知的財産管理技能検定は、厚生労働省の技能検定制度の一つで、学科と実技の両方に合格すると国家資格「知的財産管理技能士」になれる試験です。3級は入門級で、受検資格に実務経験は要らず、企業の知財部門や法務部門に限らず、開発・企画・広報などで特許や著作権に触れる人、法学部や理工系の学生が多く受けています。3級学科の申込者は2025年 (第50回〜第52回) の合計で10,059人、実技を合わせると年に約2万件の規模です。
ぴよパスでは、3級学科の出題範囲を「特許法・実用新案法」「意匠法・商標法」「著作権法」「関係法規 (不正競争防止法・独占禁止法・種苗法・条約)」の4つに分け、合計40問の四肢択一で練習できるオリジナル問題を用意しました。すべての選択肢に理由を付け、条文で答えが決まるものは条番号を示しています。公式の過去問題の転載ではありません。
学科試験の形式 (試験要綱から)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実施団体 | 一般財団法人 知的財産研究教育財団 知的財産教育協会 (指定試験機関) |
| 受検資格 (3級) | 知的財産に関する業務に従事している者または従事しようとしている者 (実務経験は不要) |
| 学科 | 筆記 (マークシート方式) 3肢択一式・30問・45分 |
| 実技 | 筆記 (記述方式・マークシート方式併用)・30問・45分 |
| 合格基準 | 学科・実技とも満点の70%以上 |
| 受検手数料 | 学科 6,100円 / 実技 6,100円 (非課税) |
| 方式 | 紙 (全国21地区) と CBT (第47回から。紙試験の実施地区以外の都道府県のテストセンターで受検) |
| 資格 | 学科・実技の両方に合格して「3級知的財産管理技能士」 |
学科と実技はそれぞれ独立した試験で、どちらか一方だけに合格した場合は、合格日の翌々年度までの検定に限って、申請によりその試験が免除されます。3級の学科は30問中21問以上が合格の目安で、1問1問の判断の速さが問われる形式です。
40問の中身 — 分野別の出題数は非公表なので、条文の重さで割った
| 分野 | 問数 | 扱う論点 |
|---|---|---|
| 特許法・実用新案法 | 12問 | 発明の定義と特許要件、新規性喪失の例外 (1年)、先願主義、出願書類・出願公開 (1年6月)・審査請求 (3年)、存続期間 (出願から20年)、職務発明、専用実施権と通常実施権、共有、侵害と過失の推定、先使用権、実用新案 (無審査・10年・技術評価書)、拡大先願、無効審判、実施の定義 |
| 意匠法・商標法 | 10問 | 意匠の定義と登録要件、存続期間 (出願から25年)、関連意匠 (10年)、秘密意匠 (3年)、意匠権の効力 (類似まで)、出願手続 (出願公開なし)、商標の定義、識別力と不登録事由、存続期間 (10年・更新)、不使用取消審判 (3年)、専用権と禁止権、先使用権、地域団体商標と防護標章、指定商品と区分 |
| 著作権法 | 10問 | 著作物の該当性、職務著作、同一性保持権の例外、複製権と公衆送信権、保護期間の計算 (公表後70年・翌年起算)、私的使用・引用・教育機関、譲渡 (第27条・第28条の特掲) と利用許諾、著作隣接権 (70年と50年)、侵害の救済と親告罪、登録と裁定制度 |
| 関係法規 | 8問 | 不正競争防止法 (周知表示・著名表示・形態模倣3年)、営業秘密の3要件、独占禁止法第21条、種苗法の品種登録、パリ条約の優先権 (12か月・6か月)、PCT (30か月) とマドリッド協定議定書、TRIPS協定とベルヌ条約、契約と権利移転の登録 (特許は効力要件・著作権は対抗要件) |
知的財産教育協会は分野別の出題数を公表しておらず、問題冊子にも分野の見出しはありません。ぴよパスの配分は、試験範囲の細目に挙げられている法令の条文の量と、公表問題3回分に現れる法律の比重から決めています。
法令基準日 — 「試験日の6か月前の月の1日」で、回ごとに動く
公式の過去問題ページには、「試験問題は、問題文に特に断りがない場合、試験日の6ヶ月前の月の1日現在で施行されている法令等に基づいています」と書かれています。第54回 (2026年7月12日) の問題冊子にも「…2026年1月1日現在で施行されている法律等に基づいて解答しなさい」とあり、この規則どおりです。
| 回 | 試験日 | 法令の基準日 |
