結論:別表は「成分 → 注意」では引けない。「注意 → 成分」でできている
第5章の別表が地獄に感じるのは、引き方が逆だからです。
多くの人は「アスピリンは何歳から?」「ロペラミドの注意は?」と成分から思い出そうとします。ところが手引きの別表は、注意の見出しが先にあり、その下に成分が並ぶ構造になっています。成分は複数の見出しに何度も登場します。成分から引こうとすると、見出しの数だけ思い出す必要があり、破綻します。
正しい入り方は逆です。見出しの分類を先に覚え、そこに成分を掛ける。見出しは「してはいけないこと」11分類、「相談すること」8分類しかありません。
| 「してはいけないこと」の見出し | 「相談すること」の見出し |
|---|---|
| ① アレルギーの既往歴 | ① 妊婦又は妊娠していると思われる人 |
| ② 症状・状態 | ② 授乳中の人 |
| ③ 基礎疾患等 | ③ 高齢者 |
| ④ 小児における年齢制限 | ④ 小児に対する注意 |
| ⑤ 妊婦、授乳婦等 | ⑤ アレルギーの既往歴 |
| ⑥ 服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないこと | ⑥ 特定の症状・状態 |
| ⑦ 連用に関する注意 | ⑦ 基礎疾患等 |
| ⑧ 乱用に関する注意 | ⑧ 併用薬等 |
| ⑨ 食品との相互作用に関する注意 | |
| ⑩ 併用薬に関する注意 | |
| ⑪ その他:副作用等を避けるため必要な注意 |
⚠️ 「アレルギーの既往歴」と「基礎疾患等」は両方に出てきます。 同じ見出し名でも、 「してはいけないこと」側と「相談すること」側では載っている成分が違います。 どちらの側の話かを取り違えると、正しい成分を当てはめても不正解になります。
問題文を読んだら、まずどの見出しの話かを決める。その見出しに載っている成分かどうかだけを判定します。これで探す範囲が数十分の一になります。
④ 小児の年齢制限は「15 → 12 → 6 → 3」の階段
別表のなかでいちばん問われやすく、いちばん覚えやすいのがここです。年齢は4段階しかありません。
| 年齢 | 成分 | 理由 |
|---|---|---|
| 15歳未満 | アスピリン、アスピリンアルミニウム、サザピリン、サリチル酸ナトリウム、プロメタジンメチレンジサリチル酸塩 | ライ症候群との関連が示唆されているため |
| プロメタジン塩酸塩等のプロメタジンを含む成分 | 乳児突然死症候群、乳児睡眠時無呼吸発作のような致命的な呼吸抑制の報告があるため | |
| イブプロフェン | 一般用医薬品では小児向けの製品がないため | |
| 抗ヒスタミン成分を主薬とする催眠鎮静薬(睡眠改善薬) | 小児では神経過敏、興奮を起こすおそれが大きいため | |
| オキセサゼイン | 一般用医薬品では小児向けの製品がないため | |
| ロペラミド | 外国での過量摂取で、中枢神経系障害、呼吸抑制、腸管壊死に至る麻痺性イレウスの報告があるため | |
| 12歳未満 | コデインリン酸塩水和物、ジヒドロコデインリン酸塩 | 重篤な呼吸抑制があらわれるおそれがあるため |
| 6歳未満 | アミノ安息香酸エチル | メトヘモグロビン血症を起こすおそれがあるため |
| 3歳未満 | ヒマシ油類 | — |
覚え方:下の3段は「1成分ずつ」しかない
12歳・6歳・3歳は、それぞれ成分が1系統だけです。ここを先に固めれば、残りは全部15歳未満に落ちます。
- 12歳 = コデイン系(コデイン/ジヒドロコデイン)→ 呼吸抑制
- 6歳 = アミノ安息香酸エチル → メトヘモグロビン血症
- 3歳 = ヒマシ油
▶️ 「コデインは12、アミノ安息香酸エチルは6、ヒマシ油は3」。この3つだけ暗記して、それ以外は15歳未満と処理します。
⚠️ ひっかけは「アスピリンは12歳未満」「コデインは15歳未満」のような入れ替えです。上の3つが動かなければ、入れ替えはすぐ見抜けます。
