丙種化学 (特別試験科目) は、高圧ガス保安協会 (KHK) が実施する高圧ガス製造保安責任者試験の一つで、高圧ガス全般の製造施設を対象にした知事試験です。法令・保安管理技術・学識の3科目、計60問の五肢択一で、合格基準はKHKの受験案内書で「各科目とも満点の60パーセント程度」とされています。令和6年度の全科目受験者の合格率は17.1%で、同じ日に行われる丙種化学 (液石) の12.1%より高いものの、知事試験の中では低い部類の試験です。
ぴよパスでは、この3科目を法令14問・保安管理技術14問・学識12問、合計40問の五肢択一で練習できるオリジナル問題を用意しました。法令は令和8年4月1日現在施行の高圧ガス保安法・同施行令・一般高圧ガス保安規則・容器保安規則の条文を逐語で確認して作り、保安管理技術は、材料の選定から建設・工事、運転、異常時、保全まで設備の一生の順に並べ、各段階の判断の分かれ目を選ばせる形にしています。学識には、ル・シャトリエの法則による混合ガスの爆発下限界や、管径を変えたときの圧力損失のように、公式の型を覚えるだけでは解けない計算を入れました。
丙種化学 (特別) の試験の形式 (KHKの受験案内書から)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実施団体 | 高圧ガス保安協会 (KHK)。都道府県知事が行う国家試験 (知事試験) |
| 受験資格 | 制限なし (年齢・学歴・経験を問わない) |
| 科目と時間 | 法令 20問・60分 / 保安管理技術 20問・90分 / 学識 20問・120分 |
| 出題形式 | 五肢択一のマークシート。イ・ロ・ハ (保安管理技術は約半数、学識は一部がイ〜ニ) の記述のうち正しいものの組合せを選ぶ問題が中心で、用語の対応づけ型や純粋な計算問題も混じる |
| 合格基準 | 各科目とも満点の60パーセント程度 |
| 科目免除 | 丙種化学 (特別) の講習の検定に合格した人は、保安管理技術と学識が免除 (法令のみ受験) |
| 法令の基準日 | その年度の4月1日現在施行されている法令 (令和8年度は2026年4月1日) |
| 受験料 | 電子申請 9,800円 / 書面申請 10,300円 (非課税) |
| 令和8年度の日程 | 試験日 2026年11月8日 (日)。電子申請 8月17日〜9月2日、書面申請 8月17日〜8月31日 (受付終了)。合否通知 2027年1月5日 |
「特別試験科目」という名称は、丙種化学の中で試験科目の内容が液化石油ガスに限定されない (一般の高圧ガス製造を対象にする) 区分であることを示す呼び方で、免状は液石と同じ丙種化学責任者免状です。問題冊子は法令 (丙特法)・保安管理技術 (丙特保)・学識 (丙特学) の3冊に分かれ、四則計算のみの電卓が使えます (関数電卓は不可)。
液石との違い — 法令の規則と保安管理技術の題材が変わる
| 丙種化学 (特別) | 丙種化学 (液石) | |
|---|---|---|
| 対象 | 高圧ガス全般の製造施設 | 液化石油ガス (LPガス) の製造施設 |
| 法令の中心 | 高圧ガス保安法・施行令・一般高圧ガス保安規則・容器保安規則 | 高圧ガス保安法・施行令・液化石油ガス保安規則・容器保安規則 |
| 保安管理技術の題材 | 材料と腐食、静電気、溶接と非破壊検査、入槽工事の準備、耐圧・気密試験、ポンプと圧縮機、軸封、安全装置と緊急遮断、誤操作防止、ガス検知、防消火、保全と変更管理 | LPガス充塡所の貯槽・ポンプ・圧縮機、タンクローリ受入れ、容器充塡、気化と供給、燃焼器 |
| 学識の題材 | 単位、状態方程式、熱量、燃焼計算、爆発範囲、ガスの性質、流れと伝熱、応力と強度、材料と溶接、機械要素 | 状態方程式、ガス密度、ラウールの法則、燃焼計算、爆発範囲、応力、材料と腐食 |
| 令和6年度の合格率 (全科目受験) | 17.1% (2,466名中421名) | 12.1% (2,019名中244名) |
| 免状 | 丙種化学責任者免状 (共通) | 丙種化学責任者免状 (共通) |
法令では、高圧ガス保安法と施行令の総則 (定義・許可・貯蔵所・保安統括者・帳簿・免状) は共通で、規則だけが入れ替わります。特別では一般高圧ガス保安規則に固有の数字 (可燃性ガス設備と酸素設備の距離10 m、貯槽間の距離、圧縮を禁止する酸素4%、アセチレンの充塡圧力2.5 MPa と1.5 MPa、シアン化水素の60日、製造施設区分など) が出題の中心になります。液石の練習問題を先に解いた人は、共通部分を確認しつつ、この固有部分に時間を使ってください。液石側の40問は 丙種化学 (液石) の練習問題 にまとめてあります。
合格率の読み方 — 全科目受験なら5〜6人に1人
| 年度 | 全科目受験者 | 科目免除者 (法令のみ) | 合計 |
|---|---|---|---|
| 令和6年度 | 17.1% (2,466名中421名) | 69.9% (2,285名中1,598名) | 42.5% (4,751名中2,019名) |
| 令和3年度 | 20.8% (2,546名中529名) | — | — |
合計の42.5%は、法令だけを受ける免除者 (約7割合格) が押し上げた数字です。3科目を自力で受ける人だけを見ると17.1%で、令和3年度の20.8%からは3.7ポイント下がっています。免除者の人数 (2,285名) が全科目受験者 (2,466名) とほぼ同じである点も特徴で、講習を経由する受験者が多い試験です。
