行政書士試験の 過去問は、試験を行う一般財団法人行政書士試験研究センター(以下、センター)が無料で公開しています。 ホームページの「過去の試験問題と正解」に、令和2年度から令和7年度までの 6年度分 の試験問題(PDF)と正解が並んでいます。記述式は「正解例」つきです。ただし 解説はなく、どの年度も一部の問題が著作権の関係で載っていません。
この記事では、センターのページ(2026年10月20日に確認)をもとに、公開されている中身と使ってよい範囲、令和8年度(2026年11月8日)の本試験の形、令和6年度から変わった「基礎知識」、2026年に施行された行政書士法と民法の改正で答えが変わる問題、何年分をどう解くかをまとめます。
センターの「過去の試験問題と正解」の中身
| 年度 | 掲載されていない問題(著作権の関係) |
|---|---|
| 令和7年度 | 問題1・58〜60 |
| 令和6年度 | 問題1・58〜60 |
| 令和5年度 | 問題1・6・56・58〜60 |
| 令和4年度 | 問題1・58〜60 |
| 令和3年度 | 問題1・7・58〜60 |
| 令和2年度 | 問題1・5・58〜60 |
- 試験問題 は年度ごとのPDF、正解 は年度ごとのページです。正解のページには、択一式(5肢択一式・多肢選択式)の正解の番号と、記述式(問題44〜46)の 正解例 が載っています。令和7年度の正解例は36字・42字・43字でした(問題は「40字程度で記述しなさい」)。
- 問題58〜60は、どの年度も掲載されていません。令和7年度の問題冊子では、問題47〜60が「基礎知識」の択一式です。掲載されていない問題も、正解のページには番号が載っています。
- センターは、試験問題に関する問い合わせには一切答えないとしています。
使ってよい範囲
- 自分で解くためにダウンロードして印刷する → 著作権法で認められた私的使用の範囲です(著作権法第30条)。
- 書籍・ホームページなどに試験問題を載せる → センターの許諾が必要です。センターは、平成12年度以降の試験問題はセンターが作ったもので、著作権はセンターにあるとしています。
本番の形と合格の基準
令和8年度の試験は 2026年11月8日(日)13:00〜16:00(3時間)です。受験手数料は10,400円、合格発表は 2027年1月27日(水) の予定です。
| 科目 | 出題形式 | 問題数 | 満点(令和7年度) |
|---|---|---|---|
| 法令等 | 5肢択一式 | 40問 | 160点(1問4点) |
| 法令等 | 多肢選択式 | 3問 | 24点(1問8点・空欄1つ2点) |
| 法令等 | 記述式 | 3問 | 60点(1問20点) |
| 基礎知識 | 5肢択一式 | 14問 | 56点(1問4点) |
| 合計 | 60問 | 300点 |
合格には、次の3つを すべて 満たす必要があります(令和7年度の合否判定基準)。
- 法令等の得点が 122点以上(満点の50%)
- 基礎知識の得点が 24点以上(14問・56点満点で、1問4点なので6問ぶん。センターのFAQは「満点の40パーセント以上」と書いています)
- 試験全体の得点が 180点以上(満点の60%)
センターのFAQは、試験問題の難易度を評価して合格基準に「補正的措置」を加えることがあるとしています。配点と満点は試験の前には公表されず、合格発表のときに「合否判定基準」として載ります。
過去問を自己採点するときは、3つの基準を別々に見ます。全体で180点を超えていても、基礎知識が24点に届かなければ不合格です。
センターが公表している直近の結果は次のとおりです。
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和7年度 | 50,163人 | 7,292人 | 14.54% |
| 令和6年度 | 47,785人 | 6,165人 | 12.90% |
| 令和5年度 | 46,991人 | 6,571人 | 13.98% |
| 令和4年度 | 47,850人 | 5,802人 | 12.13% |
| 令和3年度 | 47,870人 | 5,353人 | 11.18% |
| 令和2年度 | 41,681人 | 4,470人 | 10.72% |
合格率の推移の読み方は「行政書士の合格率・難易度」にまとめています。
令和6年度から「基礎知識」に変わった
令和5年度までの問題冊子では、問題47〜60は「一般知識等」でした。令和6年度からは「基礎知識」になり、センターの試験の概要では、次の4つから出題するとしています。
