毒物劇物取扱責任者の資格を得られる毒物劇物取扱者試験は、原則として都道府県ごとに行われ(関西広域連合が滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山・徳島の7府県の試験をまとめて実施)、合格率も県ごとに公表されます。国による全国の集計は見当たりません。2026年10月12日に各都道府県の公式ページで確かめたところ、令和8年度(2026年度)の一般の合格率は、受験者数と合格者数を確かめられた22都道府県で13.7%(沖縄県)から64.9%(愛知県)まで と大きく開いていました。ただし、この差をそのまま「簡単な県」と読むのは危険です。同じ問題で行う東北の県どうしでも、合格率は23.8%から40.4%まで違います。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 合格率の幅(令和8年度・一般) | 13.7%〜64.9%(22都道府県) |
| 合格の基準 | 多くの県は「合計で6割以上、かつ科目ごとに最低点(足切り)以上」。足切りの線は県ごとに違う |
| 科目 | 法規・基礎化学・性質及び貯蔵その他取扱方法・実地(識別及び取扱方法) |
| 受験資格 | 学歴・年齢などを問わない。住所地に関係なくどの都道府県でも受けられる(東京都のQ&A) |
| つまずきやすいところ | 足切りがあるので苦手な科目を捨てられない。物質ごとの性状や取扱いの暗記の量 |
「一般」は、すべての毒物・劇物を扱える区分です。ほかに、扱う品目を限った農業用品目と特定品目があります。
令和8年度の一般の合格率(都道府県別・高い順)
2026年10月12日までに結果が公表され、一般の受験者数と合格者数を確かめられた都道府県です。都道府県名のリンク先が出典の結果のページです。
| 都道府県 | 受験者 | 合格者 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 愛知県 | 870人 | 565人 | 64.9% |
| 栃木県 | 275人 | 172人 | 62.5% |
| 千葉県 | 652人 | 402人 | 61.7% |
| 愛媛県 | 111人 | 55人 | 49.5% |
| 神奈川県 | 591人 | 284人 | 48.1% |
| 香川県 | 125人 | 58人 | 46.4% |
| 北海道 | 245人 | 113人 | 46.1% |
| 静岡県 | 469人 | 214人 | 45.63% |
| 三重県 | 202人 | 84人 | 41.6% |
| 長野県 | 377人 | 156人 | 41.4% |
| 宮城県 | 203人 | 82人 | 40.4% |
| 岐阜県 | 197人 | 73人 | 37.1%※ |
| 東京都 | 901人 | 305人 | 33.9% |
| 青森県 | 184人 | 60人 | 32.6% |
| 岩手県 | 117人 | 38人 | 32.5% |
| 高知県 | 56人 | 17人 | 30.4% |
| 福島県 | 268人 | 75人 | 28.0% |
| 佐賀県 | 81人 | 20人 | 24.7% |
| 鹿児島県 | 173人 | 42人 | 24.3%※ |
| 山形県 | 105人 | 25人 | 23.8% |
| 宮崎県 | 197人 | 31人 | 15.7% |
| 沖縄県 | 102人 | 14人 | 13.7% |
合格率は各県の公表の表記のままです。※の付いた値は、公表された受験者数と合格者数から当サイトで計算しました。表に無い県のうち、秋から冬に試験をする県(群馬・埼玉・富山・山梨・中国5県・関西広域連合など)は令和8年度の結果がまだです。夏に試験を終えた県でも、秋田県は受験者数、熊本県は合格者の受験番号の一覧だけの公表で、福岡県・長崎県・大分県は人数を確かめられませんでした。茨城県は県のサイトの障害で確かめられませんでした。
令和7年度の一般の合格率(実施するところ別・高い順)
| 実施するところ | 受験者 | 合格者 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 静岡県 | 483人 | 280人 | 57.97% |
| 神奈川県 | 565人 | 324人 | 57.3% |
| 千葉県 | 706人 | 403人 | 57.1% |
| 福岡県 | 541人 | 278人 | 51.4%※ |
| 愛知県 | 810人 | 399人 | 49.3% |
| 栃木県 | 255人 | 121人 | 47.5% |
| 埼玉県 | 847人 | 380人 | 44.9% |