理由から導けるもの、導けないもの
15歳未満のうち、イブプロフェンとオキセサゼインだけは理由が「小児向けの製品がない」です。薬理的な危険ではありません。ここは理屈で導けないので、この2つは例外として別に覚えます。
逆に、ライ症候群(アスピリン系)と呼吸抑制(プロメタジン/コデイン系)は理由から成分が引けます。
⑤ 妊婦・授乳婦は「12週」と「昏睡」の2語で足りる
| 見出し | 成分 | 理由 |
|---|---|---|
| 妊婦又は妊娠していると思われる人 | ヒマシ油類 | 腸の急激な動きで流産・早産を誘発するおそれ |
| ジフェンヒドラミン塩酸塩を主薬とする催眠鎮静薬 | 妊娠に伴う不眠は睡眠改善薬の適用症状でないため | |
| エチニルエストラジオール、エストラジオール | 胎児の先天性異常の発生が報告されているため | |
| オキセサゼイン | 妊娠中における安全性が確立されていないため | |
| 出産予定日12週以内の妊婦 | アスピリン、アスピリンアルミニウム、イブプロフェン | 妊娠期間の延長、胎児の動脈管の収縮・早期閉鎖、子宮収縮の抑制、分娩時出血の増加のおそれ |
| 授乳中 | ジフェンヒドラミンを含む成分 | 乳児に昏睡を起こすおそれ |
▶️ 「12週といえばアスピリンとイブプロフェン」「授乳といえばジフェンヒドラミンで昏睡」。この2つを固定すれば、妊婦・授乳婦の設問はほぼ処理できます。
⚠️ ジフェンヒドラミンは妊婦にも授乳婦にも出てきますが、理由が違います。妊婦では「適用症状でない」、授乳婦では「乳児に昏睡」。理由を入れ替える肢が作れる場所です。
⑥ 運転操作は「眠気」と「目のかすみ」の2系統
「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないこと」の対象は、懸念される症状で2つに割れます。
| 懸念される症状 | 主な成分 |
|---|---|
| 眠気 | 抗ヒスタミン成分(ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン等)/コデイン・ジヒドロコデイン・デキストロメトルファン/ブロモバレリル尿素、アリルイソプロピルアセチル尿素/ロペラミド、ロートエキス |
| 眠気、目のかすみ、異常なまぶしさ | スコポラミン臭化水素酸塩水和物、メチルオクタトロピン臭化物 |
| 目のかすみ、異常なまぶしさ | ピレンゼピン塩酸塩水和物 |
▶️ 「目のかすみ・異常なまぶしさ」は抗コリン系のサインです。ピレンゼピンだけは眠気が付かず、目の症状だけである点が問われます。
⑨ 飲酒しないことは4つだけ
「服用前後は飲酒しないこと」の対象と理由です。
| 成分・薬効群 | 懸念される相互作用 |
|---|---|
| かぜ薬、解熱鎮痛薬 | 肝機能障害、胃腸障害 |
| 次硝酸ビスマス、次没食子酸ビスマス等のビスマスを含む成分 | 吸収増大による精神神経系障害 |
| ブロモバレリル尿素、アリルイソプロピルアセチル尿素が配合された解熱鎮痛薬・催眠鎮静薬・乗物酔い防止薬 | 鎮静作用の増強 |
| 抗ヒスタミン成分を主薬とする催眠鎮静薬 | (同上) |
なお、カフェインを含む飲料と同時に服用しないことの対象は眠気防止薬です(カフェインが過量摂取になるため)。飲酒とカフェインは別の見出しなので、混ぜないでください。
③「相談すること」の高齢者は理由が4つに割れる
高齢者は「一律に注意」ではなく、理由ごとに対象が違います。ここも理由から引けます。
| 理由 | 対象 |
|---|---|
| 効き目が強すぎたり、副作用が現れやすい | 解熱鎮痛薬、鼻炎用内服薬、グリセリンが配合された浣腸薬 |
| 心悸亢進、血圧上昇、糖代謝促進を起こしやすい | アドレナリン作動成分(メチルエフェドリン、プソイドエフェドリン等)またはマオウ |
| 偽アルドステロン症を生じやすい | グリチルリチン酸二カリウム、グリチルレチン酸、カンゾウ(1日用量がグリチルリチン酸として40mg以上、またはカンゾウとして1g以上) |
