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ビル管理士の計算問題完全攻略|湿り空気線図・換気量・圧力損失の頻出公式まとめ

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目次

この記事で分かること

  • ビル管試験における計算問題の出題割合と分野別の特徴
  • 湿り空気線図(h-x 線図)の読み方と頻出5タイプの攻略法
  • 換気量計算(CO₂ 濃度・必要換気量)の公式と解法
  • 熱負荷計算(顕熱・潜熱・全熱)の考え方
  • 圧力損失計算(ダクト・配管)の基礎知識
  • 騒音レベル計算(デシベル合算・距離減衰)の頻出パターン
  • 「計算問題を全部取る戦略」と「最低限だけ取る戦略」の選び方

ビル管試験における計算問題の全体像

計算問題は180問中約20〜25問

ビル管理士試験は7科目180問のマークシート試験で、そのうち計算を伴う問題はおおむね20〜25問(11〜14%程度)と推定される。大半は「知識問題」であり、計算問題は試験全体の一部を占めるにすぎない。

しかし、計算問題が集中するのが最大科目「空気環境の調整」(45問)だ。この科目の足切りライン(18問以上正解)を安定して確保するために、計算問題への対応は避けられない。

計算問題が出る科目の分布

科目計算問題の多さ主な計算タイプ
空気環境の調整(45問)多い(8〜12問程度)換気量・熱負荷・湿り空気・圧力損失・騒音
給水及び排水の管理(35問)中程度(4〜6問程度)流量・水頭・貯水槽容量
建築物の環境衛生(25問)少ない(2〜3問程度)CO₂ 濃度・必要換気量・照度
建築物の構造概論(15問)ほぼなし荷重計算(ごく稀)
清掃・防除・行政概論ほぼなし計算問題はほぼ出ない

計算問題への対策は、実質「空気環境の調整」と「給水及び排水の管理」の2科目が中心となる。

ビル管計算問題の難易度の特徴

重要な前提として、ビル管の計算問題は「高度な計算力」を問うものではない。出題の多くは次のパターンだ。

  1. 公式を覚えていれば当てはめるだけの問題(換気量・熱負荷など)
  2. グラフ(湿り空気線図)を読み取る問題(線図が問題冊子に付属する)
  3. 対数を使うが頻出パターンが固定されているデシベル計算

電験三種のような複雑な数式展開や、高校数学の応用力は必要ない。計算問題の対策は「公式1本の暗記と当てはめ練習」から始められる。


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分野1:湿り空気線図(h-x 線図)の攻略

湿り空気線図とは何か

湿り空気線図(h-x 線図)は、湿り空気の状態(温度・湿度・エンタルピーなど)をグラフ上で表した図だ。空気調和設備の設計・管理において基本的なツールであり、ビル管試験でも「空気環境の調整」の頻出テーマとなっている。

試験では問題冊子に h-x 線図が印刷されているため、線図そのものを暗記する必要はない。重要なのは「軸の意味を理解し、4つの空気処理プロセスが線図上でどの方向に動くか」を把握することだ。

線図の4つの軸を理解する

h-x 線図には次の軸・情報が含まれる。

軸・パラメータ意味単位
横軸(x 軸)絶対湿度(水蒸気量)kg/kg(DA)※ 乾き空気 1 kg あたりの水分量
縦軸(h 軸)比エンタルピー(熱量)kJ/kg(DA)
斜線群乾球温度の等温線
曲線相対湿度の等湿線%
湿球温度線等エンタルピー線に近い方向で引かれる

「相対湿度 100% の曲線(飽和曲線)」が線図の左上部に位置し、その内側(右下方向)が未飽和の空気状態となる。

頻出の5プロセス

ビル管試験に繰り返し出題される h-x 線図の読み取り問題は、次の5プロセスに分類できる。

プロセス1:顕熱加熱(温度を上げる)

  • 乾球温度が上昇する
  • 絶対湿度(水分量)は変化しない
  • 相対湿度は下がる
  • 線図上の動き:右方向(横軸の絶対湿度は一定のまま、乾球温度の等温線が高い方へ移動)

プロセス2:顕熱冷却(温度を下げる)

  • 乾球温度が下降する
  • 絶対湿度は変化しない(露点以上なら)
  • 相対湿度は上がる
  • 線図上の動き:左方向(絶対湿度は一定のまま、飽和曲線に近づく方向)

プロセス3:蒸発加湿(湿度を上げる)

  • 絶対湿度が上昇する
  • 比エンタルピーは変化しない(断熱加湿)または増加する(蒸気加湿)
  • 断熱加湿の場合:線図上は等エンタルピー線に沿って右上方向に移動

