会員内部管理責任者資格試験には、対策の設計を決めてしまう事実が 2 つあります。ひとつ、日本証券業協会は本試験の問題を公表していない。ふたつ、出題科目・出題の範囲・問題の形式及び数・試験時間・合格判定基準のどれも一般公開されていない(同協会「外務員等資格試験に関する規則」第 5 条第 2 項)。
一種外務員なら ○× 1 問 2 点・五肢選択 1 問 10 点という配点が公表されていて、そこから時間配分を逆算できました。内管にその材料はありません。代わりに使えるのは、規則が「誰に・何を・いつまでに」義務づけているかという構造です。4 分野 120 問はその軸で並べてあります。
公式の問題は出ていない。出題の形式も非公開
「内部管理責任者 過去問」と検索しても、公表された本試験の問題にはたどり着けません。協会が問題を公表しておらず、受験後に持ち帰る仕組みもないためです。一次情報で確認できるのは、試験の中身ではなく受験の枠組みの側だけです。
| 確認できること | 内容(「外務員等資格試験に関する規則」) |
|---|---|
| 受験資格 | 協会員の役員等のうち、一種外務員の資格を有する者(第 4 条第 2 号) |
| 申込みと受験料 | 所属する協会員が協会へ直接申込み、受験料も協会員が直接支払う(第 6 条第 1 項) |
| 科目・範囲・問題の形式及び数・時間・合格判定基準 | 外務員等資格試験委員会が定める(第 5 条第 2 項)。一般公開されていない |
| 不合格だったとき | 受験日から 30 日を経過する日までは第 3 条の全試験を受けられない(第 9 条) |
一般の方が個人で申し込むことはできません。受験の可否・日程・費用は所属先の人事部門やコンプライアンス部門に確認してください。
形式が読めない以上、どこが得点源かを決められません。不安な分野を捨てる賭けは、落ちれば 30 日空きます。その 1 か月を先に前借りして 4 分野を均すほうが早く終わります。
内部管理責任者のオリジナル予想問題 120 問は、問題文と解説を登録不要で読めます。
4 分野 120 問は「誰が・いつまでに・どこへ」で並べてある
分野の切り方は公式の科目ではありません(科目が公開されていないため)。管理者として動く場面から逆算した、ぴよパス独自の区分です。
| 分野 | 問数 | 管理者として問われること |
|---|---|---|
| 金融商品取引法と関係法令 | 30 問 | 業務管理体制、適合性、情報提供、広告、損失補塡と事故確認、インサイダー、犯収法 —— どこで止めるか |
| 協会定款・諸規則 | 30 問 | 顧客カード、勧誘開始基準、内部者登録カード、従業員の事故、反社の関係遮断 —— 何を備え、何回照合するか |
| 取引所定款・諸規則と売買管理 | 30 問 | 受託契約準則、自主規制業務と考査、作為的相場形成の防止 —— 売買審査で何を見るか |
| 内部管理・営業責任者の実務 | 30 問 | 4 つの役職の資格要件・配置・責務、報告と届出、交代勧告 —— 誰が、いつまでに、どこへ |
各分野は ○× 方式 20 問 + 五肢選択方式 10 問です。○× を厚くしたのは「している/していない」の切り分けが管理業務に近いからで、五肢選択は役職や手続を入れ替えた選択肢で区別が付いているかを見る役に回しています。
取引所の分野だけ、根拠条文の欄が空の問題が混ざる
取引所の定款・諸規則の全文データベースは、第三者への提供を目的とした加工・再利用・再配信を禁じています。そこでこの分野は、金融商品取引法(e-Gov 法令検索)・日本取引所グループの公開解説・日本取引所自主規制法人の公表資料だけを根拠に作りました。結果、根拠条文を書けたのは 30 問中 14 問で、残りは欄が空です(他の 3 分野は 30 問すべてに付いています)。空欄は省略ではなく、条文を引けない論点で条番号を装わないための処置です。条番号が付いた問題は条文を開いて確かめ、付いていない問題は制度の考え方として押さえてください。
10 日で 2 周する配分
| 日 | 解くもの | 終わりの目安 |
|---|---|---|
| 1〜2 日目 | 内部管理・営業責任者の実務 | 4 つの役職を資格要件・配置単位・責務で書き分けられる |
| 3〜4 日目 | 協会定款・諸規則 | 備え付ける書類と、照合・点検の頻度を言える |
| 5〜6 日目 | 金融商品取引法と関係法令 | 禁止行為を「誰の義務か」で分類できる |
| 7 日目 | 取引所定款・諸規則と売買管理 | 考査と作為的相場形成の防止を売買審査の言葉で言える |
| 8〜10 日目 | 模擬試験(プレミアム)→ 誤答だけ 2 周目 | 誤りの理由を条番号か制度の趣旨で言える |