- 一般知識
- 行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令
- 情報通信・個人情報保護
- 文章理解
公開されている6年度分のうち、今の「基礎知識」の形で出ているのは 令和6年度と令和7年度の2回分 だけです。令和2〜5年度の問題47〜60は、行政書士法などの諸法令が出題範囲に入る前の出題です(当時の範囲は政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護、文章理解)。
古い年度の問題は、法改正に注意
令和8年度の試験は、試験を実施する日の属する年度の4月1日(2026年4月1日)現在で施行されている法令 から出題されます。公開されている令和2〜7年度の問題は、それより前の法令で作られています。この間に施行された改正のうち、古い問題の答えや条番号が変わる代表的なものを2つ挙げます。
| 施行日 | 改正 | 古い問題で起きること |
|---|---|---|
| 2026年1月1日 | 行政書士法の改正(令和7年法律第65号) | 第1条が「目的」から「行政書士の使命」に変わり、第1条の2に「職責」が新しく置かれた。そのため、業務を定める条文は第1条の2から 第1条の3 に、特定行政書士などの条文は第1条の3から 第1条の4 に移った。行政書士又は行政書士法人でない者の業務の制限(第19条)には「他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て」が加わり、違反の罰則(第21条の2)は両罰規定(第23条の3)の対象になった。第10条は見出しが「行政書士の責務」から「信用失墜行為の禁止」に変わり、「誠実に」業務を行う義務は第1条の2(職責)に移った。特定行政書士が代理できる不服申立ては、「行政書士が作成した」書類に係るものから「作成することができる」書類に係るものに広がった |
| 2026年4月1日 | 民法等の改正(令和6年法律第33号) | 協議上の離婚のとき、改正前は「その一方を親権者と定めなければならない」とされていた。改正後は「その双方又は一方を親権者と定める」(第819条第1項)。裁判上の離婚や認知の場合も、父母の双方を親権者とできるようになった |
行政書士法の条番号が変わったので、古い問題や古い教材で「第1条の2(業務)」と書かれているところは、今の条文では第1条の3です。答えを覚えるのではなく、今の条文で確かめ直します。
この2つのほかにも改正があります。2025年6月1日には、刑法の改正に伴って「懲役」「禁錮」が「拘禁刑」に置き換わりました。行政書士法の欠格事由(第2条の2第3号「拘禁刑以上の刑」)や罰則、地方自治法の条例の罰則(第14条第3項)などにかかり、令和6年度の問題11の参考条文には「禁錮以上の刑」とあります。地方自治法には、2026年4月1日施行の改正で第244条の6(情報システムのサイバーセキュリティを確保するための方針)が加わりました。
何年分を、どう解くか
センターは、何年分を解くべきかを示していません。ぴよパスでは次の進め方をすすめています(編集部の見立てです)。
- 令和7年度・令和6年度を、本番と同じ3時間で通して解く — 今の「基礎知識」の形で出ている2回分です。法令等・基礎知識・全体の3つの基準をそれぞれ自己採点します。ただし、公開版には問題1と問題58〜60が無いので、採点できるのは法令等240点・基礎知識44点(11問)までです。基礎知識は、11問のうち6問(24点)を最低線と見ます。
- 令和2〜5年度は、法令等(問題1〜46)を中心に解く — 行政法・民法の論点の練習になります。問題47〜60は今の「基礎知識」とは科目の範囲が違うので、情報通信・個人情報保護などの共通の分野を選んで使います。ただし、個人情報保護の制度は2022年4月に一本化され、行政機関個人情報保護法は廃止されました。令和2年度の問題56のように、廃止された法律を問う問題は今の個人情報保護法で確かめ直します。
- 掲載されていない問題は、別の材料で補う — 問題1と問題58〜60(令和7年度の冊子では基礎知識の後半)は、どの年度も載っていません。市販の過去問題集や予想問題で補います。載っていない問題を収録しているかは、各書籍の目次で確かめてください。教材の選び方は「行政書士のおすすめテキスト」で比べています。