プロセス4:冷却除湿(冷やしながら水分を取り除く)

  • 乾球温度と絶対湿度の両方が下降する
  • 比エンタルピーが大きく下がる
  • 線図上の動き:左下方向(飽和曲線の方向に向かいつつ下降)

プロセス5:混合(2つの状態の空気を混ぜる)

  • 外気と還気を混合するプロセス
  • 混合点は2点を結ぶ線上に、質量比に応じた位置で決まる(てこの原理)
  • 問題では「外気50%・還気50%混合後の状態はどこか」などと問われる

h-x 線図問題の解き方のコツ

  1. まず問題の「状態点(出発点)」をグラフ上で特定する
  2. 「何を変化させるか(温度のみか、湿度も変わるか)」を確認する
  3. 変化後の状態点が「どの方向に動くか」を上記5プロセスで判断する
  4. 選択肢の中から「方向が正しいもの」を選ぶ

計算が必要な場合は「比エンタルピーの差(kJ/kg)× 風量(kg/h)= 熱量(kJ/h)」の計算が基本となる。空気環境の調整カテゴリの練習問題で実際の問題形式に慣れてほしい。


分野2:換気量計算の公式と解法

換気計算が出る背景

建築物衛生法の管理基準では、室内の CO₂ 濃度を 1,000 ppm 以下に維持することが義務づけられている。これを守るために必要な換気量を計算する問題が頻出だ。

必要換気量の基本公式

必要換気量を求める基本的な公式は次のとおりだ。

CO₂ 濃度基準による必要換気量

Q = M / (Ci - Co)
  • Q:必要換気量(m³/h)
  • M:室内 CO₂ 発生量(m³/h)

※ 人の CO₂ 発生量は安静時 0.018 m³/h(18 L/h)程度、軽作業時 0.03 m³/h 程度を使うことが多い

  • Ci:室内 CO₂ 許容濃度(0.001 = 1,000 ppm)
  • Co:外気 CO₂ 濃度(0.0004 = 400 ppm を使うことが多い)

計算例: 10人が在室し、1人あたりの CO₂ 発生量が 0.02 m³/h、室内許容濃度 1,000 ppm(0.001)、外気 CO₂ 濃度 400 ppm(0.0004)の場合の必要換気量。

M = 10人 × 0.02 m³/h = 0.2 m³/h
Q = 0.2 / (0.001 - 0.0004) = 0.2 / 0.0006 ≈ 333 m³/h

換気回数と室容積の関係

換気量(Q)が求まれば、換気回数(n)は次の式で求められる。

n = Q / V
  • n:換気回数(回/h)
  • Q:換気量(m³/h)
  • V:室容積(m³)

逆に「換気回数と室容積が分かっている場合に換気量を求める」問題では Q = n × V が使われる。

1人あたりの必要換気量

建築物衛生法の管理基準では、浮遊粉じん・CO₂・温湿度・気流などが定められているが、「1人あたりの必要換気量」として参考にされる数値は、事務所衛生基準規則が示す 1人あたり 10 m³/h 以上(2人以上の部屋の場合 30 m³/h 以上) という考え方だ。

この数値がそのまま「ビル管試験の選択肢」に登場することもあり、概念として押さえておきたい。


分野3:熱負荷計算(顕熱・潜熱・全熱)

空調計算の3つの熱

空気調和設備の設計では「顕熱」「潜熱」「全熱」の3概念が基礎となる。

種類意味変化するもの
顕熱(SH)温度変化に使われる熱乾球温度が変わる
潜熱(LH)水分の蒸発・凝縮に使われる熱湿度(絶対湿度)が変わる
全熱(TH)顕熱 + 潜熱温度と湿度の両方が変わる

試験では「顕熱比(SHF)」という概念も出題される。

顕熱比(SHF)= 顕熱 / 全熱

SHF が 1.0 に近いほど「温度変化が主体」の負荷であり、オフィスビルの一般的な室内空調では SHF = 0.7〜0.9 程度になることが多い。

顕熱の計算公式

顕熱量の計算には次の公式を使う。

Qs = c × G × ΔT
  • Qs:顕熱量(W または kJ/h)
  • c:空気の比熱(= 1.006 kJ/(kg・K) ≈ 1.0 kJ/(kg・K) で概算可)
  • G:風量(kg/h または kg/s)
  • ΔT:温度差(K または ℃)

単位変換の注意点

  • G を m³/h で表す場合は空気密度(約 1.2 kg/m³)を掛けて kg/h に換算する
  • 1 W = 3.6 kJ/h(1 kW = 3,600 kJ/h)

