ビル管理士の数値は、「何の基準か・単位・以上か以下か・適用条件」を一組にして覚えます。たとえば「0.1」とだけ書かず、「飲料水の給水栓の遊離残留塩素は、通常0.1mg/L以上」と答えてみてください。
ここでは、体系で整理する、短いフレーズで思い出す、時間を空けて答え直す、という3つの方法を使います。空気環境と給水の比較表、暗記カードの記入例、答え合わせ用の確認例を用意しました。数値は2026年9月11日時点の施行令・施行規則で確認しています。
コツ1:数値を「対象・単位・向き・条件」で整理する
数字が出てきたら、次の四つを同じ行へ書きます。間違えたときも、数字だけを直すのではなく、どの欄が抜けたかを確かめます。
| 確認する欄 | 記入例 | 抜けると起きる取り違え |
|---|---|---|
| 対象 | 遊離残留塩素 | 結合残留塩素の値と混ざる |
| 単位 | mg/L | 空気中のmg/m³と混ざる |
| 向き | 0.1以上 | 上限のように覚えてしまう |
| 条件 | 給水栓、通常時 | 汚染のおそれがある場合と混ざる |
「空気環境」と「給水」のように科目でまとめたあと、同じ単位・似た名称を横に並べます。語呂を足すのは、その対応関係を確認してからにします。
空気環境の7項目:COとCO2、mg/m³とppmを分ける
次は、建築物衛生法施行令第2条第1号イの表にある、空気調和設備を設けた場合の居室の基準です。一酸化炭素(CO)は6ppm以下で、旧値の10ppmではありません。
| 項目 | 基準 | 確認する点 |
|---|---|---|
| 浮遊粉じんの量 | 0.15mg/m³以下 | 空気1m³あたりの質量 |
| 一酸化炭素(CO) | 6ppm以下 | CO2と別の気体 |
| 二酸化炭素(CO2) | 1000ppm以下 | COの100倍という覚え方にはならない |
| 温度 | 18℃以上28℃以下 | 外気より低くする場合は、その差を著しくしない |
| 相対湿度 | 40%以上70%以下 | 上限と下限を両方答える |
| 気流 | 0.5m/s以下 | 速度の単位 |
| ホルムアルデヒドの量 | 0.1mg/m³以下 | 0.08ppmと、0.08mg/m³を混同しない |
温度の下限18℃とCO6ppmは2022年4月1日からの基準です。古いノートや語呂に17℃・CO10ppmがあれば、対象法令と改正時期を確認して書き直します。ホルムアルデヒドの0.1mg/m³と0.08ppmは、厚生労働省の一覧に併記されている換算です。単位を外した0.1と0.08だけの暗記にしないでください。
なお、機械換気設備では温度・湿度を除く5項目が対象です。また、浮遊粉じん・CO・CO2は1日の使用時間中の平均値を基準と比較します。管理基準の上限を、超えた瞬間に健康障害が起きる濃度と読み替えないことも大切です。
出典:建築物衛生法施行令第2条、施行規則第3条の2、厚生労働省建築物環境衛生管理基準。表を隠して答えたら、空気環境の基準値を見分ける問題で確認できます。
残留塩素:遊離と結合、通常と例外を2行で比べる
飲料水の給水栓では、遊離残留塩素と結合残留塩素で基準が異なります。0.4mg/Lは「別の法令だから誤り」という数字ではなく、結合残留塩素の場合の値です。
| 条件 | 遊離残留塩素 | 結合残留塩素 |
|---|---|---|
| 通常 | 0.1mg/L以上 | 0.4mg/L以上 |
| 病原生物による著しい汚染のおそれ等、規則4条1号ただし書の条件に当たる場合 | 0.2mg/L以上 | 1.5mg/L以上 |
この比較では、左右を「遊離・結合」、上下を「通常・例外」として覚えます。「0.1か0.4か」だけを問わず、どちらの残留塩素を測っているかまで読む練習です。出典:施行規則第4条第1号。
水質検査と清掃:年1回にまとめない
以下は建築物衛生法の対象設備についての比較です。貯水槽の清掃、水質検査、残留塩素の検査は別の作業で、すべて同じ周期ではありません。
| 作業・検査 | 周期等 | 対象・条件の確認 |
|---|---|---|
| 遊離残留塩素の検査 | 7日以内ごとに1回 | 給水栓での検査 |
| 貯水槽の清掃 | 1年以内ごとに1回 | 「点検は年1回だけでよい」と読み替えない |
| 規則4条3号イの指定項目の水質検査 | 6月以内ごとに1回 | 水道・専用水道の水のみを水源とする場合 |
