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結論:条文は「無効か取消しか」「誰に対抗できるか」「期間と人数」で取り違えやすい
3級の出題範囲は、試験要項で「3級公式テキスト(2026年度版)の基礎知識と、それを理解した上での応用力」とされています。ぴよパスの見立てでは、○×で取り違えやすいのは次の3つです。
- 無効か取消しか — 虚偽表示は無効、錯誤と詐欺・強迫は取り消すことができる、と効果が分かれます。
- 誰に対抗できるか — 不動産は登記、動産は引渡し、債権譲渡は譲渡人の通知か債務者の承諾が要ります。
- 期間と人数 — 特許は出願から20年、商標は登録から10年(更新できる)、解雇の予告は30日前、取締役会設置会社の取締役は3人以上。
まず○か×かを決めてから、下の答えを見てください。
○×の例題(問1〜11)法体系・企業取引・企業財産・活動の規制
- 民法は、権利の行使と義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならないと定めている。
- 契約の当事者が法令の規定と異なる取り決めをしたときは、その規定が公の秩序に関しないものであっても、常に法令の規定が優先する。
- 民法では、売買契約は書面を作成しなければ成立しない。
- 相手方と通じてした虚偽の意思表示は無効だが、その無効は善意の第三者に対抗することができない。
- 錯誤による意思表示は、その錯誤が重要なものであれば、民法上当然に無効となる。
- 買主が売主に手付を渡したときは、相手方が契約の履行に着手するまでは、買主は手付を放棄し、売主は手付の倍額を現実に提供して、契約を解除できる。
- 不動産の所有権を取得しても、登記をしなければ、そのことを第三者に対抗できない。
- 特許権の存続期間は、特許権の設定の登録の日から10年である。
- 商標権の存続期間は、設定の登録の日から10年で、更新登録の申請により更新できる。
- 製造物責任法の「製造物」は、製造または加工された動産をいう。
- 訪問販売で契約した消費者は、法定の書面を受け取った日から起算して20日を経過するまで、クーリング・オフができる。
答えと根拠(問1〜11)
| 問 | 答え | 根拠 |
|---|---|---|
| 1 | ○ | 民法 第1条第2項「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。」 |
| 2 | × | 民法 第91条。「法令中の公の秩序に関しない規定」(任意規定)と異なる意思を表示したときは、「その意思に従う」とされています |
| 3 | × | 民法 第522条第2項。契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式は要りません(申込みに対して相手方が承諾したときに成立します。第1項) |
| 4 | ○ | 民法 第94条第1項「相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。」・第2項「前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。」 |
| 5 | × | 民法 第95条第1項。重要な錯誤に基づく意思表示は「取り消すことができる」とされています。無効ではありません |
| 6 | ○ | 民法 第557条第1項。ただし、相手方が契約の履行に着手した後は、手付による解除はできません |
| 7 | ○ | 民法 第177条。不動産に関する物権の得喪と変更は、登記をしなければ第三者に対抗できません(動産の譲渡は引渡し。第178条) |
| 8 | × | 特許法 第67条第1項「特許権の存続期間は、特許出願の日から二十年をもつて終了する。」 |
| 9 | ○ | 商標法 第19条第1項(設定の登録の日から10年)・第2項(更新登録の申請により更新できる) |
| 10 | ○ | 製造物責任法 第2条第1項「この法律において「製造物」とは、製造又は加工された動産をいう。」 |
| 11 | × | 特定商取引に関する法律 第9条第1項。訪問販売のクーリング・オフは、法定の書面を受け取った日から起算して8日を経過するまでです |
問4と問5は、効果の違いを確かめる問題です。民法は、虚偽表示(第94条)と、心裡留保で相手方が表意者の真意でないことを知り、又は知ることができたとき(第93条第1項ただし書)は「無効」、錯誤(第95条)と詐欺・強迫(第96条)は「取り消すことができる」と書き分けています。詐欺による取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗できません(第96条第3項)。
○×の例題(問12〜20)債権の管理と回収・会社・従業員・家族法
- 保証契約は、保証人と債権者の口頭の合意だけで効力を生じる。
- 主たる債務者と連帯して債務を負担した保証人(連帯保証人)は、催告の抗弁と検索の抗弁を主張できない。
- 債権の譲渡は、譲り受けた人が債務者に通知すれば、債務者に対抗することができる。
- 取締役会設置会社では、取締役は1人以上いればよい。
- 取締役の任期は、原則として、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までである。
- 使用者が労働者を解雇しようとするときは、少なくとも14日前に予告しなければならない。
