第一種電気工事士は、一般用電気工作物等に加えて最大電力500kW未満の自家用電気工作物 (ビルや工場の高圧受電設備) の電気工事に従事できる国家資格で、学科試験と技能試験の二段階です。学科試験は50問の四肢択一 (一般問題40問程度 + 配線図問題10問程度)、140分で、合格基準点は60点。受験資格はなく、誰でも受験できます。
ぴよパスでは、このうち文章と計算で解ける一般問題を、基礎理論・配電理論12問、電気機器・電気応用・受電設備・発送変電12問、電気工事の施工方法・検査方法8問、保安法令8問の合計40問の四肢択一で練習できるオリジナル問題として用意しました。法令は2026年4月1日施行の電気工事士法・電気工事業法・電気用品安全法・電気事業法・電気設備技術基準を条文で確認し、高圧受電設備や施工の基準は電気設備の技術基準の解釈と業界の規程の内容を自分の言葉で書き直しています。単線結線図や写真を読む配線図問題・鑑別問題は扱っていません。過去問題の転載ではありません。
第一種電気工事士 学科試験の基本 (令和8年度)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実施団体 | 一般財団法人 電気技術者試験センター |
| 試験方式 | CBT方式 (上期・下期) と筆記方式 (令和8年度は下期のみ)。令和9年度から原則CBTに全面移行 |
| 問題数・時間 | 50問 (一般問題40問程度 + 配線図問題10問程度)・四肢択一・140分 |
| 合格基準 | 合格基準点 60点 (1問2点・100点満点) |
| 受験資格 | なし |
| 受験手数料 | インターネット 13,000円 / 書面 14,400円 (非課税) |
| 令和8年度下期の日程 | 申込 7/27〜8/13、CBT会場予約 8/20〜9/24、CBT学科 9/11〜10/18、筆記学科 10/4、技能 11/21 |
| 免状の交付 | 学科・技能の合格に加えて、電気工事に関する3年以上の実務経験が必要 |
学科試験に合格すると、その回の技能試験に不合格でも次回と次々回の学科試験が免除されます (令和7年から次々回まで拡大)。電気主任技術者免状の取得者は学科試験そのものが免除されますが、免除は申請しなければ適用されません。
40問の中身 — 一般問題を4つの分野に分けた
| 分野 (本試験の科目) | 本試験での位置づけ | ぴよパスの練習問題 |
|---|---|---|
| 基礎理論・配電理論・配線設計 | 一般問題の前半。計算問題が集中する | 12問。クーロンの法則、直流回路、正弦波、RL直列の消費電力、Y結線の三相電力、三相3線式の電圧降下、電力損失、短絡容量、直列リアクトル、単相3線式の中性線断線、幹線の許容電流、分岐回路の遮断器の位置 |
| 電気機器・電気応用・受電設備・発送変電 | 一般問題の中盤。写真問題の周辺知識 | 12問。誘導電動機の回転速度と始動法、変圧器の損失と並行運転、蓄電池と浮動充電、LED、電熱の計算、風車、送電線の付属設備、受電設備の機器、キュービクルの主遮断装置と避雷器 |
| 電気工事の施工方法・検査方法 | 一般問題の後半。高圧受電設備の図に関連づけて出る | 8問。金属管・高圧屋内配線・バスダクト・地中電線路・引込ケーブルの施工、接地工事の種別、絶縁抵抗と絶縁耐力試験、継電器試験と絶縁油の診断 |
| 保安に関する法令 | 一般問題の最後の3〜4問 | 8問。電気工作物の区分、電気工事士の従事範囲、軽微な工事、免状と定期講習、電気用品安全法、電気工事業法、電気事業法の保安規程と主任技術者 |
一般問題40問のうち30問取れれば、配線図問題が0点でも合格基準点に届く計算です。配線図問題は単線結線図と写真が前提で文章だけでは再現できないため、ここでは扱わず、電気技術者試験センターが公表している筆記方式の実物と出題例 (PDF) で補ってください。
合格率の読み方 — 57%前後で安定している
| 年度・回 | 方式 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 令和6年度 上期 | CBTのみ | 11,997 | 7,112 | 59.3% |
| 令和6年度 下期 | CBT + 筆記 | 23,323 | 12,918 | 55.4% |
| 令和7年度 上期 | CBTのみ | 13,524 | 7,643 | 56.5% |
| 令和7年度 下期 | CBT + 筆記 | 22,630 | 13,092 | 57.9% |
