年金アドバイザー3級は、銀行業務検定試験の種目の1つです。主催は銀行業務検定協会、実施・運営は経済法令研究会が担っています。公式の案内によると、金融機関の営業店で窓口や渉外を担当する人などを対象に、公的年金の基本知識と、お客さまの年金相談に応じて助言する応用力を見る試験です。
成績が公表された直近3回の合格率は30〜39%で、平均点はどの回も合格点の60点に届いていません。受験資格の制限はなく、紙の公開試験(次は2026年12月6日)と、テストセンターのパソコンで受けるCBT方式(2027年3月31日まで)のどちらでも受けられます。
この記事では、銀行業務検定協会と経済法令研究会の公表資料から、試験の形・合格率・正解率の低かった論点・受け方の選び方をまとめます。受験料や日程は年度で変わるので、申し込む前に公式の案内も確かめてください。
要点
- 五答択一50問(基本知識30問+事例つきの技能・応用10事例20問)・各2点・120分。100点満点中60点以上で合格。
- 受験料は5,500円(税込)。CBT方式は別に事務手数料330円(税込)。
- 公開試験は2026年度から7月・12月の年2回。次は 第165回・2026年12月6日(日)13:30〜15:30(午後)、申込は 10月5日〜10月19日(個人のWeb申込は19日23:30まで)。
- CBT方式は 2026年6月1日〜2027年3月31日。年金アドバイザー3級は、法務3級や相続アドバイザー3級(4月27日から)より遅い6月1日に始まった。
- 合格率は30.67%〜39.34%(第160回・第162回・第163回)。平均点は47〜51点台。
- 遺族厚生年金の問題は、3回とも「正解率の低かった問題」に入った。
試験の形
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 出題形式 | 五答択一式〈一部事例付〉50問(各2点) |
| 科目構成 | 基本知識 30問 / 技能・応用 10事例20問 |
| 出題の分野(公式) | わが国の社会保険制度とその仕組み・年金制度とその仕組み・年金給付の種類と支給要件・企業年金・個人年金の仕組みと要点・年金請求手続と年金受給者の手続・その他 |
| 試験時間 | 120分(公開試験は、始まってから60分と終わる前の10分は退席できない) |
| 合格基準 | 100点満点中60点以上(公開試験は「試験委員会にて最終決定」) |
| 受験料 | 5,500円(税込)。CBT方式は別に事務手数料330円(税込) |
| 電卓 | 公開試験は1台まで(金融計算・関数・メモ機能つきは不可)。CBT方式は持ち込めず、画面に出る電卓を使う |
技能・応用は、10の事例に計20問(1事例あたり平均2問)です。公開試験で電卓が使えるとおり、計算を伴う問題もあります。ぴよパスの練習問題では、老齢基礎年金・老齢厚生年金の額、繰上げ・繰下げの増減、在職老齢年金の支給停止額などを、生年月日・加入の経歴・報酬・家族を書いた設例で計算させています。
2級・4級との違い
| 4級 | 3級 | 2級 | |
|---|---|---|---|
| 出題形式 | 三答択一式50問 | 五答択一式50問(うち10事例20問) | 記述式10題 |
| 試験時間 | 90分 | 120分 | 180分 |
| 受験料(税込) | 4,950円 | 5,500円 | 8,250円 |
| 2026年度の公開試験 | 12月だけ | 7月・12月 | 12月だけ |
| CBT方式 | あり | あり | なし |
| 第163回の合格率 | 51.50% | 35.20% | 21.96% |
受験資格の制限は無く、4級から順に受ける決まりもありません。受験者数は3つの級で3級がいちばん多くなっています(第163回は4級534人・3級1,639人・2級724人)。
合格率と難易度
銀行業務検定協会の事務局報に載った成績結果は次のとおりです。第160回〜第163回では、年金アドバイザー3級は3月と10月の回に行われました(6月の第161回では実施なし)。第164回(2026年7月)の成績は、10月12日の時点では事務局報に載っていません。
| 回 | 実施日 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 平均点 |
|---|---|---|---|---|---|
| 第160回 | 2025年3月2日 | 1,998人 | 786人 | 39.34% | 51.41点 |
| 第162回 | 2025年10月26日 | 1,888人 | 579人 | 30.67% | 47.78点 |
| 第163回 | 2026年3月1日 | 1,639人 | 577人 | 35.20% | 49.70点 |
3回とも合格者は受験者の3〜4割で、平均点は合格点の60点より10点前後低い結果です。同じ銀行業務検定の3級でも、相続アドバイザー3級(33〜42%)や財務3級と同じくらいの、半分以上が落ちる試験だと考えて準備の量を決めてください。
