ガス溶接に要る資格は、業務に就くためのガス溶接技能講習(の修了など)と、作業主任者になるためのガス溶接作業主任者免許の2つで、役割が違います。 可燃性ガスと酸素で金属を溶接・溶断・加熱する業務に就くには、ガス溶接技能講習の修了などが要ります。アセチレン溶接装置やガス集合溶接装置を使う作業では、ガス溶接作業主任者免許を持つ人の中から作業主任者を選びます。よく混同されるアーク溶接は、ガス溶接とは別の特別教育の対象で、ガス溶接に特別教育はありません。
技能講習の学科(修了試験)の練習は、ぴよパスのガス溶接技能講習の練習ページで登録不要・無料でできます(オリジナル予想問題。登録教習機関とは関係がなく、講習の教材や修了試験の問題を載せたものではありません)。
結論: ガス溶接の2つの資格と、アーク溶接の特別教育の違い
| ガス溶接技能講習 | ガス溶接作業主任者免許 | アーク溶接等の特別教育 | |
|---|---|---|---|
| 何のため | ガス溶接・溶断・加熱の 業務に就く | アセチレン溶接装置・ガス集合溶接装置を使う作業の 作業主任者になる | アーク溶接機を使う溶接・溶断等の 業務に就く |
| 根拠 | 施行令第20条第10号(就業制限) | 施行令第6条第2号・規則第314条 | 規則第36条第3号 |
| 誰が行う | 登録教習機関 | 免許試験は安全衛生技術試験協会、免許は都道府県労働局長 | 事業者(外部への委託もできる) |
| 時間・試験 | 学科8時間・実技5時間。修了試験は学科の科目について | 筆記試験 3時間(4科目×5問) | 学科11時間・実技10時間以上 |
| 受講・受験の資格 | 法令上の定めは無い(年齢を条件にする機関はある) | 受験資格は不要。免許には経験などの要件 | ― |
どれを取ればよいか
- ガスで金属を溶接・溶断(ガス切断)・加熱する人: ガス溶接技能講習。例えば新潟県労働基準協会連合会の講習は2日間(学科1.3日・実技0.7日)で、受講料は17,600円(消費税・テキスト代を含む)、受講資格は満18歳以上としています(2026年10月20日に確認)。
- アセチレン溶接装置やガス集合溶接装置を使う作業を指揮する人: ガス溶接作業主任者免許。免許試験に受験資格はありませんが、免許を受けるには、技能講習の修了と3年以上の経験などの要件があります。
- アーク溶接をする人: ガス溶接の資格とは別に、アーク溶接等の特別教育。
法令上の名前は「ガス溶接技能講習」で(労働安全衛生規則別表第三)、修了すると登録教習機関から技能講習修了証が交付されます。
ガス溶接技能講習 — 業務に就くための資格
「可燃性ガス及び酸素を用いて行なう金属の溶接、溶断又は加熱の業務」は就業制限の業務です(施行令第20条第10号)。この業務に就けるのは、ガス溶接作業主任者免許を受けた人、ガス溶接技能講習を修了した人などです(規則第41条・別表第三)。
ガス溶接技能講習規程(昭和47年労働省告示第110号)は、科目と時間を次のように定めています。
| 区分 | 科目 | 時間 |
|---|---|---|
| 学科 | ガス溶接等の業務のために使用する設備の構造及び取扱いの方法に関する知識 | 4時間 |
| 学科 | ガス溶接等の業務のために使用する可燃性ガス及び酸素に関する知識 | 3時間 |
| 学科 | 関係法令 | 1時間 |
| 実技 | ガス溶接等の業務のために使用する設備の取扱い | 5時間 |
講習の最後の修了試験は、告示では「学科講習の科目について、筆記試験又は口述試験」で行うと定められています。規則の別表第六に受講資格の定めはありませんが、満18歳以上を受講の条件にしている登録教習機関があります(例: 上の新潟県労働基準協会連合会)。修了すると登録教習機関から技能講習修了証が交付され、業務に就くときは携帯します(規則第81条、労働安全衛生法第61条第3項)。
ガス溶接作業主任者免許 — 作業を指揮する人の資格
アセチレン溶接装置かガス集合溶接装置を用いて行う金属の溶接・溶断・加熱の作業では、事業者はガス溶接作業主任者免許を持つ人のうちから、ガス溶接作業主任者を選びます(施行令第6条第2号・規則第314条)。技能講習の修了では作業主任者になれません。
| 装置 | 施行令第1条の定義(要点) |
|---|---|
| アセチレン溶接装置 | アセチレン発生器・安全器・導管・吹管などで構成され、溶解アセチレン以外のアセチレンと酸素で溶接・溶断・加熱する設備 |
