
- 健康診断の項目も「健康障害」の科目に入る: 通達は、健康障害の科目に、特化則第39条・別表第3と四アルキル鉛中毒予防規則第22条の健康診断の項目が含まれるとしています。
- 問題数と形式: 問題は登録教習機関が作り、国が定めた共通の問題は示されていません。2026年11月に案内を確かめた4機関は、どれも問題数を公表していませんでした。試験の時間を書いている3機関 (労働技能講習協会・パナソニック健康保険組合 産業衛生科学センター・新潟県労働衛生医学協会) は、いずれも1時間です。新潟県労働衛生医学協会は「マークシート方式」と案内しています。
- 配点は講習時間に比例していない: 講習時間は4・4・2・2時間、配点は30・30・10・30点です。関係法令は2時間の講習で30点と、時間の割に配点が大きい科目です。保護具は配点が10点ですが、呼吸用保護具の選び方は作業環境や関係法令の問題にも出てくるので、ぴよパスでは6問ではなく10問にしました。
足切りの読み方 — 合計80点でも落ちる例
たとえば、健康障害30点・作業環境30点・関係法令20点・保護具0点なら、合計は80点で60点を大きく超えています。それでも保護具が足切りの4点に届かないので不合格です。保護具は配点が小さいぶん、1〜2問の取りこぼしで足切りに近づきます。逆に、全科目がちょうど足切りの点 (12点・12点・4点・12点) でも合計は40点にしかならないので、足切りを越えるだけでは足りません。全科目で6割前後を取り、どの科目も4割を割らないのが現実的な目標です。
4科目と練習問題64問の対応
| 科目 (ぴよパスの分野) | 問題数 | 主な論点 |
|---|---|---|
| 健康障害及びその予防措置に関する知識 | 18問 | 吸入と皮膚からの吸収、刺激性の物質、金属 (マンガン・クロム) による健康障害、がんを起こす物質 (ベンゼン・塩化ビニルなど)、溶接ヒューム、四アルキル鉛中毒の症状と汚染の除去、特殊健康診断の時期と項目、応急措置 |
| 作業環境の改善方法に関する知識 | 18問 | 第一類・第二類・第三類の分類、局所排気装置とプッシュプル型換気装置、排ガス処理と排液処理、ぼろなどの処理、特定化学設備、定期自主検査 |
| 保護具に関する知識 | 10問 | 防じんマスクと防毒マスク、防毒マスクの吸収缶、送気マスクと電動ファン付き呼吸用保護具、指定防護係数、保護衣・保護手袋・保護眼鏡、備える数、フィットテスト |
| 関係法令 | 18問 | 作業主任者の選任 (金属アーク溶接等作業主任者・特別有機溶剤の作業を含む)、製造の禁止と許可、掲示と立入禁止、作業の記録、健康診断の記録と報告、記録の保存年数 |
どの問題も、正しいもの (または誤っているもの) を1つ選ぶ四肢択一で、4つの肢すべてに理由を書いた解説が付いています。過去問 (実際の修了試験の問題) の転載ではありません。
数字で決まる論点 — 先に覚える14個
頻度・期間・数は、取り違えやすい論点です。特化則 (2026年10月1日時点で施行の版) などの条文で確かめた数字を、似たものどうしで並べました。
| 何を | 数字 | 根拠 |
|---|---|---|
| 特定化学物質作業主任者による局所排気装置などの点検 | 1月を超えない期間ごと | 特化則第28条第2号 |
| 金属アーク溶接等作業主任者による全体換気装置などの点検 | 1月を超えない期間ごと | 特化則第28条の2第2号 |
| 四アルキル鉛等作業主任者による換気装置の点検 | その日の作業を開始する前 | 四アルキル鉛中毒予防規則第15条第2号 |
| 局所排気装置・プッシュプル型換気装置・除じん装置・排ガス処理装置・排液処理装置の定期自主検査 | 1年以内ごとに1回 | 特化則第29条・第30条 |
| 特定化学設備とその附属設備の定期自主検査 | 2年以内ごとに1回 | 特化則第31条 |
| 定期自主検査の記録の保存 | 3年間 | 特化則第32条 |
| 作業環境測定 (第一類物質・第二類物質の濃度) | 6月以内ごとに1回 | 特化則第36条第1項 |
| 測定の記録の保存 | 3年間 (特別管理物質などに係るものは30年間) | 特化則第36条第2項・第3項 |
| 特定化学物質健康診断 | 雇入れ・配置替えの際と、その後6月以内ごとに1回 (一部の物質の胸部エックス線直接撮影などは1年以内ごと) | 特化則第39条第1項・別表第3 |