「他団体・個人」の区分は合格率が高い
事務局報には、業態ごとの内訳も載っています。受験者がいちばん多いのは「信連・農協」と「他団体・個人」で、合格率には大きな開きがあります。
| 回 | 信連・農協 | 信金 | 他団体・個人 | 全体 |
|---|---|---|---|---|
| 第160回 | 661人・24.36% | 385人・30.13% | 591人・63.28% | 1,998人・39.34% |
| 第162回 | 480人・11.88% | 299人・17.39% | 782人・50.77% | 1,888人・30.67% |
| 第163回 | 541人・22.00% | 309人・25.24% | 483人・58.18% | 1,639人・35.20% |
「他団体・個人」(個人で申し込んだ人を含む区分)の合格率は、3回とも全体の1.6〜1.7倍です。事務局報はこの差の理由を書いていません。勤め先を通して受ける人は、全体の合格率だけでなく、自分の業態の数字も見て準備の量を決めてください。
正解率の低かった論点
事務局報は、回ごとに「正解率の低かった問題」を5問ずつ挙げています。
| 回 | 正解率の低かった問題 |
|---|---|
| 第160回 | 年金生活者支援給付金・離婚時の年金分割・高年齢雇用継続給付および在職老齢年金との併給調整・遺族厚生年金・年金請求手続 |
| 第162回 | 老齢厚生年金の加給年金額・個人型確定拠出年金・老齢給付・老齢給付の繰上げ請求・遺族厚生年金 |
| 第163回 | 個人型確定拠出年金・老齢基礎年金の受給資格期間・老齢給付・老齢給付の繰上げ請求・遺族厚生年金 |
遺族厚生年金は3回とも入っていて、どの回も問44でした。個人型確定拠出年金(iDeCo)・老齢給付・老齢給付の繰上げ請求は、第162回と第163回の2回続けて入っています。ぴよパスでは、法令と公表資料から作ったオリジナル予想問題で、次の分野を練習できます(本試験の問題を再現したものではありません)。
| つまずく論点 | 練習できる分野 |
|---|---|
| 遺族厚生年金(300月みなし・4分の3・中高齢寡婦加算・老齢厚生年金との併給) | 障害給付と遺族給付 |
| 個人型確定拠出年金(拠出限度額・第3号被保険者の加入・受給開始) | 企業年金と個人年金(iDeCo) |
| 老齢給付の繰上げ・繰下げ、受給資格期間 | 老齢基礎年金 |
| 加給年金額、在職老齢年金、高年齢雇用継続給付との調整 | 老齢厚生年金と在職老齢年金 |
| 年金請求手続・離婚時の年金分割・年金生活者支援給付金 | 年金の請求と受給者の手続 |
2026年度の数字に注意
年金の額や保険料は毎年4月に改定されます。令和8年度(2026年4月分から)は、老齢基礎年金の満額が年847,300円(昭和31年4月2日以後生まれ)、国民年金保険料が月17,920円になりました。在職老齢年金で年金が止まり始める基準(支給停止調整額)も、令和7年度の51万円から65万円に上がっています。前の年度のテキストや問題集で覚えた数字は、そのまま使えないことがあります。ぴよパスの練習問題は、計算の問題を令和8年度の価格で作っています。
2026年12月1日には、iDeCoの制度も変わります。加入できる年齢が65歳未満から70歳未満に上がり、拠出限度額も見直されます(会社員などの第2号加入者は、企業年金と共通の限度額が月6.2万円に)。12月6日の試験の5日前です。3級の試験で、どの時点の法令や数字で答えるかは公式の案内に書かれていないので、改正の前後の両方を押さえておくと安心です。
2026年度の日程と受け方
| 方式 | 日程 | 申込 |
|---|---|---|
| 公開試験 第164回 | 2026年7月5日(日) | 終了 |
| 公開試験 第165回 | 2026年12月6日(日)13:30〜15:30 | 10月5日(月)9:00〜10月19日(月)23:30(個人のWeb申込) |
| CBT方式 | 2026年6月1日(月)〜2027年3月31日(水)のうち、申込日から3日目以降の好きな日 | 2027年3月28日まで |
12月6日の第165回は午後(13:30〜15:30)の実施です(7月の第164回は午前でした)。経済法令研究会の案内では、午前と午後を合わせて1日に2種目まで受けられるので、午前の種目(相続アドバイザー3級・財務3級など)と同じ日に受けることもできます。2026年度の公開試験は12月6日が最後で、2027年度の日程はまだ公表されていません。金融機関や農協にお勤めの人は、勤務先を通した団体申込のことがあり、その方法は所属先に確かめるよう案内されています。個人で申し込んだ後に団体申込へ変えることはできません。
公開試験とCBTの違い
| 公開試験(紙) | CBT方式 | |
