電離放射線障害防止規則(以下「電離則」)は、エックス線などの放射線から労働者を守るための厚生労働省令です。管理区域は3か月間に1.3ミリシーベルトを超えるおそれのある区域、放射線業務従事者の実効線量限度は5年間100ミリシーベルト・1年間50ミリシーベルトと、数字が条文に並んでいます。医療用と定格管電圧1,000キロボルト以上のものを除くエックス線装置を使う作業では、管理区域ごとにエックス線作業主任者を選任します(第46条)。
電離則の数字は、エックス線作業主任者試験の「関係法令」で学ぶ論点です。この記事は、e-Gov法令検索の2026年10月時点の版(電離則は2026年4月1日施行の版、労働安全衛生法施行令は2026年10月1日施行の版)をもとに書いています。
電離則の数字を1枚で
| 項目 | 数字 | 根拠(電離則) |
|---|---|---|
| 管理区域 | 実効線量の合計が3か月間につき1.3ミリシーベルトを超えるおそれのある区域 | 第3条第1項第1号 |
| 放射線装置室などの遮蔽 | 遮蔽物などを設けて、労働者が常時立ち入る場所の実効線量の合計を1週間につき1ミリシーベルト以下にする | 第3条の2第1項 |
| 実効線量限度 | 5年間につき100ミリシーベルト、かつ1年間につき50ミリシーベルト | 第4条第1項 |
| 女性の実効線量限度 | 3か月間につき5ミリシーベルト(妊娠する可能性がないと診断された人などを除く) | 第4条第2項 |
| 妊娠中 | 内部被ばくによる実効線量1ミリシーベルト、腹部表面の等価線量2ミリシーベルト | 第6条第1項 |
| 眼の水晶体の等価線量 | 5年間につき100ミリシーベルト、かつ1年間につき50ミリシーベルト | 第5条第1項 |
| 皮膚の等価線量 | 1年間につき500ミリシーベルト | 同 |
| 緊急作業(第7条の2の特例緊急作業を除く) | 実効線量100ミリシーベルト、眼の水晶体300ミリシーベルト、皮膚1シーベルト | 第7条第2項 |
| 放射線装置室以外での使用の立入禁止 | 焦点・被照射体から5メートル以内(医療用の撮影は2メートル)。1週間1ミリシーベルト以下の場所を除く | 第18条 |
| 線量の毎日の確認 | 1日の外部被ばくが1センチメートル線量当量で1ミリシーベルトを超えるおそれのある労働者 | 第9条第1項 |
| 線量の記録 | 30年間保存(5年間保存後に厚生労働大臣が指定する機関に引き渡すときを除く) | 第9条第2項 |
| 管理区域の線量当量率等の測定 | 1か月以内ごとに1回(装置を固定して使い条件が一定のときなどは6か月以内)。記録は5年間保存 | 第54条第1項 |
| 健康診断 | 雇入れ・配置替えの際と、その後6か月以内ごとに1回 | 第56条第1項 |
| 健康診断個人票 | 30年間保存(5年間保存後に指定機関に引き渡すときを除く) | 第57条 |
管理区域 — 標識と立入りの制限
事業者は、次のどちらかに当たる区域を管理区域として標識で明示しなければなりません(第3条第1項)。
- 外部放射線による実効線量と空気中の放射性物質による実効線量の合計が、3か月間につき1.3ミリシーベルトを超えるおそれのある区域
- 放射性物質の表面密度が、別表第三の限度の10分の1を超えるおそれのある区域
外部放射線による実効線量は1センチメートル線量当量で算定します(同条第2項)。必要のある者以外の者を管理区域に立ち入らせてはならず(同条第4項)、管理区域内の見やすい場所に、放射線測定器の装着の注意事項や事故が起きたときの応急の措置などを掲示します(同条第5項)。
被ばく限度 — 実効線量と等価線量
実効線量は全身への影響をまとめて表す線量、等価線量は眼の水晶体や皮膚など組織ごとの線量です。放射線業務従事者の限度は、男性と妊娠する可能性がないと診断された女性が5年間100ミリシーベルト・1年間50ミリシーベルト、妊娠する可能性がないと診断された女性と妊娠中の女性を除く女性は、さらに3か月間5ミリシーベルトです。妊娠と診断された女性は、妊娠と診断されたときから出産までの間について、内部被ばくの実効線量1ミリシーベルト、腹部表面の等価線量2ミリシーベルトの限度があります(第4条〜第6条)。
事故の応急の作業(緊急作業)では、男性と妊娠する可能性がないと診断された女性に限り、第4条第1項と第5条第1項の限度を超えて受けさせることができますが、その間の線量も実効線量100ミリシーベルトなどの上限があります(第7条。第7条の2の特例緊急作業は別に定めがある)。
線量の測定と記録
事業者は、放射線業務従事者、緊急作業に従事する労働者、管理区域に一時的に立ち入る労働者の外部被ばくと内部被ばくの線量を測定します(第8条第1項)。外部被ばくの測定では、放射線測定器を次の部位に着けます(同条第3項)。