| ガス集合溶接装置 | ガス集合装置(可燃性ガスの容器を10本以上つないだもの、または9本以下で容器の内容積の合計が水素・溶解アセチレンは400リットル以上、その他の可燃性ガスは1,000リットル以上のもの)・安全器・圧力調整器・導管・吹管などで構成される設備 |
この2つの装置に当たらない設備(例: 容器の本数と内容積の合計がガス集合装置の基準に届かないもの)で行うガス溶接では、作業主任者を選ぶ定めは無く、作業する人に技能講習の修了などが要ります(施行令第6条第2号・第20条第10号)。
作業主任者の職務には、作業の方法を決めて作業を指揮すること、安全器を1日1回以上点検すること、保護眼鏡と保護手袋の使用状況を監視することなどがあります(規則第315条・第316条)。
免許試験と、免許を受けるための要件
安全衛生技術試験協会の案内では、ガス溶接作業主任者の免許試験は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 科目と出題 | ガス溶接等の業務に関する知識・関係法令・アセチレン溶接装置及びガス集合溶接装置に関する知識・アセチレンその他可燃性ガス、カーバイド及び酸素に関する知識の4科目、各5問(25点) |
| 試験時間 | 3時間(科目免除者は1時間30分) |
| 合格基準 | 科目ごとの得点が40%以上で、合計が60%以上 |
| 受験資格 | 不要(本人確認証明書の添付が必要) |
| 手数料 | 8,800円(労働安全衛生法関係手数料令第6条) |
| 合格率 | 令和7年度 71.5%(受験者1,021人・合格者730人) |
受験資格は不要ですが、合格しただけで免許を受けられるとは限りません。免許を受けるには、ガス溶接技能講習を修了してから3年以上ガス溶接等の業務に従事した経験があることなど、規則第62条・別表第四のいずれかに当たる必要があり、免許の申請では実務経験などを証明する書類を付けます。満18歳に満たない人には免許証は交付されません(安全衛生技術試験協会「合格後の手続き」)。
アーク溶接等の特別教育 — 事業者が行う
アーク溶接機を用いて行う金属の溶接・溶断等の業務は、特別教育の対象です(規則第36条第3号)。事業者が、安全衛生特別教育規程第4条の科目と時間で行います。
| 区分 | 科目 | 時間(以上) |
|---|---|---|
| 学科 | アーク溶接等に関する知識 | 1時間 |
| 学科 | アーク溶接装置に関する基礎知識 | 3時間 |
| 学科 | アーク溶接等の作業の方法に関する知識 | 6時間 |
| 学科 | 関係法令 | 1時間 |
| 実技 | アーク溶接装置の取扱いとアーク溶接等の作業の方法 | 10時間 |
ガス溶接に特別教育は無い
特別教育が要る業務を並べた規則第36条(第1号〜第41号)に、ガス溶接・溶断・加熱の業務は入っておらず、安全衛生特別教育規程にもガス溶接の定めはありません。ガス溶接は就業制限の業務なので、特別教育ではなく技能講習(または免許)の側に入ります。「アーク溶接は特別教育、ガス溶接は技能講習」と分けて覚えます。
修了証の再交付
技能講習修了証をなくしたり傷めたりしたとき、氏名を変えたときは、交付を受けた登録教習機関に再交付・書替えを申し込みます(規則第82条)。その機関が業務を廃止し、記録(帳簿)が厚生労働大臣の指定する機関に引き渡されているときなどは、その指定する機関で技能講習修了証明書の交付を受けます(規則第82条第3項)。
例題: ぴよパスのガス溶接技能講習の問題から
ぴよパスのオリジナル予想問題から2問です(本試験の問題ではありません)。
例題1 ガス溶接作業主任者について、誤っているものは次のうちどれか。
- アセチレン溶接装置又はガス集合溶接装置を用いて行う金属の溶接、溶断又は加熱の作業では、事業者はガス溶接作業主任者を選任しなければならない。
- ガス溶接作業主任者は、ガス溶接作業主任者免許を有する者のうちから選任する。
- ガス溶接技能講習を修了していれば、免許がなくてもガス溶接作業主任者に選任することができる。
- ガス溶接作業主任者の職務には、作業方法の決定と作業の指揮、安全器の1日1回以上の点検、保護眼鏡・保護手袋の使用状況の監視などがある。
答え: 3。作業主任者は免許を持つ人から選びます。 この問題を解く →
例題2 ガス溶接等の業務の就業制限について、誤っているものは次のうちどれか。
- 事業者が資格のない者をガス溶接等の就業制限業務に就かせた場合は、労働安全衛生法第119条により6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金の対象になる。
