乙種7類の対象は漏電火災警報器ひとつだけです。範囲が狭いぶん、鑑別では細部まで問われます。実技は鑑別等のみで製図はありませんが、実技単独で60%以上が必要な点は他の類と同じです。
この記事では、漏電火災警報器の構成と設置基準を消防法施行令・施行規則の条番号つきで整理します。数値は2026年4月1日時点で施行されている版で確認しています。
まず「何を検知する設備か」を押さえる
漏電火災警報器は、建築物の屋内電気配線から漏れた電流を検知して知らせる設備です。消防法施行令第22条第2項は、漏電火災警報器を「建築物の屋内電気配線に係る火災を有効に感知することができるように設置する」と定めています。
なぜ火災につながるのか。鉄網入りの壁(ラス、つまり金属の網が入った壁)で漏電が起きると、金属部分に電流が流れて発熱し、木材の下地が炭化して発火に至ることがあるからです。だから設置対象も「鉄網入りの構造かどうか」で決まります。
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構成は3つ。役割で覚える
鑑別では写真や系統図から各機器の名称と役割を問われます。構成は3つだけです。
| 機器 | 役割 |
|---|---|
| 変流器(ZCT) | 電路に流れる電流を検出する。行きと帰りの電流の差(=漏れ電流)を拾う |
| 受信機 | 変流器からの信号を受け、設定値を超えたら火災の発生を判断する |
| 音響装置 | 受信機の指令で警報音を鳴らす |
変流器はリング状(またはクランプ状)の外観で、電線をくぐらせて使います。電線を切断せずに取り付けられるのが特徴です。正常時は行きと帰りの電流が打ち消し合ってゼロになり、漏電があると差が生じて検出される、という原理を言えるようにしておきます。
数値1: 設置対象は「構造」と「規模」の2軸
消防法施行令第22条第1項は、まず構造で絞ります。間柱もしくは下地を準不燃材料以外の材料で造った鉄網入りの壁、根太もしくは下地を準不燃材料以外の材料で造った鉄網入りの床、または天井野縁もしくは下地を準不燃材料以外の材料で造った鉄網入りの天井を有するもの、が前提です。
そのうえで用途と規模の条件が並びます。
| 対象 | 延べ面積 |
|---|---|
| 令別表第一(十七)項(重要文化財等)の建築物 | 面積を問わない |
| (五)項・(九)項 | 150㎡以上 |
| (一)項から(四)項まで・(六)項・(十二)項・(十六の二)項 | 300㎡以上 |
| (七)項・(八)項・(十)項・(十一)項 | 500㎡以上 |
| (十四)項・(十五)項 | 1,000㎡以上 |
| (十六)項イ | 延べ面積500㎡以上で、かつ特定用途部分の床面積合計が300㎡以上 |
そして最後の第7号が実務でも試験でもよく効きます。上記に該当しなくても、(一)項から(六)項まで・(十五)項・(十六)項の建築物で、契約電流容量が50アンペアを超えるものは設置対象です。同一建築物で契約種別が異なる場合は、そのうちの最大契約電流容量で判断します。
150 / 300 / 500 / 1,000 と 50A。この5つの数字が乙7の設置基準の骨格です。
数値2: 変流器の取付け位置
消防法施行規則第24条の3が細目を定めています。変流器については2つの条件があります。
電流値(第1号): 変流器は、警戒電路の定格電流以上の電流値を有するものを設けます。B種接地線に設けるものは、当該接地線に流れることが予想される電流以上の電流値です。
取付け位置(第2号): 変流器は次のいずれかに、点検が容易な位置に堅固に取り付けます。
- 建築物に電気を供給する屋外の電路(原則)
- 建築構造上、屋外の電路に設けることが困難な場合は、電路の引込口に近接した屋内の電路
- B種接地線
原則は屋外、例外が屋内、という順序が問われます。「屋内でもよい」ではなく「困難な場合に限り屋内」である点が記述では重要です。
数値3: 音響装置とその他の細目
同条の残りも短いので、まとめて押さえます。
- 音響装置は防災センター等に設ける(第3号イ)
- 音響装置の音圧および音色は、他の警報音または騒音と明らかに区別して聞き取ることができること(第3号ロ)
- 検出漏洩電流設定値は、誤報が生じないように当該建築物の警戒電路の状態に応ずる適正な値とする(第4号)
- 可燃性蒸気・可燃性粉じん等が滞留するおそれのある場所に設ける場合は、その作動と連動して電流の遮断を行う装置を、これらの場所以外の安全な場所に設ける(第5号)
第5号が狙われます。遮断装置そのものを危険場所に置いてしまうと、遮断の際の火花が着火源になりかねません。だから装置は安全な場所に置く。理由まで言えると記述で強くなります。
検出漏洩電流設定値には「何ミリアンペア」という数値が条文にありません。誤報が生じない適正な値という定め方です。数値を答えさせる問題ではなく、考え方を問う形になります。
点検で使う器具
乙種の業務は整備と点検です。乙7で使う器具は限られます。
| 器具 | 用途 |
|---|---|
| 絶縁抵抗計(メガー) | 電路の絶縁抵抗を測定する。単位はMΩ |
| クランプメーター | 電線を挟んで、電路を切らずに電流を測定する |
| 回路試験器(テスター) | 導通確認・電圧測定 |
| ドライバー類・プライヤー | 機器の着脱 |
クランプメーターと変流器は、どちらも電線を囲んで電流を測るという点で原理が近い器具です。写真で並べられたときに役割の違い(常設の検出器か、点検時の計測器か)を答えられるようにしておきます。
絶縁抵抗計は絶縁抵抗、クランプメーターは電流、回路試験器は電圧と導通。何を測る器具かで1対1に整理します。
記述は「名称 + 役割 + 位置」で書く
鑑別は記述式です。乙7は構成要素が3つしかないぶん、役割と設置位置まで書けるかで差がつきます。
- 名称(「変流器」または「零相変流器(ZCT)」)
- 役割(何を検出し、何に伝えるか)
- 設置位置(条文上どこに設けるか)
- 条件(電流値、点検が容易な位置、堅固に、など)
たとえば「この機器の名称と取付け位置を答えよ」なら、「変流器。建築物に電気を供給する屋外の電路に、点検が容易な位置に堅固に取り付ける。建築構造上困難な場合は、電路の引込口に近接した屋内の電路またはB種接地線に取り付ける」と、原則と例外を並べます。
残り時間別の進め方
| 残り | やること |
|---|---|
| 1か月以上 | 構成3つの役割と、設置対象の構造条件(鉄網入り)を固める |
| 2週間 | 面積の5区分と契約電流容量50A超を追加。数字を書いて覚える |
| 1週間 | 変流器の取付け位置(原則と例外)と点検器具を仕上げる |
| 前日 | 50A・150・300・500・1,000 と「屋外が原則」だけは確実に |
乙7は範囲が狭く、覚える量そのものは少ない類です。だからこそ数値を落とすと差が付きます。面積の区分は用途と組みで問われるので、令別表第一の項番号と一緒に見ておくのが確実です。
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出典: 消防法施行令(昭和三十六年政令第三十七号)第22条・消防法施行規則(昭和三十六年自治省令第六号)第24条の3。2026年4月1日時点で施行されている版を e-Gov 法令検索で確認しました。試験の法令基準日は受験年度により異なるため、最新の出題範囲は消防試験研究センターの案内で確認してください。