|---|---|---|
| 日程 | 7月・12月の決まった日 | 期間中の好きな日 |
| 電卓 | 1台まで持ち込める(金融計算・関数・メモ機能つきは不可) | 持ち込めない。画面の電卓を使う |
| 合否 | 成績は試験の約4週間後から通知 | その日に分かる(即時判定) |
| 問題 | 問題用紙を持ち帰れる | 持ち帰れない。スコアレポートと出題項目一覧を受け取る |
| 受験料 | 5,500円 | 5,500円+事務手数料330円 |
協会は、CBT方式の合格基準と出題範囲は公開試験と同じだと案内しています。12月6日に都合がつかない人や、申込に間に合わなかった人は、CBT方式で2027年3月31日までに受けられます。公開試験の正解(番号だけ)は試験の3日後に経済法令研究会のサイトに出るので、12月6日の回なら12月9日です。過去問の入手先と正解表の見方は、年金アドバイザー3級の過去問はどこで解ける?にまとめました。
まとめ
- 年金アドバイザー3級は、窓口・渉外で年金の相談に応じる力を見る銀行業務検定の種目。五答択一50問(うち事例20問)・120分・60点以上で合格。
- 直近3回の合格率は30〜39%、平均点は47〜51点台。「他団体・個人」の区分(個人で申し込んだ人を含む)の合格率は50〜63%と高い。
- 遺族厚生年金は3回とも正解率の低い問題に入った。iDeCo・繰上げ請求・老齢給付も続けて入っている。
- 令和8年度は年金額・保険料・在職老齢年金の基準が変わった。12月1日にはiDeCoの改正もある。古い数字で覚えない。
- 次の公開試験は2026年12月6日の午後(個人のWeb申込は10月19日まで)。CBTなら2027年3月31日まで。
関連記事
出典
- 経済法令研究会「年金アドバイザー3級」(全国一斉公開試験の第165回の日程・申込・出題形式・科目構成・合格基準・試験時間・持込品): https://www.khk.co.jp/exam/exam_detail.php?pid=52151&oid=42
- 経済法令研究会「CBT年金アドバイザー3級」(CBT方式の期間・申込・事務手数料): https://www.khk.co.jp/exam/exam_detail.php?pid=54655&oid=2000000
- CBT-Solutions「年金アドバイザー3級」(予約・電卓・即時判定・スコアレポート): https://cbt-s.com/examinee/examination/khk-nenkin03.html
- 銀行業務検定協会「2026年度 検定試験 実施概要」(公開試験の年2回化・CBT方式の開始日・2級と4級の実施月): https://www.kenteishiken.gr.jp/upfiles/pdf/7361.pdf
- 銀行業務検定協会「事務局報」No.349(第160回)・No.350(第161回)・No.352(第162回)・No.354(第163回)の成績結果: https://www.kenteishiken.gr.jp/upfiles/pdf/7142.pdf ・ https://www.kenteishiken.gr.jp/upfiles/pdf/7247.pdf ・ https://www.kenteishiken.gr.jp/upfiles/pdf/7380.pdf ・ https://www.kenteishiken.gr.jp/upfiles/pdf/7634.pdf
- 経済法令研究会「年金アドバイザー2級」「年金アドバイザー4級」: https://www.khk.co.jp/exam/examdetail.php?pid=52150&oid=42 ・ https://www.khk.co.jp/exam/examdetail.php?pid=52152&oid=42
- 経済法令研究会「試験の流れ」(正解の発表・成績の通知・受験資格): https://www.khk.co.jp/exam/exam_flow.php
- iDeCo公式サイト「2026年12月の制度改正の概要」: https://www.ideco-koushiki.jp/library/2022kaisei/
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」: https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000191631_00020.html
- 日本年金機構「老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法」: https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/roureinenkin/jukyu-yoken/20150401-02.html








