この記事で分かること
- 二級ボイラー技士の試験で出る計算問題の種類と出題頻度
- ボイラー効率・相当蒸発量・伝熱面積・空気比の公式と解き方の手順
- 計算問題でよくある間違いとその防ぎ方
- ぴよパスの演習問題を使った計算問題の攻略法
二級ボイラー技士で出る計算問題の全体像
二級ボイラー技士の筆記試験は4科目・各10問・全40問の五肢択一形式です。この40問のうち、計算を伴う問題は2〜4問程度であり、割合としては多くありません。
しかし「計算問題を捨てる」という戦略は危険です。各科目10問しかない中で計算問題を全問失点すると、足切りライン(各科目4問以上)を下回るリスクが生じます。「計算の苦手な人は法令・知識問題で補えばいい」と考えがちですが、4科目すべてに足切りが設定されているため、特定の問題タイプを丸ごと諦めることはできません。
科目別に出る計算問題の種類
| 科目 | 出る計算 | 出題頻度 |
|---|---|---|
| ボイラーの構造 | 伝熱面積・相当蒸発量・ボイラー効率 | 1〜2問程度 |
| ボイラーの取扱い | 相当蒸発量・ボイラー効率(取扱い観点から) | 0〜1問程度 |
| 燃料及び燃焼 | 空気比・理論空気量・発熱量の換算 | 1〜2問程度 |
| 関係法令 | 伝熱面積と資格区分(計算より数値の暗記) | 数値の当てはめのみ |
計算公式が必要なのは主に「構造」と「燃料及び燃焼」の2科目です。法令科目に登場する伝熱面積は、数値を公式に当てはめるというより「25m²・500m²という区切り値と資格区分を対応させる」知識問題の色合いが強く、公式の暗記よりも数値の記憶が重要です。
計算問題1:ボイラー効率
ボイラー効率は、供給した燃料が持つ熱量のうち、実際にボイラーで水・蒸気に伝えられた熱量の割合を示す指標です。
公式
ボイラー効率(%)= 発生蒸気に与えた熱量(kJ/h)
─────────────────────────── × 100
供給燃料の発熱量(kJ/h)
数値を具体的に当てはめると次のようになります。
ボイラー効率(%)= 実際蒸発量(kg/h)× 蒸気の比エンタルピー差(kJ/kg)
───────────────────────────────────────────────────── × 100
燃料消費量(kg/h)× 低発熱量(kJ/kg)
解き方の手順
- 問題文から「実際蒸発量」「給水温度(または給水エンタルピー)」「発生蒸気の圧力・温度(またはエンタルピー)」「燃料消費量」「低発熱量」の5つの数値を読み取る
- 蒸気の比エンタルピー差 = 発生蒸気のエンタルピー(kJ/kg) − 給水のエンタルピー(kJ/kg)を求める
- 分子(発生蒸気に与えた熱量)= 実際蒸発量 × 比エンタルピー差 を計算する
- 分母(供給燃料の発熱量)= 燃料消費量 × 低発熱量 を計算する
- 分子 ÷ 分母 × 100 でボイラー効率(%)を求める
計算例
実際蒸発量 3000 kg/h、蒸気の比エンタルピー差 2100 kJ/kg、燃料消費量 200 kg/h、低発熱量 40000 kJ/kg の場合を計算します。
- 分子(発生蒸気に与えた熱量): 3000 × 2100 = 6,300,000 kJ/h
- 分母(供給燃料の発熱量): 200 × 40000 = 8,000,000 kJ/h
- ボイラー効率: 6,300,000 ÷ 8,000,000 × 100 = 78.75%
試験では五肢択一なので、計算結果に最も近い選択肢を選びます。計算の途中で分子と分母を誤った順序で割ってしまうと100%を大幅に超える数値や0%に近い数値が出るため、「パーセントで80%前後が妥当な範囲」という感覚を持つと検算がしやすくなります。
計算問題2:相当蒸発量(換算蒸発量)