| 宮城県 | 197人 | 86人 | 43.7% |
| 北海道 | 243人 | 104人 | 42.8% |
| 鹿児島県 | 206人 | 87人 | 42.2%※ |
| 秋田県 | 84人 | 35人 | 41.6% |
| 三重県 | 262人 | 109人 | 41.6% |
| 長野県 | 473人 | 189人 | 40.0% |
| 新潟県 | 298人 | 113人 | 37.9%※ |
| 山口県 | 210人 | 74人 | 35.2% |
| 群馬県 | 350人 | 118人 | 33.7% |
| 沖縄県 | 108人 | 35人 | 32.4% |
| 長崎県 | 121人 | 38人 | 31.4% |
| 関西広域連合 | 1,843人 | 575人 | 31.2% |
| 青森県 | 180人 | 54人 | 30.0% |
| 宮崎県 | 228人 | 66人 | 29.0% |
| 福島県 | 281人 | 79人 | 28.1% |
| 岡山県 | 289人 | 77人 | 26.6% |
| 島根県 | 67人 | 17人 | 25.4% |
| 鳥取県 | 46人 | 10人 | 21.74% |
関西広域連合は、7府県を合わせた数字です(府県別の内訳は公表されていません)。石川県は令和7年度の合格者の受験番号だけの公表で、受験者数が分からないので入れていません。
「簡単な県」は合格率では決められない
合格率の高い県を選べば受かりやすい、とは言えません。理由は3つあります。
- 同じ問題でも合格率が違う — 東北6県は令和2年度から、試験日・問題・合格基準をそろえています。それでも令和8年度の一般の合格率は、宮城県40.4%・青森県32.6%・岩手県32.5%・福島県28.0%・山形県23.8%と開きました(秋田県は受験者数の公表なし)。令和7年度も宮城県43.7%・青森県30.0%・福島県28.1%と同じ並びでした。問題と基準が同じなので、差は受験者の側から来ていると考えられます(たとえば準備の量や、仕事で必要になって受ける人の割合の違い。受験者が100人ほどの県では偶然のぶれも大きくなります)。
- その年の問題で大きく動く — 令和8年度に同じ日(8月4日)に同じ問題で試験をした沖縄県・鹿児島県・宮崎県は、そろって下がりました(沖縄県32.4%→13.7%、鹿児島県42.2%→24.3%、宮崎県29.0%→15.7%)。逆に愛知県は49.3%から64.9%へ上がっています。1年分の合格率で県の易しさは決まりません。
- 合格基準が県ごとに違う — 多くの県は「合計で6割以上、かつ科目ごとに一定以上」という形ですが、科目ごとの線は、0点でなければよい県(高知県)から、2割(岐阜県)・3割(関西広域連合・中国5県など)・4割(千葉県・神奈川県など)・5割(北海道)まで開きます。東北6県や関西広域連合のように、性質と実地を合わせて1科目として判定するところもあります。
合格基準の例(各県の公表の文言から要約)
| 実施するところ | 合格基準(要約) |
|---|---|
| 北海道 | 4科目の合計が6割以上、かつ1科目につき5割以上 |
| 東北6県(青森・宮城など) | 総得点が6割以上、かつ各科目4割以上(性質と実地は合わせて1科目) |
| 千葉県・神奈川県・香川県・宮崎県など | 総得点が6割以上、かつ各科目4割以上 |
| 東京都(一般) | 筆記100点中50点以上、実地100点中50点以上、合計200点中120点以上 |
| 愛知県 | 筆記60点以上(100点満点)、かつ実地60点以上(100点満点) |
| 関西広域連合(令和7年度) | 正答率が全体で60%以上、かつ科目ごとに30%以上(性質と実地は合わせて1科目) |
| 中国5県(鳥取・山口など。令和7年度) | 合計が満点の6割以上。1科目でも3割未満なら不合格 |
自分が受ける県の合格基準は、その県の受験案内や結果のページで確かめてください。
県を選ぶときに見るもの
東京都のQ&Aによると、毒物劇物取扱者試験は住所地に関係なくどの都道府県でも受けられ、合格すれば全国どの都道府県でも毒物劇物取扱責任者になれます。受ける県を選べるなら、合格率より次のことを見ましょう。
- 試験日と申込期間 — 試験は6月ごろから翌年2月ごろまで県ごとに分かれていて、申込期間も別々です。
- 受験料 — 県ごとに違います(令和8年度は東京都12,900円・神奈川県10,500円など)。
- 合格基準の形 — 実地を別の科目として線を引くか、性質と合わせて見るか。科目ごとの線が何割か。
- 過去問を公開しているか — 受ける県の過去問を何年分読めるかは県によって違います(「毒物劇物取扱責任者の過去問はどこで見られる?」)。