- 事業者は、アセチレン溶接装置やガス集合溶接装置を用いる作業を行う者に保護眼鏡と保護手袋を着用させなければならない。
- 就業制限の対象となるガス溶接等の業務には、可燃性ガスを用いないアーク溶接機による溶接の業務も含まれる。
- 資格のない労働者が自ら就業制限業務を行った場合は、労働者本人も労働安全衛生法第120条により50万円以下の罰金の対象になる。
答え: 3。アーク溶接は就業制限ではなく特別教育の対象です。 この問題を解く →
練習問題の使い方
ぴよパスのガス溶接技能講習の練習問題は、学科の3科目(設備・可燃性ガスと酸素・関係法令)に分かれています。学科の修了試験に向けて、科目ごとに解説つきで無料で解けます。修了試験の形と数字で決まる論点は、ガス溶接技能講習 学科試験の練習問題の記事で説明しています。
まとめ
- ガス溶接の業務に就くにはガス溶接技能講習の修了など(施行令第20条第10号)。
- アセチレン溶接装置・ガス集合溶接装置を使う作業は、免許を持つ人から作業主任者を選ぶ。技能講習では作業主任者になれない。
- 免許試験は受験資格不要だが、免許には技能講習修了+3年以上の経験などが要る。
- アーク溶接は特別教育(学科11時間・実技10時間以上)。ガス溶接に特別教育は無い。
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出典
- 労働安全衛生法 第14条・第61条・第119条・第120条(e-Gov法令検索・2026年10月1日施行の版): https://laws.e-gov.go.jp/law/347AC0000000057
- 労働安全衛生法施行令 第1条・第6条第2号・第20条第10号(e-Gov法令検索・2026年10月1日施行の版): https://laws.e-gov.go.jp/law/347CO0000000318
- 労働安全衛生規則 第16条・第36条・第41条・第62条・第81条・第82条・第314条〜第316条・別表第一・別表第三〜別表第六(e-Gov法令検索・2026年10月1日施行の版): https://laws.e-gov.go.jp/law/347M50002000032
- ガス溶接技能講習規程(昭和47年労働省告示第110号。厚生労働省 法令等データベース): https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=74141000&dataType=0&pageNo=1
- 安全衛生特別教育規程 第4条(昭和47年労働省告示第92号。厚生労働省 法令等データベース): https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=74085000&dataType=0&pageNo=1
- ガス溶接作業主任者免許規程(昭和47年労働省告示第95号。厚生労働省 法令等データベース): https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=74112000&dataType=0&pageNo=1
- 労働安全衛生法関係手数料令 第6条(e-Gov法令検索・2026年4月1日施行の版): https://laws.e-gov.go.jp/law/347CO0000000345
- 安全衛生技術試験協会「ガス溶接作業主任者の紹介」: https://www.exam.or.jp/introduction/h_shokai302/
- 安全衛生技術試験協会「合格後の手続き」: https://www.exam.or.jp/h_tetsuduki/
- 安全衛生技術試験協会「統計」(令和7年度): https://www.exam.or.jp/h_gokakuritsu/
- 厚生労働省「労働安全衛生法における特別教育の概要」(審議会の資料1-5。昭和48年3月19日基発第145号の抜粋を含む): https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r985200000305a8-att/2r985200000305vu_1.pdf
- 新潟県労働基準協会連合会「ガス溶接技能講習」(日数・受講料・受講資格の例): https://www.shinkiren.jp/ginou/gas