実務を先頭に置くのは、役職の区別が付かないと他の 3 分野の「誰が」が読めないからです。条文を知っていても、義務を負うのが協会員なのか営業責任者なのかが決まらなければ選択肢を切れません。
一種の知識は下地になる。ただし主語が入れ替わる
受験できるのは一種外務員の資格を有する者だけなので、金商法と協会規則は全員が一度通っています。入れ替わるのは主語です。
| 一種で問われた形 | 内管で問われる形 |
|---|---|
| 外務員は断定的判断の提供をしてはならない | 営業責任者は、担当する営業単位でその疑いを把握したとき何をするか |
| 事故による損失の補塡は禁止されている | 補塡が認められる場合に、協会員は誰の確認を受け、どこへ何を届け出るか |
| インサイダー取引は禁止されている | 未然防止のため、協会員は何を整備し社内規則にどの範囲を定めるか |
結論が同じでも、問われるのは手続の側に移ります。「禁止されている」と覚えた知識は、「誰が気づき、誰に上げ、どこへ出すか」まで伸ばさないと使えません。下敷きにするなら、一種外務員の練習問題 350 問のうち「法令・諸規則」の分野を、主語を管理者に置き換えながら読み直すのが早いです(一種そのものの解き方は証券外務員一種 予想問題 350 問の使い方)。
模擬試験 50 問は本試験の再現ではない
ぴよパスの模擬試験は ○× 35 問 + 五肢選択 15 問の 50 問・90 分で、正答 35 問(70%)を学習上の目安にしています。プレミアム(月額 480 円)の機能です。
この構成はぴよパスが決めたもので、本試験の問題数・科目配分・試験時間を再現したものではありません。 70% も合否を判定する数字ではありません。合格判定基準は委員会が定めるとされ公開されておらず、再現すべき原本が手に入らないからです。
使い道は合否の予想ではなく分野の順位づけです。4 分野の正答率を並べ、いちばん低い分野に 2 周目の時間を寄せます。
取り違えで落とす 3 か所
1. 義務の強さ(禁止 / 義務 / 努力義務)
「協会員の内部管理責任者等に関する規則」第 7 条は、項で強さが分かれます。第 1 項は内部管理部門の管理職者について、会員内部管理責任者資格試験の合格者でなければその職務を行わせてはならないという禁止。第 2 項は管理職者以外で内部管理業務に従事する従業員について、合格者となるよう努めるという努力義務です。同じ条番号でも項が違えば結論が逆になるので、条文の中身より先にどの語尾かを見てください。
2. 4 つの役職
内部管理統括責任者・内部管理統括補助責任者・営業責任者・内部管理責任者は、資格要件も責務も配置単位も別物です。どれか 1 つを入れ替えるだけで選択肢は誤りになります。
「内部管理部門」の範囲は同規則の細則第 3 条にあり、コンプライアンス・監査(検査)・営業考査・売買審査を担当する部・室・課がこれに当たります。自社の組織図の名称で読み替えると範囲がずれます。
3. 名宛人(会社か、管理者個人か)
同規則の条文はほとんどが「協会員は……しなければならない」の形で、義務を負うのは会社です。管理者個人に向いているのは責務の側の条文になります。
期限が付く手続の例が第 16 条で、毎年 7 月末日現在における営業責任者及び内部管理責任者の配置の状況を、遅滞なく協会へ報告することを協会員に義務づけています。基準日が 7 月末日現在であることと、対象が配置の「状況」であって任命のつど届け出るものではないこと —— この 2 点が出題の分かれ目です。
一種に合格していることは受験の前提であって、この 3 か所を埋めた状態を意味しません。
まとめ
公表された問題も出題形式も無い以上、得点源は絞れません。代わりに規則の構造 —— 誰が、何を、いつまでに、どこへ —— を軸に 4 分野を均して埋めます。120 問を 2 周し、模擬試験で分野の順位を付け、低い分野に時間を寄せる。取り違えやすい 3 か所は、いずれも条文を知っているかではなく言い分けられるかで決まります。
出典
- 日本証券業協会「外務員等資格試験に関する規則」—— 第 3 条(試験の種類)、第 4 条第 2 号(受験資格)、第 5 条第 2 項(科目・出題の範囲・問題の形式及び数・時間・合格判定基準は委員会が定める)、第 6 条第 1 項(申込みと受験料)、第 9 条(不合格後 30 日)(2026 年 9 月確認)
- 日本証券業協会「協会員の内部管理責任者等に関する規則」(2026 年 1 月 8 日改正版)—— 第 7 条、第 11 条、第 14 条、第 15 条、第 16 条/同規則に関する細則 第 3 条
- 金融商品取引法(e-Gov 法令検索)
※ ぴよパスは日本証券業協会とは関係のない学習サイトです。試験名称は試験を特定するために用いています。正確な出題範囲・受験手続は、所属先または日本証券業協会の案内で確認してください。







