登録販売者の第2章は、臓器名を順番に覚えるだけでは「どちらへ流れるか」「どこで吸収されるか」を入れ替えた選択肢に迷います。経路をたどる→似た用語を比べる→答えを隠して説明する、の順で練習しましょう。
この記事では、消化・血液・飲み薬の流れ、交感神経と副交感神経、剤形、副作用を整理します。途中の短いフレーズはぴよパス独自の覚え方です。最後に確認例6つと、既存の演習問題へのリンクを置きました。
第2章の出題範囲を3つに分ける
厚生労働省の令和8年4月版手引きでは、第2章「人体の働きと医薬品」は次の3区分です。剤形は「薬が働く仕組み」に含まれます。
| 区分 | 学ぶ内容 | 説明できるようにすること |
|---|---|---|
| 人体の構造と働き | 消化器・呼吸器・循環器・泌尿器、感覚器、運動器、脳・神経系 | 器官の働きと、血液や内容物が向かう先 |
| 薬が働く仕組み | 全身作用と局所作用、吸収・代謝・排泄、剤形 | 薬の入口・通り道・作用する場所の違い |
| 症状からみた主な副作用 | 全身、精神神経系、体の局所に現れる副作用 | 症状の組合せと、単なる不調として見過ごせない理由 |
たとえば香川県の令和8年度試験公示では、この科目は全120問中20問です。器官別に毎年何問出るかは、この配分からは分かりません。受験先の公開過去問で出題の形を確認してください。
出典:厚生労働省・試験問題の作成に関する手引き(令和8年4月版)第2章。以下の頁表記はPDF内に印刷された頁番号です。
消化器は「通る順」と「分泌する場所」を分けて覚える
まず、食物が通る消化管を声に出します。
口腔→咽頭→食道→胃→小腸→大腸→肛門
小腸は十二指腸・空腸・回腸に分かれます。肝臓・胆嚢・膵臓は消化に関係しますが、食物がこの順路から入って通過する器官ではありません。
| 混同しやすい組合せ | 分けて覚える内容 |
|---|---|
| 胃と小腸 | 胃では胃液中のペプシンがタンパク質の消化に関わる。小腸では膵液などによる消化と栄養分の吸収が進む |
| 肝臓と胆嚢 | 胆汁を作るのは肝臓。胆嚢は胆汁を濃縮して蓄え、消化管へ送り出す |
| 膵臓と膵液 | 膵臓は消化酵素を含む膵液を分泌するほか、インスリンなどのホルモンも分泌する |
覚えるフレーズは「胆汁、作る肝・ためる胆」。ただし「胆嚢が胆汁を作る」と言い換えてしまわないよう、フレーズの後に正式な器官名で説明します。
出典:厚労省手引き21〜25頁。肝臓の役割は胆汁の生成だけではなく、代謝などもあります。
血液の流れは「右から肺、左から全身」
心臓の4室は、右心房・右心室・左心房・左心室です。心房は血液を受け取り、心室から送り出す関係で覚えます。
| 循環 | 心室から心房までの経路 | 覚えるフレーズ |
|---|---|---|
| 肺循環 | 右心室→肺動脈→肺→肺静脈→左心房 | 右から肺へ、左に帰る |
| 体循環 | 左心室→全身の動脈→全身の組織→静脈→右心房 | 左から全身、右に帰る |
動脈・静脈は心臓に対する流れの向きで区別します。「動脈だから必ず酸素が多い血液」とは限りません。肺動脈を流れるのは静脈血、肺静脈を流れるのは動脈血です。
表を隠し、「右心室を出た血液は、次にどこへ向かうか」を答えてから、心臓と2つの循環の確認問題を解いてみてください。
出典:厚労省手引き27〜28頁。図は同資料に基づくぴよパス作成の経路整理です。
飲み薬は「溶ける・吸収・肝臓」を別々にする
経口薬の有効成分は、主に小腸で吸収された後、門脈を通って肝臓へ運ばれます。全身を巡る前に肝臓を通るところが、初回通過効果を考える手掛かりです。
| 用語 | 何が起きるか | 間違えやすい説明 |
|---|---|---|
| 溶出と吸収 | 飲み薬の有効成分は主に胃で溶出し、主に小腸で吸収される | 胃で溶けるので、吸収も必ず胃だけで行う |
| 初回通過効果 | 消化管から吸収された成分が、全身循環に入る前に肝臓などで代謝される | 一度全身を巡った後、初めて肝臓に行く |
| 代謝 | 成分が分解・変化する。代謝で薬効を持つようになる成分もある | 代謝物は必ず薬効を失う |
| 排泄 | 腎臓から尿へ、胆汁を経て腸へ、肺から呼気へなどの経路がある | すべての成分が同じ経路だけで排泄される |
ここでの「主に」は省かず覚えます。吸収される割合や代謝・排泄の速さは、成分、剤形、体の状態などで変わるためです。図は経口薬の代表的な経路を整理したもので、どの薬も同じ順番と割合で処理されるという意味ではありません。
舌下錠・坐剤・外用薬は入口が違う
口腔粘膜から吸収される舌下錠は、肝臓での初回通過効果を受けずに全身へ運ばれます。坐剤も肝臓を経由せず全身循環へ入る経路がありますが、直腸上部で吸収された成分は肝臓を経由するため、「坐剤なら全部、肝臓を通らない」とは覚えません。
また、外用薬にも全身性の副作用が起こる場合があります。内服・外用という入口の区分と、全身・局所という作用する範囲の区分を分け、全身作用と局所作用の確認問題で確かめましょう。
出典:厚労省手引き40〜44頁、特に坐剤の経路は42頁の脚注41。薬の代謝は肝臓以外でも行われます。
自律神経は器官別に比べ、汗腺の例外を残す