相当蒸発量とは、ボイラーの蒸発能力を共通の基準条件に換算した値です。実際の運転条件(給水温度・蒸気圧力)が異なるボイラー同士のパフォーマンスを比較するために使われます。
基準条件は「100℃の水を100℃の飽和蒸気に蒸発させる場合」とされており、このときの蒸発潜熱(基準蒸発潜熱)は2257 kJ/kg(約2260 kJ/kg と近似して使うこともある)という固定値が使われます。
公式
相当蒸発量(kg/h)= 実際蒸発量(kg/h)× 蒸気の比エンタルピー差(kJ/kg)
────────────────────────────────────────────────────
2257(kJ/kg)
解き方の手順
- 問題文から「実際蒸発量」と「蒸気の比エンタルピー差」を読み取る
- 実際蒸発量 × 比エンタルピー差 を計算する(分子)
- 分子 ÷ 2257 で相当蒸発量を求める
計算例
実際蒸発量 2000 kg/h、蒸気の比エンタルピー差 2300 kJ/kg の場合を計算します。
- 分子: 2000 × 2300 = 4,600,000 kJ/h
- 相当蒸発量: 4,600,000 ÷ 2257 ≒ 2038 kg/h
実際蒸発量(2000 kg/h)より相当蒸発量(約2038 kg/h)がわずかに大きくなっています。これは基準条件(100℃水→100℃蒸気)の潜熱よりも実際の比エンタルピー差が大きい(給水温度が100℃より低い・蒸気温度が100℃より高いなど)場合に起きる正常な結果です。「相当蒸発量が実際蒸発量を大幅に下回る」という計算結果が出たときは式の当てはめ方を見直してください。
計算問題3:伝熱面積
伝熱面積の計算は、主に構造科目と法令科目の2つの文脈で登場します。
煙管の伝熱面積
煙管ボイラーの伝熱面積は、煙管の内側(燃焼ガスが通過する側)の面積で計算します。
煙管の伝熱面積(m²)= π × 内径(m)× 管の長さ(m)× 本数
水管ボイラーの場合は、水管の外側(燃焼ガスに接する側)の面積が伝熱面積となります。煙管は内側、水管は外側、という違いが試験のひっかけポイントとなるため注意が必要です。
計算例
内径 0.07 m(70 mm)、管の長さ 2.0 m、本数 80 本の煙管の場合を計算します。
- 伝熱面積: 3.14 × 0.07 × 2.0 × 80 = 35.2 m²
資格区分と伝熱面積の数値(法令)
法令科目で問われる伝熱面積は、計算よりも数値の暗記が中心です。
| 資格 | 取扱作業主任者になれる伝熱面積 |
|---|---|
| 二級ボイラー技士 | 伝熱面積 25 m² 未満 |
| 一級ボイラー技士 | 伝熱面積 500 m² 未満 |
| 特級ボイラー技士 | すべての規模 |
「25 m²・500 m²」という2つの区切り値と資格区分の対応を正確に覚えることが、法令科目の伝熱面積問題の攻略法です。
計算問題4:空気比・理論空気量
空気比(空気過剰率)は、燃料を燃焼させる際に実際に供給した空気量が理論空気量の何倍かを示す値です。
公式
空気比(m)= 実際に供給した空気量(m³/h)
────────────────────────────
理論空気量(m³/h)
試験では「空気比の意味・正常範囲・燃焼状態への影響」を問う知識問題のほか、数値を当てはめて空気比を求める計算問題も出題されます。
空気比と燃焼状態の関係
| 空気比の値 | 燃焼状態 | 問題点 |
|---|---|---|
| m<1 | 空気不足・不完全燃焼 | 一酸化炭素(CO)が発生、熱効率の低下 |
| m=1 | 理論的に完全燃焼 | 現実には完全燃焼しない |
| m>1(1.1〜1.3程度) | 空気過剰・実用的な完全燃焼 | 大きすぎると排ガス熱損失が増加 |