| 緑内障の悪化、口渇、排尿困難、便秘 | 抗コリン成分(スコポラミン等)、ロートエキス |
▶️ マオウ=心臓・血圧・血糖、カンゾウ=偽アルドステロン症、抗コリン=緑内障と口渇と排尿困難。第3章で覚えた生薬の性質がそのまま第5章に出てきます。章をまたいで同じ理由が繰り返されているので、片方を覚えればもう片方はただの復習です。
🔴 ⑧ 乱用に関する注意は令和8年4月に用語が変わった
「過量服用しないこと」の対象は、令和8年4月一部改訂の手引きで「指定濫用防止医薬品」という表記になりました。従来の「濫用等のおそれのある医薬品」ではありません。
もう1つ、「過量服用・長期連用しないこと」の対象として、コデインリン酸塩水和物・ジヒドロコデインリン酸塩が配合された鎮咳去痰薬(内服液剤)が挙げられています。理由は「倦怠感や虚脱感等が現れることがあるため」「依存性・習慣性がある成分が配合されており、乱用事例が報告されているため」です。
「過量服用しないこと」=指定濫用防止医薬品、「過量服用・長期連用しないこと」=コデイン系の内服液剤、と分けて覚えます。
第4章の改訂内容は別の記事にまとめました。
別表を全部覚えようとしない
別表は数十ページあります。全部を覚えるのは不可能で、試験もそれを要求していません。優先順位は次のとおりです。
- 見出しの分類(11+8) — これだけで問題文の読み方が変わる
- 年齢の階段(15/12/6/3) — 出題頻度が高く、覚える量が少ない
- 理由から引ける組(ライ症候群・呼吸抑制・偽アルドステロン症・抗コリン) — 第3章の知識が使い回せる
- 残りは演習で出会ったものから足していく
4番目を最初にやろうとすると挫折します。
手引きの別表は無料で読める
別表の原文は厚生労働省が公開しています。市販のテキストは紙面の都合で別表を圧縮していることが多いので、「この成分は本当に載っているのか」を確かめたいときは原文が最短です。
- 厚生労働省「登録販売者試験問題の作成に関する手引き(令和8年4月)」の第5章 別表
見出しを決めてから解く
ぴよパスでは登録販売者の練習問題を無料公開しています。
- 登録販売者の練習問題(医薬品に共通する特性・人体と医薬品・薬事関係法規)
別表がらみの肢を見たら、まず「どの見出しの話か」を口に出して決める。見出しが決まれば候補が絞れます。成分名から先に思い出そうとしないでください。
まとめ
- 別表は「注意の見出し → 成分」の構造。成分から引こうとすると詰む
- 見出しは「してはいけないこと」11分類、「相談すること」8分類。
「アレルギーの既往歴」「基礎疾患等」は両方にあり、載る成分が違う
- 年齢は 15/12/6/3 の4段階。12=コデイン系、6=アミノ安息香酸エチル、3=ヒマシ油、残りは15歳未満
- イブプロフェンとオキセサゼインの15歳未満は「小児向け製品がない」という理屈の外の理由
- 妊婦は「出産予定日12週以内=アスピリンとイブプロフェン」、授乳は「ジフェンヒドラミンで昏睡」
- 高齢者は理由が4つに割れる。マオウ・カンゾウ・抗コリンは第3章の知識がそのまま使える
- 「過量服用しないこと」の対象は令和8年4月から「指定濫用防止医薬品」
出典
- 厚生労働省「登録販売者試験問題の作成に関する手引き(令和8年4月)」第5章 別表 5-1「主な使用上の注意の記載とその対象成分・薬効群等」(してはいけないこと/相談すること)
- 同 第3章 Ⅱ-1(カンゾウ・マオウの共通の留意点)
編集部の見方:別表の見出しを機械的に数えたところ、「してはいけないこと」11分類・「相談すること」8分類でした。成分は複数の見出しに重複して現れるため、成分を主キーにした暗記は構造的に成立しません。見出しを主キーにするだけで、同じ内容が覚えられる量に変わります。
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