|---|---|---|
| 第54回 | 2026年7月12日 | 2026年1月1日 |
| 第55回 | 2026年11月15日 | 2026年5月1日 |
| 第56回 | 2027年3月7日 | 2026年9月1日 |
2026年は5月21日に実用新案法・意匠法・商標法・弁理士法・不正競争防止法の改正が、6月24日に特許法・著作権法の改正が、7月24日に種苗法の改正が施行されています。第55回の基準日 (5月1日) にはこれらは入らず、第56回の基準日 (9月1日) には入ります。たとえば種苗法の育成者権の存続期間は7月の改正で年数が変わったので、第55回と第56回で正解が変わり得る論点です。ぴよパスの40問は、2026年5月1日版と9月1日版の条文を突き合わせて、答えを決める条文がどちらの回でも内容が変わらないものだけを使っています (種苗法は変わっていない第19条第1項だけを使い、存続期間の年数は出題していません)。
合格率の読み方 — 公式は「申込者数」と「合格者数」しか出さない
| 回 | 試験日 | 3級学科 申込者 | 合格者 | 計算上の合格率 | 3級実技 計算上の合格率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 第51回 | 2025年7月13日 | 3,354名 | 2,334名 | 69.6% | 72.2% |
| 第52回 | 2025年11月16日 | 3,451名 | 2,266名 | 65.7% | 67.6% |
| 第53回 | 2026年3月8日 | 3,250名 | 2,128名 | 65.5% | 68.6% |
上の合格率は、公式の実施結果データにある申込者数を分母にした計算値です。欠席者が分母に含まれるので、実際に受検した人だけで見ればもう少し高くなります。第47回 (2024年3月) から第53回までの7回で見ると、3級学科は59.7%から71.3%の範囲に収まっています。合格基準が70%の絶対評価なので、3〜4割の人が21問に届かずに落ちる試験です。
3級学科の申込者は2024年に9,755人、2025年に10,059人とほぼ横ばいで、受検者の平均年齢は34.3歳、25歳以下が約3割を占めます。大学や高専の団体受検が多いことも特徴です。
学習の順番 — 特許と著作権で半分以上を取る
3級学科は法律の条文どおりの知識を3肢から選ぶ問題が中心で、事例形式の問題は実技に回ります。特許法と著作権法の2つで出題の半分前後を占めるので、まずこの2つの「数字」と「主体」を固めます。特許なら新規性喪失の例外の1年、出願公開の1年6月、審査請求の3年、存続期間の出願から20年、職務発明の相当の利益。著作権なら保護期間の死後70年と法人・映画の公表後70年、翌年起算、第27条・第28条の特掲、私的使用と引用の要件です。
意匠と商標は、存続期間 (意匠は出願から25年、商標は登録から10年で更新可) と、意匠権が類似意匠まで及ぶこと、商標の不使用取消審判が3年であることを軸にすれば、条文の数は多くありません。関係法規は不正競争防止法の営業秘密の3要件と形態模倣の3年、パリ条約の優先期間 (12か月と6か月)、PCT の30か月を押さえれば、条約の細部に深入りしなくても得点できます。
ビジネス著作権検定 の練習問題は著作権法を11の分野に分けて375問あるので、著作権だけを厚く固めたい人はそちらを併用してください。契約や民法の基礎は ビジネス実務法務検定3級 の問題が重なります。
過去問の使い方と市販の問題集
知的財産教育協会は直近3回分の試験問題と正解を公式サイトで公開しています。公開終了日が回ごとに明記されていて (第52回は2026年12月15日まで)、解説は付いていません。無断転載は禁じられているので、自分の学習用に保存して使ってください。3肢択一で30問を45分という時間感覚は、この公式問題でしか体験できません。
市販の問題集は、知的財産教育協会が編集した公式テキストと、アップロードの「厳選過去問題集」(年度版・解説つき)、TAC のスピード問題集 (学科・実技別) が定番です。ぴよパスの40問で条文の判断の型を固めたあと、公式の過去問題で3肢択一の形式に慣れ、足りない分野を問題集で補う、という順番を勧めます。
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