どこでつまずきやすいか
多くの県は合計の6割に加えて科目ごとの線があるので、苦手な科目を1つ作ると、合計が届いても不合格になりえます。実地(毒物及び劇物の識別及び取扱方法)を別の科目として線を引く県(東京都・愛知県・千葉県・神奈川県など)では、個々の物質の性状・貯蔵法・廃棄の方法などを問う実地で線を割ると、法規や基礎化学で点を取っても受かりません。実地の対策は「毒物劇物取扱者試験の実地試験とは」にまとめています。
一方で、法規は全国共通の毒物及び劇物取締法から出るので、どの県で受けても同じ準備が効きます。
区分ごとの合格率
確かめた県の多くで、農業用品目の合格率は一般より低くなっていました。特定品目は受験者が数人の県が多く、合格率は目安になりません。
| 実施するところ(年度) | 一般 | 農業用品目 | 特定品目 |
|---|---|---|---|
| 北海道(令和8年度) | 46.1%(245人) | 40.1%(304人) | 56.3%(16人) |
| 千葉県(令和8年度) | 61.7%(652人) | 14.1%(64人) | 62.5%(8人) |
| 栃木県(令和8年度) | 62.5%(275人) | 18.8%(32人) | 100%(4人) |
| 東京都(令和8年度) | 33.9%(901人) | 33.0%(109人) | 57.1%(7人) |
| 愛知県(令和8年度) | 64.9%(870人) | 40.5%(173人) | 42.9%(7人) |
| 青森県(令和8年度) | 32.6%(184人) | 10.6%(66人) | 25.0%(8人) |
| 関西広域連合(令和7年度) | 31.2%(1,843人) | 17.0%(88人) | 10.0%(10人) |
範囲が狭いから農業用品目のほうが受かりやすい、とは言えません。
合格した後
合格すると、都道府県知事から合格証が交付されます(毒物及び劇物取締法施行規則第9条)。ただし、18歳未満の人などは、合格しても毒物劇物取扱責任者になれません(毒物及び劇物取締法第8条第2項)。責任者を置く必要がある場所は「毒物劇物取扱責任者が必要な場所」にまとめています。
例題: ぴよパスの予想問題から2問
例題1(容器と被包の表示) 毒物・劇物の容器と被包に表示する文字と色の組み合わせを選ぶ問題です。
答え: 「医薬用外」の文字と、毒物は赤地に白色で「毒物」、劇物は白地に赤色で「劇物」(毒物及び劇物取締法第12条第1項)。毒物と劇物の地の色と文字の色を入れ替えた肢が狙われやすいので、「毒物は赤地に白」と地の色から覚えます。 この問題を解く →
例題2(中和に必要な体積) 0.10mol/Lの塩酸20mLを、0.050mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液でちょうど中和するのに必要な体積を選ぶ問題です。
答え: 40mL。塩酸の物質量は0.10 × 0.020 = 0.0020molで、0.050 × V = 0.0020 から V = 0.040L = 40mLです。うすい方の溶液ほど多く要ります。 この問題を解く →
ぴよパスでは、毒物劇物取扱者(一般)の範囲から作ったオリジナル予想問題を、法規・基礎化学・性質及び貯蔵その他取扱い方法の3カテゴリで無料で公開しています。全問に解説が付いています。実地(識別及び取扱方法)のカテゴリはありません。
当サイトの問題について
ぴよパスの問題は、都道府県や関西広域連合の試験問題を写したものではなく、毒物及び劇物取締法などの法令と公的な資料をもとに独自に作った オリジナルの予想問題 です。
出典
- 各都道府県と関西広域連合の試験結果のページ(上の表の都道府県名のリンク先。2026年10月12日時点の内容)。合格基準は各県の結果のページ・受験案内・合格者の発表の文言から要約(愛知県は合格基準のPDF)
- 東北6県の共通の実施は青森県のページ「試験問題及び合格基準を統一して実施します」、沖縄・鹿児島・宮崎の令和8年度の試験日は各県の結果のページと沖縄県の実施要領による
- 東京都保健医療局「毒物劇物取扱責任者Q&A」(住所地に関係なく受験できること・合格の全国での効力)
- 毒物及び劇物取締法(第8条第2項・第12条第1項)(e-Gov法令検索)
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- 毒物劇物取扱責任者の過去問はどこで見られる? — 47都道府県の公開ページと年度
- 毒物劇物取扱者試験の実地試験とは — 実地の「識別」にかかる足切り
- 毒物劇物取扱者の予想問題の使い方









