甲種4類の実技は鑑別等5問と製図2問です。この実技だけで60%以上を取らないと、筆記がどれだけ良くても不合格になります。そして鑑別で問われる数値は、そのまま製図の作図条件になります。鑑別と製図は別の試験ではなく、同じ知識を別の形で出しているだけです。
この記事では、鑑別で問われる数値を消防法施行規則の条番号つきで整理します。数値は2026年4月1日時点で施行されている版(2026年3月6日施行)で確認しています。
甲種の鑑別は「工事する人の目」で問われる
乙種4類の業務範囲は整備と点検です。甲種はそこに工事が加わります。だから同じ自動火災報知設備を見ても、問われ方が変わります。
| 乙種4類 | 甲種4類 | |
|---|---|---|
| 業務範囲 | 整備・点検 | 工事・整備・点検 |
| 実技 | 鑑別等のみ | 鑑別等 + 製図 |
| 鑑別で問われやすいもの | 機器の識別、点検用の試験器 | 機器の識別に加え、設置基準の数値と配線 |
設置基準の数値が効いてくるのが甲種です。「この感知器はこの高さに付けられるか」「この警戒区域数なら共通線は何本か」は、工事をする人が判断することだからです。
消防設備士甲種4類のオリジナル予想問題で、鑑別の知識を確認する →
独学の本命テキスト
※価格・評価は変動します。改訂年を商品ページで確認してください。上記は Amazon アソシエイトのリンクです。
数値1: 取付け面の高さで、使える感知器が決まる
鑑別で最も出題されやすいのがこれです。消防法施行規則第23条第4項第2号は、取付け面の高さに応じて設置できる感知器の種別を4区分で定めています。
| 取付け面の高さ | 設けられる感知器の種別 |
|---|---|
| 4m未満 | 差動式スポット型、差動式分布型、補償式スポット型、定温式、イオン化式スポット型、光電式スポット型 |
| 4m以上8m未満 | 差動式スポット型、差動式分布型、補償式スポット型、定温式特種または一種、イオン化式スポット型一種・二種、光電式スポット型一種・二種 |
| 8m以上15m未満 | 差動式分布型、イオン化式スポット型一種・二種、光電式スポット型一種・二種 |
| 15m以上20m未満 | イオン化式スポット型一種、光電式スポット型一種 |
この表の読み方で押さえるべき点が3つあります。
1つ目は、高くなるほど使える種別が減っていくことです。4m未満はほぼ全種別が使えますが、15m以上では一種の煙感知器しか残りません。感度の高いものだけが上まで残る、と理解すると覚えやすくなります。
2つ目は、定温式は4m以上になると特種か一種に限られることです。「定温式は8mまで」と丸暗記していると、二種を含めてしまって誤ります。
3つ目は、煙感知器は一種と二種で上限が違うことです。二種は15m未満まで、一種は20m未満までです。「煙感知器は20mまで」と一括りにすると、15m以上20m未満の区分で誤ります。
そして20m以上はどうなるか。同項第1号イが、取付け面の高さが20m以上である場所には感知器を設けないと定めています(炎感知器を除く)。つまり20mを超える大空間で使えるのは炎感知器だけです。
数値2: 取付け位置と感知区域
高さの表と一緒に問われるのが、取付け位置の細目です(第23条第4項第3号)。
- 感知器の下端は、取付け面の下方0.3m以内の位置に設ける
- 感知区域は、壁または取付け面から0.4m以上突出したはり等で区画された部分。ただし差動式分布型感知器または煙感知器を設ける場合は0.6m以上
はりの数値が0.4mと0.6mで分かれるところが狙われます。「煙と分布型だけ0.6m」と対で覚えます。
差動式分布型(空気管式)には固有の数値が並びます(同項第4号)。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 露出部分の長さ | 感知区域ごとに20m以上 |
| 取付け位置 | 取付け面の下方0.3m以内 |
| 感知区域の各辺からの距離 | 1.5m以内 |
| 相対する感知器の相互間隔 | 耐火構造は9m以下、その他は6m以下 |
| 一の検出部に接続する空気管の長さ | 100m以下 |
| 検出部の傾斜 | 5度以上傾斜させない |
熱電対式では、一の検出部に接続する熱電対部の数は20以下です(同項第4号の2ハ)。
数値3: 共通線は1本につき7警戒区域
製図でも鑑別でも出るのが共通線です。消防法施行規則第24条第1号ヘは、感知器回路の配線について共通線を設ける場合、共通線は1本につき7警戒区域以下と定めています。
ここから作図の判断が決まります。警戒区域が7つまでなら共通線は1本、8つ以上になったら2本目が必要です。警戒区域が15なら3本、というように7で割って切り上げると本数が出ます。
ただし例外があります。R型受信機・GR型受信機に接続される、固有の信号を有する感知器や中継器が接続される感知器回路は、この制限の対象外です。R型は各機器が固有の信号を持つため、そもそも警戒区域ごとに線を分ける必要がないからです。
同じ号の次のトには、P型受信機およびGP型受信機の感知器回路の電路の抵抗は50Ω以下という数値があります。共通線とセットで問われます。
消防設備士甲種4類の製図対策で、この数値の使い方を確認する →
数値4: 受信機まわりの制限
受信機は種別ごとに設置できる規模が決まっています(第24条第2号)。
| 制限 | 内容 |
|---|---|
| 操作スイッチの高さ | 床面から0.8m(いすに座って操作するものは0.6m)以上1.5m以下 |
| 設置台数 | P型一級(回線数1)・P型二級・P型三級等は、1防火対象物につき3台以上設けない |
| P型二級(回線数1) | 延べ面積350㎡を超えるものに設けない |
