乙種1類の対象は屋内消火栓設備・スプリンクラー設備・水噴霧消火設備です。乙6 (消火器) のように機器がひとつではなく、配管でつながった系統全体が対象になるため、鑑別では「この部品はどこに付いていて何をするか」が繰り返し問われます。
この記事では、乙1の鑑別で得点源になる数値を消防法施行令・施行規則・規格省令の条番号つきで整理します。数値は2026年4月1日時点で施行されている版で確認しています。
乙1の実技は鑑別等のみ。ただし単独で60%が要る
甲種と違い、乙種1類に製図はありません。実技は鑑別等だけです。ただし合格には学科全体で60%以上、学科の各科目で40%以上、そして実技単独で60%以上が必要です。学科が得意でも実技を落とせば不合格になるので、鑑別は「捨てられない科目」です。
消防設備士乙1のオリジナル予想問題で、鑑別の出題形式を確かめる →
独学の本命テキスト
※価格・評価は変動します。改訂年を商品ページで確認してください。上記は Amazon アソシエイトのリンクです。
屋内消火栓は3区分。数値の組み合わせで区別する
鑑別でいちばん問われるのがここです。消防法施行令第11条第3項が3つの基準を定めており、どれも「水平距離・放水圧力・放水量・水源水量」の4項目で決まります。
| 項目 | 1号<br>(令11条3項1号) | 2号<br>(令11条3項2号イ) | 広範囲型2号<br>(令11条3項2号ロ) |
|---|---|---|---|
| 水平距離 | 25m 以下 | 15m 以下 | 25m 以下 |
| 放水圧力 | 0.17MPa 以上 | 0.25MPa 以上 | 0.17MPa 以上 |
| 放水量 | 130L/min 以上 | 60L/min 以上 | 80L/min 以上 |
| 水源水量 (設置個数×) | 2.6㎥ | 1.2㎥ | 1.6㎥ |
| 一人で操作 | 要件なし | 必要 | 必要 |
水源水量の「設置個数」は、最も多い階の設置個数で数えます。ただし条文は「当該設置個数が二を超えるときは、二とする」と定めているので、3個以上あっても2個で計算します。ここは計算問題でよく狙われます。
覚え方としては、広範囲型2号は「1号の距離・1号の圧力・その中間の水量」と押さえると混ざりません。水平距離が25mなのは1号と広範囲型2号、圧力が高いのは2号だけ、という2軸で整理するのが確実です。
放水圧力には上限もある
消防法施行規則第12条第1項は、加圧送水装置について「当該屋内消火栓設備のノズルの先端における放水圧力が〇・七メガパスカルを超えないための措置を講じること」と定めています。下限だけでなく上限0.7MPaがあるのは、圧力が高すぎるとホースの反動で一人では保持できなくなるからです。
標示と表示灯 — 数値がそのまま問われる
消防法施行規則第12条第1項に、鑑別で頻出の数値がまとまっています。
- 開閉弁は床面からの高さ 1.5m以下の位置、または天井 (天井に設ける場合は自動式) — 同項第1号
- 加圧送水装置の始動を明示する表示灯は赤色とし、屋内消火栓箱の内部またはその直近に設ける — 同項第2号
- 屋内消火栓箱の表面に「消火栓」と表示する — 同項第3号イ
- 屋内消火栓箱の上部に、取付け面と15度以上の角度となる方向に沿って10m離れたところから容易に識別できる赤色の灯火を設ける — 同項第3号ロ
「15度」「10m」「赤色」の3点セットは、写真を見せて「この設置状況の不適切な点は何か」と問う形式で出ます。角度と距離を逆にした選択肢が定番なので、数字と単位をセットで覚えてください。
スプリンクラーヘッドの水平距離は建物の種別で変わる
消防法施行令第12条第2項第2号イが、天井の各部分から一のヘッドまでの水平距離を定めています。
| 対象 | 水平距離 |
|---|---|
| 舞台部など (令12条1項2号〜4号・10号〜12号のうち別表第一(一)項の舞台部) | 1.7m 以下 |
| 上記以外で耐火建築物以外の建築物 | 2.1m 以下 |
| 上記以外で耐火建築物 | 2.3m 以下 |
耐火建築物のほうが距離が長い (=ヘッドが少なくて済む) のが直感と逆に感じられるところです。火災の拡大が遅いぶん、間隔を広げてよいと理解しておくと迷いません。