合格基準が「各科目60%程度」で1科目でも基準を下回ると不合格になるため、法令と保安管理技術を取れても学識の計算で落とす、という失点の仕方が多いと考えられます。学識は物理化学の基礎 (単位・状態方程式・熱量) と機械の基礎 (応力・材料) が半々で、どちらか一方を捨てると6割に届きません。
3科目と練習問題40問の対応
| 科目 (本試験の問数) | 出題の範囲 | 練習問題の問数と論点 |
|---|---|---|
| 法令 (20問) | 高圧ガス保安法・同施行令・一般高圧ガス保安規則・容器保安規則 (令和8年4月1日現在施行) | 14問。第一種ガスと許可の境目 (300 m³・100 m³)、変更の許可、貯蔵の方法、貯蔵の規制を受けない容積、移動と移動監視者、特定高圧ガス消費者、保安統括者・保安係員と製造施設区分、危害予防規程・帳簿、保安検査と定期自主検査、製造施設の基準 (8 m・5 m・10 m)、製造の方法 (圧縮の禁止・アセチレンの充塡)、容器の塗色、火気等の制限と危険時の措置、販売と免状 |
| 保安管理技術 (20問) | 高圧ガスの製造に必要な通常の保安管理の技術 | 14問。材料の選定、腐食と電気防食、静電気、溶接と非破壊検査、入槽工事の準備、耐圧・気密試験、遠心ポンプ、往復圧縮機、軸封、安全装置と緊急遮断、誤操作防止、ガス検知、防消火と流出防止、保全と変更管理 |
| 学識 (20問) | 高圧ガスの製造に必要な通常の化学と機械の知識 | 12問。ドルトンの分圧、ボイル・シャルルの法則、顕熱と潜熱、レイノルズ数、液化ガス貯槽の圧力挙動、ル・シャトリエの法則、ガスの性質、圧力損失、引張応力と必要板厚、計測機器、圧縮機の段数と中間冷却 |
本試験の1問は3〜4個の記述の正誤を同時に判断させる形式なので、40問 (200個の記述) は本試験の50〜67問分、つまり3科目60問の1回分を超える記述量です。40問で固めた判断を、KHKが公開している実際の問題冊子で組合せ形式に当てはめる順番を勧めます。
五肢択一の解き方 — 科目ごとに判断の軸が違う
- 法令は数字と主体: 300 m³と100 m³ (第一種ガスかどうか)、3,000 m³と1,000 m³、8 m・5 m・10 m、2 m、90 %、4 %、2.5 MPa と1.5 MPa、60日、2年と10年、30 m³ のように、条文の数字を入れ替えた肢が誤りになります。もう一つの軸は「誰が・いつ・どの手続きで」で、許可か届出か、1件ごとに遅滞なくか年1回まとめてかを問います。解説には条番号と号番号を書いているので、条文に当たって確かめてください。
- 保安管理技術は場面の判断: 「入槽前に酸素濃度は何 % 以上を確かめるか」「キャビテーションが起きたら吐出し弁をどうするか」「噴出火災でまず何をするか」のように、現場で選択を迫られる場面で何が危険かを判断します。誤りの肢は、教科書の用語を知らなくても危険側の判断をしている記述です。理屈 (なぜ炭素鋼が低温で脆いか、なぜ空気でパージしてはいけないか) を解説で押さえると、見たことのない設問にも対応できます。
- 学識は式の選び方と単位: 計算問題の誤答肢は、ゲージ圧力を絶対圧力に直し忘れた値、流速の2乗の効果だけを見た値、許容応力の分子と分母を逆にした値のように、実際に起こる誤りから作っています。正解を出すことと同じくらい、「自分がどの誤答肢を選びそうか」を知ることが本番の失点防止になります。
科目免除と申込 — 講習経由の受験者が半数
丙種化学 (特別) の講習 (KHKまたは指定講習機関) を受けて検定に合格すると、国家試験では保安管理技術と学識が免除され、法令20問だけの受験になります。令和6年度は免除者の合格率が69.9%で、全科目受験者の17.1%とは大きな差があります。学識の計算に不安がある人や、確実に免状が必要な人にとっては現実的な経路で、免除を受けるには証書の写しを証書の送付期限 (令和8年度は9月7日) までに提出します。
申込は例年8月中旬から9月上旬、試験は11月の第2日曜日ごろです。令和8年度は2026年11月8日 (日) で、電子申請 (受験料9,800円) が8月17日〜9月2日、書面申請 (10,300円) が8月17日〜8月31日で、このページの公開時点では受付が終了しています。合否通知は2027年1月5日の予定です。令和9年度の受験案内書はKHKの国家試験ページに例年7月ごろ掲載されるので、その時点で日程と受験料を確認してください。
過去問の使い方 — 公開は期間限定、条文は毎年動く
KHKは各年度の試験問題を問題冊子ごとPDFで公開し、正解番号も公表しています。掲載期間は当年度の試験実施翌日から翌年1月下旬までで、KHK はこの期間を過ぎると掲載を終了すると案内しています (実際にはそれ以降も残っていることがあります)。法令の問題は「その年度の4月1日現在施行の法令」に基づくので、古い年度の過去問をそのまま覚えると改正で変わった数字で失点します。過去問で出題の型をつかみ、数字そのものは現行の条文で確かめる使い方が安全です。ぴよパスの40問は2026年4月1日施行の条文で作り、解説に条番号を付けてあります。
関連記事
- 丙種化学 (液石) 練習問題40問 — 同じ日の兄弟試験。法と施行令の総則は共通で、規則と保安管理技術の題材が違う
- 第三種冷凍機械責任者の練習問題 — 同じKHKの知事試験で、同じ11月に実施される