実際のボイラーでは「理論通りの完全燃焼は実現しない」ため、空気比を1.1〜1.3程度に設定することが一般的です。この数値の範囲が選択肢に登場した場合、「適切な空気比」として選べるようにしておきましょう。
理論空気量の考え方
燃料1 kg(または1 m³)を完全燃焼させるのに理論上必要な空気量を「理論空気量」といいます。試験では燃料組成から理論空気量を計算する問題よりも、「与えられた理論空気量と実際空気量から空気比を求める」という形式の問題が多く出題されます。
計算例として、理論空気量が 10 m³/kg の燃料に対して実際に 12 m³/kg の空気を供給している場合、空気比 m = 12 ÷ 10 = 1.2 となります。
よくある計算ミスとその防ぎ方
ミス1:分子と分母を逆にする
ボイラー効率の計算で最も多いのが「発生蒸気の熱量と供給燃料の熱量を逆に割ってしまう」ミスです。効率は「出力÷入力」なので、分子は「有効に使われた熱量(蒸気側)」、分母は「投入した熱量(燃料側)」という原則を覚えておきましょう。
効率の値は100%を超えることはなく、通常70〜90%程度が正常な範囲です。計算結果が100%を超えた場合は分子と分母が逆になっている可能性が高いため、式を見直してください。
ミス2:2257 という固定値を忘れる
相当蒸発量の計算では「2257 kJ/kg」という100℃での蒸発潜熱の固定値を使います。この数値を覚えていないと計算が進まないため、問題用紙の余白に「2257(相当蒸発量の分母)」とメモしてから計算を始める習慣をつけましょう。
ミス3:単位の変換を忘れる
管径をmmで与えられているのにそのままmm²で面積を計算してしまう、あるいはkJ/hとkWを混同してしまう、というミスが起きやすいです。問題文の数値の単位を確認し、m・kg・kJに統一してから計算に入ることが大切です。
ミス4:煙管の内側と外側を逆にする
伝熱面積を求めるとき、煙管は「内径」、水管は「外径」を使います。この逆転に気づかないまま計算すると選択肢の別の数値に引き込まれます。「煙管=内側(ガスが内を通る)、水管=外側(ガスが外から当たる)」という原則を計算前に確認してください。
ぴよパスで計算問題を演習する
計算問題は「公式を覚える」だけでなく「実際に手を動かして解く」ことで初めて定着します。ぴよパスでは科目別のオリジナル練習問題を用意しています。
ボイラー効率・相当蒸発量・伝熱面積の問題は構造カテゴリに収録しています。
空気比・理論空気量の問題は燃料及び燃焼カテゴリに収録しています。
計算以外の知識問題と組み合わせて演習したい場合は、取扱いと法令のカテゴリも活用してください。
模擬試験で計算問題の位置付けを確認する
4科目の計算問題を一通り練習したら、本番形式の模擬試験で「どの科目で何問正解できているか」を確認しましょう。模擬試験では計算問題も混在した40問を解くことで、時間配分の感覚と各科目の足切りリスクを同時に把握できます。
計算問題に時間をかけすぎて他の問題を解く時間が足りなくなるのは本番でよくある失敗パターンです。「計算問題は後回しにして知識問題を先に解き、残り時間で計算問題に取り組む」という時間配分も有効な戦略です。
まとめ:計算問題攻略の3ステップ
- 公式を覚える:ボイラー効率・相当蒸発量・伝熱面積・空気比の4つの公式を、「何が分子で何が分母か」まで含めて覚える
- 手を動かして解く:ぴよパスの練習問題で公式に数値を当てはめる操作を繰り返し、計算の流れを体に染み込ませる
- よくあるミスのチェックポイントを持つ:分子と分母の逆転・2257の固定値・単位変換・煙管の内外の区別という4つのポイントを計算前に確認する習慣をつける
計算問題は暗記問題と違い、公式と手順さえ正確に押さえれば確実に得点できます。苦手意識がある方も、まず1種類の計算から練習を始めることで着実に克服できます。