※価格や在庫は変動します。2026年3月発行の版なので、民法の親権の改正(2026年4月1日施行)など発行の後の改正は、条文で確かめてください。上記はAmazonアソシエイトのリンクです。
解説が無い問題の確かめ方
- 3つの基準ごとに採点する — 法令等(公開版の令和7年度では240点ぶん)と基礎知識(同じく44点ぶん)を分けて合計を出します。
- 間違えた肢を条文で確かめる — e-Gov法令検索で、その問題の年度の4月1日の版を開いて当時の正解の理由を確かめ、2026年4月1日の版で今も同じかを確かめます。版は改正履歴から施行日を選んで開けます。
- 判例の問題は、判決の原文で確かめる — 憲法・行政法・民法には判例を素材にした問題が多いので、裁判所の判例検索で判決の該当部分を読みます。
- 記述式は、正解例と自分の答えの「要素」を比べる — 正解例は40字程度で、何を誰に対してどうするか(例: 訴訟の種類と被告)が入っています。自分の答えに同じ要素が入っているかを確かめます。記述式の書き方は「行政書士の記述式対策」にまとめています。
本試験の直前(11月8日まで)の使い方
- 令和7年度を、本番と同じ13時から16時に解く — 公開版は56問なので、載っていない4問ぶんの時間を残して解き切る時間配分と、記述式に残す時間を決めておきます。
- 2026年の改正点を条文で確かめる — 行政書士法(2026年1月1日施行)と民法の親権(2026年4月1日施行)は、公開されているどの過去問にも出ていません。
- 基礎知識の24点(6問)を落とさない — 足切りの基準です。公開版の基礎知識(11問)で正答が6問前後なら、得点しやすい分野を決めて固めます。
- 試験の後は、合否通知書で得点を確かめる — センターは合格発表の日に、受験者全員(欠席者と欠席扱いの人を除く)に、合否・配点・合格基準点・得点を書いた合否通知書を送ります。
民法の練習に使えるぴよパスの問題
ぴよパスには行政書士試験そのものの問題はありませんが、科目が重なる試験のオリジナル予想問題を、登録不要・無料で公開しています。全問に解説が付いています。
- 宅建士の権利関係(民法・借地借家法など) — 民法の総則・物権・債権・相続の論点を四肢択一で
- 宅建士の練習問題(4分野) — 行政書士と宅建士の違いは「行政書士と宅建の違い」
ぴよパスの問題は、センターの試験問題を写したものではなく、法令と公的資料をもとに独自に作ったオリジナル予想問題です。
関連記事
出典
- 一般財団法人行政書士試験研究センター「過去の試験問題と正解」(掲載年度・掲載していない問題・登載の許諾)、「令和7年度 行政書士試験問題の正解」(択一式の正解・記述式問題の正解例)
- 一般財団法人行政書士試験研究センター「令和7年度 行政書士試験問題」「令和6年度 行政書士試験問題」「令和5年度 行政書士試験問題」「令和2年度 行政書士試験問題」(PDF。注意事項・問題数と試験時間・科目の見出し・記述式の字数・問題11の参考条文・問題56)
- 一般財団法人行政書士試験研究センター「試験の概要」(試験日と時間・試験科目・基礎知識の範囲・法令の基準日・受験手数料)
- 一般財団法人行政書士試験研究センター「令和7年度行政書士試験合否判定基準」(PDF。配点と合格基準点)・「試験結果の推移」(PDF)
- 一般財団法人行政書士試験研究センター「よくある質問(試験・申込手続きについて)」(合格発表の時期と方法・合格基準と補正的措置・合否通知書・試験問題の問い合わせ)・ホームページ(令和8年度の試験日と合格発表日)
- 行政書士法 第1条〜第1条の4・第2条の2・第10条・第19条・第21条の2・第23条の3(2025年4月1日時点と2026年4月1日時点の版を比べた)、民法 第819条(同)、地方自治法 第14条・第244条の6(2026年3月31日時点と4月1日時点の版を比べた)、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(改正履歴。2022年4月1日廃止)、著作権法 第30条(e-Gov法令検索)
- 国立国会図書館サーチ(『みんなが欲しかった!行政書士の5年過去問題集』の各年版の発行年月。2026年10月20日に検索)
2026年10月20日に行政書士試験研究センターのページとe-Gov法令検索で確かめました。
※ ぴよパスは行政書士試験研究センターとは関係のない学習サイトです。試験名は試験を特定するために使っています。


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