また同項第3号により、開口部の上枠には長さ2.5m以下ごとに1個のヘッドを設けます。
放水性能は規則側にある
令第12条第2項第5号は放水性能を「総務省令で定めるところにより」としており、具体的な数値は消防法施行規則第13条の6第2項にあります。閉鎖型の標準型ヘッドと側壁型ヘッドは、放水圧力0.1MPa以上・放水量80L/min以上。ただしラック式倉庫では114L/min以上です。
▶️ 令だけを見ても数値は出てきません。「令で枠を決め、規則で数値を決める」という構造は消防法令全体に共通するので、条文を引くときは必ず両方を確認してください。
🔴 ヘッドの「色」は2種類ある。混同すると必ず落とす
ここが乙1の鑑別で最も間違えやすい論点です。スプリンクラーヘッドをめぐる色には、まったく別の体系が2つあります。
① 省令が定める色別標示(閉鎖型スプリンクラーヘッドの技術上の規格を定める省令 第15条第2項)
| 標示温度の区分 | 色別 |
|---|---|
| 60度未満 | 黒 |
| 60度以上75度未満 | 無 (色別なし) |
| 75度以上121度未満 | 白 |
| 121度以上162度未満 | 青 |
| 162度以上200度未満 | 赤 |
| 200度以上260度未満 | 緑 |
| 260度以上 | 黄 |
② ガラス球式ヘッドの球内の液色
こちらは球に封入された液体の色で温度を示すもので、①とは対応が異なります。
⚠️ 同じ色が両方の体系に出てきて、意味する温度帯が違います。 たとえば「赤」は①では162度以上200度未満ですが、ガラス球の液色ではもっと低い温度帯を指します。設問がヘッド本体の色別標示を聞いているのか、ガラス球の中の液色を聞いているのかを先に判別してください。判別さえできれば、あとは表の引き当てです。
ヘッドに表示する事項
同省令第15条第1項は、ヘッドの見やすい箇所に消えないように表示すべき事項を列挙しています。製造者名または商標・製造年・標示温度・取付け方向が基本の4つで、加えて一種のものには「①」または「QR」、r2.6のものには「2.6」、r2.8のものには「2.8」、小区画型ヘッドには「小」または「S」と流量定数Kを表示します。
「取付け方向」が表示事項に入っているのは、上向き型と下向き型を取り違えると散水分布が成立しないからです。鑑別で上下逆に設置された写真が出たら、ここが根拠になります。
配管部材と点検器具は「どこに付くか」で覚える
鑑別では系統図や写真から部品名を答えさせます。位置と役割をセットで覚えるのが最短です。
| 部品 | 付く位置 | 役割 |
|---|---|---|
| フート弁 | ポンプの吸込側配管の先端 | 逆止弁とストレーナが一体。ポンプ停止時に水を落とさない |
| 逆止弁 | ポンプの吐出側 | 停止時に水が逆流してポンプ側に戻るのを防ぐ |
| 流水検知装置 | 配管の途中 | パドル (羽根板) が水流を受けて傾き、スイッチが動作して発信する |
| 一斉開放弁 | 開放型ヘッドの系統 | 開放されると、接続された区域のヘッドから一斉に放水される |
| 呼水槽 | ポンプの上部 | 吸込配管とポンプ内を満水に保つ |
点検器具では、放水圧力測定器 (ピトーゲージ) がノズル先端の放水圧力を直接測るために使われます。上で見た「0.17MPa以上・0.7MPa以下」を実地で確認するための器具、と結びつけておくと役割を忘れません。
まとめ — 覚える順番
- 屋内消火栓の3区分の表。4項目×3区分の12個の数値が土台
- 15度・10m・赤色・1.5m以下の標示まわり
- SPヘッドの水平距離 (1.7 / 2.1 / 2.3) と放水性能 (0.1MPa・80L/min)
- 色の体系が2つあることの自覚
- 配管部材の位置と役割
数値は覚えるだけでは定着しません。選択肢の形で繰り返し引き当てるのがいちばん速いので、演習と往復してください。



![消防設備士1類 超速マスター 第4版 [甲種 乙種 対応]](https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/P/4300112525.09.LZZZZZZZ.jpg)