| P型三級 | 延べ面積150㎡を超えるものに設けない |
| 設置場所 | 受信機は防災センター等に設ける |
350㎡と150㎡は取り違えやすい組み合わせです。級が下がるほど小さい建物までしか使えない、と順序で覚えると入れ替わりません。
数値5: 地区音響装置と非常電源
- 地区音響装置の音圧は、取り付けられた音響装置の中心から1m離れた位置で90dB以上(第24条第5号イ(イ))
- 各階ごとに、その階の各部分から一の地区音響装置までの水平距離が25m以下(同号ニ)
- 非常電源の蓄電池設備の容量は、自動火災報知設備を有効に10分間作動できる容量以上(同条第4号ロ)
音圧は「1m離れて90dB」と、測る位置まで含めて覚えます。距離の条件を落とすと数値だけでは答えになりません。
感知器の見分けは、原理と設置場所を結びつける
数値の次は識別です。写真から種別を答える問題では、原理と向く場所をセットで持っていると初見でも判断できます。
| 感知器 | 作動原理 | 向く場所 |
|---|---|---|
| 差動式スポット型 | 温度の上昇率を感知 | 居室・事務室など平常時の温度変化が穏やかな場所 |
| 定温式スポット型 | 一定の温度に達すると作動 | 厨房・ボイラー室など平常時から高温になる場所 |
| 煙感知器(光電式スポット型) | 煙の粒子による光の変化を感知 | 廊下・階段など煙が流れやすい場所 |
| 炎感知器 | 炎から出る紫外線・赤外線を感知 | 20m以上の大空間、アトリウムなど |
厨房に差動式を付けると煮炊きのたびに温度が急上昇して誤作動します。だから定温式です。この「なぜその場所か」を言えるようにしておくと、写真だけの問題でも消去法が効きます。
なお煙感知器は、じんあいや水蒸気が多量に滞留する場所、腐食性ガスが発生するおそれのある場所、厨房その他正常時において煙が滞留する場所などには設けられません(第23条第4項第1号ニ)。
試験器は感知器と1対1で決まる
点検用の試験器は、暗記の量に見えて実際は対応表1枚で足ります。何を検知する感知器かで、使う試験器が決まるからです。
| 感知器 | 使う試験器 |
|---|---|
| 熱(差動式スポット型・定温式スポット型) | 加熱試験器 |
| 煙(光電式・イオン化式) | 加煙試験器 |
| 炎(紫外線式・赤外線式) | 炎感知器用作動試験器 |
| 差動式分布型(熱電対式・熱半導体式) | メーターリレー試験器 |
差動式分布型(空気管式)は空気管に空気を送って作動を見るため、テストポンプとマノメーターを使います。分布型は方式によって試験器が変わる点が、他の感知器と違うところです。
甲種で加わる工具の視点
甲種は工事ができる資格です。整備・点検で使う絶縁抵抗計(メガー)や回路試験器に加えて、配線を敷設し機器を取り付けるための工具が視野に入ります。
| 工具 | 用途 |
|---|---|
| 絶縁抵抗計(メガー) | 配線の絶縁抵抗を測定する。単位はMΩ |
| 回路試験器(テスター) | 導通確認・電圧測定 |
| リングスリーブ用圧着ペンチ | 電線相互の接続 |
| ワイヤストリッパ | 電線の被覆をむく |
| 振動ドリル | コンクリート壁への穴あけ(機器の取付け) |
絶縁抵抗計は「絶縁抵抗を測る」、回路試験器は「導通と電圧を見る」。この2つは役割が違うので、写真で取り違えないようにします。接地抵抗計は接地抵抗を測る別の計器です。
記述は4点セットで書く
鑑別等試験は記述式です。名称だけ書いて終わると点が伸びません。問われている内容に応じて、次の4点から必要なものを揃えて書きます。
- 名称(正式名称で。「感知器」ではなく「差動式スポット型感知器」)
- 作動原理(何を検知して作動するか)
- 設置場所・設置基準(どこに、どの高さまで)
- 数値(あれば必ず添える)
たとえば「この感知器の名称と、設置できる取付け面の高さを答えよ」なら、「光電式スポット型感知器(二種)。取付け面の高さ15m未満の場所に設置できる」のように、種別と数値まで書き切ります。数値を書かないと、知っていても採点者には伝わりません。
残り時間別の進め方
| 残り | やること |
|---|---|
| 1か月以上 | 筆記の「構造・機能」と並行して、感知器の種別と高さの表を先に固める |
| 2週間 | 共通線・電路の抵抗・音響装置の数値を追加。製図の問題で実際に使う |
| 1週間 | 試験器の対応表と工具を仕上げ、記述の型で手を動かす |
| 前日 | 高さの4区分と共通線7警戒区域だけは確実に |
独学でやりがちな失敗は、鑑別を製図と切り離して後回しにすることです。鑑別の数値は製図の作図条件そのものなので、先に鑑別の数値を固めたほうが製図が速く仕上がります。
消防設備士甲種4類の練習問題で、覚えた数値を出題形式で確認する →
出典: 消防法施行規則(昭和三十六年自治省令第六号)第23条・第24条。2026年4月1日時点で施行されている版(令和八年総務省令第二十三号による改正、2026年3月6日施行)を e-Gov 法令検索で確認しました。試験の法令基準日は受験年度により異なるため、最新の出題範囲は消防試験研究センターの案内で確認してください。

![わかりやすい!第4類消防設備士試験 [大改訂第4版]](https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/P/4770329423.09.LZZZZZZZ.jpg)
![これだけはマスター!第4類消防設備士試験 製図編 [改訂4版]](https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/P/477032698X.09.LZZZZZZZ.jpg)