| 健康診断の結果についての医師の意見聴取 | 健康診断の日から3月以内 | 特化則第40条の2 |
| 特定化学物質健康診断個人票の保存 | 5年間 (特別管理物質の業務に常時従事した労働者のものは30年間) | 特化則第40条 |
| 特別管理物質を扱う作業場の作業の記録 | 1月を超えない期間ごとに記録し、30年間保存 | 特化則第38条の4 |
| 呼吸用保護具などを備える数 | 同時に就業する労働者の人数と同数以上 | 特化則第45条 |
| 四アルキル鉛等業務の健康診断 | 雇入れ・配置替えの際と、その後6月以内ごとに1回 | 四アルキル鉛中毒予防規則第22条第1項 |
覚え方のコツ: 期間は「人の体と空気 = 6月」(健康診断と測定)、「装置の自主検査 = 1年 (大がかりな特定化学設備は2年)」、「作業主任者の点検 = 1月 (四アルキル鉛だけは毎日の作業の前)」に分けると混ざりにくくなります。保存期間は、ふだんの記録が3年、健康診断個人票が5年、がんなど長い時間がたってから出る健康障害のおそれがある特別管理物質のものが30年です。
直感と逆になりやすい論点
- 四アルキル鉛の点検は「毎日の作業の前」: 特定化学物質作業主任者の装置の点検は「一月を超えない期間ごと」(特化則第28条第2号) ですが、四アルキル鉛等作業主任者の換気装置の点検は「その日の作業を開始する前」(四アルキル鉛中毒予防規則第15条第2号) です。同じ講習を修了して選任される作業主任者でも、点検の頻度が違います。
- 特別有機溶剤の作業は、有機溶剤の講習の修了者が担当する: 特化則第27条第1項は、特別有機溶剤業務に係る作業については、有機溶剤作業主任者技能講習を修了した者のうちから特定化学物質作業主任者を選任すると定めています。「特定化学物質の作業なら必ず特定化学物質の講習の修了者」とは限りません。
- 特定化学設備の自主検査は2年: 局所排気装置などの定期自主検査は1年以内ごと (特化則第30条) ですが、特定化学設備とその附属設備は2年以内ごと (第31条) です。
- 限定講習は配点の形が違う: 金属アーク溶接等作業主任者限定技能講習の配点は、保護具が30点です (健康障害20点・作業環境30点・保護具30点・関係法令20点。基発0908第1号)。特定化学物質の講習の保護具10点とは逆に、保護具の比重が大きい講習です。
- 健康診断の頻度は条件を満たすと1年になる: 直近3回の作業環境の評価がすべて第一管理区分で、直近3回の健康診断で新たな異常所見がなく、直近の健康診断の後に作業方法を変えていない場合などは、6月を1年と読み替えます (特化則第39条第4項・2023年4月1日から)。特別管理物質の業務などは対象外です。
まだ施行されていない改正 (2026年11月時点)
2027年4月1日に施行される改正 (健康診断の項目名 GOT・GPT・γ-GTP を AST・ALT・γ-GT にする変更、個人事業者による局所排気装置などの定期自主検査、四アルキル鉛等業務に従事する役員などの特別の教育) は、2026年11月時点では施行されていません。ぴよパスの練習問題は2026年10月1日時点で施行されている法令で作っているので、これらを正しい肢として扱っていません。講習を受ける時期が2027年4月1日より後になる場合は、講習のテキストと講師の説明を優先してください。
失点しやすい準備のしかたと当日の準備
講習を2日間受けていても失点しやすいのは、次のような準備のしかたです (配点と出題範囲からの見立てで、不合格になった人を調べたものではありません)。
- 保護具を後回しにする: 配点が10点なので軽く見がちですが、40%の足切りは10点の科目にもかかります。防じんマスクと防毒マスクの違い、吸収缶、指定防護係数、フィットテストのような基本の論点を落とさないようにします。
- 関係法令を軽く見る: 講習は2時間ですが配点は30点です。条文の主語 (事業者か、作業主任者か) と期間を取り違えると、まとめて失点します。
- 物質の名前と症状を区別しない: 刺激性のガス、金属、がんを起こす物質、四アルキル鉛は、体のどこにどう害が出るかが違います。健康障害は30点の科目なので、ここで足切りの12点を割らないようにします。
- 数字を聞き流す: 1月・1年・2年・6月、3年・5年・30年のような数字は取り違えやすい論点です。上の表で整理してから講習に臨むと、聞きながら確かめられます。