- 雇入れの日から6か月間継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者には、10労働日の年次有給休暇を与えなければならない。
- 相続人が子と配偶者のときは、子の相続分と配偶者の相続分は、それぞれ2分の1である。
- 兄弟姉妹が相続人となるときは、兄弟姉妹にも遺留分がある。
答えと根拠(問12〜20)
| 問 | 答え | 根拠 |
|---|---|---|
| 12 | × | 民法 第446条第2項「保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。」(電磁的記録によるものは書面によるものとみなされます。第3項) |
| 13 | ○ | 民法 第454条。連帯保証人は「前二条の権利」=第452条の催告の抗弁と第453条の検索の抗弁を持ちません |
| 14 | × | 民法 第467条第1項。通知をするのは譲渡人(または債務者が承諾する)です。債務者以外の第三者に対抗するには、確定日付のある証書による通知か承諾が要ります(第2項) |
| 15 | × | 会社法 第331条第5項「取締役会設置会社においては、取締役は、三人以上でなければならない。」 |
| 16 | ○ | 会社法 第332条第1項。定款や株主総会の決議で短くすることはでき、公開会社でない株式会社(監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社を除く)は、定款で10年まで伸ばせます(第2項) |
| 17 | × | 労働基準法 第20条第1項。少なくとも30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金を払わなければなりません(天災事変などの例外あり) |
| 18 | ○ | 労働基準法 第39条第1項(週の所定労働日数が少ない労働者は、第3項の比例付与で日数が少なくなります) |
| 19 | ○ | 民法 第900条第1号「子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。」 |
| 20 | × | 民法 第1042条第1項。遺留分を持つのは「兄弟姉妹以外の相続人」です |
問14は、主語を入れ替えた×の問題です。条文で通知をするのは債権を譲り渡した人(譲渡人)で、譲り受けた人が自分の名前で通知しても、条文の対抗要件(譲渡人の通知)にはなりません。問17の「30日前」と、相続の承認・放棄の期間の「3箇月以内」(民法 第915条第1項)、種類・品質の契約不適合の通知の「知った時から1年以内」(民法 第566条)は、数字を取り違えやすい期間です。
試験の形と、条文の基準日(第60回)
| 項目 | 内容(2026年10月23日に試験要項で確かめたもの) |
|---|---|
| 方式 | IBT(自宅などのパソコン)・CBT(テストセンター) |
| 形式・時間 | 多肢選択式・90分 |
| 合格基準 | 100点満点で70点以上 |
| 問題数 | 試験要項に書かれていない |
| 受験料(3級) | IBT 5,500円、CBT 5,500円+CBT利用料2,200円(税込) |
| 法令の基準 | 第59回・第60回は「2025年12月1日現在成立している法律に準拠」 |
| 第60回 | 試験期間 2026年10月22日〜11月9日(申込期間は9月16日〜9月29日で終了) |
| 次の回 | 第61回(2027年度)申込期間 2027年5月14日〜5月25日・試験期間 6月17日〜7月5日 |
試験問題や模範解答は「当所が試験運営上必要と判断した場合を除き、原則として公表しません」とされています(東京商工会議所の検定のよくあるご質問)。
基準は施行ではなく成立なので、2025年12月1日までに成立した改正は、施行が後でも範囲に入ります。たとえば下請代金支払遅延等防止法は、2025年に成立した改正法(令和7年法律第41号)で、2026年1月1日から「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」という名前に変わりました(e-Gov法令検索の改正履歴)。古い問題集や中古の本では、こうした名前や条文がずれていることがあります。過去問の手に入り方は「ビジネス実務法務検定の過去問はどこにある?」にまとめています。
取り違えやすい期間と数の一覧
| 項目 | 期間・数 | 条文 |
|---|---|---|
| 債権の消滅時効 | 権利を行使できることを知った時から5年、行使できる時から10年 | 民法 第166条第1項 |
| 契約不適合の通知(種類・品質) | 不適合を知った時から1年以内 | 民法 第566条 |
| 商人間の売買の通知 | 検査で発見したら直ちに。直ちに発見できない不適合は6か月以内に発見したとき | 商法 第526条第2項 |
| 特許権 | 特許出願の日から20年 | 特許法 第67条第1項 |
| 商標権 | 設定の登録の日から10年・更新できる | 商標法 第19条 |
| 著作権 | 著作者の死後70年(創作の時に始まる) | 著作権法 第51条 |
| 訪問販売のクーリング・オフ | 法定の書面を受け取った日から起算して8日 | 特定商取引に関する法律 第9条第1項 |
| 消費者契約法の取消権 | 追認できる時から1年・契約の締結の時から5年(一部の取消権は3年・10年) | 消費者契約法 第7条第1項 |