| 同号ロの別の指定項目の水質検査 | 毎年、6月1日〜9月30日に1回 | 半年ごとの検査とは項目が異なる |
| 地下水等を全部又は一部の水源とする場合 | 給水開始前、6月以内ごと、毎年の測定期間、3年以内ごと等 | 規則4条4号の項目別区分で確認する |
| 排水設備の清掃 | 6月以内ごとに1回 | 給水用の貯水槽とは別 |
この表は周期の比較用で、全検査項目や省略条件の一覧ではありません。具体的な検査項目は、施行規則第4条・第4条の3と、参照先の水質基準省令を合わせて確認します。給水に異常を認めた場合の必要な検査も、定期検査の日まで待つという意味ではありません。
清掃の頻度と清掃後の確認を合わせて学ぶなら、飲料用貯水槽の清掃の問題へ進めます。
コツ2:語呂は正式な数値と条件へ戻して使う
短いフレーズは、答えを思い出す手がかりとして使います。この記事では、次の確認用フレーズを作りました。公式の名称ではありません。
| 確認用フレーズ | 正式な答えへ戻す |
|---|---|
| 「COは六、CO2は千」 | 一酸化炭素6ppm以下、二酸化炭素1000ppm以下 |
| 「塩素は遊離と結合、通常と例外」 | 通常0.1/0.4、ただし書条件では0.2/1.5mg/L以上 |
| 「塩素7日、槽1年、排水半年」 | 残留塩素の検査・貯水槽の清掃・排水設備の清掃を区別する |
語呂を言えたら、表を隠して単位・以上/以下・対象も答えます。「槽1年」だけで終えると、点検と清掃を取り違えるので、「貯水槽の清掃」と続けましょう。
語呂が合わない項目は、正式名をそのまま書いたカードにして構いません。語呂を使う期間を一律1週間に限る必要もありません。覚え方の例はビル管理士の語呂合わせにもあります。
コツ3:答えを隠し、時間を空けてもう一度確認する
ノートを読むだけで終わらず、答えを見ずに出せるか確認します。次の3枚は、表裏に分けて書くための例です。
| カードの表 | 裏の答え |
|---|---|
| 建築物衛生法のCO基準は。値・単位・向きまで | 6ppm以下。旧10ppmと区別する |
| 通常の結合残留塩素は。測定場所も | 給水栓で0.4mg/L以上 |
| 貯水槽の清掃と排水設備の清掃は同じ周期か | 異なる。貯水槽は1年以内ごと、排水設備は6月以内ごとに1回 |
復習日は、たとえば今日・翌日・数日後と時間を空けて試します。これは運用例で、全員に最適な固定日程ではありません。答えられなかったカードは早めに再確認し、答えられたものは次の確認まで少し間を空けます。
間違いは「数字」「単位」「向き」「条件」のどれだったか一言添えます。書き写す量を増やすより、次の確認で何を隠して答えるかを決めるための記録です。暗記ノートの作り方も参考にしてください。
確認例:5つの取り違えを直せるか
以下はこの記事で作成した確認例です。答えの列を隠して試してください。
| 記述・問い | 答えと確認点 |
|---|---|
| 建築物衛生法のCO基準は10ppm以下 | 誤り。2022年4月1日以降は6ppm以下 |
| ホルムアルデヒド0.08ppmを、0.08mg/m³に置き換える | 誤り。基準は0.1mg/m³以下。単位もセットにする |
| 残留塩素0.4mg/Lは何の場合か | 通常の結合残留塩素の下限。遊離の0.1と分ける |
| 飲料水の定期水質検査は、すべて年1回でよい | 誤り。指定項目・水源により6月以内ごと等の区分がある |
| 貯水槽は「点検を年1回」と覚えればよい | 誤り。1年以内ごと1回と定められている作業は清掃 |
数字と単位の入替えを問題形式で試すなら、温度・CO・気流の組合せ問題へ進んでください。単元を広げる場合は空気環境の調整、給水及び排水の管理を使えます。
手元のテキストと合わせて確認する
誤答の理由を読み直すときは、手元のテキストの同じ単元へ戻ります。旧版を使う場合は、CO・温度など改正があった項目を出版社の正誤表・改訂情報でも確認してください。
※価格・評価は変動します。購入前に版・刷を確認し、出版社の最新版・正誤表・改訂情報と照合してください。上記はAmazonアソシエイトのリンクです。
参照資料:e-Gov建築物衛生法施行令第2条、同施行規則第3条の2・第4条・第4条の3。2026年9月11日に施行されている版で確認。厚生労働省建築物環境衛生管理基準。