当日は、講師がテキストに線を引くよう指示した箇所を休憩時間に見直してください。ぴよパスの64問は、講習の前の予習と、講習の後の確認の両方に使えます。科目ごとに解けるので、苦手な科目だけをくり返すこともできます。
まとめ
- 特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習は学科のみで、告示の講習時間は合計12時間 (通達は必要最小限の時間数とする)。最終日に筆記1時間の修了試験がある。
- 配点と合格基準は通達で全国共通に決まっていて、健康障害30点・作業環境30点・保護具10点・関係法令30点で、各科目が配点の40%以上かつ合計60点以上。保護具の足切りは4点。
- 問題数を公表している機関は見当たらない。合格率の全国集計も見当たらない。
- 数字 (1月・1年・2年・6月、3年・5年・30年) と、四アルキル鉛の点検は作業の開始前、特別有機溶剤の作業は有機溶剤の講習の修了者、という例外を先に固める。
関連記事
出典
- 特定化学物質障害予防規則 (e-Gov 法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/347M50002000039 (2026年11月6日確認)
- 四アルキル鉛中毒予防規則 (e-Gov 法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/347M50002000038 (2026年11月6日確認)
- 労働安全衛生法施行令 (e-Gov 法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/347CO0000000318
- 化学物質関係作業主任者技能講習規程 (平成6年労働省告示第65号・厚生労働省 法令等データベース): https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=74136010&dataType=0&pageNo=1
- 厚生労働省労働基準局長通達 基発第0224005号 (平成18年2月24日): https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/roudou/an-eihou/dl/k060224005.pdf
- 厚生労働省労働基準局長通達 基発0403第6号 (令和5年4月3日・基発0908第1号で一部改正): https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001146353.pdf
- 厚生労働省労働基準局長通達 基発0908第1号 (令和5年9月8日・金属アーク溶接等作業主任者限定技能講習の修了試験の採点の基準): https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001146345.pdf
- 厚生労働省 技能講習の修了者数 (衛生関係): https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001631419.pdf
- 労働技能講習協会 特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習 (東京): https://www.rougi.or.jp/course/tokyo/tetraalkyl (2026年11月6日確認)
- 東京労働基準協会連合会 三鷹支部 特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習の案内 (令和8年度): https://www.toukiren.or.jp/shibu/mitaka/2026tokka.pdf (2026年11月6日確認)
- パナソニック健康保険組合 産業衛生科学センター 技能講習の案内: https://phio.panasonic.co.jp/kagaku/ginou-kousyu-annai/02.htm (2026年11月6日確認)
- 新潟県労働衛生医学協会 特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習: https://www.niwell.or.jp/education/labor/01-01.html (2026年11月6日確認)