| 令和8年度 上期 | CBTのみ | 14,507 | 8,307 | 57.3% |
学科試験の合格率は直近5回とも55〜60%で、年間の学科受験者は上期と下期を合わせて約3万5千〜3万6千人です。第二種の学科 (6割前後) と数字は近いものの、受験資格が無い一方で範囲は第二種より広く、合格率だけで難度を測ることはできません。合格基準点は電気技術者試験センターの受験案内で60点と公表されており、基準点に達すれば合格する方式で、受験者の平均点で合否ラインが動く相対評価ではありません。
令和9年度からCBTに全面移行 — 過去問が公表されなくなる
電気技術者試験センターは令和8年4月8日付で、令和9年度 (2027年度) から第一種・第二種の学科試験を原則CBT方式に全面移行し、筆記方式を廃止すると公表しました。CBT方式の学科試験は問題も解答も非公開で、受験者は試験問題を第三者に開示しないことに同意して受験します。
このため、これまで「筆記方式の実物 (令和4・5・6年度下期・7年度下期) と CBTのみの回の出題例 (令和6・7・8年度上期)」として PDF で公表されてきた問題は、令和8年度下期 (2026年10月4日) の筆記を最後に、新しいものが出なくなる見込みです。過去問だけに頼る勉強法は、令和9年度以降は素材の更新が止まります。公表済みの PDF は今のうちに保存し、あわせて出題範囲 (9科目) を軸にした練習に切り替えておくのが安全です。
出題範囲の9科目と、条文で確認できる法令
受験案内の「科目と範囲」には、① 電気に関する基礎理論、② 配電理論及び配線設計、③ 電気応用、④ 電気機器・蓄電池・配線器具・電気工事用の材料及び工具並びに受電設備、⑤ 電気工事の施工方法、⑥ 自家用電気工作物の検査方法、⑦ 配線図、⑧ 発電施設・送電施設及び変電施設の基礎的な構造及び特性、⑨ 一般用電気工作物等及び自家用電気工作物の保安に関する法令、の9科目が並びます。
このうち法令 (⑨) は、電気工事士法・同施行令・同施行規則、電気工事業の業務の適正化に関する法律・同施行規則、電気用品安全法・同施行令、電気事業法・同施行規則、電気設備に関する技術基準を定める省令が対象で、いずれも e-Gov 法令検索で条文を確認できます。ぴよパスの法令8問は、2026年4月1日施行の条文を逐語で確認して作問し、解説に条番号を付けています (出題の基準日は公表されていないため、年度の初日の施行版で確認しました)。一方、「電気設備の技術基準の解釈」は経済産業省の審査基準で法令ではなく、内線規程・高圧受電設備規程・JIS 規格は民間の規格・規程です。これらは逐語では引かず、内容を自分の言葉で書き直しています。
第二種からのステップアップ — 実務経験3年と認定電気工事従事者
第二種電気工事士の学科で電気の基礎と一般用電気工作物の施工を固めた人にとって、第一種で新しく加わるのは、高圧受電設備 (断路器・負荷開閉器・遮断器・変流器・零相変流器・避雷器と保護継電器)、三相回路と配電線路の計算 (電圧降下・電力損失・短絡容量)、発送変電の基礎、そして電気事業法・電気工事業法です。第二種の学科をこれから受ける人は 第二種電気工事士 学科試験の練習問題 から始めてください。
学科と技能に合格しても、第一種電気工事士免状の交付には電気工事に関する3年以上の実務経験が必要です (電気工事士法第4条第3項第1号、同法施行規則第2条の4第2項)。実務経験を積む間は、認定電気工事従事者の認定を受けると、最大電力500kW未満の需要設備のうち600V以下で使用する部分の電気工事 (電線路に係るものを除く) に従事できます。第一種電気工事士免状の交付を受けた後は、5年以内ごとに自家用電気工作物の保安に関する定期講習を受ける義務があります (第4条の3)。
市販の問題集の使い方
学科試験の市販書は「過去問の年度別・回別の解答集」と「テキスト + 問題集」の2系統です。令和9年度以降は新しい過去問が出なくなるため、年度別の解答集は令和8年度下期までの版で素材が固定されます。項目別に並べ替えた問題集やテキストのほうが、CBT 化後も使い方が変わりません。ぴよパスの40問で「どの肢がなぜ誤りか」を説明できるようになった後、配線図と鑑別 (写真) を市販書と公表 PDF で補うのが、図が必要な部分をこのサイトで扱っていないことを踏まえた分担です。
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