自律神経は、通常、意識して細かく動かす神経ではありません。交感神経と副交感神経の働きを、同じ器官の行で比較します。
| 器官・機能 | 交感神経が働くと | 副交感神経が働くと |
|---|---|---|
| 心臓 | 心拍数が増える | 心拍数が減る |
| 気管支 | 拡張する | 収縮する |
| 瞳孔 | 散大する | 収縮する |
| 胃・腸 | 運動が低下する | 運動が亢進する |
| 膀胱の排尿筋 | 弛緩する | 収縮する |
交感神経の作用は「心拍上げ、気管支広げ、消化は休む」とひとまず整理できます。そのうえで、瞳孔や膀胱など、フレーズに含まれない器官を表で補います。
神経末端から放出される伝達物質は、一般に交感神経がノルアドレナリン、副交感神経がアセチルコリンです。ただし、交感神経に支配されるエクリン汗腺ではアセチルコリンが使われます。「アセチルコリンなら必ず副交感神経」という判別はできません。
この違いを説明してから、自律神経の確認問題へ進みます。第3章の成分とつなげる場合は、抗コリン作用と注意点の整理を参照してください。
出典:厚労省手引き39〜40頁、エクリン汗腺は39頁の脚注39。
剤形は「口で溶ける」だけで一括りにしない
| 剤形 | 覚える特徴 | 同じものとして扱わない相手 |
|---|---|---|
| 口腔内崩壊錠 | 口の中で崩れ、唾液で飲み込める | 口腔粘膜から吸収させる舌下錠 |
| チュアブル錠 | 噛み砕いて服用する | 噛まずに服用する一般の錠剤 |
| 舌下錠 | 舌の下で溶かし、口腔粘膜から吸収させる | 飲み込んで消化管から吸収させる錠剤 |
| トローチ | 口腔内で徐々に溶かし、口や喉などに作用させる | 噛み砕いてよいチュアブル錠 |
| カプセル剤 | 散剤・顆粒剤・液剤などをカプセル内に充填する | 水なしで飲める口腔内崩壊錠 |
剤形の違いは、薬の使い方にも関係します。「口で崩れる・噛める・飲み込む」を一括りにせず、その製品に指定された使い方と結び付けて学びます。特に腸溶錠は腸で溶ける工夫があるため、自己判断で噛み砕いてよいとは覚えません。
出典:厚労省手引き44〜46頁。
副作用は名称・症状・見落としやすい点を組にする
次は、手引きに載る副作用の一部を比較した学習表です。症状だけで病名を自己判定するための表ではありません。
| 名称 | 学習時に結び付ける症状・状態の例 | 覚え落としに注意 |
|---|---|---|
| ショック(アナフィラキシー) | 蕁麻疹、息苦しさ、冷や汗など複数の症状 | 発症後、急速に悪化することがある |
| SJS・TEN | 高熱に加え、皮膚と口・眼などの粘膜に障害 | 皮膚だけの病態として覚えない |
| 肝機能障害 | 倦怠感、黄疸など | 軽度では自覚症状がない場合もある |
| 偽アルドステロン症 | 塩分・水の貯留、カリウムの喪失。脱力やむくみなど | アルドステロンの分泌増加による病態ではない |
| 間質性肺炎 | 息切れ、空咳など | 必ず発熱するとは限らない |
| 排尿困難・尿閉 | 尿が出にくい、尿意があっても出ないなど | 男性や前立腺肥大のある人だけに起こるとは限らない |
「必ず発熱」「男性だけ」のような限定が付くと、記述の意味が変わります。上の例以外にも、抵抗力の低下、精神神経障害、消化器・循環器・皮膚などの副作用があるため、手引きの第2章Ⅲ全体を確認します。副作用が疑われる症状への対応は、添付文書と手引きの受診・相談の記載までセットで学びましょう。
出典:厚労省手引き46〜55頁。
答えを隠して試す確認例6つ
次は、本記事の内容を言い直すための独自確認例です。実際の過去問の転載ではありません。先に問いだけ読み、理由まで答えてから解答を確認してください。
問い
- 胆汁を作る器官と、濃縮して蓄える器官は、それぞれどこか。
- 肺循環は、どちらの心室から始まり、どちらの心房へ戻るか。
- 飲み薬の有効成分が主に小腸から吸収された後、全身へ行く前に通る血管と臓器は何か。
- エクリン汗腺の伝達物質がアセチルコリンなら、副交感神経の支配と判断してよいか。
- 口腔内崩壊錠と舌下錠は、どちらも口腔粘膜から吸収させる剤形か。
- 間質性肺炎では、発熱がなければ可能性を否定できるか。
解答と理由
- 作るのは肝臓、蓄えるのは胆嚢。 「作る肝・ためる胆」を正式な名称で言い直します。
- 右心室から、肺を経て左心房へ。 左心室から全身へ出る体循環と入れ替えません。
- 門脈、肝臓。 全身循環に入る前の代謝を、初回通過効果と結び付けます。
- 判断できません。 エクリン汗腺は交感神経の支配で、アセチルコリンを使う例外です。
- 違います。 口腔内崩壊錠は崩れたものを飲み込み、舌下錠は口腔粘膜から吸収させます。
- 否定できません。 手引きでは必ずしも発熱を伴わないとされています。
答えられなかった項目だけ、経路図や表を見直してもう一度説明します。次は第2章を含む基礎知識の演習一覧から、同じ論点を別の選択肢でも確かめてください。
手元のテキストに戻るとき
器官名が分からない場合は人体の図へ、用語は分かるのに正誤で迷う場合は本記事の比較表へ戻ると、見直す箇所を絞れます。第3章の成分学習では、作用する器官と第2章で学んだ仕組みを照合します。