| 対象 | 装着する部位 |
|---|---|
| 男性・妊娠する可能性がないと診断された女性 | 胸部 |
| その他の女性 | 腹部 |
| 頭・頸部、胸・上腕部、腹・大腿部のうち最も多く放射線にさらされるおそれのある部位が上記と違うとき | その部位にも装着 |
エックス線作業主任者の選任と職務
作業主任者を選任しなければならない作業として、労働安全衛生法施行令第6条第5号は、エックス線装置の使用などの放射線業務に係る作業を挙げ、医療用のエックス線装置と、波高値による定格管電圧が1,000キロボルト以上のエックス線装置を使うものを除いています。事業者は、この作業について、エックス線作業主任者免許を受けた者のうちから、管理区域ごとにエックス線作業主任者を選任します(電離則第46条)。
エックス線作業主任者に行わせる事項は、第47条に9つ並んでいます。
| 号 | 職務 |
|---|---|
| 1 | 管理区域や立入禁止区域の標識が、規定どおりに設けられるよう措置する |
| 2 | 照射筒・しぼり、ろ過板が適切に使われるよう措置する |
| 3 | 間接撮影・透視のときの措置などを講じる |
| 4 | 放射線業務従事者の受ける線量ができるだけ少なくなるよう照射条件等を調整する |
| 5・6 | 警報装置などの措置を点検し、異常があれば直ちに必要な措置を講じる |
| 7 | 照射の開始前と照射中に、立入禁止の場所に労働者が立ち入っていないことを確認する |
| 8 | 放射線測定器が規定どおりに装着されているか点検する |
| 9 | 被ばくをできるだけ少なくするよう作業の方法を決め、放射線業務従事者を指揮する |
エックス線作業主任者免許は、免許試験の合格者のほか、診療放射線技師の免許を受けた人と、原子炉主任技術者・第一種放射線取扱主任者の免状の交付を受けた人に、都道府県労働局長が与えます(第48条)。科目ごとの免除は エックス線作業主任者の科目免除 にまとめています。
特別教育と健康診断
エックス線装置を取り扱う業務に労働者を就かせるときは、作業の方法、装置の構造と取扱い、放射線の生体への影響、関係法令について特別の教育を行います(第52条の5)。装置の内部にだけ管理区域があり、照射中に身体が内部に入らないよう遮へいされた装置を使う業務は除かれます。
放射線業務に常時従事して管理区域に立ち入る労働者には、雇入れ・配置替えの際と、その後6か月以内ごとに1回、被ばく歴の調査と評価、白血球数・白血球百分率、赤血球数と血色素量またはヘマトクリット値、白内障に関する眼、皮膚の健康診断を行います(第56条第1項)。雇入れ・配置替えの際は線源の種類等に応じて眼の検査を、定期のものは医師が必要でないと認めるときに一部の項目を省略できます(同条第2項〜第4項)。
取り違えやすい文
| 文 | 正誤 | 根拠 |
|---|---|---|
| 管理区域は、実効線量が1か月間につき1.3ミリシーベルトを超えるおそれのある区域である | 誤り | 3か月間につき1.3ミリシーベルト(第3条第1項第1号) |
| 放射線業務従事者の実効線量は、1年間につき50ミリシーベルトを超えなければ、5年間の合計は問わない | 誤り | 5年間につき100ミリシーベルトの限度もある(第4条第1項) |
| 男性の放射線測定器は、原則として胸部に装着する | 正しい | 第8条第3項第1号 |
| エックス線作業主任者は、事業場ごとに1人選任すればよい | 誤り | 管理区域ごとに選任(第46条) |
| 電離放射線健康診断は、1年以内ごとに1回行う | 誤り | 6か月以内ごとに1回(第56条第1項) |
| 診療放射線技師の免許を受けた者は、エックス線作業主任者免許を受けることができる | 正しい | 第48条第1号 |
ぴよパスのオリジナル予想問題で、エックス線作業主任者の関係法令を確かめられます。
- エックス線:管理区域の基準を問う1問
- エックス線:放射線業務従事者の実効線量の限度を問う1問
- エックス線:妊娠中の女性の限度を問う1問
- エックス線:作業主任者を選任する単位を問う1問
- エックス線:作業主任者の職務を問う1問
計算の問題の解き方は エックス線作業主任者の計算問題 で扱っています。
出典
- 電離放射線障害防止規則 第3条〜第9条・第18条・第46条〜第48条・第52条の5・第54条・第56条・第57条(e-Gov法令検索・2026年4月1日施行の版)
- 労働安全衛生法施行令 第6条第5号・別表第二(e-Gov法令検索・2026年10月1日施行の版)
当サイトの問題はエックス線作業主任者試験の問題ではありません。法令をもとに独自に作った練習問題です。安全衛生技術試験協会とは関係ありません。