| 取締役会設置会社の取締役 | 3人以上 | 会社法 第331条第5項 |
| 取締役の任期 | 原則2年(公開会社でない株式会社は、監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社を除き、定款で10年まで伸長できる) | 会社法 第332条 |
| 法定労働時間 | 1週40時間・1日8時間(休憩時間を除く) | 労働基準法 第32条 |
| 解雇の予告 | 30日前(または30日分以上の平均賃金) | 労働基準法 第20条第1項 |
| 年次有給休暇 | 6か月継続勤務・8割以上出勤で10労働日 | 労働基準法 第39条第1項 |
| 相続の承認・放棄 | 自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内 | 民法 第915条第1項 |
| 遺留分 | 直系尊属のみが相続人なら3分の1、それ以外は2分の1。兄弟姉妹には無い | 民法 第1042条第1項 |
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まとめ
- 3級の○×は、無効か取消しか(虚偽表示は無効・錯誤と詐欺強迫は取消し)、誰に対抗できるか(登記・引渡し・譲渡人の通知)、期間と人数で間違えやすくなります。
- 期間は、特許20年(出願から)・商標10年(登録から・更新可)・解雇予告30日・相続の放棄3か月・訪問販売のクーリング・オフ8日を押さえます。
- 第59回・第60回は2025年12月1日現在成立している法律が基準です。第60回の試験期間は2026年10月22日〜11月9日です。
- 条文で答え合わせをしたら、分野ごとの練習問題で同じ論点を解き直します。
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出典
- 東京商工会議所「ビジネス実務法務検定試験® 試験要項」(方式・形式・時間・合格基準・受験料・出題範囲・法令の基準日・2026年度と2027年度の日程): https://kentei.tokyo-cci.or.jp/houmu/exam-info/
- 東京商工会議所「問題にチャレンジ! 3級」(試験問題例の形): https://kentei.tokyo-cci.or.jp/houmu/support/challenge/example_03.html
- 東京商工会議所「東商検定 よくあるご質問」(試験問題・模範解答の公表): https://kentei.tokyo-cci.or.jp/faq/ibt_general.html
- e-Gov法令検索「民法」(第1条・第91条・第93条〜第96条・第166条・第177条・第178条・第446条・第452条〜第454条・第467条・第522条・第557条・第566条・第900条・第915条・第1042条): https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
- e-Gov法令検索「会社法」(第331条・第332条): https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086
- e-Gov法令検索「商法」(第526条): https://laws.e-gov.go.jp/law/132AC0000000048
- e-Gov法令検索「労働基準法」(第20条・第32条・第39条): https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049
- e-Gov法令検索「特許法」(第67条): https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121 、「商標法」(第19条): https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000127 、「著作権法」(第51条): https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000048
- e-Gov法令検索「特定商取引に関する法律」(第9条): https://laws.e-gov.go.jp/law/351AC0000000057 、「消費者契約法」(第7条): https://laws.e-gov.go.jp/law/412AC0000000061 、「製造物責任法」(第2条): https://laws.e-gov.go.jp/law/406AC0000000085
- e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」(2026年1月1日施行の改正で題名を変更): https://laws.e-gov.go.jp/law/331AC0000000120
2026年10月23日に東京商工会議所の検定サイトで、10月24日にe-Gov法令検索(2026年6月18日に施行されている版)で確かめました。
※ ビジネス実務法務検定試験®は東京商工会議所の登録商標です。ぴよパスは東京商工会議所・各地の商工会議所とは関係のない学習サイトで、試験名は試験を特定するために使っています。この記事の問題はすべてぴよパスのオリジナルで、本試験の問題ではありません。