実際の試験では数値を選択肢から選ぶ問題が多く、計算過程そのものより「公式のどの変数が何に対応するか」を理解していれば解ける出題が中心だ。

潜熱の計算公式

潜熱量の計算には次の公式を使う。

QL = r × G × Δx
  • QL:潜熱量(kJ/h)
  • r:水の蒸発潜熱(= 2,501 kJ/kg ≈ 2,500 kJ/kg で概算)
  • G:乾き空気の質量流量(kg/h)
  • Δx:絶対湿度の差(kg/kg(DA))

潜熱の問題は顕熱より出題頻度がやや低いが、「加湿量の計算」や「冷却除湿量の計算」として組み合わせて出題されることがある。


分野4:圧力損失計算(ダクト・配管)

圧力損失とは

空気や水がダクト・配管の中を流れる際、摩擦や曲がりによって圧力が失われる。これが「圧力損失」だ。送風機・ポンプの選定や省エネ計算の基礎となる。

ダクトの摩擦損失(ダルシー・ワイスバッハの式)

ダクト内の摩擦抵抗(直管部分)は次の式で表される。

ΔP = λ × (L / D) × (ρv² / 2)
  • ΔP:圧力損失(Pa)
  • λ:管摩擦係数(材質・レイノルズ数による)
  • L:ダクト長さ(m)
  • D:ダクト内径または相当径(m)
  • ρ:空気密度(kg/m³)
  • v:風速(m/s)

試験では「ダクトの長さが2倍になると圧力損失はどう変わるか」「風速が2倍になると圧力損失はどう変わるか」という関係性を問う問題が出る。

覚えておくべき比例関係

  • ダクト長さ(L)に比例する(2倍になると2倍)
  • 風速(v)の2乗に比例する(2倍になると4倍)
  • ダクト径(D)に反比例する(径が小さいと損失が増える)

配管(水系)の圧力損失

給水・排水系統の配管でも同様の考え方が適用される。ビル管試験では「流量と圧力損失の関係」「給水圧力の計算」が出題される。

基本的な関係として「流量が2倍になると、配管の摩擦損失は約4倍(乱流域では流速の2乗に比例)になる」という知識を押さえておけば多くの問題に対応できる。

給水及び排水の管理カテゴリでは、給水圧力・水頭の考え方を問う問題を収録している。


分野5:騒音レベル計算(デシベル合算・距離減衰)

デシベル(dB)の基礎

騒音レベルの単位「デシベル(dB)」は対数スケールで表される。これが「計算問題として難しく感じる」原因になりやすいが、試験に出るパターンは限られているため、典型パターンを暗記することで対応できる。

基本式(音圧レベル):

L = 10 × log₁₀(P / P₀)²  = 20 × log₁₀(P / P₀)
  • L:音圧レベル(dB)
  • P:音圧(Pa)
  • P₀:基準音圧(= 2 × 10⁻⁵ Pa)

頻出パターン1:同じ音源が増えた場合

同じ音圧レベルの音源が2台になると:

合成レベル ≈ 元のレベル + 3 dB

これは「10 × log₁₀(2) ≈ 3.01」から来ている。

同様に:

  • 同じ音源 × 10 台 → 元のレベル + 10 dB
  • 同じ音源 × 4 台 → 元のレベル + 6 dB
  • 同じ音源 × 100 台 → 元のレベル + 20 dB

頻出パターン2:距離が変わった場合の減衰

点音源(全方向に均一に音が広がる場合)では「逆二乗則」が成り立つ。

距離が2倍になると音圧レベルは約6dB減少する
距離が10倍になると音圧レベルは約20dB減少する

これは「音のエネルギーが距離の2乗に反比例して広がる」ことから導かれる。

頻出パターン3:異なるレベルの合成

レベルが異なる2つの音を合成するときは、単純な足し算にはならない。

  • 差が 0 dB のとき(同じ音圧):合成で +3 dB
  • 差が 3 dB のとき:合成で約 +1.8 dB(≈ 大きい方に近い)
  • 差が 10 dB 以上のとき:合成で大きい方からほとんど変わらない(小さい音は無視できる)

試験では「差が 10 dB 以上の場合は小さい方の音の影響は無視できる」という考え方が選択肢の正誤判定に使われることがある。


計算問題を「捨てる戦略」vs「全部取る戦略」

試験合格に向けた現実的な判断

ビル管の合格基準は「各科目 40% 以上かつ全体 65% 以上(180 問中 117 問以上)」だ。計算問題への対処方針は受験者の背景と学習時間によって変わる。

計算問題を最低限だけ取る戦略(推奨:初学者・短期学習者)

対象者

  • 学習開始から3ヶ月以内
  • 数学・物理が不得意
  • 空気環境の調整の足切り(18問)確保を優先したい

狙うべき計算問題

  1. 換気量の公式(Q = M /(Ci - Co))だけ覚えて換気問題を2〜3問取る
  2. デシベル合成の「同じ音源が2台で +3 dB」パターンだけ暗記する
  3. 顕熱の考え方(温度が上がると顕熱、湿度が変わると潜熱)を理解する

期待できる得点:計算問題20〜25問中、4〜6問程度を確保

この戦略でも「知識問題を丁寧に取る」ことで空気環境の足切り18問は現実的に確保できる。

計算問題を全部取る戦略(推奨:ビルメン4点セット保有者・時間に余裕がある受験者)

対象者

  • 冷凍3種・ボイラー2級で熱計算・冷凍計算に慣れている
  • 学習期間が6ヶ月以上ある
  • 空気環境の調整で高得点(29問以上)を狙っている

追加で習得すべき計算

  • h-x 線図の5プロセス(顕熱加熱・顕熱冷却・加湿・冷却除湿・混合)
  • 熱負荷計算(顕熱・潜熱の公式)
  • ダクト・配管の圧力損失の比例関係

期待できる得点:計算問題20〜25問中、14〜18問程度を確保

4点セット保有者は冷凍3種で習得した「h-x 線図の基礎」と「熱移動の考え方」がほぼそのままビル管の計算問題に活用できる。空気環境の調整の詳細な攻略法では、冷凍3種・ボイラーの知識をどう接続するかを詳しく説明している。

計算問題の対策優先順位まとめ

優先度計算タイプ習得難易度期待出題数
最優先換気量計算(CO₂ 濃度基準)2〜3問
デシベル計算(+3 dB パターン)易〜中1〜2問
h-x 線図の4プロセス方向2〜4問
熱負荷計算(顕熱・全熱の概念)2〜3問
ダクト圧力損失の比例関係1〜2問
配管水頭・流量計算中〜難1〜2問
精密な顕熱・潜熱の数値計算1〜2問

計算問題の学習で使えるぴよパスの練習問題

ビル管の計算問題を実際の試験形式で練習するには、各カテゴリの練習問題が有効だ。

計算問題は「解説を読むだけ」では定着しにくい。実際に選択肢を選んで正誤を確認し、解説で「どの公式を使ったか」を確認する反復学習が効果的だ。


まとめ:ビル管計算問題の攻略ポイント

ビル管の計算問題攻略に必要な要点をまとめる。

出題の実態を正確に把握する

  • 180問中20〜25問(11〜14%)が計算問題
  • 大半は「公式1本で解ける」レベル。電験三種のような高度な計算は不要

分野別の重点

  • 湿り空気線図:4プロセスの方向を覚える(線図は試験当日に配布)
  • 換気量計算:Q = M / (Ci - Co) の公式1本
  • 熱負荷計算:顕熱(温度変化)・潜熱(湿度変化)の概念を理解する
  • 圧力損失:「風速2倍で損失4倍」「管長2倍で損失2倍」の比例関係
  • 騒音レベル:「同じ音源が2台で +3 dB」「距離2倍で -6 dB」を暗記

戦略の選択

  • 初学者・短期学習者:換気量とデシベルの基本パターンだけ取る「最低限戦略」
  • 4点セット保有者・長期学習者:h-x 線図と熱負荷まで習得する「全部取る戦略」

計算問題の攻略法を含む科目全体の戦略については空気環境の調整と給排水の攻略で詳しく解説している。ビル管全体の頻出テーマの優先順位はビル管 よく出る分野ランキングが参考になる。

計算以外の暗記問題の対策はビル管理士の暗記コツ完全ガイドを、給水・排水の管理科目全体の攻略は給水・排水の管理完全攻略を参照してほしい。

まずはビル管理士トップページから各カテゴリの練習問題に取り組み、どの計算タイプが自分の弱点かを把握するところから始めてほしい。


出典

  • 建築物における衛生的環境の確保に関する法律(建築物衛生法、昭和45年法律第20号)
  • 建築物環境衛生管理基準(厚生労働省告示第119号)
  • 事務所衛生基準規則(昭和47年労働省令第43号)第5条(換気等)
  • 空気調和・衛生工学会「空気調和設備計画設計の実務の知識」(参照)

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この記事の執筆者

ぴよパス編集部

公的機関の公表データ・法令・試験実施団体の公式情報を根拠に記事を作成。問題は全てオリジナルで、12項目の品質ガードで正確性を担保しています。

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※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、特定の結果を保証するものではありません。最新の試験情報は各試験の公式サイトでご確認ください。

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